添い寝と一人寝、どっちが多い?
日本には、昔から「添い寝」の習慣があります。そのため、特に赤ちゃんの頃は、子供と寝室が一緒、または布団が一緒という親子がほとんどのようです。
引用:妊娠・出産&口コミ情報サイト コンビタウン お悩みアンケートテーマ「夜泣き」
東京ガス都市生活研究所の調査によると、小学生になって、子ども部屋をもっても、約40~50%の子どもが、親と同じ部屋で寝ています。
世界的な傾向として、アジア文化圏は添い寝が多いと言われており、欧米では赤ちゃんのうちから一人寝を推奨する傾向にあるようです。
これは、アジアの方が居住空間が狭い傾向があることや、布団文化があること、逆に欧米では居住空間が広く、ベッドを使うことにも要因があるようです。
ただ、最も大きいのは、文化・価値観の違いではないかと思います。
欧米は歴史的に「自立」や「個人」を重視する文化であること、一方日本では、親子、特に母子が密接に関わって育児をするという、伝統的な習慣があることが大きいのではないでしょうか。
では、それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。
【添い寝or一人寝】「添い寝」のメリット・デメリット
【添い寝のメリット1】夜のお世話がスムーズ
まずは、添い寝のメリットについて見てみましょう。
授乳期間中は、赤ちゃんが泣いたらさっと授乳できたり、赤ちゃんに授乳しながらママも一緒に寝る(添い乳)もできるので、添い寝は何かと便利です。
【添い寝のメリット1】夜のお世話がスムーズ
部屋を別に用意しなくてもよく、赤ちゃん用の寝具も準備しなくて済むので経済的です。
特に日本の住宅事情では、赤ちゃんが小さいうちから別室を用意するのが物理的に難しい場合もあるので、その心配をしなくてよいメリットがあります。
【添い寝のメリット3】スキンシップにつながる
添い寝は赤ちゃんとのスキンシップにつながります。特に産後は、肌と肌が触れ合うことでオキシトシンというホルモンが分泌され、幸せ感を感じやすく、産後うつの予防にもつながると言われています。
もちろん、赤ちゃんにとってもそれは同じです。オキシトシンがたくさん分泌されることで、愛着や信頼が育つそうです。親子揃って幸せ感に包まれるのは、メリットと言えそうですね。
【添い寝のデメリット1】ママと子どもの睡眠不足
逆に、デメリットについて見てみましょう。
赤ちゃんと一緒に寝ていると、赤ちゃんの眠りのサイクルにママの眠りも左右されがちです。夜中の授乳やおむつ替えによって細切れ睡眠になり、寝不足につながることも。
欧米に比べて、アジアの子どもは睡眠時間が短いという国際調査があります。その原因の一つとして「添い寝」の習慣が挙げられているそうです。
(参考:ナショナルジオグラフィック日本版「睡眠の都市伝説を斬る」)
例えば、子どもが寝たと思って離れようとすると起きて(泣いて)しまったり、用事を済ませて、自分も寝ようと布団に戻ったときに起こしてしまったり・・・という経験はありませんか? 親がゴソゴソしたり、赤ちゃんのちょっとした動きに反応しすぎることが、かえって赤ちゃんの睡眠を妨げる場合もあるようです。
【添い寝のデメリット】赤ちゃんのリスクが高まるという説も
添い寝をすることが、SIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクを高めるという説もあります。
欧米の中で比較的添い寝率の高いスウェーデンでは、医師による研究等をもとに、「生後3か月未満の乳児は親と別のベッドで寝ることが重要」と注意喚起されています。
SIDS(乳幼児突然死症候群)に対するうつぶせ寝の危険性はよく知られていますが、はっきりした要因はいまだによく分かっていません。
添い寝も主要因ではないようですが、乳児が一人で寝た場合に比べるとリスクが上がるという見方もあるようです。
また、親の身体で窒息してしまったり、親に押されてベッドから落ちてしまったりというリスクも考えられます。
参考:AFPBroadBand News 「添い寝に乳幼児突然死のリスク、スウェーデンで注意喚起」
【添い寝or一人寝】「一人寝」のメリット・デメリット
【一人寝のメリット1】夜泣きが起こりにくい
一人寝のメリットについて考えてみましょう。
一人寝は「夜泣きが起こりにくい」、という説があります。昼夜をしっかりと区別できるようになり、生活のリズムが整うのだとか。
私のアメリカ在住の友人は、現地で一般的だという「スリープ・トレーニング」について教えてくれました。
