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【教育研究家に聞く】イヤイヤ期の乗り切り方、ママの心を救う11の方法

ママ・パパを悩ませる「子どものイヤイヤ期」。2歳~3歳頃がそのピークだと言われ、今まさに大変な方も多いと思います。そんなイヤイヤ期の上手な乗り切り方について、教育研究家の征矢里沙さんにご紹介いただきました。

最終更新日:2024.1.22

目 次

【イヤイヤ期の乗り切り方】そもそもイヤイヤ期はなぜあるの?

外で泣く子ども

PIXTA

2歳半をピークとして、1歳後半~3歳頃までは「イヤイヤ期」「魔の二歳児」「第一次反抗期」などと呼ばれています。

英語では「the "No" phase」(『イヤ』期)とか「terrible twos」(ひどい二歳児)などと呼ばれるそうで、ほぼ同じニュアンスです。世界共通の悩みなんですね。

理性を司る脳がまだ発達していない!

脳のイメージ

PIXTA

最新の脳科学で、子どものイヤイヤ期は「必然的な行動」であることが明らかになったそうです。

2~3歳の時期は、脳の表層にある「前頭前野」と呼ばれる部分が、まだ機能し始めていないそうです。前頭前野とは、目標達成のために衝動的な欲求を抑える脳機能の中枢で、いわば理性です。この部分が未発達なうちは、本能的な欲求を抑えることができないそうです。


一方で、1歳半頃から、歩いたり話したりと、自分でできることが増え始めます。「自分」という存在に気付くのも、この頃からと考えられています。

あれをやってみたい、これをやってみたいという自我が芽生え始める一方で、周りの状況を見たり、相手の気持ちを考えたり、という理性的な能力は発達していません。

それが、激しいイヤイヤ行動になって現れるようです。

それまでの育て方が原因ではなく、むしろ、順調に発達している証として、イヤイヤ行動が出てくると言えます。やがて脳の機能が育ってくると、イヤイヤも自然と収まっていくそうです。

外で遊ぶ子ども

PIXTA

そうは言っても、イヤイヤに直面する毎日は本当に大変ですよね。私も上の子のイヤイヤ期には散々悩まされて、危うく鬱になりかけ、色々調べたりしました。

そんな中、「子どものしつけ」という観点だけでなく、「ママのため」という観点から、イヤイヤ期を乗り切る方法を11個お伝えしたいと思います。

【イヤイヤ期の乗り切り方1】基本は「目をつむって駆け抜けろ」!

ランニング

PIXTA

基本方針として、私が最も納得ができ、心が救われたのはこの言葉です。
それは、「目をつむって駆け抜けろ!」。

この時期に、「あれをさせないといけない」、「こうさせないといけない」、と思うほどしんどいことはありません。もちろん、他人に迷惑をかけないなど、最低限気をつけたいことはありますが、基本的には大人の方が目をつむって、時期が過ぎるのを待つしかありません。物理的に脳が育っていないのですから。

親の思い通りにならなくても、子どもが機嫌よくしていればOK。
毎日トラブルがあったり、毎日ドタバタしても、元気に生きていればOK。
子どもは見えないところで確実に成長していて、いつか必ず終わりが来ます。
ママが精神的に参ってしまわず、子どもが元気なまま「駆け抜け」られれば、この時期にするべき子育てはしっかりできたと言っていいと思います。

【イヤイヤ期の乗り切り方 その2】気持ちは認め、行動は制限

大泣きする子ども

PIXTA

とはいえ、他人に迷惑をかけたり、人を傷つけてしまうことは避けたいですよね。
そんなときの考え方としておすすめしたいのが、「気持ちは認め、行動は制限する」ことです。

ママとして気まずいのが、「おもちゃの取り合い」「順番を守らない」「道路に飛び出す」さらには「友達を叩く・ひっかく・物を投げつける」などの行動。

でもこの時期の子どもは、善悪の区別はつかず、危害を加えようと思っているわけではありません。ただ、その行動の結果が分からないのです。

物理的に行動を制限する

ケンカをする子ども

PIXTA

この時期、「やめようね」などと、いくら口で言い聞かせても、まず言うことを聞いてはくれません。ただ、逆に「そんなことしたらダメ!」と頭ごなしに叱っても、火に油を注ぐだけです。

子どもは子どもなりに、理由や欲求があって行動しています。それ自体は成長の証です。

そんなときは、「やりたいんだね。そうだよね」と、子どもの気持ちは認めつつ、「でも叩くのはいけないよ」などと、物理的に行動を制限することがおすすめです。たとえば、抱き締めたり、両腕を掴んだり、抱えて違う場所へ連れて行ったりすることです。

