家で洗っても大丈夫? 自宅でレーヨン素材の衣類を洗濯する方法とは?

レーヨンは光沢があり肌触りもソフトなのが特徴です。高価な絹(シルク)の代用として作られた素材で、昔は人絹(じんけん、人造絹糸)とも呼ばれていました。

レーヨンの主な原料は、実は天然素材の「木材パルプ」。主に製紙原料として使われる木材パルプですが、化学的な処理を加えることで、独特の光沢があるレーヨン素材に仕上がります。

レーヨンは吸水性に優れていますが、その反面、「水に濡れると縮んでしまう」という性質があります。レーヨン糸は水を吸うと膨れて直径が太くなり、その分長さが縮んでしまうのです。この事象は「膨潤収縮(ぼうじゅんしゅうしゅく)」と呼ばれています。

レーヨンは膨潤収縮するため、これまで「水を使った洗濯はできない」と考えられていました。

昨今の生地の加工技術の進歩によって、水洗いできるレーヨン素材の衣類も誕生しています。ただし、他の素材に比べて縮みやすい特性はあります。

少しの汚れなら濡れたタオルでつまんで汚れを落とし、生地全体を洗濯するのは避けましょう。全体を洗濯する場合には、絵表示を見て洗濯方法をチェックするとともに、なるべく短時間で済ませることが重要です。

また失敗したくない衣類の場合には、プロのクリーニング店でドライクリーニングを依頼しましょう。

2016年12月より、衣類の取扱い「絵表示」が変更になっています。※詳しい情報はこちら

1.まずは、取扱い絵表示をチェック
レーヨン素材の衣類を洗濯するためには、まずは、水洗い可能かどうかを洗濯絵表示を見て確認することがポイントです。

2.取扱い絵表示が水洗い可能だった場合
中性洗剤(おしゃれ着洗い)を使用して洗濯機で洗うことができます。ただ、色柄物の洋服の場合は、念のために、洗浄時の濃度に希釈した中性洗剤を目立たないところに少量つけて、数分後、白い布などを当てて色移りしないかチェックし、色落ちする場合は、他の衣類と分けて洗ってください。

3.取扱い絵表示が水洗い不可だった場合
原則としては、自宅での洗濯は避け、ドライクリーニングに出す必要があります。

水洗い不可のレーヨン素材をドライクリーニングに出さずに自宅洗濯で済ませたいという場合はどうすれば良いのでしょうか。

洗剤メーカーのアスパイラルさんによると、レーヨン素材にも使用可能な防縮剤(シリコン)配合のプロ用洗剤を使って短時間で洗濯するという方法があるそうです。レーヨンにも使用できる洗濯洗剤は、その多くが業務用ですが、一部は一般家庭でも通販サイトなどで市販されています。手順を詳しく伺ったので以下にご紹介します。

レーヨンは水につけると縮みやすいので、とにかく短時間で洗い終えることがポイントです。洗いとすすぎで1〜2分以内に済ませることを目安にしてください

1〜2分の短時間でも水につけるとレーヨンは多少縮みますが、干す時に少し引っ張って形を整えたり、アイロンで仕上げる時に少し引っ張り気味にすると、元の形に戻ります。

普通の洗濯物のように、長時間水につけてレーヨンが縮みきってしまうと元の形に戻りません。注意して短時間で洗濯を済ませましょう。

1. 洗い桶とすすぎ桶を用意し、洗い桶に水と専用の洗剤を入れる。
2. レーヨン素材の衣類を洗い桶で数十秒サッと洗う。
3. すぐにすすぎ桶に移してすすぎ洗いをして、脱水する。
4. なるべく短い時間で脱水を終わらせて形を整えて干す。

洗濯機での脱水は問題ないのでしょうか。

アスパイラルさんによると、レーヨンが一番縮むのは水につけている時なので、洗ってすすぐ時間をトータルで1〜2分以内におさめれば、洗濯機で脱水しても大きく縮むことはないそうです。

心配な場合には、洗濯機を使わずにバスタオルなどでタオルドライするのも一つの方法とのことです。

レーヨンが水洗いで縮んでしまった場合、元に戻す方法はあるのでしょうか。

アスパイラルさんによると、アイロンでスチームを当てながら仕上げる方法があるそうです。

低温アイロンのスチームが出る設定で、しっかり生地を引っ張って仕上げると良いそうです。ただし、加減を間違うと、衣類が縫い目から破れてしまうことも。なるべく、縮ませないように洗うことが大切です。

もう一つ、防縮剤(シリコン)配合のプロ用洗剤を使って洗い直すという方法があるそうです。縮んでしまったレーヨン衣類を、プロ用洗剤を入れた水につけます。その後、軽くすすいで、濡れた状態のまま引っ張ってください。すぐに伸びるわけではないので少し根気が必要ですが、レーヨンを元のサイズに近づけることができます。やり方や容量などは、プロ用洗剤の取扱説明書を参考にしてください。

シリコンの入った髪の毛用のリンスでも代用する方法もあるそうですが、専用液と比べて効果が弱いため、できれば避けた方が良いようです。

レーヨン素材の洗濯についてご紹介しました。自宅での洗濯は安価で手軽ですが、大切で失敗したくない衣類の場合はプロのドライクリーニングに任せる方が良いでしょう。

レーヨン素材の洗濯は難しいもの。レーヨン素材の衣類はなるべく汚さないように着用するのが長持ちさせるコツです。もし洗濯する必要があれば、記事を参考にしてくださいね。