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子どもを成長させる「プチ一人旅」とは?

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昨今、子どもを一人で外出させることが不安な親が増えているようです。
交通事情や地域社会の変化など、昔に比べて不安が多くなっているからでしょう。子どもの「おつかい」なども、20年前に比べて大きく減っているという調査があります。
でも、子どもが一人で親元を離れ、そして帰ってくることは、子どもにとって大きな自信につながります。
そこでおすすめしたいのが、「子どものプチ一人旅」。
一人旅といってもプチなので、祖父母や親戚(もちろん友達でも可)の家に一人で行って、お泊りをして、家に帰ってくること。ただそれだけです。それでも、往復の道のりを一人で過ごすことは、子どもにとって大きなチャレンジになります。
「子どものプチ一人旅」について、できるだけ安心して楽しく挑戦できるステップを、年齢順にご紹介していきます。
【子どものプチ一人旅 ステップ1】祖父母・親戚の家にお泊り

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最初は、親が送迎して、祖父母・親戚の家にお泊りすることから始めてみましょう。
初めてのお泊りには、まず「本人の意思」と、親とお泊り先の間との「信頼関係」が大切です。
また、子どもだけでお泊りする前に、「親と一緒にお泊り」を経験させてもらうと、子どももより安心できますね。
○「祖父母・親戚の家にお泊り」年齢・安全対策は?

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年齢的には、1泊程度であれば、3歳くらいからお泊りできるようです。もちろん個人差がありますので、本人の意思を尊重することが大切です。
安全対策としては、お泊り先を信頼できると理想ですが、食べさせないで欲しいもの、やらせないで欲しいことなどは、事前にきちんと話し合っておく必要があるでしょう。
また、何かあったとき(夜に泣くなど)の対策も、あらかじめ一緒に考えておくといいと思います。
【子どものプチ一人旅 ステップ2】一人で電車に乗る

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次に、「一人で電車に乗る」ことに挑戦です。
通学や習い事のために、子どもだけで電車に乗ることは、東京ではそれほど珍しくありませんが、外国人の方からすると驚きの光景で、やはり治安がよい日本ならではのことのようです。
親が駅まで送り、お泊り先の方に、最寄りの駅まで迎えに来てもらうのがよいでしょう。
○「一人で電車に乗る」年齢・安全対策は?

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一人で電車に乗るのは、短距離であれば6~8歳くらいから可能でしょう。
安全対策として、以下のことをおすすめします。
・事前に一緒に同じコースを下見して、駅員さんや車掌さんがいる場所、
何かあったらどこに相談すればいいかを教えておく
・最初はホームまで送り、乗る電車(号車)も指定する
・お迎えもホームまで来てもらい、乗った号車はあらかじめお迎えの人に伝えておく
・服装は特徴のあるものを着る・身につける
・出かける前の写真を撮っておく
・知らない人についていかない約束をし、「防犯ブザー」を持たせる
・「迷子札」「GPSつき携帯電話」を持たせる
・乗る前にはトイレに行かせる
・切符、Suicaや貴重品は、入れる場所を決めるなど、無くしにくい持ち方をさせる。
盗難対策も話しておく
また最初は、何かあれば親が駆けつけられるように待機しておくことも必要です。
【子どものプチ一人旅 ステップ3】一人で飛行機に乗る

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電車の次にいきなり飛行機? と思われるかもしれませんが、実は飛行機は、電車よりも安心な点がたくさんあります。
・途中下車駅がない(降りる場所を間違えない)
・全席指定席
・手荷物検査があるので安全
・スタッフの目が行き届いている
さらに、「子どもの一人搭乗」向けのサポートがある航空会社も多いです。親が搭乗口まで付き添うことができ、席までは係員の方がサポートしてくれます。
道中もCAさんが気にかけてくれますし、目的地に到着後も、係員の方が到着ロビーまで案内してくれ、お迎えの人にきちんと引き渡してくれます。
機内では、オリジナルグッズやおもちゃが貰えたりすることも。
○「一人で飛行機に乗る」年齢・安全対策は?

