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陶器と磁器の違い6つ

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私たちの生活に身近な食器。焼き物のことを「陶磁器」と呼ぶことがもありますが、これは「陶器」と「磁器」の総称。この2つには大きく6つの違いがあります。
1. 原材料
2. 硬度
3. 焼成温度
4. 透光性
5. 吸水性
6. 打音
上記の違いを、2つの点からご紹介します。
● 原材料の違いによる硬度と焼成温度の違い
● 器の透光性、吸水性、打音の違い
陶器と磁器の違い【原材料と硬度、焼成温度】
「陶器」と「磁器」は、その原材料が異なります。
原材料の違いから、硬度や焼成温度などさまざまな違いがあります。
「陶器」の原材料と硬度、焼成温度

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陶器の主な原材料は「陶土」と呼ばれる粘土です。陶器のことを「土もの」と言うのはこのためです。
陶器は低めの温度で焼くため柔らかく、磁器に比べて割れやすいと言われています。
焼成温度は800℃~1200℃前後です。
陶器の起源は古く、原始時代の「土器」が始まりと言われています。この頃の土器は深い鉢型をしたものが多く、食糧を貯えたり、調理するために使われていたそうです。
「磁器」の原材料と硬度、焼成温度

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「磁器」の原材料は、「長石(ちょうせき)」などの磁石を主成分とする「磁土(じど)」が主な材料です。このため、磁器のことを「石もの」と呼ぶ場合があります。
加工等をする前の下地部分はきめ細かく、焼く温度も高いのが特徴。陶器よりも硬度が高くなります。
しかし硬度が高くても割れ物なので扱いには注意が必要。特に部分的な衝撃には小さなカケやヒビが入りやすいので気をつけたいところです。
焼成温度:約1200〜1400度前後
日本で磁器が作られようになったのは江戸時代で、朝鮮半島から来た陶工が肥前有田で磁石を見つけ、日本で初めて磁器が作られるようになりました。
陶器と磁器の違い【吸水性、透光性、打音】

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原材料の違いを知ることができたら、次に水に対する「吸水性」や光にかざした時の「透光性」、器を叩いた時の音「打音」の違いを見てみましょう。
陶器の吸水性、透光性、打音
素地が荒いため、吸水性があります。釉薬(うわぐすり)を塗ることにより吸水性はなくなるそう。しかし、醤油などの有色水を長時間いれておくとシミや臭いの原因になる可能性が。初めて陶器を使う時は一旦水に浸し(使用前の30分間ぐらい)、それから使うと良いでしょう。
そして陶器には、光を通さないという特徴があります。
打音は「コン」とやや低く濁った音。
磁器の吸水性、透光性、打音

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素地が緻密で吸水性はなく、素地が白いため光を通す透光性があります。磁器で薄手のものを光にかざすと、うっすらと透け感が感じられるでしょう。
陶器と磁器の見た目の見分け方において、磁器のなめらかな白さを目安にするとわかりやすいですよ。
そして打音は「キン」と高めの澄んだ音がするのも磁器の特徴です。
気になる! 「◯◯焼」は陶器?磁器?どっち?
陶器と磁器の違いがわかったところで、日本における有名な焼き物は陶器か磁器か確認しておきましょう。

益子焼(PIXTA)
陶器の焼き物
益子焼、薩摩焼、備前焼、萩焼、信楽焼など。陶器は和食器に多く用いられています。陶器の和食器というと原材料の土のぬくもりが伝わるような温かみが感じられそうですね。食卓に並べる際にコーデイネートを楽しんでください。
磁器の焼き物

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伊万里焼、砥部焼、有田焼、九谷焼など。上の画像は九谷焼です。
磁器は洋食器にも多く用いられます。磁器はある程度硬度のある素材なので、洋食のナイフやフォークなど金属が触れ合うことにも耐性があることが理にかなっているのかもしれませんね。
おわりに
陶器と磁器には6つの項目においてそれぞれ違いがありましたね。
素材の違いや硬度などの特徴を覚えておくと普段のお手入れから陶器も磁器も大切に扱えるようになるでしょう。
参考:日本セラミックス協会「日本のやきもの」
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この記事の監修
もっと見る和文化研究家
三浦康子
古を紐解きながら、季節の行事や生活の知恵など、今の暮らしを楽しむ方法をメディアにて提案。著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)、『粋なおとなの花鳥風月』(中経出版)、監修書『季節を愉しむ366日』(朝日新聞出版)、『おうち歳時記』(朝日新聞出版)ほか多数
三浦康子 和文化研究家
コピーされました
公開日:2017.3.27
最終更新日:2023.5.29
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