その友人は出産時にトラブルがあり、産後も体調が悪く、添い寝は負担が大きかったそうです。そこで、周囲のアドバイスに従って、授乳のタイミングを決めて生活リズムを整え、夜は寝室で一人にして、泣いてもしばらくそのままにしておく・・・という「スリープ・トレーニング」を実行したそうです。
すると、赤ちゃんはすぐに夜泣かなくなり、一人で朝までぐっすり眠るようになって、朝もご機嫌になったそうです。ママ自身もしっかり眠れるようになり、昼間の育児もスムーズになったと言っていました。
そんな手法があることや、周囲がそれを推奨するということに、日本との考え方の違いを感じました。
【一人寝のメリット2】大人の時間が取れる
一人寝の習慣が身についていると、赤ちゃんが寝付いてからママは自分の時間を持つことが出来ます。
お子さんが小さいうちはどうしても育児を優先してしまい、夫婦の時間をなかなか取りにくくなりがちです。一人寝してくれれば、夫婦の時間も大切に出来そうです。
欧米では、子どもは一人部屋、夫婦は同室ということが多いそうです。個人や自立を重視する文化を感じます。
【一人寝のデメリット1】寂しい気持ちになる
では、一人寝のデメリットはどうでしょうか。
日本の添い寝は伝統的なので、自分が小さい頃も家族で一緒に寝たという方は多いと思います。そのときに感じた安心感や嬉しさを、覚えている方もいるでしょう。
上述したオキシトシンというホルモンは、スキンシップによって分泌されて幸せ感をもたらしますが、不足すると気持ちが不安定になったり、産後うつを引き起こす原因にもなります。やっぱり赤ちゃんと一緒に寝るのは幸せだし、一緒に寝ないのは寂しい。赤ちゃんも寂しいのではないかと心配になる・・・という方は多いと思います。
特に出産直後のママは、本能的に「赤ちゃんを守りたい」という気持ちがあります。離れることで不安や寂しさを感じるとしたら、それは大きなデメリットだと言えるかもしれません。
【一人寝のデメリット】別室にお世話に行くのが大変
赤ちゃんが小さいうちは、やはりどうしても、夜の授乳やおむつ替えが必要になる場合もあります。その度にわざわざ起きて赤ちゃんの様子を見に行かねばならないのは、デメリットと言えそうです。
【一人寝のデメリット】異変に気付きにくい
添い寝でSIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクが上がる・・・という説について上で延べましたが、逆に一人にしておく方が危険、という説もあります。
SIDS(乳幼児突然死症候群)だけでなく、熱性痙攣や窒息といった、子どもの異変に気付きにくいことも考えられます。
「一人寝か添い寝か」を選ぶときに考えるポイント
客観的・科学的に考えれば、どちらにもメリット・デメリットがあります。
夜泣きをする・しないなど、赤ちゃんの眠り方には個人差も大きいですし、親の体調や状態によっても、どちらがよいのか異なります。
両方を知った上で、今の自分達にとって、よりメリットがあると思った方を選択できるといいですね。
また、それぞれのデメリットを軽減する方法を考えるとよいと思います。
たとえば、「添い寝」をしたいときは、赤ちゃんがベッドから落ちないように、また赤ちゃんを窒息させることのないように、「片側の柵が外せるベビーベッド」を使う方法もあります。「ベッドインベッド」など、赤ちゃん布団に小さな仕切りがついたものなども、添い寝グッズとして販売されています。これも窒息防止になると言われています。
また、「一人寝」をさせたいときは、異変があれば気付けるように、「ベビーモニター」や「音声モニター」を使うという手もあります。一人寝でお互いに寂しい気持ちがないように、昼間はスキンシップをたくさん取って、愛情を伝えてあげるのも大切です。
おわりに
添い寝も一人寝も、それぞれメリットとデメリットがありました。絶対にこうしたい、こうした方がいいという思い込みや決め付けではなく、実際にやってみて、違和感を感じたら別の方法にトライしてみるのもよいと思います。
いくら添い寝がいいと思っていても、ママの睡眠不足は負担が大きいですし、一人寝が合理的だと思っても、やっぱり側にいたいという気持ちも大切です。
ちなみにうちの子は、あまり夜泣きをしなかったこともあって、昔からずっと添い寝でした。でも子どもが二人になってからは、二人が寝るタイミングが合わなかったり、二人の寝相が悪くて夜中に起きてしまったり・・・このタイミングでベッドを導入するか、どうしようか・・・と悩んでいます。
子どもの成長は早いので、状況はどんどん変わっていきます。それぞれの家の事情と、自分と赤ちゃんのペースを大切にして、納得できる方法が見つかるとよいですね。