干すだけではダメ? 枕の洗濯が必要な理由
「そもそも枕本体を洗濯する必要はないのでは?」「枕カバーをこまめに洗えば、枕本体のニオイなどは防げるのでは?」と考えている方もいるかもしれません。確かに、枕カバーをつけていれば、枕本体の汚れは見えません。
しかし、平島さんは「まったく枕を洗濯されない方もいますが、人生の約3分の1は睡眠時間で、枕は長時間使うので実際はかなり汚れています。洗濯で清潔にしておくことはとても大事です」と言います。
枕の洗濯が必要な理由は主に次の2つです。
雑菌が繁殖しやすいため
「枕は雑菌が繁殖しやすい環境です。なぜなら、人は眠っている間に頭皮に汗をかきます。また、よだれや皮脂で汚れたり、整髪剤などがつくこともあるからです。こういった不衛生な状態の枕を使い続けると、雑菌が繁殖して、肌や頭皮のトラブルの原因になったり、睡眠の質に悪影響を及ぼすこともあるでしょう」(平島さん)
枕特有の悪臭が発生するため
「枕が汚れて雑菌が繁殖すると悪臭が発生します。また、枕は毎日使用するものなので、加齢臭など使用する人特有の臭いがついてしまうこともあります。自分の臭いは、なかなか自分では分かりませんが、家族が気づくこともあるでしょう」(平島さん)
自分はもちろん、家族のためにも、枕本体を清潔に保つことが大切といえます。
枕の適切な洗濯頻度は?
枕は毎日使うもので、しかも洗うと乾かすのに時間がかかりそうなこともあり、洗濯するタイミングが難しいですよね。おすすめのタイミングや洗濯頻度について平島さんに伺いました。
「枕カバーは週に1~2回程度は洗濯してください。枕本体は、年に4回程度、可能なら季節ごとに洗濯することをおすすめします。季節の変わり目に枕を洗うことを、年間のルーティーンにするとよいでしょう。それでも日々の汚れは蓄積するものです。
汗をたくさんかいた時は、すぐに洗っていただくほうがよいです。また、病気にかかっているとき、高熱が出ているときなどは、回復してから洗うほうがよいでしょう」(平島さん)
自宅で洗うことができるのはどんな枕?
枕の中身にはさまざまな素材が使われています。そのため、素材によっては自宅で洗濯できない枕もあります。自宅で洗えるかどうかの判断方法、実際に洗濯できる枕と洗濯できない枕について平島さんに伺いました。
まずは「洗濯タグ」をチェック
「枕にも洗濯タグがついているので、洗濯機で丸ごと洗える枕か、手洗いなら家庭でも洗えるのか、取り扱い表示を見てご確認ください。乾燥機が使えるかどうか、自然乾燥の方法についてもわかります」(平島さん)
家庭で洗濯できる枕
家庭で洗濯できる枕の中身の素材は、一般的には以下の通りです。
- パイプストロー
- ポリエステル
- コルマルビーズ
- パイプ
家庭で洗濯できない枕
家庭で洗濯できない枕の中身の素材は、一般的には以下の通りです。
- 低反発ウレタン
- スノー低反発
- 羽毛
- そばがら
製品によっては洗濯できる枕
「ポリエステルわた」と「ビーズ」については、家庭で洗えるものと洗えないものがありますので、洗濯表示を参考にしてください。
【洗濯機】枕を洗濯する方法
平島さんは「洗濯機洗い可能の表示がある枕はぜひ洗濯機洗いを。なぜなら枕は水をよく吸うため非常に重くなり、手洗いするにはかなり力がいるからです」と言います。
1. 長年洗濯していない枕はまずつけ置き洗いを
長く洗っていない枕の場合、見た目にわからなくても実際はかなり汚れているので、洗濯機で普通に洗うだけでは汚れ落ちが不十分なことがあります。そのため、平島さんは洗濯機洗いの前につけ置き洗いをすすめます。
「縦型洗濯機をお使いなら、洗濯槽の中でつけ置きするとよいでしょう。 ドラム式の場合もつけ置き洗いコースがある場合はそれを使ってください。枕カバーはつけたままで大丈夫です。洗濯機内でつけ置きできない場合は、湯船や洗面台を使うのがおすすめです」(平島さん)
つけ置き洗いの方法
「つけ置きには温水を使います。洗濯タグに記載された温度にもよりますが、お風呂の温度程度が目安です。そのお湯にスプーン2杯程度のアルカリ性の粉末洗剤を加えてしっかり混ぜ、洗剤が溶けたら枕を沈めます。長年蓄積した汚れは汚れ落ちがマイルドな中性洗剤では落ちない可能性があるので、ここはアルカリ性の洗剤を使った方がよいでしょう」(平島さん)
つけ置きする時間は30分程度。
「枕が浮き上がってしまう場合は、中身の入った2リットルのペットボトルを4本くらい枕の上に置くとよいですよ」と平島さん。
長年枕を洗濯していない場合、つけ置きしている間に驚くほどお湯が濁るそうです。
2. 枕カバーを外し、枕を洗濯ネットに入れる
つけ置きした場合もしていない場合も、洗濯機で洗う前に枕カバーは外し、枕本体を洗濯ネットに入れます。
3. おしゃれ着コースで、脱水6分以上、すすぎ2回以上に設定
