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「秋の七草」の名前と種類、知っておきたい由来とは?

「秋の七草」をご存知ですか? 「春の七草」と違い認知度はあまり高くありませんが、日本の秋を彩る草花なのでぜひ覚えてみてはいかがですか? 今回は、「秋の七草」の種類や覚え方、花言葉、名前の由来などを和文化研究家の三浦康子さんに伺いました。

最終更新日:2023.9.19

目 次

秋の七草ってなに?

秋の七草のイラスト

PIXTA

「七草」と言えば「春の七草」を連想される方が多いと思いますが、秋にも七草があります。
春の七草は新芽の滋養を食すことで、邪気を払い、無病息災を祈願するものです。
それに対して秋の七草は、秋を彩る美しい草花を眺めて楽しむものです。

万葉集(一五三七 巻八)の中で山上憶良が以下のような歌を詠んでいます。

「 秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種(ななくさ)の花 」
「 萩の花 尾花 葛花 瞿麦(なでしこ)の花 女郎花 また藤袴 朝貌(あさがお)の花 」

秋の野に咲いている花を指折り数えてみれば7種類の花がありましたと詠み、その七つの花をあげています。ここに出てくる「朝貌の花」は桔梗を指すという説が有力です。
この山上憶良の和歌が秋の七草の由来と言われています。

春の七草との違いは?

春の七草

PIXTA

春の七草は、せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろの7種類です。

秋の七草は観賞して楽しむのに対し、春の七草は行事食になっています。
1月7日の人日(じんじつ)の節句に、邪気を払って1年の無病息災を祈ることを目的に、この七草を使った七草粥を食べます。七草粥は、年始の風物詩としておなじみですね。

詳しくは以下の記事にまとめていますので、こちらもチェックしてみてくださいね。

七草粥はいつ食べる? 由来・簡単レシピをご紹介

秋の七草の種類

秋に咲く美しい花を鑑賞し、季節の風情を楽しむことが目的の秋の七草。
その7つの花をご紹介します。

【秋の七草1】ハギ

ハギ

PIXTA

花言葉は「想い」

マメ科ハギ属の総称で、ヤマハギ、キハギ、ミヤギノハギなどが含まれます。

草地や林縁などによく見られ、庭木にもよく利用されているそうです。
東アジアから北アメリカまで広い範囲に自生する草花で、名前の由来は古い株から芽を出す「生え木」という言葉がなまったものとするものなどの説があります。

【秋の七草2】キキョウ

キキョウ

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花言葉は、「永遠の愛」「誠実」「清楚」

キキョウ科の多年草で日当たりの良い草地に生えます。園芸用はありますが、野生のものはあまり見られなくなり、絶滅が危惧されているそうです。

キキョウの根は昔から「桔梗根(ききょうこん)」という名の漢方として用いられたそうで、キキョウの根が硬いことから、桔梗根を「キチコウ」と音読みされ、それが転じて「キキョウ」とされたことが名前の由来とする説があります。

【秋の七草3】クズ

クズ

PIXTA

花言葉は「根気・努力」「芯の強さ」

マメ科・クズ科のツル植物で、古くから観賞用の植物として日本人に親しまれてきました。また、くずきりなど和菓子の材料としても利用されています。

根を乾燥させたものは、「葛根(かっこん)」という生薬になり、発汗や鎮痛、解熱に使われます。中国では古くから、「葛の花は酒を消す」と伝えられ、二日酔いの予防などに利用されてきたそうですよ。

「クズ」の名は、大和の国の国栖(クズ)地方(現在の奈良県吉野町)の人が、根からとったデンプン(クズ粉)を都で売ったことに由来するという説が一般的とされているようです。

【秋の七草4】フジバカマ

フジバカマ

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花言葉は、「躊躇」「遅れ」

キク科の多年草で、河原や湿った草原などに生えます。ただ、自生できる環境が減ってきており、野生のものを見ることは少なくなっています。

和名の「藤袴(フジバカマ)」は、藤色の花を咲かせ、花の形が袴(はかま)に似ていることに由来するという説があります。

【秋の七草5】オミナエシ

オミナエシ

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花言葉は、「美人」「儚い恋」「親切」

オミナエシ科の多年草で、日当たりのよい山野に生えます。初秋に黄色く、小さい花を咲かせます。乾燥させて煎じたものは「敗醤(はいしょう)」という生薬になり、解熱や解毒作用が期待できるそうです。

「女郎花(オミナエシ)」という名前の由来には諸説あり、黄色い小花が粟の粒に似ていたことから、粟飯の別名であった「女飯(おみなめし)」がなまったという説、高貴な女性を圧倒するほど美しい花という意味で「女(オミナ)圧し(ヘシ)」が変化したという説などがあります。

【秋の七草6】オバナ(ススキ)

オバナ(ススキ)

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花言葉は「活力」

イネ科の多年草で、日当たりの良い草地など、山野のいたるところに生え、大きな株をつくり群生します。

すくすくと良く育つので「スクキ」が「ススキ」になったという説があります。オバナはススキの別名で、穂の姿が狐の尻尾に似ていることから名付けられました。

【秋の七草7】ナデシコ

ナデシコ

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花言葉は、「大胆」「純愛」「貞節」

ナデシコ科の多年草で、日当たりのよい草地や河原に生えます。

平安時代からは女性や子供の例えに用いられ、奥ゆかしく慎み深い女性を指す撫子(ナデシコ)。和名は、美しく愛らしい花の姿が、撫でたくなるような愛児にたとえられ、「撫でし子」と呼ばれたことに由来しています。

秋の七草の覚え方

フジバカマとススキ

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リズムで覚える

覚え方の一つに、五・七・五・七・七のリズムに合わせて口ずさみ、覚えるという方法があります。

「 ハギ・キキョウ クズ・フジバカマ オミナエシ オバナ・ナデシコ 秋の七草」

これを何度も口ずさむと徐々に頭に入ってくるでしょう。

語呂合わせで覚える

頭文字の語呂合わせで覚える方法もあります。

「おすきなふくは? (お好きな服は?)」
お=オミナエシ、す=ススキ、き=キキョウ、な=ナデシコ、ふ=フジバカマ、く=クズ、は=ハギ

これは、語呂合わせのひとつです。お子さんに教えながら一緒に楽しむのもいいですね。他の語呂合わせを考えてみるのもおもしろいですよ。

試してみてくださいね。

おわりに

秋の七草は、秋を物語る草花として詩歌などにもよく用いられています。この機会に、秋の七草をぜひ覚えてくださいね。

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公開日:2016.9.13

最終更新日:2023.9.19

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