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【教育研究家に聞く】子どもの「褒め方・叱り方」とは? 年齢別の具体例もご紹介!

子どもの「褒め方・叱り方」について、前回は、「自己肯定感・自尊感情」が大切ということや、叱り方・褒め方の基本の考え方について、教育研究家の征矢里沙さんにご紹介いただきました。今回は「褒め方・叱り方」を、年齢別の具体的な例とともにご紹介いただきます。

最終更新日:2024.1.22

目 次

【子どもの褒め方・叱り方】年齢に合わせた対応が大切

子どもの頭を撫でる女性

PIXTA

前回の記事「子どもの褒め方・叱り方とは?自己肯定感を育むコツ」では、褒める・叱るの前に、「自己肯定感・自尊感情」の大切さについてお伝えしました。そして、それを育てながら褒める・叱るための、基本的な考え方をお伝えしています。

【0~3歳】は「自己肯定感・自尊感情」、まずはこれをしっかり育てる時期。
【3~6歳】は「しつけ」、つまり生活習慣や社会のルールを身につけていく時期。
そして、上二つが土台としてできていれば、
【6歳~】は学校での勉強や運動なども頑張れる時期。

今回は、これをもとに、「年齢別」の褒め方・叱り方について、具体例とともにお伝えしていきます。

【子どもの褒め方・叱り方】0~1歳は「スキンシップ」が基本

赤ちゃんを抱っこする女性

PIXTA

子どもが0~1歳の赤ちゃんは、自分の気分や欲求を感じることはできますが、相手の気持ちを理解することはできません。だから、「褒める」「叱る」という行為の意味は、まだ本当には分かりません。

大切なのはスキンシップ、つまり、抱っこしたり、撫で撫でしたり、キスしたりすることです。それだけで、赤ちゃんは「自分が大切にされている」と感じると言われています。

最近では、オキシトシンというホルモンが、この時期のスキンシップによって分泌され、それが「人への信頼感」をはぐくむということも研究されています。

何もできなくて、自分の気分や欲求を泣いて表現するだけの赤ちゃんに、無条件に気にかけ、手をかけてあげることで、子どもの中に「自分は生きていていいんだ」という自己肯定感・自尊感情がはぐくまれていくそうです。

【子どもの褒め方・叱り方】1~2歳は「環境」を整える

テッシュで遊ぶ赤ちゃん

PIXTA

この時期の子どもは、親の言葉や指示が少しずつ分かるようになります。しかし、分かっても、従うことはできないそうです。

言葉で叱っても、「怒られた」「怖い」「悲しい」という感情は持ちますが、それで自分の行動を変えることは、なかなかできません。ですので、どうしても都合が悪いときは、触られたら困るものは隠すなど、「環境」の方を整えてあげるのがおすすめです。

「反抗」と「甘え」の行ったり来たりが始まる

おそろいの服を着る親子

PIXTA

この頃から、体も少しずつ発達し、自分で立ったり歩いたりするようになって、自分であれをやってみたい、これをやってみたいという「自立心」が芽生えます。
でも、まだまだ未発達なので、「自分でやる!」とママの手を押しのけたかと思うと、ドテンと転んで大泣きし、ママに引っ付いてきたりします。

子どもの心は、このような「自立(反抗)」と「依存(甘え)」を繰り返しながら、大きくなっていくと言われています。これは、この時期だけのことではなく、子どもが親から完全に自立するまで続くようです。

手を広げて子どもを迎える女性

PIXTA

赤ちゃんのときは、子どもは親に完全に「依存」していました。たくさん甘えて安心感を得て、体も成長してくると、今度は「自由になりたい」という気持ちが出てきます。

そこで、「自分で!」という主張や反抗が始まるのですが、しばらくするとまた不安になって、親のところに戻って甘えたがります。親は振り回されますが、この「行ったり来たり」に付き合ってあげることが大切だと言われています。

大切なのは、自分でやりたがったときに、自立心を認めてあげて、できるだけやらせてあげること。そして、親に甘えたがったときは、依存心を受け止めてあげて、したいだけ甘えさせてあげることです。

自立をことさらに褒めたり、甘えを叱ったりする必要はありません。子どものペースで、思う存分「行ったり来たり」させてあげることが、自己肯定感・自尊感情をはぐくみます。

