スイカは切り方でもっとおいしくなる!
せっかく大きなスイカを買ったのに「思ったよりも甘くなかった」「切り分けた部分によって甘みが違う」そんなふうにガッカリした経験はありませんか?
もしかすると、その原因はスイカの切り方にあるかもしれません。
今回は、「毎日食べるほど大好き!」というほどスイカをこよなく愛し、「スイカ倶楽部」スイカ親善大使として全国にスイカの魅力を伝える活動をされて いる真鍋摩緒さんにお話を伺いました。
真鍋さん「大玉のスイカを買った時、家族だけでは食べきれないので、友達にも声を掛けてみんなで食べることがありますよね。そんな時みんなにおいしいと思ってもらうには、甘い部分を全員に行き渡るように切り分けるのがポイントです。基本的にスイカは中心が甘いので、中心から放射状に切りましょう」
全てのカットが均等に甘い!基本の切り分け方
スイカをおいしく食べるための切り方は、大玉も小玉も基本的には変わりません。真鍋さんが推奨する方法で切ってみました!
1.縦半分に切る
まず、スイカをヘタの部分を上にして置き、縦半分に切ります。
2.半分にしたものを数等分にする
中心が最も甘いということを念頭におき、半分にしたものを真ん中から数等分に切ります。
ここで大切なポイント! シャリ感を楽しむために、決して薄く切り過ぎないこと!
真鍋さん「噛んだ瞬間の歯ざわり、シャリっという清涼感、一粒一粒の水分を 含んだ粒がはじけていくような感じがシャリ感です。これは、他の果実にないスイカならではのもの。 そのため、厚さは最低でも3cmは欲しいです」
3.舟形にしたものは、中心から斜めに切る
もう少し小さく切りたい時は、中心部分を斜めに切ってください。とんがった部分が最も甘くなり、どのカットでも甘みが楽しめます。
保存にも便利! 簡単にできるキューブカット
小さなお子さんがいる時や、スイカをジュースにしたい時におすすめなのがキューブカット。真鍋さん直伝の簡単な切り方をご紹介します。
1.舟形にしたスイカにナイフや小型の包丁で、横に切り目を入れる
頂上の線と水平に、左右双方、均一になるように3本ほど切り目を入れます。
2. 横の切り目と同じ幅で縦に切り目を入れる
一口サイズになる大きさがおすすめです。
一番下の部分まで包丁を入れることで、果肉を無駄なく取ることができますね。
手を汚さず食べやすいスティックカット
手を汚さずに食べられるスティックカットは、覚えておくと便利なスイカの切り方です。
大皿で丸い形に盛り付けて食卓に出せばとてもかわいく、パーティー料理としてもおすすめです。真鍋さんに簡単にできるスティックカットの方法を教えていただきました!
1.スイカの上下の両端を切る
スイカを横に置き、上下の端だけを切ります。
2.スイカを半分に切る
スイカを縦に置き、中心から包丁を入れて縦半分に切ります。
3.スイカを格子状に切る
2で切った切断面を下に置き、上下に格子状に切ります。スイカの大きさや好みによってカットの大きさは調整しましょう。
種が取り除きやすい切り分け方
スイカは種が邪魔で食べにくいこともあります。特に、小さなお子さんに食べさせる場合などは、種を取り除きやすいように切りたいですよね。種の位置をあらかじめ知る方法などはあるのでしょうか。
真鍋さん「スイカのしまと種の位置に関係があると言われていますが、それは誤りです。しかし、種は放射線状に並んでいることが多いので、スイカの断面に種が並ぶように切り分けることは可能です。わずかですが、種が配置されていない場所があります。その部分をスイカの中央から包丁を入れ、切ります。この方法だと、切り分けたスイカの断面に種が並びやすいので、スプーンですくってすぐに取り除けます」
スイカの種は、スイカを横に切った時の断面にみえる模様(水分や養分を運ぶ管が集まった維管束)に沿って並んでいることが多いのだそう。上の写真で、維管束の部分を黄色で示しています。
真鍋さんが教えてくださったのは、維管束の間に包丁を入れて切ることで、種の少ない一切れを作ることができるという方法です。
ただし、この方法の場合、どうしても薄めのカットになってしまいがち。真鍋さんの言葉にもあるように、スイカのおいしさ=シャリ感でもあるので、種が気になる方や小さなお子さん用にはこちらの切り方で、スイカの持ち味を存分に楽しみたい時には厚切りで、と切り方を変えるのもよいでしょう。
丸ごともカットもおいしいスイカを選ぶコツ
皮が厚く、見た目ではおいしさを判断するのが難しいスイカ。失敗せずにおいしいスイカを見分けるには、どうすればよいのでしょうか?