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各航空会社の子ども一人搭乗サービスは、満6歳から利用できます。
(なおLCCの場合は、一人で乗れるのは満12歳からです)
とはいえ、乗っている時間が長い点、何かあったとき降りられない・親が迎えに行くのが難しい点は、電車よりもチャレンジングです。
安全対策として、以下のことをおすすめします。
・事前に一緒に飛行機に乗る経験をして、乗り方を教えておく
・搭乗口まで同伴し、お迎えも到着ロビーまで来てもらう
・「防犯ブザー」「迷子札」「GPSつき携帯電話」を持たせる
(飛行機の中では電源を切ることも教えておく)
・乗る前にはトイレに行かせる
・チケットや貴重品は、入れる場所を決めるなど、なくしにくい持ち方をさせる。
盗難対策も話しておく
また、以下のサイトなどを参考に、機内での過ごし方をあらかじめきちんと子どもに伝えておきましょう。
⇒ ANA めざせ! ひこうきキッズ★
【子どものプチ一人旅 ステップ4】一人で新幹線に乗る

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一人で新幹線に乗るのは、飛行機よりも少し難易度が上です。
飛行機のようなサポートや保安対策がない一方で、長距離・長時間の乗車が必要だからです。駅を降り間違える可能性もあります。
○「一人で新幹線に乗る」年齢・安全対策は?

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年齢的には10〜12歳以上、小学校高学年くらいからがよいのではないかと思います。
安全対策はほぼ電車と同じですが、以下のことをおすすめします。
・事前に一緒に同じコースを下見して、駅員さんや車掌さんがいる場所、何かあったらどこに相談すればいいかを教えておく
・席は「グリーン車」を指定する(乗務員などの目も行き届きやすいため)
・音を出さない、大きな声でしゃべらないなどマナーを守る約束をする
・定期的に携帯に連絡を入れさせる

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・ホームまで送り、乗る電車も指定する
・お迎えもホームまで来てもらい、乗った号車や席番号はあらかじめお迎えの人に伝えておく
・服装は特徴のあるものを着る・つける
・出かける前の写真を撮っておく
・知らない人に付いていかない約束をし、「防犯ブザー」を持たせる
・「迷子札」「GPSつき携帯電話」を持たせる
・乗る前にはトイレに行かせる
・チケットや貴重品は、入れる場所を決めるなど、なくしにくい持ち方をさせる。
盗難対策も話しておく

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いくら安全対策をしても、事故や犯罪などのリスクはもちろん消えません。ただ、そうしたリスクは、一人旅でなくても、学校帰りでも公園でも、いつでもどこでも同じです。
子どもは大きくなるほど親の目の届かない行動が増え、いずれは自立してなくてはなりません。「プチ一人旅」で経験を積むことで、自分で考え、判断する力を育てていくことが、将来子どもの身を守ることにもつながる、という考え方もあるのではないでしょうか。
おわりに
「子どものプチ一人旅」について、できるだけ安心して楽しく挑戦できるステップを、年齢別にご紹介しました。
年齢はあくまで目安です。子ども自身が不安がったり、泊まり先の方が心配するようなら無理をせずに、子どもの成長を待つことがおすすめです。
子どもの意思を尊重しながら、色々な経験を積ませてあげられるといいですね。
この記事の 取材先プロフィール
もっと見る『生きる力』をはぐくむ教育研究家 / NPO法人いきはぐ理事 / 多様な学びのカタログサイト マナカタ共同代表
征矢里沙
子どもの自己肯定感や主体性を高め、幸せに生きるための力を伸ばす子育て・教育を紹介している。生きる力をはぐくむ学校・園を探せるサイト「多様な学びのカタログサイト マナカタ」を運営。二児の母としても、日々子育てに奮闘中。
著書「モンテッソーリ教育×シュタイナー教育×森のようちえんから学ぶ子どもの生きる力を伸ばす方法」(総合法令出版)
ホームページ:NPO法人いきはぐ、多様な学びのカタログサイト マナカタ
コピーされました
公開日:2017.8.10
最終更新日:2022.12.16
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