【子どもの褒め方・叱り方】2~3歳は身体で止める&場所を変える

泣く男の子

PIXTA

2歳半をピークとして、1歳後半~3歳頃までは、「イヤイヤ期」と呼ばれる通り、「反抗(自立心)」がますます強くなります。

一方で、周りの状況を見たり、相手の気持ちを考えたり、という理性的な能力はまだ発達していません。体も大きくなってできることも増えるので、親としては手を焼くことも多いでしょう。

でも、このイヤイヤは、子どもが順調に発達している証です。これにつきあっていくことで、「親に従っても、反抗しても、親はありのままの自分を認めてくれるんだ」という自己肯定感・自尊感情がはぐくまれます。

「言葉で叱る」よりも、「物理的な制限」や「状況を変える」こと

おもちゃの取り合いをする男の子たち

PIXTA

この時期、「やめようね」などと、いくら口で言い聞かせても、まず言うことを聞いてはくれません。相手の言っていることが理解できるようにはなるのですが、実際はまだ脳が未発達で、理性的に考えるよりも、手や体の方が先に動いてしまう時期なのです。

そういうときは、「やりたいんだね。そうだよね」と、子どもの気持ちは認めつつ、物理的に行動を制限することがおすすめです。

たとえば、物の取り合いがエスカレートしそうになったら、抱き締めたり、両腕を掴んで止めたりすることです。「気持ちは分かるよ。理由もあるんだよね。でも、その行動はママとして止めるね」というスタンスです。

食事中に泣く赤ちゃん

PIXTA

「状況を変える」こともおすすめです。

たとえば、遊んでご飯を食べないときに、無理やり座らせて食べさせようとすると、大暴れして抵抗したりします。

そうではなく、食べるのに必要な時間が十分経ったら、「食べないなら片づけるよ」と声がけして、反応がなければ本当に片づけてしまい、「状況を変え」ます。

片づけても大騒ぎするかもしれませんが、「状況の変化」には、子どもも抵抗できません。罰ではないので、本当にお腹が空いたなら、後からまた軽食などを食べさせるとよいと思います。

子どもをあやす女性

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ただし、言葉でも、正しい行動(たとえば、「人の使っているおもちゃを取るのはいけないよ」「遊ばずにご飯を食べようね」など)は伝え続けましょう。

すぐにはできるようにならなくても、子どもは少しずつ成長していきます。地道に繰り返しているうちに、だんだんとできるようになっていきます。

【子どもの褒め方・叱り方】3~6歳は「正しい行動を伝える」

いただきますをする園児たちと先生

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イヤイヤ期を抜ける頃になると、子どもは簡単なルールを守れるようになります。また、多くの子は、他人の気持ちを理解できるようになると言われています。ただ、まだ気分に左右されることも多く、わざとルールを破ることもあります。

それでも、基本的には「正しく、公平なことをしたい」という気持ちが芽生えるので、親は、これまで以上に、何が正しいことなのか、ルールをきちんと教える必要があります。

叱るときは、理由も言わずに一方的に叱ったり、「独り占めしちゃダメ!」などと否定だけするのではなく、「お友達にも分けてあげようね」など、どういう行動をして欲しいか、言葉にして伝えることが大切です。

「命令・指示」よりも、「ありがとう」

叱られる子ども

PIXTA

この頃からは、自分で考えたり、人の気持ちを想像できるようになる年齢です。何か間違ったことをしたときは、どこが間違いなのかを話して、次からはどうしたらよいか、自分で考えさせるようにすることも大切でしょう。

正しい行動を教えるといっても、「あれをしなさい」「これをしなさい」と、命令・指示ばかり繰り返していると、そのうちに、反発したり、やる気がなくなったり、親の顔色ばかり見たりするようになります。自分のせいで親は不機嫌なんだと感じて、自己肯定感や自尊感情も下がってしまうそうです。

両親とハイタッチする子ども

PIXTA

時間はかかりますが、ルールを守れたり、人を思いやった行動ができたときに、小さなことや当たり前のことでも認めてあげて、
「ありがとう」
「優しいね」
「とっても嬉しいな」
と、嬉しい気持ちを伝えてあげる(褒めてあげる)と、子どもは少しずつ、自分から頑張ろうという気持ちになっていきます。