真鍋さん「スイカは鮮度が命。メロンやトマトとは違い、収穫後時間が経てば経つほど酸味が出たり、水分が飛んだりして味が落ちてしまいます。そのため、スイカは食べる日に購入するのがベストです」
しかし、スイカは鮮度がおいしさの決め手! おいしいスイカの見分け方の決め手となる一方で皮が厚く腐りにくいため、店頭に長期間置かれていることも。そのため、購入する時にはできるだけ新鮮なものを見極める必要があります。
丸ごとのスイカの選び方
真鍋さん「スイカをたたいて、その音で鮮度を確かめる方法があります。ポンポンと低い音が響いたなら食べごろ、ボーンボーンと響くような音だと過熟ぎみです」
ただ、音の聞こえ方には個人差があるため、音で判断するのは実際には難しいといえます。
ということで、簡単においしいスイカを見分ける方法を真鍋さんに特別に教えていただきました。
【その1】スイカの表面をなでる
鮮度の良いスイカは、皮がピンと張っており、ツヤがあります。
また、上の写真の矢印で指しているように、鮮度が良いと黒いしまの部分が少しへこんでいます。
【その2】ツルがついている部分で見分ける
鮮度の良いスイカは、ツルが緑色で周囲が盛り上がっています。一方で、収穫から日数が経って鮮度が落ちている場合は、ツルがついていた部分が茶色くシワシワになっています。
これらの見分け方なら、比較的簡単においしいスイカを見つけやすそうですね。
切り分けられたスイカの選び方
切り分けられたスイカについても、選ぶ基準は鮮度です。
【その1】赤い部分、白い部分、皮の部分の境目で見分ける
鮮度が落ちてきているスイカは、赤い部分、白い部分、皮の部分の色がはっきりと分かれておらず、ぼやけています。
【その2】種の周囲で見分ける
種の周囲に少し空間が空いているものを選びましょう。タラコのようなつぶつぶが見られる場合は、過熟ぎみです。
スイカは鮮度が命なので、可能ならば生産農家などから購入して、収穫後できるだけ早く食べることがおいしく味わえる方法と言えそうですが、スーパーなどの店頭で購入する場合も、真鍋さん直伝の見分け方のコツを意識して選べるといいですね。
市販のキューブカットスイカの選び方
スーパーなどでは、皮を除いてキューブカットにしたものなど、小さめにカットされたスイカがパック入りで販売されていることもあります。
このようなタイプのスイカの選び方を真鍋さんに伺いました。
【その1】できる限り鮮やかな赤色のものを選ぶ
皮を取り除いて小さくカットされたものの場合、皮に近い甘くない部分が入っていることもあります。
「スイカの甘い部分は鮮やかな赤なので、見かけが白っぽいものは避けましょう」(真鍋さん)
【その2】切り口が鋭利なものを選ぶ
スイカの果肉は、水分を含んだ小さな粒子でできています。切ってから時間が経つとともに粒子がつぶれてしまうので、切り口の様子を見れば切ってから時間が経っているかどうかが判断できます。
「切り口が鋭利で、粒子がつぶれていない状態なら、みずみずしく、シャリっとした触感が味わえるでしょう」(真鍋さん)
【その3】パックに水分がたまっていないかチェックする
切ってから時間が経つことでスイカの果肉を構成している粒子がつぶれると水分が出てしまいます。小さくカットされているスイカではどうしても水分は出てしまいますが、できるだけパックの底にたまっている水分が少ないものを選びましょう。
「水分が出てしまっているかどうかは、ある程度見た目でも分かると思います。やはり果肉が乾燥したように見えますね。果肉がみずみずしくキラキラして見えるものを選んでくださいね」(真鍋さん)
スイカの上手な保存方法
スイカは収穫直後が最もおいしいため、購入したらできるだけ早く食べ切るのが理想です。しかしそれが難しいときのために、スイカをおいしく保存する方法を真鍋さんに伺いました。
丸ごとのスイカの保存方法
丸ごとのスイカを保存する場合は、常温で日光の当たらない場所で保管しましょう。冷蔵庫に入れても大丈夫ですが、スイカは冷やしすぎると甘みを感じにくくなるため、食べる2~3時間前には冷蔵庫から出しておくようにしましょう。