洗濯機で洗う場合、洗剤は普段使用しているものでOKですが、洗濯コースには注意が必要です。
「枕を洗う場合は、おしゃれ着コースやおうちクリーニングコースなど、優しく洗えるコースを選択してください。通常よりもゆっくり回転して洗ってくれるので、枕の端などデリケートな部分を傷めずにすみます。ただし、このようなコースは脱水時間が短い設定になっていることが多いので、脱水は6分以上、すすぎは2回以上に設定するのがポイントです」(平島さん)
【手洗い】枕の洗い方
材質にもよりますが、枕が水を吸うとかなり重くなって扱いにくいため、手洗いはたいへんですが、できないというわけではありません。
手洗いする場合も、長年洗っていない場合などは、まずつけ置き洗いをします。
「つけ置き洗いをした後、押し洗いします。手のひらで上から押した後、下から持ち上げるという動作を繰り返してください」(平島さん)
洗い終わったら、泡がなくなるまで流水ですすぎ、両手で水を押し出すようにして脱水します。
洗濯した枕の上手な乾かし方
枕を洗濯したときには、中までしっかり乾かすことが大切です。せっかく洗濯しても枕に湿気が残っていると雑菌が繁殖し、臭いの原因になってしまいます。
平島さんに枕の乾かし方について教えてもらいました。
外干しで乾燥するときの注意点
洗濯した枕を乾燥するときも、基本は洗濯表示に従います。
「乾かす前に枕の形を整えますが、洗濯機洗いではそれほど形が崩れることはないでしょう。洗濯表示に従って陰干しする場合は、生乾きのニオイがつかないように風通しのよい場所で干してください。陰干しマークがない枕は日光に当てても大丈夫なので、天気の良い日の紫外線の強い時間に干すとよいでしょう」(平島さん)
乾燥機・乾燥機能を使うメリット
「洗濯した枕に乾燥機不可の表示がない場合、乾燥機が使える環境にあるならぜひ使用してください。乾燥機なら枕やクッションなどがいつでもフカフカに乾燥できますよ。
また、少しでも早く乾かし、型崩れを防止するためには、市販のウールドライボールを入れて乾燥するのもおすすめです。高性能の乾燥機で必要のない場合もありますが、少しでも乾燥時間を短縮したい方はためしてみてください」(平島さん)
ガス衣類乾燥機「乾太くん」でスピーディに乾燥!
衣類乾燥機にはガス式・電気式があります。ガス式は電気式より乾燥スピードが早いことが魅力です!
ガス式の「乾太くん」は、スイッチをオンにして数秒で温風が出て、そのままドラム内を約80~100℃の高温で運転し、一気に洗濯物を乾かします(一部モードで80℃以下)。 また、上の排湿筒から余分な水分を排出していきます。ガス式では短時間で、一気に湿気を排出するため、このような仕組みとなっています。
だからガス式は短時間で乾くんですね。
さらに、ガスならではの強い温風をたっぷり送り込みながら乾燥させるので、洗濯物の繊維が根元から立ち上がり、肌触りの良いふわっとした仕上がりになります。
衣類から寝具、靴まで乾燥できる乾太くんをぜひチェックしてみてください。
枕が完全に乾いているかを確認する方法
枕は厚みがあるので、芯まで完全に乾いているのか外側から分からないことも。確認するにはどうすればよいのでしょうか。
「枕に触った際に湿った感じがしないか、また、実際に頭をのせてみて湿っている感じがしないか、水分がでてこないか確認してください」(平島さん)
洗濯できない枕はどうすればいい?
洗濯機はもちろん、手洗いも不可という表示がある枕の場合は、どのようにお手入れすればよいのでしょうか?
「洗濯できない枕の場合、私が一番おすすめしたいのは、水を吹き付けて、水と一緒に汚れを吸い取るリンサークリーナーと呼ばれる掃除機を使うことです。ご自宅にあればこれが一番簡単だと思います。そして、使用後は陰干しをしてください」(平島さん)
また、薄めた中性洗剤をタオルなどにつけて枕を拭いた後、陰干しする方法もあるとのことです。
「ただし、水に弱く腐りやすいそばがらを使った枕に関しては、リンサークリーナーも中性洗剤も使えないため、枕カバーだけを洗い、枕本体は陰干ししましょう」(平島さん)
枕の日ごろのお手入れで注意したいこと
平島さんによると、枕を頻繁に洗濯することは困難でも、以下の2点を心がけるとよいそうです。
- 枕カバーの洗濯をこまめにおこなう。目安は週に1~2回。
- 天気がよい日には枕本体も風通しの良い場所で平干しする。
肌にあたる部分をできるだけ清潔に保つことと、枕本体の湿気を除くことがポイントです。
おわりに
洗濯研究家の平島利恵さんに、枕を洗濯する必要性や家庭でできる洗濯・乾燥方法を教えてもらいました。洗濯可能で洗濯機や乾燥機が使える枕ならこまめな洗濯も案外簡単そうです。枕を定期的に洗濯することで、快適な睡眠環境を手に入れてみませんか。