【子どもの褒め方・叱り方】6~10歳は「甘え」を受け止める

目を合わせる女の子と女性

PIXTA

さて、子どもが小学生になると、言葉も、人の気持ちも、ルールも分かりようなりますし、学校の勉強なども始まります。やれば何でも自分でできるはずだし、これまで以上にきちんとしつけなくては、と思うかもしれません。

でも実は、自己肯定感や自尊感情をはぐくむという観点からは、「10歳までは徹底的に甘えさせる」ことが大切だと言われています。

1~2歳のところで、子どもは「自立(反抗)」と「依存(甘え)」を繰り返して成長するとお伝えしましたが、この時期の子どもも、まだまだ、この繰り返しの中にあります。でも親としては、もう大きいんだから甘やかしてはいけない、と思いがちな時期なので、逆に、再び意識をしてあげることがおすすめです。

「甘やかす」と「甘えさせる」の違いとは

親子3人

PIXTA

「甘え」というと、あまりいいイメージがありませんよね。でも、「甘え」は言い換えれば、「愛情を求める」ことです。

たっぷり甘えさせてもらうと、子どもは愛されていることを感じて、相手に対する信頼と、自分に対する信頼(自己肯定感・自尊感情)が育ちます。

これは、子どもの言うことを何でも聞くという意味ではありません。大切なのは、「甘やかす」と「甘えさせる」の違いを考えることです。

怒る女の子

PIXTA

「甘やかす」というのは、一言で言えば「過保護」です。
子どもが自分でできる・やろうとしていることに手を出す(過干渉)、「お菓子食べたい」「おもちゃ買って」などの物質的な欲求をそのまま受け入れる、といったことです。

「甘えさせる」というのは、一言で言えば「手助け」です。
子どもがどうしてもできないことを手伝ってあげる、「抱っこして」「話を聞いて」などの情緒的な欲求を受け止めてあげる、といったことです。ここで言う「どうしてもできないこと」は、能力だけではなく精神的にできないことも含みます。

「甘やかす」というのは、ゼロにするのは難しいですが、ほどほどにしておきたいこと。「甘えさせる」というのは、いくらやってもいい、子どもの成長にとって必要なことだと言われています。

この違いを見極めるのは難しいときもあります。でも、どっちだろうと、その都度考えること自体が大切だと思います。

たっぷり「甘えさせる」ことが自立につながる

おんぶで見つめ合う

PIXTA

甘えさせてばかりでは自立できないのでは・・・と思われるかもしれませんが、10歳までたっぷり「甘えさせて」もらえた子どもは、安心感や信頼感が育つので、自分から自立しようという気持ちになっていくそうです。

生まれ持った性格によって、「甘える」のが上手な子どもと、下手な子どもがいますが、どんな子どもにも甘えは必要だと言われています。

10歳以下の子どもがあまり甘えてこないときは、「手がかからない子」ではなく、「本当は我慢しているんじゃないか」と考えて、接する時間を増やしたり、叱るのを減らしたり、スキンシップを増やしてみましょう。

【子どもの褒め方・叱り方】もっと詳しく知りたい方へ

自己肯定感・自尊感情を育てる褒め方・叱り方について、もっと詳しく知りたい方は、スクールカウンセラー・精神科医である明橋大二さんの「子育てハッピーアドバイス」シリーズをおすすめします。

ロングセラーのシリーズ本で、親しみやすいイラストや漫画と一緒に読みやすい内容になっています。また、一貫して「母親のサポートが大切」という観点から、思いやりをもって書かれているので、安心して読めますよ。

明橋大二「子育てハッピーアドバイス」シリーズ

おわりに

子どもの褒め方・叱り方というテーマで、二回に分けてお伝えしました。

私自身も、毎日二人の子どもに振り回されながら、試行錯誤しています。あのときは失敗したな・・・と反省するときもたくさんありますが、「これが絶対正解」と思わずに、いつも考えること自体が大切、という話も聞いたことがあります。

子どもから色々学ばせてもらいながら、子どもと一緒に成長していけたらと思います。

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公開日:2017.8.23

最終更新日:2024.1.22

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