「気持ちは認めるよ。理由もあるんだよね。でも、その行動はママとして止めるね」というスタンスです。

【イヤイヤ期の乗り切り方 その3】ルールやマナーは「期待せず言い続ける」

子どもの顔を包む女性

PIXTA

口で言い聞かせても聞かないと述べましたが、「声かけ」自体は大切です。

毎日イヤイヤしているだけに見えても、子どもは少しずつ成長しています。公共の場などルールやマナーを守らないといけないシーンでは、物理的に行動を制限しつつ、するべきことは伝え続けましょう。

ただし、次からすぐに守れることは、期待しないで。かなり根気のいることですが、下積みのようなものだと思って乗り切りましょう。

【イヤイヤ期の乗り切り方 その4】状況を変える

食べ物で遊ぶ子ども

PIXTA

公共の場でなくても、どうしてもやって欲しくないことはありますよね。

たとえば、「食事の時間に遊んで食べない」「お風呂に入らない・入ったら出ない」など。ご機嫌に遊んでいるなら、できるだけやらせてあげたいところではありますが、生活リズムなどを考えると限界があります。

そんなときは、「状況を変える」ことがおすすです。

食べないときに無理やり座らせて食べさせようとすると、大暴れして抵抗したりします。そうではなく、食べるのに必要な時間は十分経ったら、「食べないなら片づけるよ」と声がけして、反応がなければ本当に片づけてしまい、「状況を変え」ます。

片づけても大騒ぎするかもしれませんが、「状況の変化」には、子どもも抵抗できません。罰ではないので、本当にお腹が空いたなら、後からまた軽食などを食べさせるとよいと思います。

【イヤイヤ期の乗り切り方 その5】ときには「物でつる」のもアリ!

飴

PIXTA

お菓子やおもちゃなどの物でつったりすると、それを目当てに余計ワガママを言うようになるのでは・・・そんな心配があると思います。
でも、イヤイヤ期の年齢では、少しくらい物でつっても、「じゃあまたワガママ言ってやろう」という考えにまではなりにくい、と言われています。

だから、どうしても困ったときは、大人が妥協するのもアリだと思います。たとえば、お風呂の時間なのにおもちゃを離さなかったら、「じゃあ、それ持ったまま入ろうか!」とか、柔軟に対応するのがコツです。

我が家でも、どうしてもお風呂に入らなかったら、「お風呂の中でゼリー食べよう」とか、「おもちゃの入った入浴剤入れよう」とかやっていました。
帰郷のために長時間新幹線に乗るときは、スマホで好きな番組を少し見てもいい、といったことも。

ただし、イヤイヤ期を過ぎても、ずっとそのやり方を続けるのには注意が必要です。

四歳以上になれば、本当に必要なことは、きちんと言い聞かせれば理解できるようになります。イヤイヤ期を乗り切るために、と考えるのがおすすめです。

【イヤイヤ期の乗り切り方 その6】周りに相談して分かってもらう

遊ぶ子どもたちを見守る母親たち

PIXTA

よく聞く悩みとして、「子どものイヤイヤ自体より、周りの目が気になるのがストレス」ということがあります。

でも、子どものためではなく、大人の都合や気づかいのために子どもを叱るのは、大人にとっても子どもにとってもストレスです。

たとえば、ママ友などと遊ぶときは、おもちゃを取り合いしてしまうかもしれない、叩いてしまうかもしれない、待ち合わせの時間に行けないかもしれない、ということを相談してみてはどうでしょうか。

「分かって欲しい」と一方的に主張するというより、「どうしたらいいかな」と相談して、一緒に考えてもらえたらよいですね。他のママと一緒に、「おもちゃの取り合いくらいなら見守ろうか」とか、「相手を叩いたりしたら引き離そうね」とか、あらかじめ話し合って理解し合えたら、とても気が楽になると思います。

【イヤイヤ期の乗り切り方 その7】ママの趣味や楽しみを持つ

ソファで本を読む女性

PIXTA

個人的にとても大切だと思うことが、「ママ自身の趣味や楽しみを持つ」ということです。

イヤイヤ期はとにかく根気が必要で、ストレスが溜まります。それを解消するためにも、何か自分が心からリラックスできることを、一つは見つけることをおすすめします。

本当に好きなことは、人によって全く違います。子育て中だからといって、たとえば子どものためのお菓子づくりとか子ども服づくりとかだけでなく、「自分だけのための、子どもとは全然関係ない趣味」があっていいと思います。

