空気清浄機、一体どこまでキレイにしてくれるの? 得意分野は?
――空気清浄機は、アレルギーの原因となる花粉やハウスダストはもちろん、ニオイやウイルスへの対策など、使う家庭によって様々な目的があります。そのなかで、空気清浄機の「得意」なこと、「不得意」なことはあるのでしょうか。
高木:空気清浄機の基本的な役割は、「集じん」と「脱臭」。吸い込んだ空気を非常に目の細かいフィルターによってろ過し、有害物質を取り除いてキレイな空気にして放出するというものです。製品によっては、これに「除湿」「加湿」の役割も加わります。
空気清浄機を使用するお客さまが特に気にされる、空気中の有害物質は「花粉」「ハウスダスト」「PM2.5」「細菌」「ウイルス」「化学物質」の6つ。
このうち、「花粉、ハウスダスト、化学物質、PM2.5、細菌」については、基本的にフィルターで十分吸着が可能です。ただし、花粉やハウスダストは直径が大きいため短時間で落下しやすく、一方で「PM2.5、細菌」は小さいので空気中に浮遊しやすいなど、特性が異なります。
そして「ウイルス」については、細菌のさらに10分の1から100分の1とサイズが極めて小さいため、フィルターでは容易にキャッチしにくいものです。
したがって、空気清浄機はそれぞれの有害物質に対して異なるアプローチをしています。
お使いいただく際も、目的に応じて使い方を少し工夫いただくだけで、より一層効果が発揮しやすくなると思いますよ。
空気清浄機が捕集できるもの・抑制できるもの
花粉対策には“床置き”が基本。玄関もおススメ
――花粉やハウスダストなどのアレルギー物質に対して、効果的な使い方はありますか?
高木:花粉やハウスダストの粒子の大きさは、10マイクロミリ前後と、空気中の浮遊物の中でもフィルターがキャッチしやすいものです。ただし、大きな物質だけに短時間で地面に落ち、下に溜まりやすいですので、床面にできるだけ近い場所に空気清浄機を置いていただくのが大事なポイント。掃除機との併用もおススメです。
特に花粉の場合、換気扇や外干しの洗濯物、外で着用していた衣類などあらゆる経路から侵入してきます。中でも一番侵入が多い、玄関などの出入り口に置くのも効果的だと思います。
花粉やホコリが舞い上がりやすい掃除時には、風量を最大に
高木:また風量調節にもコツがあります。掃除機を使う場合や、外干しの洗濯物を取り込む際には、舞い上がるホコリや花粉をたくさん吸い込むため、風量を最大にします。洗濯物をたたむ際も花粉が舞い上がるので、風量は最大に。それ以外は、自動風量で十分です。
そして、これは購入を検討する際のポイントにもなるのですが、スギ花粉は「クリジェ-1」と呼ばれる“表皮”と「クリジェ-2」と呼ばれる“芯”の2重構造になっており、この両方の層が、アレルギー物質として人に影響を及ぼすことが報告されています。したがって、花粉対策をしっかり行うには、この「クリジェ-1」「クリジェ-2」両方に反応する空気清浄機を選ぶことも大切です。
細菌やカビには“除湿”、ウイルス※対策には“加湿”を
※ウイルス対策については以下の本文をご確認ください
――細菌やウイルスなどの対策には、どういったことに注意すべきでしょうか。
高木:湿度の調整を上手に行うのがポイントですね。カビや細菌は、湿度が高いと増殖します。空気清浄機を使う場合も、結露があったり、洗濯物を干してジメっとしているときは要注意。除湿をしっかりおこなってください。
一方、ウイルスは、非常に小さなタンパク質の塊で、フィルターにかかりにくいものです。しかし湿度に弱い性質を持ち、一般的には湿度を40%以上にすると、 ウイルスの死滅率が上がるといわれています。そこで、まずは加湿機能をうまく利用し、結露しない程度にお部屋の湿度を十分に保つことが大切です。
空気清浄機ができることとしては、この加湿に加え、ウイルスの働きを抑制すること。メーカーによってアプローチは異なりますが、ダイキンの場合は、アクティブプラズマイオンを放出して空気中に浮遊している有害物質を抑制し、さらにフィルターで吸着した有害物質をプラズマ放電の一種である『ストリーマ』で分解・除去します。ウイルスについても、『ストリーマ』を照射することで、その働きが抑制されることが実験で分かっています。
エアコンとは対角に置き、24時間稼働が理想
――空気清浄機を使用する際に、気をつけたいポイントはありますか?
高木:効果を発揮する置き方として以下の4点があります。
1.床に置く
2.吸い込み口に障害物となるものを置かない
3.エアコンと対角の場所に置く
4.24時間稼働させる
エアコンの使用中は、お部屋のホコリや匂いがエアコンの風に乗って、対角に流れます。したがって、エアコンの対角線上に空気清浄機を設置することで、流れてきた空気をしっかり吸い込み、効率的にキャッチすることができます。
また、在宅時にのみ稼働させている方も多いかと思いますが、本来は24時間稼働が理想です。人がいないときは空気の流れがストップするため、空気清浄機を使って空気をかきまわし、浮遊物を舞い上がらせて吸い込みやすくするといいでしょう。
フィルターのホコリや加湿トレイは小まめにお手入れを
高木:空気清浄機の性能を最大限発揮するには、フィルターの交換やお掃除も必要になってきます。空気清浄機の寿命自体はおおよそ10年。フィルター交換の目安が長いものを選ぶのも、空気清浄機を選ぶポイントになるかと思います。また一般的に、空気清浄機には複数のフィルターが搭載されています。最も外側に位置し、大きなホコリを捕まえるプレフィルターは、2週間に1度汚れを掃除機で吸い取る必要があります。プレフィルターが汚れで詰まっていると、空気の吸い込み・吹き出しが妨げられ、効率的に空気をきれいにすることができません。
加湿機能がある場合はトレイのお手入れも、1か月に1度を目安に行ってください。
メーカーや機種によって必要なお手入れは異なりますので、お使いの製品の取扱説明書にしたがって適切なお手入れをしましょう。
おわりに
最近はスマホと連動してお部屋の空気をチェックできるなど、さまざまな機能が充実している空気清浄機。ちょっとしたコツや定期的なお手入れで、さらに効果を発揮してくれることがわかりました。賢く使いこなしたいですね。