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換気しないとどうなる? ガス機器を安全に使うために【メーカーに聞く】

新型コロナウイルスの感染予防として、換気の重要性が以前より浸透してきましたが、ガスコンロやガスストーブなどの使用中にも換気は不可欠です。寒い時期になると室温を下げたくないために換気を怠りがちですが、ガス機器使用時には換気をしないと重大な事故につながりかねません。ガス機器メーカーであるリンナイ株式会社の野田篤史さんと鳥海一洋さんに、安心・安全な暮らしのための換気のお話を伺いました。

最終更新日:2023.12.26

目 次

換気は必要? 換気しないとどうなる?

頭痛

PIXTA

「換気」は室内の空気を外気と入れ替えること。換気しないと、室内に同じ空気が滞留し続けることになります。入れ替わりのない空気の中で過ごす、と考えただけで健康には良くない感じがしますが、換気しないとどうなるのでしょうか。

ガス機器メーカーのリンナイ株式会社の野田篤史さんによると換気の目的は主に「湿気」「におい」「空気の汚れ」の3つを取り除くためとのこと。
換気しないとどのような不具合が起こるのでしょうか? 調べてみました。

ウイルスやアレルギー原因物質が室内に滞留する

換気をせず密閉された状態で、ウイルス感染者が咳やくしゃみをすると、空気の入れ替えができずウイルスを含む微細な粒子が空気中を漂うため、その粒子を吸い込んで感染する「エアロゾル感染」のリスクが高まります。

花粉などのアレルギー物質が室内に滞留している場合も、これを吸い込んで健康を害する恐れがあります。
また、気密性が高い住宅では、換気をしないことで建材や家具に使用されている化学物質が室内に漂い、健康に害を及ぼす「シックハウス症候群」になることもあります。

参考:国土交通省「快適で健康的な住宅で暮らすために」

結露やカビが発生しやすい

日常生活の中には湿度を上げるさまざまな要因があります。調理や洗濯などの家事で発生する湿気だけでなく、呼吸のために吐く息にも湿気が含まれています。
換気しないと室内に湿気がこもり、湿度が上がります。

寒い時期に窓などが結露するのは、室内の湿気(水蒸気)が冷やされて水滴になるため。また、湿度の高い梅雨時には、床下や家具の裏側など、通気性の悪い所で結露が発生することがあります。
結露があるとカビが発生しやすくなり、家を傷めたり、健康に悪影響を及ぼしたりします。

「結露」については下記の記事も参考にしてみてください。

においや油煙がこもる

調理中に換気しないと、部屋中ににおいが広がります。炒め物や揚げ物など油を使って調理している場合は、油煙が拡散することに。油煙とは、調理中の加熱によって蒸発した油が混じった煙のことですが、換気しないとこれが壁や天井に付着し、放置すると簡単には取れないにおいや汚れとなってこびりついてしまいます。

古いガス機器では不完全燃焼による一酸化炭素中毒の危険がある

調理中に換気しないとにおいや油煙がこもるのは前述のとおりですが、安全装置が付いていない古い小型湯沸器やガスコンロを使用している場合は、それに加えて不完全燃焼を起こす恐れがあります。

ガスが燃焼するには酸素が必要です。ガスコンロのように室内の空気から酸素を取り込む機器を「開放式」と呼びますが、ガスファンヒーターやガスストーブにも開放式のガス機器があります。

開放式のガス機器の使用中は、換気しないと酸素が十分に供給されずに不完全燃焼を起こし、一酸化炭素中毒になる危険があります。

ガス機器を使うときにはしっかり換気を

換気に関する注意喚起

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「室内でガス機器を使用する際に換気が必要なのは、正常に燃焼するために必要な酸素を供給するためですが、万が一、不完全燃焼によって一酸化炭素などの有害なガスが発生しても、換気していれば屋外に追い出せる、という意味もあります」と野田さん。

通常、空気中の酸素は約21%ですが、これが18%未満になると酸素欠乏の状態になり、不完全燃焼によって一酸化炭素が発生すれば一酸化炭素中毒になりかねません。

一酸化炭素の空気中の濃度が0.02%を超えると頭痛やめまい、吐き気などの症状がおこり、さらに濃度が上がると最悪の場合は死に至る危険性があります。また、一酸化炭素は無色でにおいもないため、発生しても気付くことができません。このことからも、ガス機器を使用する際には換気を行うことが不可欠なのです。

参考:東京都福祉保健局 東京都多摩立川保健所「一酸化炭素中毒に注意しましょう」
参考:一般社団法人日本ガス石油機器工業会「ガス機器・石油機器の正しい安全な使い方」

換気には「排気」と「給気」の両方が必要

換気には、窓を開けて風を通す「自然換気」と、換気扇やレンジフードを使って行う「機械換気」があります。

換気とは室内の空気を外気と入れ替えること、と冒頭で説明したとおり、「室内の空気を出す(排気)」「外気を取り込む(給気)」の両方によって換気が可能になります。
自然換気でも、窓の開ける位置によっては排気と給気が効率よくできない場合があり、注意が必要です。

