朝スッキリ起きられない原因は?
「起きる時間になってもなかなか布団から出られない・・・」という方や、「ついつい二度寝をしてしまう」という方も多いのではないでしょうか。できれば毎日スッキリと目覚めて快適に一日を過ごしたいですよね。
そんな方に向けて、快眠セラピストとして講演や執筆活動をしながら、これまで1万人以上の眠りの悩みを解決してこられた三橋美穂さんに、起きられなくなる原因から、朝スッキリ起きる方法を教えていただきました。
まずは、朝スッキリ起きられない原因をご紹介します。
【原因その1】睡眠時間の不足
三橋さん「睡眠時間が不足すると、脳と体が十分に休むことができないので、朝スッキリと起きにくくなります。睡眠不足が続いてしまうと、不足した睡眠時間が蓄積されていき『睡眠負債』を負うことになってしまいます」
きちんと睡眠をとらない日が重なると、一日寝ただけでは睡眠不足がなかなか解消できない状態になってしまうのだそう。
また、三橋さんは睡眠不足の原因として「最近は『リベンジ夜更かし』をしてしまう人が増えています」と教えてくれました。
三橋さん「昼間に充足感を得られないことから、なんとかして充実感を取り戻そうと夜更かしすることをリベンジ夜更かしといいます。夜更かしすると必然的に睡眠不足になるので、日中に十分集中できなくなり、充実感が得られず、また夜更かしで充実感を得ようとする、といった負のスパイラルに入ってしまいます」
必要な睡眠時間は個人差がありますが、働き世代は7~8時間が目安です。充実感のない時こそ、睡眠時間を長くとって明日に備えることが重要ですね。
【原因その2】精神的なストレス
三橋さん「本来、寝ている時には自律神経の中の副交感神経が優位であるべきなのですが、ストレスがあると交感神経が刺激されて優位になり、筋肉が緊張状態になってしまいます。そうなると血行が悪くなって眠りが浅くなり、熟睡が妨げられてしまいます」
睡眠不足だとイライラする原因にもなり、さらにストレスを感じて睡眠が浅くなる、といった悪循環にもなってしまいます。睡眠が浅くなると、朝なかなか起きられなくなってしまいますよね。
【原因その3】日光浴不足
家にいる時にカーテンを閉めたままにしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。最近では、リモートワークで外に出る機会が減ってしまい、日光浴不足が原因で睡眠不足になってしまう方が増えているといいます。
三橋さん「日光は、昼の元気と夜の熟睡のもとです。日光を浴びるとセロトニンという神経伝達物質が活性化され、やる気を高めてくれます。セロトニンは夜になって暗くなるとメラトニンという物質に変わり、睡眠を安定させてくれる働きを持ちます」
日光を浴びるために朝はカーテンを開け、窓際で30分以上過ごすことを習慣にしたいですね。
【原因その4】睡眠のリズムが不規則になっている
三橋さん「不規則な生活を送っていると、体内時計が乱れて睡眠が浅くなり、睡眠不足につながってしまいます。週末に朝寝坊する方も多いと思いますが、それが体内時計を乱す原因となり、体の中が時差ボケ状態になってしまいます。専門用語では『ソーシャルジェットラグ(社会的な時差ボケ)』と呼び、あまりにその頻度が高いと心疾患や糖尿病などのさまざまな病気のリスクが高まるといわれています」
たまの朝寝坊なら問題ないですが、毎週朝寝坊を続けてしまうと、毎週時差ボケを起こしていることになり、体に大きな負担がかかってしまうのだそう。気を付けたいですね。
【原因その5】体が冷えている
寒くて眠れない、という話はよく聞きますが、寒いと朝起きにくくなることはご存じでしょうか?
三橋さん「体が冷えていると、朝起きにくい傾向にあります。寝ている時は深部体温といわれる体の内側の温度が下がることで深く眠ることができますが、体が冷えていると体の表面にうまく熱を逃がせず、深部体温が下がりにくくなってしまいます」
そのため、冷え性の方は寝不足になりやすいのだそう。冬場は特にお悩みの方も多いのではないでしょうか。
睡眠不足で朝の目覚めが悪くなってしまう主な原因の5つを、三橋さんに教えていただきました。
ここからは、どうすれば朝スッキリと起きられるのか、具体的な方法をご紹介します。
朝スッキリと起きるための方法とは?
