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専門家に聞く! 実家の片付け・掃除は「事前に親と〇〇する」のがトラブル回避の秘訣

年をとると掃除や片付けが今まで以上に億劫になり、ついつい荷物をため込んでしまいがち。自分の親を見ていて不安になる人も多いのではないでしょうか。そこで、近年、実家や義実家での掃除に悩む人に向けて、『ミニマリスト、親の家を片づける』(KADOKAWA)の著者であり、自らも義実家を片付けた経験を持つお片付けのカリスマ・やまぐちせいこさんに、実家を掃除するときに大切な7つのポイントを教えてもらいました。

実家の片付け・掃除、何からどう手を付けたらいい?

杖を持つ手
PIXTA
年をとるにつれ身体が重くなり、掃除や片付けが辛くなって、ついつい荷物をため込んでしまう高齢者は少なくないようです。そうなると不用品が廃棄できないまま増えていったり、物が整理できずに散らかってしまいがちです。『ミニマリスト、親の家を片づける』(KADOKAWA)の著者であり、自らも義実家を片付けた経験を持つお片付けのカリスマ・やまぐちせいこさんに、実家を掃除するときに大切な7つのポイントを教えてもらいました。

【実家片付けのポイント1】掃除前に親を「やる気にさせる」

まず、最初のポイントは、「親に許諾なく、勝手に掃除をしない」という点。客観的に見て、どう考えても不要な品々であっても、親からすれば大切な品物であることも。

「最初は、親御さんに掃除を納得してもらうのが肝心です。内心は『早くゴミを捨てたい』という気持ちがあったとしても、親御さん本人がやる気にならなければ掃除は始まりません。実際、親自身が掃除や片付けに対して『やりたい! 』という前向きな状態なのか、それとも『本当はいじってほしくない』と抵抗感がある状態なのかで、掃除のしやすさは大きく変わります」と語るやまぐちさん。

だからこそ、実家の掃除を切り出すタイミングは非常に重要。そのタイミングとしてベストなのが「親自身が、現在の家に不都合を感じているとき」だとか。
散らかった屋内
yamaguchi-seiko
「掃除の際、最優先するべきは、親御さんの健康と安心と安全です。もし、この中のどれかが損なわれていて、親御さんが困っているならば、掃除を切り出す良いきっかけになります。たとえば現在、モノが多すぎて寝る場所がなく、身体を“く”の字に曲げないと寝られない状況だとします。そこで、『身体を伸ばして寝られないのは健康にもよくないので、お布団の周辺のものを片付けて、姿勢正しく眠れるようにしない? 』と語りかけてみるとか。モノがごちゃごちゃして足元がおぼつかなかったり、足元のモノが引っかかって親御さんが転んだ際に、『こんな乱雑な状態で、足を折ると危ないので、足元だけでも整理しようか』と言ってみるとか。つまり、現在、親御さんが困っていることに対して、『こうしたら改善できるのでは? 』と掃除を通じて、解決策を提案するんです」(やまぐちさん、以下「」内同)
整頓された屋内
yamaguchi-seiko
そして、部分的に掃除を進めていくことで、親にビフォア・アフターを実感してもらい、「掃除をすると快適になる」と思ってもらうことが大切なのだそうです。

「掃除前は、『勝手に物を捨てるなど、何か嫌なことをされるのでは』という不安感を持っている親御さんも多いので、部分的な掃除を通じて、親御さんの信頼感を1つずつ積み重ねていきましょう。その末に、『この機会に本格的に掃除をしてみようかな』と思ってもらえることが多いですね」

【実家片付けのポイント2】掃除期間は、「急いで短期間」より「時間をかけてゆっくり」がベター

いざ、親が掃除を受け入れてくれた後。「本人の気が変わらないうちに、急いで掃除を済ませてしまいたい」と気持ちがせいてしまうところですが、「普通の家の掃除よりも、やや長めに期間を設けるべき」と続けるやまぐちさん。
物で溢れかえる部屋
yamaguchi-seiko
「親世代の家は、物量的にかなり物が多いので、普通の感覚の“片付ける”よりも、作業量は多くなります。また、60~70代の親御さんにも参加してもらうとなると、当然体力的にも限界があるし、無理して急ぐと、気が焦って、事故などもおこしかねません。なので、通常の2倍は時間を取っておくべきですね。また、1日中続けてやると疲れてしまうので、1日2~3時間ぐらいの時間を取って、ゆっくり進めるのが良いと思います」

