更新日: 2017年04月24日
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リトアニアのスープの旅 [第1回]ひと皿で大満足! 「塩鱈とじゃが芋のスープ」

食のデザイナーHORO Kitchenさんが旅先のリトアニアで出会った味を3回にわたって、紹介してくださいます。第1回は「塩鱈とじゃが芋のスープ」。塩鱈の旨味とハーブの香りでブイヨンいらずの簡単スープです。

リトアニアへの旅とスープ

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はじめまして。旅するキッチンのHORO Kitchen(放浪キッチン)です。

HORO Kitchenは屋号のとおり色々な国を旅してきました。
10年程前にロシア、東欧をめぐる旅に出たのですが、宿を確保し市場を探す事から始まるこの旅は唯一の温かな食事と言えば決まってスープでした。

貧乏旅行にはありがたい、それひとつで満たしてくれるメニューはまた、その土地土地を知る新しい出会いでもありました。
そしてキッチンのある宿では鍋ひとつあればでき、市場で手に入れた新鮮な野菜を使えばそれは格別なものになったのです。
温かなつゆものはひとくち頂くと、旅の疲れや緊張がすーっと抜けて体の芯からホッとします。

そんなスープは旅を象徴する食事だったのです。
そしてこの旅は生活の基が衣食住であるという当たり前の事実がとてもシンプルに見える時間ともなりました。
旅から見えた、食べること、着ること、住まうこと。
HORO Kitchenのスープをめぐる旅はここから始まりました。

さて今回はそんなHORO Kitchenが近年旅したリトアニアで出会ったスープを、日本の食材に合わせて3回に渡りご紹介します。
一杯のスープをきっかけに、日常から離れた旅の出会いが日々の生活の豊かさにつながればと思います。
それではこれから3回に渡るリトアニアのスープの旅、よろしくお願いします。

リトアニアの旅先で出会った味を日常に

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バルト海を望む小さな国リトアニアを旅したのは2年前の10月。
首都ビリニュスの旧市街は世界遺産に登録され、13世紀頃の建物が残る街並は西洋でみる豪華絢爛な建築とは違い落ち着いた色合いが美しい街でした。

冬の寒さが厳しいリトアニアでは体の温まるスープが豊富で、昼はパンとスープで済ませている人がとても多く、ファストフードで食べるより断然美味しく値段も安いものでした。
もちろんリトアニアにもアメリカ式のファストフード店は進出しているのですが、昔ながらのカフェやビストロの方が賑わっていて全く目立ちません。

パンとスープだけと聞くと、一見質素な食事に思えるかも知れませんが、リトアニアのスープは具沢山で日本の2人前くらいのボリュームがあり、厳しい冬に心も体も温めてくれるすべてを満たす最高の食事なのです。
味付けは塩とたっぷりのハーブというシンプルなものが多かったのですが、ロシアをはじめとする周辺諸国は胡椒が伝わる以前は、料理の味付けの基本は塩とハーブだったと聞きます。
今でも料理のほとんどにたくさんのハーブが使われ、ハーブティーは漢方のように体調に合わせた色々なブレンドもあり生活に欠かせないものになっています。

日本でも最近は大きなスーパーに行くと、乾燥ハーブもフレッシュハーブも豊富に取り扱っているところが多くなりました。
紫蘇やネギ、茗荷を使うように、ディルやイタリアンパセリなどのハーブも気軽に使えば、お料理の幅も広がります。


第一回「塩鱈とじゃが芋のスープ」

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第一回は「塩鱈とじゃが芋のスープ」。
このスープはビリニュスのアートセンター内にあるカフェで出会いました。
カフェと言ってもあなどれません。毎日日替わりで何種類かのスープがあり、どれも化学調味料を一切使っていない素材の味が美味しいスープばかりでした。
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さて、塩鱈というと日本では冬場に鍋にして良く食べますよね。
ポン酢でさっぱりも良いですが、ハーブとサワークリームでいつもとは違った味わいを楽しみませんか?
このスープも鍋と同様、煮込むだけで簡単にできあがります。

実は塩鱈はこのスープに出会うまであまりHORO Kithenの料理に登場しない食材でした。
子どもの頃に鍋やグラタンやホイル焼きなどで食べてきましたが、子どもながらに淡白な塩鱈より脂ののった鮭や銀鱈の方が美味しいな、と思っていたのです。

しかしリトアニアでこのスープに出会い改めて塩鱈の魅力を知ることになりました。
塩鱈の旨味とハーブの豊かな香りでブイヨンも必要なし。優しい味わいが魅力のスープで心も体も満たしましょう。

