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【教育研究家に聞く】「おままごと」の3つの効果と、おもちゃ選びのポイント

子どもの時に「おままごと」をして遊んだことはありますか? 「おままごと」とは、家庭での様子を真似した「ごっこ遊び」の一つです。何気ない子どもの遊びですが、子どもの成長にとって嬉しい効果がたくさんあるんです。それは、女の子にとっても男の子にとっても、同じくらい大切です。そんな「おままごとの3つの効果」と、それを高めるための「おもちゃ選びのポイント」について、教育研究家・征矢里沙さんにご紹介いただきました。

最終更新日:2024.1.22

目 次

【3つの効果の前に】「おままごと」って、そもそもどういう遊び?

おままごと遊び

PIXTA

おままごとの「まま」とは、「飯(まま)」という意味からきているそうです。
ごっこ遊びの中でも、特に家庭での様子や家事を真似する遊びが「おままごと」と呼ばれます。
また、お母さん、お父さん、子どもなど、あらゆる役柄が登場するので、性別に関係なく楽しむことができる遊びです。

この遊びの起源は古く、なんと古墳時代の遺跡からも、おままごとに使われたと思われる道具が出土しているそうです。
昔から、子ども達が本能的に求めている遊びの一つだと言えそうです。

おままごとはいつから始まるの?

キッチンおままごとセット

PIXTA

おままごとの始まりは、「飲むふり」「食べるふり」といった、「ふり遊び」です。これは2~3歳頃から始まります。

2歳の頃は、まだ「友達と一緒に遊ぶ」ことはあまりありません。他の子どもと一緒にいても、別々のことをして遊んでいたりします。
そういう社会性が出てくるのは、3歳以降です。この頃から、だんだん他の子とのやり取りが出てきます。

そして、いわゆる「おままごと」、つまり、「あなたがお母さんで、あなたがお父さんね」と役割をふって遊べるようになるのは、だいたい4歳半~5歳頃からだと言われています。おままごとを始めることは、子どもの想像力や社会性が育ってきたという成長の証なのです。

子どもはどうしておままごとをするの?

おままごとで遊ぶ子ども

PIXTA

生まれてから成長する過程で、子どもは周りの環境をどんどん吸収していきます。特に、身近な大人が普段からやっていることに、子どもは興味深々です。

そして、それを自分の手足を使って真似することは、子どもがこの世界での生き方を学んでいくプロセスなのです。

ちなみにこれは、男の子でも女の子でも関係ありません。男の子でも、ママの真似をしてお料理したり、お人形を抱っこして優しく接することは、大事な学習のプロセスです。

【おままごとの効果 その1】想像力が豊かになる

いろいろな子ども

PIXTA

おままごとは、普段の生活で行われる家事や買い物などのやり取りを真似することから始まります。初めは、単なる一つの動作やを繰り返すだけのこともあります。

そして、だんだん、子ども自身が想像力を働かせて遊べるようになっていきます。

例えば、買い物する商品の値段を子どもが考えて決めたり、お料理するシーンでは「今日の夕飯は何にしましょうね」などと夕食のメニューを決めたりします。どのような状況なのか、自分で想像しながら遊ぶことを通じて、想像力が豊かになります。

想像力を豊かにするおもちゃ選びのポイント

くるみで遊ぶ子どもたち

PIXTA

子どもの想像力を豊かにするためには、何よりも「シンプルであること」が一番大切です。

本物そっくりに精巧に作られたおもちゃには、子どもが想像力を加える余地がありません。逆に、シンプルであればあるほど、子どもは想像力を使って、それを色々な物に「見立てて」遊べます。

例えば、カレーライスなどの出来上がった食材を再現したおもちゃは、カレーライスとしてしか遊べません。すぐに飽きてしまうし、出番が少なくなります。

でも例えば、どんぐりなどの木の実がたくさんあれば、子どもの想像力によって、それがカレーライスになったり、親子丼になったり、あるいはお菓子になったり、お金になったりします。

