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湿度が低くなると、喉の免疫も低下

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――ウイルス感染と喉の免疫には、どのような関係があるのでしょうか。
大谷先生:ウイルスの感染にはさまざまな理由が考えられますが、喉の免疫低下というのもその一つです。
前提として、湿度が高い季節はインフルエンザが出にくいと思われがちですが、2018年に「インフルエンザウイルスは湿度が高くても活性が変わらない」という論文が出たことで、秋でもインフルエンザは流行しうるということがわかりました。つまり、湿気とインフルエンザウイルスは直接関係しているわけではないのです。
しかし、秋だとまだ湿度が高いため、喉の免疫も高いことからインフルエンザウイルスに感染しにくいということが考えられます。
ただ、何はともあれ感染予防にはワクチンが先決です。そして、手洗いやアルコール手指消毒・マスクなどで感染を防ぎ、さらにできることとして喉の免疫を高めることをやっていただきたいですね。
喉の免疫UPには、湿度が不可欠。50%~60%をキープするほか、マスクも効果的
――喉の免疫を高める方法や、効果的なアイテムを教えてください。

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大谷先生:喉の免疫を高めるには、まず湿度を高めることが重要です。加湿器などを使い、湿度を常に50%~60%に保っておきましょう。
効果的なアイテムとして、マスクは感染予防だけでなく、湿度を保つという観点からもおススメです。抗炎症作用のあるはちみつも良いと思います。
さらに、唾液を出して喉を潤すという点から、のど飴やガムも効果的です。ただし、虫歯になりにくいものを選んでもらいたいですね。

体の免疫UPには、7時間以上の睡眠を! 6時間以下だと風邪の引きやすさは4倍にも

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大谷先生:身体の免疫を高めるには、睡眠・食事・ストレスの軽減が基本ですが、特に睡眠時間は免疫に大きく影響しています。6時間を下回ると、7時間以上の人よりも風邪のひきやすさは4.2倍にもなるんですよ。
免疫という観点でもう少しお話ししますと、風邪をひいた場合でも、初期の場合でしたら軽度な運動をすることで免疫が高まります。
また、お風呂に入るのも問題ありません。昔は「風邪をひいたらお風呂に入るな」と言われていましたが、それは銭湯の時代に湯冷めしていたからで、お家にあるお風呂でしたら、入っていただいて大丈夫です。
それでも喉が痛くなってしまったら

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――風邪のひきはじめなどで喉が痛くなった時に、自分でケアできることはありますか?
大谷先生:抗炎症作用のあるはちみつは良いと思いますし、「風邪で喉が痛いけど、どうしても仕事でしゃべらなくてはいけない」という場合は、痛み止めで一時的にしのぐこともできるかもしれません。
ただし、誤解しないでいただきたいのは、痛み止めや解熱剤・風邪薬、抗生物質ではウイルスは死なないということ。したがって、まずはウイルスに感染しにくい身体づくりが大事なのです。日ごろから、身体や喉の免疫UPを心がけてほしいですね。
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この記事の取材先
もっと見る池袋大谷クリニック院長 医学博士
大谷義夫(おおたに・よしお)
1963年、東京都生まれ。1989年に群馬大学医学部を卒業後、東京医科歯科大学呼吸器内科医局長、米国ミシガン大学留学、東京医科歯科大学 呼吸器内科兼任睡眠制御学講座准教授などを経て2009年11月に池袋大谷クリニックを開院。
日本内科学会総合内科専門医/日本呼吸器学会専門医・指導医/日本アレルギー学会専門医・指導医
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公開日:2017.10.13
最終更新日:2023.5.26
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