ちなみに銀鱈は見た目が鱈に似ているため名前に「鱈」と付いていますが、ホッケやアイナメに近い深海魚で塩鱈は真鱈を塩漬けにしたもの。全くの別物なのです。
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↑今回の材料はこちら。
■材料 (4人前)
塩鱈 4切れ
ジャガ芋 4個
玉葱 大1個
人参 中1本
セロリ(茎) 1本
プレーンヨーグルト 1/4カップ
生クリーム(乳脂肪が高い方がおすすめ) 1/4カップ
ディル 適量
イタリアンパセリ 適量
小ネギ 適量
オリーブ油 少々
ローリエ 2枚
ディル(乾燥) 小さじ2
ブラックオリーブ 16粒
水 4カップ
塩 適量
黒コショウ(細挽) 適量
■作り方
1 ジャガ芋は皮をむき4つ割りにし水にさらす。玉ねぎは縦に薄切り、人参とセロリは千切りにする。ジャガ芋は水にさらしすぎると栄養も逃げてしまうので10分以内で水気を切りましょう。
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2 厚手の琺瑯鍋かステンレス鍋にオリーブ油、ローリエ、1 の玉ねぎ、人参、セロリを入れ弱火でじっくり蒸し炒めする。
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3 全体がしんなりと透明になったら、水を注ぎ入れる。水気を切ったじゃが芋を加え沸騰したら二口大に切った塩鱈、乾燥ディル、ブラックオリーブを加え静かに煮込む。煮立たせないようにして塩鱈の旨味を引き出しましょう。
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↑リトアニアで食べたジャガ芋は黄色が濃く、味も濃厚でどれも美味しいものでした。
今回は男爵より甘みがあり色も濃いキタアカリを使用しています。煮くずれしやすいのでかき回したりせず、煮込みましょう。


4 ジャガ芋が柔らかくなったら、味をみて塩こしょうで調味する。塩鱈とブラックオリーブの塩気があるので、このタイミングで塩味を調える。
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5 プレーンヨーグルトと生クリームを混ぜ合わせ、サワークリームを作る。

6 器に盛り、サワークリームをかけ、荒みじん切りにしたディル、イタリアンパセリ、小ネギを散らす。
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* リトアニアのサワークリームは日本で売っているものより柔らかく、さっぱりしているので、この作り方がおすすめ。乳製品が豊かな国なのでスープの他にデザートやパンケーキ、メイン料理などさまざまな料理にサワークリームが使われます。

調理は簡単、ゆっくり食事を

全工程30分位でできてしまうので、忙しく働く日々も食べるときくらいはぜひゆっくり味わっていただきたいものです。
冷たいものばかり食べていると知らず知らず早食いにもなり、味わうことすら忘れてしまいます。
でも温かいつゆものはそうそう焦って食べられませんよね。
疲れた日こそひとくち食べれば体の内側にしみわたり、まるで深呼吸したときの様に体の無駄な力が抜けていくのが分かります。
おかずにつゆものにと色々作られない時も、これひとつで満足できるはずです。

以前作ったものを4歳くらいのお子さんが食べたのですが、偏食ぎみの子なのに残さず食べたと親御さんがとても喜んでくれたことがありました。
ジャガ芋が好きな子どもは多いですし、セロリ、人参は細かく千切りし、しっかり炒めてあるので苦みも甘みに変わり、食べやすいかも知れません。
また塩鱈は他の魚よりは比較的安く年中スーパーで手に入りやすいので、魚離れを止めるレシピとしてもおすすめです。

リトアニアには他にも魚を使ったスープは色々ありましたが、基本は玉ねぎとジャガ芋と魚とディル。ディルは清涼感があり魚との相性がとても良いハーブなのです。
塩鱈を塩鮭に変えてももちろん美味しいですし、干し魚があったら、さらに旨味がアップして美味しいです。その時は塩加減を調整して下さいね。

そしてリトアニアではスープには必ずライ麦たっぷりの黒パンが付いてきました。もしライ麦パンがお近くのパン屋さんで手に入るなら、ぜひご一緒に。ライ麦パンがなければ、バゲットをガーリックトーストにしたものでも合います。

ちなみに私は一晩経った次の日の味が好きなので、夕飯に多めに作って余ったものを次の日の朝食にします。出来上がってから冷める間にジャガ芋にスープの味がしみ込んで、さらに美味しくなっているのです。良かったらお試し下さいね。

さて次回はリトアニアの伝統料理を出すビストロで出会った‘ビールスープ’が登場します。お楽しみに!

プロフィール紹介

HORO Kitchen(ほうろうきっちん)

食のデザイナー。スープを軸に衣食住をデザイン。10年程前にロシア、東欧をめぐり、その旅先で出会ったスープがきっかけで世界を旅して出会ったスープを独自のフィルターを通し提供するイベントなどの企画を始める。

またケータリングを中心としたパーティーのトータルコーディネート、レシピ提供をはじめ、ライフスタイルブランドのスタイリング、イベントの空間デザイン、食まわりのテキスタイルの企画など生活のすべてをものづくりの場として活動。

主な活動:企画展「SOUP TRIP」@ROCKET、「EAT ALL」@ROCKET、月一回の物語のあるスープ屋@OPTRICO、PARCOシブカル祭ケータリング、from EAST to EAST主催リトアニア大使館イベントのケータリング、三菱地所レジデンスラウンジ「スープの時間」ワークショップなど。

WEBサイト:www.horo-kitchen.com

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