おもちゃの食器

Risa Seiya

毛糸や紐があれば、ラーメンやスパゲッティにもできるし、ちょっと何か結んだりもできます。

布やハンカチ(なるべく無地のもの)があれば、お弁当を包んだり、それ自体がご飯になったり、お人形のお布団にもできます。
そうやって想像力を発揮して遊んでいる子どもは、とても生き生きとしています。

シンプルなものが一通りあれば、細々としたおもちゃのシリーズを全部買い揃えなくていいし、子どもの想像力も伸ばせて、一石二鳥ですよ。

【おままごとの効果 その2】コミュニケーション能力を高める

おままごとのお店

PIXTA

4歳半~5歳頃になって来ると、お母さん役、お父さん役、子ども役など、役を決めて遊べるようになります。これは、それだけ想像力が発達してきたことや、他の子と一緒に遊ぶことが楽しくなってきた証拠です。

特に、おままごとは他の子どもを巻き込みやすいので、この時期はおままごとが大好きになる子もいます。一人遊びとは違い、お友達や兄弟など自分以外の人との関わり合いを通して、会話が上達し、コニュニケーション能力を高めることができます。

コミュニケーション能力を高めるおもちゃの選び方

お人形遊び

PIXTA

おままごとでコミュニケーションを増やすおもちゃをしておすすめしたいのは、「お人形」です。
子どもはお人形に話しかけたり、お人形が話すことを自分で喋ったりして、コミュニケーションを再現します。

また、お人形が一つあると、おままごとの役に「赤ちゃん」が加わって、「家族」のコミュニケーションもより豊かになります(もちろん、子どもが赤ちゃん役をやることもありますが)。

ここで一番大切なことは、なるべく、動いたりしゃべったり「しない」お人形を選ぶことです。最近はおもちゃの機能が発達して、色んな言葉をしゃべる人形もあったりしますが、コミュニケーションは「やり取り」が大切です。お人形が機械的な言葉を発すると、その言葉を使ってしか遊べません。それよりも、自分で色々な会話を想像したり、お友達とやり取りする方が、コミュニケーション能力を高められると言えます。

【おままごとの効果 その3】言葉が豊かになる

おままごとで遊ぶ親子

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おままごとでは、役として相手に自分の考えていることを伝える場面が多くあります。

ママ役になったら、ママが話していることを思い出して再現しようとします。また、お店屋さん、お医者さんなど、シーンが切り替わるたびに、同じ子が色々な役を演じたりします。

いつもと違う役を演じるために、普段は使わない言葉を使うことを通して、言葉の語彙力が増えていきます。お友達が使う言葉を聞いて、それを真似することでも、語彙が増えていきます。

言葉を豊かにするためのおもちゃの選び方

絵本の読み聞かせ

PIXTA

言葉の語彙を豊かにするためのおもちゃといえば、絵本です。

語彙というのはとても大切で、たとえば自分の気持ちを人に伝えるときも、自分の気持ちを表す語彙がたくさんあるほど、コミュニケーションは豊かになります。

おやさいとんとん
出典:https://www.amazon.co.jp

また、「トントン」「じゅーじゅー」「もぐもぐ」などの擬音をたくさん知っていれば、言葉の表現力が豊かになります。特におままごとを楽しくするということなら、子どもの身近な生活を描いた絵本がよいかもしれません。例えば、「しろくまちゃんのホットケーキ」や「おやさいとんとん」といった、お料理をつくる音の表現がたくさんある本など。

子どもは何度も繰り返すことで吸収するので、たくさん本を買わなくても、同じ本を繰り返し読むことで、子どもがしっかり言葉を学ぶことができます。

おわりに

「おままごと」は、想像力が豊かになったり社会性を学んだりと、遊びを通じて子どもの心が成長するために嬉しい効果がたくさんあります。
また、友達や親子のコミュニケーションを深めることもできる遊びです。
ぜひ、身近にあるものを使い、想像力を使って楽しんでみてくださいね。

参考:
ラヒマ・ボールドウィン著「親だからできる赤ちゃんからのシュタイナー教育」、学陽書房、発行日2014/2/19(新版)
フラヤ・ヤフケ著「親子で楽しむ手づくりおもちゃ」、地湧社 、発行日1989/01

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公開日:2017.5.22

最終更新日:2024.1.22

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