20代の約半数が知らない!?「湯治とは何」?
あなたは「湯治(とうじ)」と聞いて、どんなイメージがわきますか?
東京ガスの調査によると20代の約半数が「知らない」と答えた湯治。湯治とは、日本で古くから行われてきた「温泉療養」のことですが、時代の変化の中で少しずつ、認知度が下がっていっているようです。
湯治の効用とは?
日本では古来から、ケガや病気を治すため、温泉地などに長期間逗留して保養するという習慣がありました。
それがやがて「湯治」となり、日常を離れて疲れを癒す、心と体を整える文化として根付いていったといわれています。
湯治の効用は3つ。温泉地で「お湯の作用」「運動・栄養」「温泉地の自然環境」という刺激を得ることによって、体調を整えていきます。
しかし、現代の生活リズムの中で、温泉地に数週間も行くことは簡単なことではありません。
この点に注目し、自宅で湯治の効果を得るために東京ガス都市生活研究所が開発したプログラムが「おうち湯治」です。
「おうち湯治」をすると、ぐっすり眠れる!?
東京ガス都市生活研究所が開発した「おうち湯治」プログラム。「おうち湯治」を行った人と、通常通りの生活を行った人の状態を比べたところ、睡眠の質や健康感が上がったという興味深いデータが得られました。
ピッツバーグの睡眠評価(PSQI)というアンケートを用いて、睡眠の質を判定したところ、「おうち湯治」をした人は睡眠指標が平均で3.3ポイントから1.7ポイントに向上し、睡眠の質が高くなったというデータが得られました。
また「おうち湯治」した人は、「通常通りの生活をした人」と比べても、睡眠の質が高いという結果となりました。
心身の健康状態を測定する「主観的健康感」(GH:General Health)という指標においても、「おうち湯治」をした人は、「おうち湯治」する前と比べて4.5ポイント高い数値を示しました。
「ぐっすり眠った感じがしない」「なんとなくスッキリしない」という人にピッタリの「おうち湯治」。さて、いったいどのように行うものなのでしょう?
おうち湯治のやり方を解説! ポイントは「朝の冷たい刺激」と「夜の温かい刺激」
「おうち湯治」プログラムは、本格的な湯治と同じように、3週間行います。
「入浴」に「軽い運動※」「就寝時の瞑想(自律訓練法)」を組み合わせたもので、自宅で簡単にできるのがポイント!
※緊急事態宣言の状況を鑑み、必要以上の外出はお控えください。
平日は朝と夜だけ。朝は徒歩運動と、冷ためのシャワー。夜は、全身浴と就寝時の瞑想を行います。運動と全身浴は、1週間ごとに所要時間を徐々に増やしていきます。
休日は、夕方に徒歩運動と温かいシャワーが加わります。
全身浴を行う際は、食後1時間は避けること! また、就寝の1時間以上前には済ませておくのもお忘れなく。
朝の「冷ためのシャワー」の浴び方
「おうち湯治」のキーポイントの一つである、朝のシャワー。25~28℃は、思っているよりも冷たく感じるかもしれませんが、ご安心を。まず最初に40℃程度の温かいシャワーを浴び、温かさを十分に感じてから開始します。
冷ためのシャワーをかける順番は、必ず心臓から遠い場所から。ひざ下、太もも、腕、肩、お尻、背中、お腹の順に浴びていきましょう。
就寝時の瞑想のやり方
この瞑想法は「自律訓練法」といい、1932年にドイツの神経科医・シュルツによって体系化されたものです。
本来人間の持っている自律性=恒常性をきちんとはたらかせることで、余分な緊張のない状態を自力で得られるようにできる訓練法として、よく知られています。
「おうち湯治」はなぜイイの? ヒントは「生体調整作用」にあり!
運動したり、冷ためのシャワーを浴びたり、温かいお風呂に入ったり・・・。1日の中でさまざまなことを行う「おうち湯治」ですが、これらはいったい何のためにやっているのでしょう?
古来からある湯治の効果は、自律神経系をゆさぶることによってうまれています。
「おうち湯治」プログラムでも、ゆがんだ状態にある体に、冷ためのシャワーや温かい全身浴で自律神経に刺激を与えることで、体の本来のリズム・機能を整える作用=「総合的生体調整作用」がうまくはたらくように促していくのです。
日本の湯治とドイツの温泉療法を参考に生まれた、「おうち湯治」プログラム
「おうち湯治」プログラムは、入浴研究の第一人者である北海道大学名誉教授の阿岸祐幸氏(一般社団法人 健康保養地医学研究機構 理事)が監修しています。また、医学的な側面から研究が進められているドイツの温泉療法も参考にしているのだそう。
この、ドイツの温泉療法とは、生体時計といわれる「サーカディアンリズム」をもとにプログラムがつくられており、ドイツでは3週間の保険適用もあるのだとか。
阿岸先生らの研究では、朝9時ごろまでの冷たい刺激は体温や代謝活動を急速に高め、就寝1~2時間前の温かい刺激は体温・代謝活動を急速に低下させることがわかっており、「おうち湯治」プログラムもそれに基づいて作成されています。
「湯治」のエッセンスを日々の暮らしに簡単に取り入れられる「おうち湯治」。
東京ガス都市生活研究所のレポートを読んで、チャレンジしてみませんか?
おわりに
病気こそしていなくても、ストレスを抱えていたり、疲れをためていたりする場合が多い現代人。忙しい現代人こそ「湯治」で心と体を整えられればいいのですが、何週間も温泉地に出かけて静養するなんて、夢のまた夢ですよね。ご家庭でできる「入浴」を更に進化させた「おうち湯治」プログラムで、日々を健やかに過ごせるようになるといいですね。