朝スッキリと起きるための11の方法を、「就寝前」「起床時」「睡眠環境」の3つの観点から三橋さんに教えていただきました。 それぞれ簡単に取り組めるものばかりなので、自分のペースで実践してみましょう。
朝スッキリと起きる方法【就寝前】
朝スッキリと起きるためにまず改善したいのが、質の良い睡眠をとるためにも大切な夜の時間の過ごし方。夜はできるだけ昼間の緊張を取り除き、リラックスできるような時間の使い方を心掛けましょう。
【朝スッキリと起きる方法1】SNSやゲームを続けない
三橋さん「寝る前に電子機器を見ていると、光の刺激で目が冴え、体内時計が後ろにずれてしまいます。特にゲームは交感神経を刺激し脳を興奮状態にしてしまうので、ベッドに入る30分から1時間前には電子機器を見ることを控えたほうがいいです」
ベッドサイドにスマートフォンの充電器を置かない、など寝床に電子機器を持ち込まない工夫をしたいですね。
【朝スッキリと起きる方法2】寝る直前に食事を取らない
前述したように、睡眠には体の温度が大きく影響します。
三橋さん「胃腸が動くと内臓の温度が下がらなくなり睡眠の妨げになりますので、寝る3時間前までには食事を済ませておくのが基本です」
そうはいっても、忙しくて食事の時間を調整することが難しい日もありますよね。どうしても寝る3時間前に食事が取れないときは、いつもより量を減らしたり、雑炊などの消化が良いものを食べるのがおすすめだそうです。
【朝スッキリと起きる方法3】激しい運動は控えよう
三橋さん「激しい運動をすると、交感神経が刺激され、脳が活発な状態になるので、寝る2~3時間前までにしておきましょう。もし寝る前に行うとしたら、気持ちをリラックスさせる効果のあるヨガやストレッチなどがおすすめです」
実際に、三橋さんも睡眠前にストレッチと瞑想をして、気持ちをリラックスさせてから就寝しているそうです。
【朝スッキリと起きる方法4】外の明るさに合わせて照明を暗くする
三橋さん「夕方、日が沈みだしたタイミングで照明を少し暗くするのもおすすめです。私の家でも、夕方になると間接照明だけをつけて、少し暗くした状態で夕方以降を過ごしています」
自然の明るさに合わせて室内の照明を調整することで、体も自然と眠りに向かう準備ができ、睡眠に入りやすくなるそうです。
【朝スッキリと起きる方法5】湯船に浸かる
三橋さん「お風呂に入る時は、湯船に浸かるのがおすすめです。体の温度を上げることで、就寝時に深部体温が下がりやすくなり、熟睡しやすくなります」
シャワーだと体の温度が十分に上がり切らないため、湯船にお湯を張って入浴するのが効果的だそう。38~40℃くらい(冬は39~41℃)のぬるめの湯船に、15~20分ほどゆっくりと浸かるとリラックス効果もあるといいます。からだを芯から温めるためにもぜひ湯船には浸かりたいですね。ただし、入浴は眠る前の1~2時間前に済ませておくことが大切です。
朝スッキリと起きる方法【起床時】
就寝前の過ごし方のポイントをつかんだら、起床後にできる朝スッキリ起きるための方法をご紹介します。
【朝スッキリと起きる方法6】遠い場所に目覚ましを置いておく
三橋さん「私が目覚ましをかけるときは、キッチンのアレクサに起こしてもらっています。遠いところの目覚ましを止めに行くことで、体が目覚めますよ」
立ち上がって歩かないと止められない距離に置いておくことがポイントなのだそう。スマートフォンをアラームにしている方は、遠いところに置いて寝ることで、寝床にスマートフォンを持ち込むことも防げますね。
【朝スッキリと起きる方法7】カーテンを開けて日の光を浴びる
三橋さん「日光を浴びることで、自然と目が覚めやすくなります。私の家では起きる30分前にカーテンを開けるようにしています」
朝日を浴びると、自然と目が覚める上に体内時計も整います。ちなみに三橋さんは、カーテンの自動開閉器というカーテンレールに後付けができるものを導入して、朝起きる前に自動でカーテンが開くようにしているとのことでした。
【朝スッキリと起きる方法8】朝食を食べる
三橋さん「朝食を取ることで、胃腸が動き体内時計が整います。体内時計が整うと体温やホルモンの分泌リズムが整うので、一日を快適に過ごすことができます」