「丸ごとなら、すぐに劣化することはありません」と真鍋さん。購入したときに収穫から何日経っているかにもよりますが、常温保存で夏場は1週間~10日くらい、秋口など気温が落ち着いているときなら2週間くらいもつそうです。
「意外にもちますので、家族が集まる時やパーティーの日に味わうために少し早めに注文してもいいですね。しかし、味のことを考えると、2週間もおいてしまうのは、やはりおすすめはできません」(真鍋さん)
切り分けたスイカの保存方法
スイカは一旦切ってしまうと断面から水分が出て劣化しやすいので、断面を食品用ラップなどでぴったりと覆って冷蔵庫で保存しましょう。それでも水分が垂れてくることがあるので、お皿の上に置くようにすると良いでしょう。
真鍋さん「切り分けたスイカは、できる限り早めに食べましょう。目安でいうと、3日もつかもたないかですし、時間とともに味も変化してしまいます」
食べきれなかったスイカが大きくて冷蔵庫に入らない場合などは、キューブカットにして保存してもよいでしょう。ただし、キューブカットにするとより日持ちしないため、冷凍するのもおすすめです。
【スイカの豆知識】産地ごとの特徴や注目の品種は?
北海道から沖縄まで日本全国で生産されていて種類も豊富なスイカ。知っていればより楽しめる知識を真鍋さんに教えていただきました。
同じ品種でも生産地で味わいが違う!
真鍋さん「最近はたくさんのスイカ品種が市場に出回っています。大玉、小玉だけではなく、果肉が黄色いスイカ、楕円形のスイカ、四角スイカ、皮が黄色いものなどもあります。また、同じ品種であっても産地ごとで味が違います。例えば、気温差が大きい産地のスイカは甘い傾向がありますね」
例えば、大玉スイカで最もポピュラーな品種『まつりばやし』は、日本全国で生産されているため、いろいろな産地の『まつりばやし』を食べ比べしてみるのもおすすめだそう。
真鍋さんの印象では、熊本県や新潟県のものは、品の良いさわやかな甘さ。鳥取県や山形県産は、上白糖のようなはっきりとした甘みを楽しめるのだそうです。
真鍋さんおすすめの品種や注目の新品種
真鍋さん「小玉スイカなら、ぜひ『ひとりじめ』という品種を試してください。『ひとりじめ』は大玉と比べても遜色ないくらいのシャリ感があり、皮の際までしっかりと甘いです」
「ひとりじめ」は、人気が高く全国で生産されている品種のため店頭でも手に入りやすいので、スイカ好きな方はぜひ試してみてください。
「スイカは好きだけど、種がわずらわしいという方におすすめなのが、スイカ倶楽部が運営を行っている萩原農場が生み出した『ぷちっと』です。この品種は、種が非常に小さいので、種ごと食べても気にならないんですよ!」(真鍋さん)
上の画像は、左側が「ぷちっと」、右側が一般的なスイカの断面図。「ぷちっと」は、一般的なスイカよりも種がとても小さくなっています。また、「ぷちっと」は、食べやすさだけではなく、スイカならではのおいしさも追求した品種です。種が小さい分、熟するにつれて種子部が崩れてくることも少ないので、完熟スイカとして収穫できるという特徴もあるのだそう。
さらに、現在では、「ハロウィンスイカ」と銘打って10月に出荷されるスイカもあり、おいしいスイカを秋も楽しめます。涼しげでかわいらしいスイカを使ってハロウィンランタンを作るなど、秋までスイカライフを満喫するのも楽しそうですね。
スイカ好きなら「スイカ前線」に注目!
スイカは生産地によって、旬といえるおいしい時期が異なります。その時期は桜前線のように南から徐々にゆるやかに北上していくので、これを「スイカ前線」と呼び、この前線に合わせて、真鍋さんが親善大使を務めるスイカ倶楽部でも産地直送でスイカを出荷しているのだそう。
例えば、熊本県のスイカの旬は2月上旬から6月下旬ですが、千葉県では4月下旬から7月上旬、北海道なら6月下旬から9月上旬となるため、全国の小売店でも、その時に旬を迎えたスイカが店頭に並びます。
スイカをもっと楽しむための味わい方いろいろ
スイカはそのまま食べるだけでなく、実はさまざまな味わい方ができます。真鍋さんにちょっと意外なスイカの楽しみ方を教えていただきました。
レモンを搾ってさらにおいしく!