また、「〇月〇日までに終わらせる」などと、リミットを決め過ぎてしまうのも考えものなのだそうです。

「きちんと両親が健康に住める家にしたい・・・などという『どういう状態にしたいか』という具体的なゴールを決めるのは良いことですが、期間的なゴールは、明確に設けないほうがいいかもしれません。あまりにきちんと計画を立てすぎてしまうと、高齢の親世代にとっては心の負担になります。身体や気持ちがしんどくなって、掃除自体に嫌気が指してしまう危険性もあります」

そのため、子ども世代の配慮としては、「いつでも休める」「今日じゃなくても明日やればいい」などと、少し親世代が気を抜けるようなポイントを作っておくことが大切だそうです。

【実家片付けのポイント3】「触ってはいけない場所」をきちんと確認しよう

フックにかけられた調理道具
PIXTA
たとえ家族であっても、捨ててほしくないものや見られたくないものは存在するはず。同時にそうした「触られたくないもの」が集まるスポットも存在するはずなので、掃除する前にその場所を見つけ出しておくことが肝心だそうです。

「私の義理の母の場合は調理器具が“触られたくないもの”でしたが、誰しも人知れずコレクションしているものや、大事にしているものがあります。たいていは、家のなかのどこかに、そうした“触られたくないもの”が集まる場所があるので、その場所を先に探しておきましょう。見つけ方としては、その人と会話をしているなかで見つかるパターンもあれば、同じものが何個もまとまって置いてあり、そこから推測できるパターンもあります」

自分ではわからない場合は、親に事前にヒアリングをしておくとよいのかもしれません。

【実家片付けのポイント4】モノを捨てるときは、両親に立ち会ってもらうこと

革張りソファ
yamaguchi-seiko
そして、やまぐちさんが「必ず守るべき」だとアドバイスするのが「モノを何か捨てる際には、両親ともに健在ならば、片方だけではなく、必ず両方に確認する」ということ。

「以前、私が義理の両親の家を片付けた時に失敗したのは、モノを大々的に捨てるときに、両親ともに確認しなかったということです。義母には『捨ててもよい』と言われていたものを捨てて、後日義父から『何万円もする大切なものだったのに、なぜあれを捨てたんだ』と怒られたことがありました。たまに『母さんに全部任しているから、勝手に捨ててくれていい』などというタイプの親御さんもいますが、意外と後になって『あれはどこにいった』『あんな大事なものをどうして捨てたのか』とトラブルになるケースもありますね。だからこそ、必ず両親ともに立ち会ってもらうのがおすすめです」

家庭のなかの主導権を握っているのは、往々にして母親であるケースが多いですが、意外なコレクションやこだわりの品を持っているのは父親だったりすることも。一度捨ててしまったものは取り返しがつかないため、何かを捨てる際には、事前にきちんと「捨ててもよい」という言質を親からとっておくほうがベターと言えそうです。

【実家片付けのポイント5】「親だから」という甘えは捨て、敬意を持って接すること

インテリア
yamaguchi-seiko
勝手知ったる実家で、親のモノを整理する。だからこそ、つい気が緩んで、親のモノを乱雑に扱ってしまう人も少なくないはず。でも、これがトラブルの元になることも・・・。

「基本的に、血縁にある親であっても、独立した個人です。『親だから許されるだろう』と思って、勝手にポンポン捨ててしまったり、モノを乱雑に扱うのはNGです。いくら子どもがやることだからといって、自分がこれまで大切にしてきたモノを、丁寧に扱ってもらえないのはさすがの親御さんも傷ついてしまうはず。なので、実家の大掃除をする際は、『白い手袋を持参していく』くらいの丁寧な姿勢が望ましいと思っています」