朝は忙しくて朝食を食べる時間が足りない、という方はお味噌汁を飲むだけでもよいのだそう。朝は体温が低いので、体を温めるものを取ることで体を動きやすくしてくれます。
また、「体内時計を調整する、という観点から言うと、一日の朝昼晩のご飯の量の割合は4:3:3、あるいは3:4:3程度が良いとされています」と三橋さん。
どうしても忙しくなりがちな朝ですが、朝食はしっかり食べるようにしましょう。
朝スッキリと起きる方法【睡眠環境】
就寝前と起きた後以外にも、睡眠環境を整えることも重要です。 睡眠環境を整えて朝をスッキリ迎えましょう。
【朝スッキリと起きる方法9】自分に合った寝具を使う
三橋さん「寝具は自分の体に合ったものを使いましょう。特に大事なのは枕とマットレスです。どちらも体を支えるものになるので、それらが体に合っていないと睡眠時の姿勢が適切に保てません」
自分に合っていると思っている寝具でも、時が経てばくたびれてきてしまうものです。定期的に、今の寝具が自分に合っているかを確認するようにしましょう。
また、三橋さんは寝るときの温度管理の重要性についても教えてくださいました。
「布団の中は、一年を通して温度が約33℃、湿度が50%前後の時が快適だといわれています。季節の変わり目には適切な寝具に取り換えるようにしましょう」
睡眠の質を高めよう! 快適な眠りにおすすめの寝具をご紹介
【朝スッキリと起きる方法10】パジャマを着る
三橋さん「よくスウェットなどの部屋着をパジャマ代わりにしている方がいらっしゃいますが、あまりおすすめできません。スウェットは生地が分厚くゴワゴワしているので、肌へのストレスがかかり、寝返りの邪魔をしてしまうこともあります。その点、パジャマは寝ることを前提としているので、ゆとりがある作りになっています。パジャマを着て寝るだけでも、寝心地は大きく変わりますよ」
また、入眠儀式といって、パジャマに着替えることで心と体の寝る準備が整うのだそう。生活リズムを整えるのにもぴったりですね。
【朝スッキリと起きる方法11】寝室の温度を適温に保つ
冬はたくさん着込むことで、理想の布団の温度である33℃にすることもできますが、室温が低いと布団から出たくないだけではなく、別のリスクもあるそうです。
三橋さん「お風呂場や脱衣所で起こるイメージが強いヒートショックですが、布団の中の温度と部屋の温度の差が広がることでも、起きる可能性があります。冬場は寝ている時でも暖房をつけておくのがおすすめです」
寝室を温めておけば、朝部屋が寒くてなかなか布団から出られない、ということも減らせそうですよね。暖房をつけると室内の乾燥が気になる、という方は加湿器も一緒につけましょう。
三橋さん「朝の寒さが苦手な方は、ベッドの足元に肌触りの良いマットを敷いておく、床暖房をつけておくなどの対策もいいですね」
寒さ対策をすることで、布団から出てもいいかな、と思える環境をつくることも、朝スッキリ起きるためには有効ですね。
床暖房であれば、風もなく、部屋をムラなく温めることができ、寒い日の朝に効果的です。
床暖房とエアコン暖房の「ふく射熱」「熱伝導」「対流」を組み合わせ、その相乗効果により、部屋の空気だけでなく、足元からも部屋が暖まります。※
※お部屋の暖まり方は、「住宅の断熱性能」「温水マットの敷設率」「エアコン性能」「お客さまの使用状況」などにより異なります。
床暖房は床面全体をほぼ均一に暖めるので、お部屋をムラなく暖めます。
床暖房なら床そのものが暖房なので、こたつやストーブのような暖房機器を置く必要がなく、お部屋を広く使えるのも特長です。
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おわりに
今回は朝が苦手でなかなか起きられないという方に向けて、快眠セラピストの三橋さんに、朝起きられない原因と、スッキリ起きるための方法について教えていただきました。睡眠をおろそかにしてしまうと起きづらくなるだけでなく、体調不良や病気につながってしまうリスクもあります。良質な睡眠をとるために、できることから生活に取り入れてみてくださいね。