スイカといえば塩と思いがちですが、よりおいしく食べる方法として真鍋さんがおすすめするのは、レモンを搾って食べること。イタリア南部のシチリアではこの食べ方が主流だそうで、いつもよりトロピカルな味わいを楽しめるのだとか。
レモンと同様にライムを絞るのもおすすめです。
余ったら冷凍してスムージーやカレーに
購入したスイカはできるだけ早く食べるのが基本ですが、どうしても残ってしまった場合、真鍋さんのおすすめは冷凍保存だそう。
皮をとりキューブ状にカットして冷凍庫へ。その後、ジューサーにかければ、おいしいスイカスムージーができます。熱中症予防のために少し塩を加えるといいですね。
真鍋さん「余ったスイカをカレーに入れるのもおすすめです。子どもたちが好きな、コクのある甘みが出ますよ」
皮や種も捨てずに楽しもう
スイカは美容にもおすすめの食材です。真鍋さんによると、スイカの白い部分には保湿効果や美白効果のあるシトルリンが豊富なのだそう。
真鍋さん「白い部分は実は簡単においしく食べられるので、ぜひお試しください。外の緑色の部分は取り除いて使います。ハムと合わせてマヨネーズ、マスタードであえればサラダに。少し手間がかかりますが、スライスしたものにトマトとパクチーを加え、中華ドレッシングであえるとアジア風のサラダになります。
この他、ぬか漬けにしてもよいですし、スライスして浅漬けにするのもおいしいです。ちょっと甘みを含んだ爽やかな味わいになりますよ」
また、スイカの種も、種ごとジューサーにかけてザルでこせば、コクのあるスイカジュースになるのだそう。できるだけ捨てずに、おいしくいただきたいですね!
真鍋さんおすすめ! 見た目も楽しいスイカアート
スイカはおいしいだけではなく、目でも楽しめるフルーツ! 思わずまねしたくなるスイカアートを紹介してもらいました。
スイカピザ
フルーツをトッピングした、簡単だけど夏らしい爽やかでかわいい見た目のスイカピザです。
スイカポンチ
一玉買ったらぜひ作りたいスイカポンチ。熱中症予防にも最適なスイカを子どもたちにたくさん食べてほしい時もおすすめです。
スイカのサメ
ブドウの目もかわいいスイカのサメ。歯の部分を作るのが難しいですが、インパクト大で子どもたちは大喜び間違いなしです!
スイカケーキ
輪切りにしたスイカとフルーツで作った3段のケーキ。スイカの皮で作った葉っぱの飾りも涼しげで見ているだけで楽しくなりますね!
スイカは熱中症対策に最適! 栄養豊富で甘くてローカロリー
真鍋さんによると、「スイカは少し塩を振るだけで、天然のスポーツドリンクになります!」とのこと。熱中症予防として、暑い夏には最適だそうです。
「スポーツドリンクの主な栄養成分は水分、糖分、ミネラル、ビタミン、塩分です。スイカは水分、糖分、ミネラル、ビタミンが豊富なので、塩を加えればスポーツドリンクと同じ成分になるんです!」(真鍋さん)
スイカ倶楽部では、天然のスポーツドリンクとして朝に2切れ、約200gを熱中症対策として食べることを推奨しているのだとか。上がりすぎてしまった体温を低下させ、栄養もしっかり取れるので、炎天下でのスポーツや海水浴後に食べるのも効果的ですね。
また、スイカはカロリーも低いので、夏はついついアイスを食べ過ぎてしまう・・・そんな悩みのある方は、カロリーも低くて体温も下げてくれるスイカがおすすめです。
アレンジいろいろ! スイカレシピ
夏といえばスイカ。切り分けたスイカにそのままかぶりつくのもよいですが、ひと手間加えてアレンジした、見た目にも涼しいデザートレシピをご紹介します。
おわりに
「一人では食べきれないスイカなので、みんなで味わってもらいたいです」と真鍋さん。スイカは家族みんなを笑顔にするパワーがありますね。スイカ倶楽部でスイカ親善大使を務める真鍋さん直伝の、おいしい切り方や見分け方を参考に、スイカをおいしく楽しみたいですね。