また機械換気の場合は「換気扇を回しているから」と安心しがちですが、換気扇が行うのは「排気」のみ。給気は壁の上部などに取り付けてある給気口などから行うのが一般的なので、これを閉じたりふさいだりしないことも必要です。

24時間換気システムを作動していてもガス機器使用時は換気すべき

24時間換気システムとは、室内の空気をきれいに保つための機械換気の設備で、建物の空気が1時間で半分以上入れ替わるようになっています。
2007年7月に施行された改正建築基準法に基づくシックハウス対策として設置が義務化されているため、この法律の施行以降の新築住宅には必ず付いているシステムです。

とはいえ、「ガス機器の使用時は24時間換気システムだけでは不十分です」と鳥海さんは警鐘を鳴らします。24時間換気システムはあくまでシックハウス対策のためのもので、ガス燃焼時に必要な換気を行うにはそれ以上に空気を入れ替える必要があるからです。

参考:国土交通省 「建築基準法の一部を改正する法律について」

キッチンの換気はここがポイント【ガスコンロ・湯沸かし器】

新居のキッチン イメージ

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キッチンで換気をするのは、調理によって出る煙やにおい対策と、ガス機器の不完全燃焼を防止するのが目的。換気方法は、調理などの最中にレンジフードや換気扇の電源を入れてファンを回しておけば基本的にはOKです。

キッチンで心配なのが、ごく弱い火で煮込み料理を作っている最中などに、換気による風が原因でコンロの火が消えないか? ということ。これについて野田さんは「昔のような押し回し式で点火するタイプのコンロと違い、近年は最も弱い火力でも簡単には消えない大きさに設定されています」と説明します。

もし立ち消えしても、ガスが止まるよう安全装置がはたらくのでガス漏れの心配はないのだそう。ただし「窓から吹き込んだ強い風が当たると火が消える可能性はあります。ガス漏れの心配はありませんが、そこで調理が止まってしまうので気を付けてください」(野田さん)

ガス給湯器

PIXTA

もうひとつ、キッチンに設置してある小型湯沸かし器も開放式のガス機器なので、使う際は換気が必要です。鳥海さんは「不完全燃焼を起こさないために、使用中は常に換気してください」と注意を呼びかけます。
 
最近のガス機器は、不完全燃焼を感知して運転を止める機能が搭載され、安全性が確保されていますが、野田さんによると、不完全燃焼しているかどうか炎の色でも簡易的に判断できるのだそう。「正常に燃焼していれば、ガスの炎は青い色をしています。炎が黄色や赤になると不完全燃焼している可能性があります」(野田さん)

使用時に炎が見えるガス機器では、日ごろから炎の色をチェックしておくことも安全対策になりそうです。

ガス暖房を使用中の換気は効率的に【ファンヒーター・ガスストーブ】

ガスストーブ

リンナイ株式会社提供

ガス暖房使用中の換気の方法は、窓を開けて換気しても、換気扇を回してもどちらでもよく、野田さん曰く「1~2分程度の換気を1時間に1、2回」を目安にするとよいのだそう。
窓を開けて換気するときは、2カ所以上の窓を開けると効率よく換気できます。
一方、換気扇を使用する場合、給気口のサイズや位置によっては、換気扇から離れた位置の窓を開けないと十分な換気ができないこともあるのだそう。

野田さんは「寒いと換気をおろそかにしがちですが、定期的に換気するよう心がけてください」と呼びかけます。

レンジフードを使った換気については下記を参考にしてみてください。

ガス式衣類乾燥機も換気が必要!

ガス式衣類乾燥機

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ガス式衣類乾燥機も、使用中の換気が不可欠なガス機器です。機器本体から外部に出ているホースは燃焼後の排ガスや湿気を屋外に排出しますが、ガスの燃焼には室内の空気を使います。使用中は換気扇を回したり窓を開けたりして外気を取り入れるようにしましょう。

換気をより有効に行うために

レンジフード

リンナイ株式会社 提供

換気を十分に行うためには、排気と給気の両方が機能していることが前提になります。
換気扇やレンジフードを使った機械換気の場合、フィルターが汚れで目詰まりしていると換気の効率が下がります。フィルターは定期的に掃除してきれいな状態を保ちましょう。

また、室内に外気を取り込む給気口が開いていないと、換気扇などの排気が十分に行われないことになります。給気口を閉じていないか、家具などでふさいでいないか、改めてチェックしてください。

ガス機器は、使用時の換気を十分に行うとともに、不完全燃焼を防ぐためのお手入れも重要です。ガスコンロは調理の際の汚れが付きやすいのでこまめに清掃を。また、ファンヒーターなどの暖房器具に取り付けてあるフィルターは目詰まりしやすいのでこまめに汚れを取り除き、目詰まりしないよう注意。経年劣化にも気をつけましょう。

おわりに

換気の必要性、特にガス機器使用時は換気が不可欠ということが改めてわかりました。換気には、給気と排気が必要です。それぞれのお住まいに合った換気の方法を取り入れて、定期的に点検やお手入れをしながら安全で快適な住まいにしていきたいですね。

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公開日:2022.11.10

最終更新日:2023.12.26

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