子どもからしてみれば、明らかにゴミに見えるものでも、親にとっては思い出のある宝物である可能性も。仮に「捨ててよい」と言われたからと言っても、乱雑に扱うのは慎むべき。「親しき中にも礼儀あり」を忘れないようにしましょう。

【実家片付けのポイント6】金品が出てきたら、必ず親の意志を聞くこと

ブタの貯金箱
PIXTA
そして、お掃除中に、扱いに注意するべきなのが貴金属や現金類。トラブルの種になりやすいものなので、見つけた場合は、必ず「これはどうしたらいいのか」を、親に逐一確認しましょう。

「貴重品に関しては、親御さんの意志を必ず聞き、常に所在を明らかにしておくようにしましょう。お年を召すと、どうしても認知機能は下がってしまうので、置いた場所がわからなくなることも多々あります。特に女性は、泥棒対策のためにと、箪笥の奥底や引き出しの裏など、見つけにくいところに隠してしまいがち。でも、場所が複雑すぎて、その後隠した本人自身もどこにしまったかわからなくなってしまうケースも多いです」

結果、親が入院して自宅に帰れなくなったり、ほかの人に何も伝えずに亡くなったりした場合、銀行印や通帳などが見つからずに、大騒ぎに発展するケースも少なくありません。そうした事態を防ぐためにも、貴重品は事前に家族内で場所を共有しておくなり、わかりやすいところに置いておくなりといった対処法を取るように心がけておきたいものです。

【実家片付けのポイント7】片付けすぎると、逆に健康を損なう可能性も? “バリアアリー”の考えも

窓から見える景色
yamaguchi-seiko
実家を掃除して、親にとって快適な環境を作りたいと思うあまりに、ついつい既存のレイアウトを変えたり、思いっきりモノを減らしたくなるかもしれません。でも、良かれと思ってやったことでも、「実はあまりに快適にし過ぎてしまうのも要注意」だとやまぐちさんは続けます。

「高齢者の場合、慣れ親しんだ家が大きく変わると、その違和感が原因で『ここは本当に自分の家なんだろうか』と実感を持てなくなり、『自分の家に帰りたい』と混乱して、認知症や痴ほうを引き起こしてしまうケースもあります。たとえば、50年間、ずっと同じ部屋の同じ場所にあった爪切りが、突然違う場所にあったら、やはり誰でも居心地はよくないですよね。普段ガラケーを使っている人に、『便利だから』と言っていきなりスマホを渡したら、違和感を抱くのと同じように、あまりに一気に便利にするのも考え物なんです」

また、掃除の機会に、手すりや段差をなくしたりと、家を便利にし過ぎることも、健康へのリスクが高まるとやまぐちさんは指摘します。

「最近は、身体の運動能力や認知機能を低下させないため、“バリアフリー”ではなく、“バリアアリー”という考え方が注目されています。たとえば、便利だからといって、全部必要なものを1階に置いておくと、2階には行かなくなって、運動量が減ってしまいます。わざと大切なものを2階に置くことで、1階から2階への階段の上り下りをしてもらうなど、あえてバリア(障害)を残しておくことで、親が自分で身体を動かせる余地を作っておくことも大切ですね」

何事も、片付けて、快適にすればいいというものではありません。あくまで、親にとって、「健康・安心・安全」を伴ってこその掃除だと心得ておきたいところです。

おわりに

何かと気に病みがちな実家掃除。実際に体験したやまぐちさんのアドバイスを参考に検討してみてはいかがでしょうか。

プロフィール紹介

やまぐちせいこ
やまぐちせいこ氏
大分県在住。ライフオーガナイザー1級、整理収納アドバイザー1級を持つ。発達障害住環境サポーター。ミニマリスト(持たない暮らし)の牽引者として、書籍出版・メディア掲載・公共機関やカフェなどで、暮らしや片付けに関する講座を開催。ブログ「少ない物ですっきり暮らす」にて情報を発信中。
近著に『少ない物で「家族みんな」がすっきり暮らす』(ワニブックス)、『ミニマリスト、親の家を片づける』(KADOKAWA)など。
2018年からは、お片付けのサポートも実施。

発達障害×片付け やまぐちせいこHP

2019年08月07日

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