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Hiromi Yamasaki

コーチングで子育ては劇的に変わる! プロが語る「戦わないコミュニケーション」

昨今はビジネスだけでなく、子育てや教育の現場でも取り上げられることが増えてきたコーチング。子育てでコーチングを活用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ママを対象にしたコーチングの講座が全国的に評判となり、企業や教育機関向けにもコーチングをベースとした「戦わないコミュニケーション」の講座を開催する山崎洋実さんに、子育てにおけるコーチングのコツを伺いました。

最終更新日:2024.2.19

目 次

子育てにコーチングを活用するメリットとは?

Hiromi Yamasaki

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コーチングとは、 相手がゴールまで辿り着くのをサポートする手法です。コミュニケーションを通じて相手のやる気を引き出し、自発的な行動に結びつけます。90年代からビジネスシーンを中心に普及してきたコーチングですが、昨今、子育てや教育の現場でも注目が高まっています。

お話を伺ったのは、子育てにコーチングを取り入れた先駆者の山崎洋実さん。コーチングをベースにしたコミュニケーション講座「ママイキ」は『笑って泣いて感動して、いつの間にか身に付く』と口コミで瞬く間に全国に広がりました。

Hiromi Yamasaki

Hiromi Yamasaki

ーーーコーチングを子育てに活用すると、どんなメリットがあるのでしょうか?

(山崎さん)「子育てにおいては、親が子をコントロールするのではなく、子の自発的な行動や考えを引き出すのが大切です。それは、子育てのゴールが『子どもの自立』だから。親が子どもの人生を代わりに生きることはできません。子どもが自分で生きていく力を身につけさせることが重要なんです。相手の主体性を引き出すコーチングはすべての人類にとって有益ですが、子育て中のママにこそ知っていただきたいです」

次章から子育てでコーチングを活用するコツについて詳しく伺っていきます。山崎さんによると、コーチングで特に大切なのが、「傾聴」・「承認」・「区別」の3つなのだそう。

【子育てコーチングのコツ1:傾聴】〜会話の初めはYESから〜

OKとNGのプラカードを持つ若い女性

PIXTA

(山崎さん)「親が子どもの話を聞いている時、良い・悪いで判断してしまいがちです。大切なのは、ジャッジせずに相手の言葉をそのまま受け止めること。『会話の初めはYESから』です。

例えば、店頭でお子さんが『ママ見て。可愛いおもちゃ見つけた』と持ってきた時、どう答えますか? 『ダメ、返してきなさい』などと対応していませんか? 

人間は気持ちをわかって欲しい生き物です。大事なのは、子どもの感情を丁寧に扱うこと。子どもが伝えたいことをまずは『YES』で受け止めて。同意しなくても、おうむ返しでいいんです。『そう、○○ちゃんは可愛いと思うんだね』でOK。子どもをジャッジしたり、アドバイスしようとせず、気持ちをただ受け止めてあげてください」

イヤイヤ期 ぐずる子供と両親

PIXTA

つい、親としては「買うか・買わないか」の結論を急ぎたくなるもの。でも、子どもの方は「可愛い」と思った気持ちに共感して欲しいだけだったかもしれません。小さい頃ほど子どもの気持ちを都度、受け止めてあげることが大切だと山崎さん。自己肯定感を育てることに繋がるのだと言います。

【子育てコーチングのコツ2:承認】〜子どもの小さな成長を楽しむ〜

子供

PIXTA

「承認=褒めること」というイメージがあるかもしれませんが、そうではないと山崎さんは言います。承認とは、相手に現れた変化や成長にいち早く気づき、言語化して相手に伝えることなのだそうです。

(山崎さん)「承認とは、相手の存在そのものを認めるということ。大人はどうしても結果だけ見て判断してしまいがちです。成功したか、失敗したか、結果だけ見るのではなく、プロセスに注目しましょう。明らかな成功でなくても、長い目で見ると子どもは着実に変化し、成長しています。プロセスを丁寧に見ることで子どもの小さな変化や成長に気づくことができるんです」

例えば、子どもは今日、牛乳をこぼしてしまったかもしれませんが、長い目で見れば、自分でコップに入れようと意欲を持つこと自体が大きな成長です。また、過去と比べると、こぼす頻度は減っているかもしれません。