車の中で大声で歌を歌うとか、ピアノで好きな曲を弾くとか、小説や漫画を読むなど、何でもいいのです。ママがストレスを溜めないことこそが、子どもにもいい影響を与えます。

【イヤイヤ期の乗り切り方 その8】人に助けてもらう

親子3世代

PIXTA

イヤイヤ期をママ一人で乗り切るのは、不可能と言っていいほど大変です。

できるだけ周りの人に状況を伝えて、助けてもらったり、頼れるとよいと思います。ときには「預けて」、自分の時間をもらうことも、とても大切だと思います。

パパや、両親や義父母はもちろん、地域の子育て広場、一時保育、ファミリーサポートなど。最近では、「ママサポーター」などが子どもを預かってくれる「アズママ」という仕組みもあります。

人類の進化の歴史を紐解くと、「みんなで協力して子育て」するのが、本来のあり方だったと言われています。ぜひ、周りの人に助けてもらいましょう。

【イヤイヤ期の乗り切り方 その9】記録をする

泣いて暴れる子ども

PIXTA

写真や動画は可愛いシーンを残すことが多いと思いますが、この時期は、イヤイヤ真っ最中で泣き叫んでいるところを、ときどき写真や動画に残してみてはどうでしょうか。

我が家には、「イヤイヤ記」とタイトルをつけたアルバムがあります。布団につっぷして泣いている写真、スーパーの床にひっくり返っている写真、お風呂を出なくてずっと遊んでいる写真・・・。

当時は自分も泣きそうでしたが、今見ると笑えます。そういえば、いつの間にか外でひっくり返らなくなったな・・・と懐かしくなったりします。「こんなことしてたんだよ」と子どもに見せると、子どもも笑います。

どうしようもないとき、「写真でも撮ろう・・・」とママ自身の気持ちを紛らわせてみると、状況を客観的に見ることにも繋がるかもしれません。

【イヤイヤ期の乗り切り方 その10】わらべ歌でスキンシップ

母親に抱っこされる子ども

PIXTA

イライラしすぎて、つい怒鳴ったり、手が出そうになってしまう・・・そんなときはちょっと気分を変えて、こんなわらべ歌で乗り切ってみてはどうでしょうか。

「ぼうず ぼうず♪ かーわいときゃかーわいけど にーくいときゃ ぺしょん!」

適当な節を付けて歌いながら、子どもをぎゅうぎゅう抱っこしたり、頭を撫でたりして、「ぺしょん!」で軽~く頭や体を叩きます。
子どもは笑ってくれて、ママもちょっぴり気分転換できるのでおすすめです。

【イヤイヤ期の乗り切り方 その11】口に出して愛情を伝える

子どもの額にキスする母親

PIXTA

イヤイヤ期だと、どうしても子どもと対立することが多くなるのも辛いところです。「キライ」とか「あっち行って」とか言われたりすると、自分もイライラして「子どもなんて嫌い」と思ってしまったり・・・。

でも子どもは、どんなにイヤイヤしても、本当は「ママのことが大好き」なのです。

子どもにとって大切なのは、「どんな自分でも、ママは受け止めてくれる」という感覚を持てること。機嫌がいいときや、子どもが寝る前など、少し穏やかに過ごせる時間には、スキンシップをとりながら、「ママは●●くん/ちゃんのことが大好きだよ」と、口に出して伝えてみてはいかがでしょうか。

もし子どもが素直に反応してくれなくても、本当は嬉しいはずです。ママも、愛情を口に出すことで、少し自分の心が落ち着くのではないでしょうか。

おわりに

家族団らん

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イヤイヤ期の乗り切り方について、特に「ママの心が救われる」をテーマにお伝えしました。
渦中にいると本当に大変なイヤイヤ期ですが、いつかは必ず終わりがきます。
うちの下の子(1歳)も、これからイヤイヤ期が来るかと思うと憂鬱なほどですが、上の子(4歳)がイヤイヤ期を過ぎてずいぶん聞き分けがよくなってきたので、希望が見えてきました。
周りに助けてもらいながら、乗り切っていきたいですね。

参考:NHKスペシャル「ママたちが非常事態!? 最新科学で迫るニッポンの子育て」

参考:ふじい まさこ (著), NHKスペシャル「ママたちが非常事態! ?」取材班 (監修)「ママは悪くない! 子育ては“科学の知恵"でラクになる」主婦と生活社

参考:内田幸一、「森のようちえん的子育てのすすめ」、解放出版社、2015/5/1

参考:ドーリス シューラー「ママのためのシュタイナー教育入門」、春秋社、2008/11/1

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公開日:2017.8.4

最終更新日:2024.1.22

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