子どもができないことに注目すると、不平不満だけが溜まり、子育ては辛いものになってしまうと山崎さん。小さい時は上手くできなくて当たり前。小さな変化や成長を見て楽しむのが子育ての醍醐味だと言います。

子どもの方も小さな変化や成長を承認してもらえることで、「どんな自分であってもいい」という感覚が芽生え、自己肯定感が育っていきます。

【子育てコーチングのコツ3:区別】〜大事なのは子どもの気持ち〜

母親と子ども

PIXTA

(山崎さん)「子どもを失敗させたくないばかりに先回りしてしまう親が増えています。でも、親の過保護な子育てにより、子どもが自身で決断する力が育たなくなってしまいます。手を出さず、まずは黙って見守る。子どもが迷っていたら、「あなたはどうしたい?」とじっくり聞いてあげることが大切です。小さな決断を重ねることが子どもの成長に繋がります」

最近の親は子どもを失敗させないで最短距離でゴールまで行かせようとしがちだと山崎さんは言います。でも失敗こそが本人の生きていく糧になるのだそう。

(山崎さん)「一切、失敗のない人生って楽しいでしょうか。しかも、これだけ短期間で常識が変わっていく世の中で何が正解かを判断するのは難しいことです。人類の長い歴史の中で考えれば、親の方が経験豊富と言っても、せいぜい数十年の差。本来、子どもが何を選んでも正解なんです。親は単なる壁打ち相手くらいの感覚で、子どもの気持ちや行動を受け止め、見守ってほしいと思います」

親の意見を子どもに伝えるのはOKですが、受け取るかどうかを決めるのは子ども。「わかった」と言わせたり、無理に謝らせて終わりにしようとしないこと。親はコントロールしようという意志を手放しましょう。そっと見守る姿勢が大切なのだそうです。

お父さんと子ども

PIXTA

(山崎さん)「子どもを黙って見守るために大切なのは、親は自分の人生を精一杯生きること。そして子どもの課題は子どものもの、と割り切ることです。それを『区別』と呼んでいます。

子育てしていると、親が子どもの問題を自分の問題のように捉えたり、子どもを自分の理想通りに無意識にコントロールしてしまいがちです。例えば、子どもが一人で遊ぶのが好きなタイプなのに、親が友達ができないと焦る。子どもが望んでいないことを勝手に先回りしてやってしまう。不安や心配からそういう行動を取ってしまう人もいます。

私は仕事面でやり遂げたいことがあってそれに必死だったために、子どもの問題に一喜一憂されなかったのですが、それが却って良かったと思っています。

仕事でなくて趣味でも社会活動でも何でも構いません。お母さんたちが自分のことや自分のやりたいことをないがしろにしないこと、その上で子どもときちんと向き合うこと。子どもは子ども、自分は自分、と意識して割り切ることで、過保護から脱却できますよ」

いいお母さんじゃなくていい、ハッピーママになろう!

公園デビュー

PIXTA

「子育ては24時間365日。綺麗事だけでは済みません。時には親は理不尽であってもいいんです」と山崎さん。

親だからといつも我慢せず、時に自分らしくあることを優先して、子どもにわがままを言ってもいい。子どもにとっての重要な場面を見逃さず、全力で子どもの気持ちを受容できれば、それ以外のタイミングは無理しなくていいのだそう。

(山崎さん)「子どもに苦手なことがあるように、親も得意不得意はあります。家は整理整頓して、食事は手料理を作り、子どもの気持ちをいつでも受容して・・・と無理しすぎていませんか? 正しい親でいようとがんばりすぎると、苦しくなってしまいます。無理に取り繕うより、親が自分らしく幸せに生きていることが一番大事なんです」

コーチングスキルより大切なのが「親の自己肯定感」だと山崎さんは強調します。親が「どんな自分もあっていい」と自分を認めることが、子どもを勇気づけ、自己肯定感の土台になるのだそうです。

おわりに

「子育ては究極のリスキリング」だと山崎さんは言います。子どもは自分を取り繕おうとせず、常にありのままを表現してくれる存在。親が自分の感情や心の状態に気づき、成長するきっかけをくれます。自分の感情にふたをしてきた人ほど、親になって苦しくなることも多いのだそう。コーチングのスキルも活用しつつ、自分らしい子育てを楽しめるといいですね。

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公開日:2024.2.19

最終更新日:2024.2.19

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