ふきんが雑菌の温床になる原因
正しく洗えていないふきんでテーブルやキッチンを拭けば、雑菌を塗り広げることに!
除菌シートなどを開発しているサラヤ株式会社の越智さんは「ぬらして汚れを拭いたふきんには、雑菌や細菌が繁殖する好条件がそろっています」と言います。
サラヤが行った実験では、37度の環境に2日間置いておくと1センチ四方に20万個以上の菌が確認されました。
出典:サラヤ株式会社「家庭用製品情報 ふきんの除菌」
越智さんに雑菌が増殖してしまう3つの条件を解説してもらいました。
水洗いのみで済ませている
「キッチンやダイニングで使用したふきんには、食べ物汚れやホコリなどさまざまな汚れが付着しています。
水洗いで大きな汚れは取りのぞけても、繊維に絡まった汚れなどは残ったままになるため、それが雑菌のエサとなってしまうのです」(越智さん)
高温多湿の室内
「菌の種類にもよりますが、一般的に食中毒の原因菌は、家庭の環境だと温度は30~40度、湿度は70%以上で生えやすいです」(越智さん)
夏季などは、気密性の高い住居では室温や湿度はあっという間に上がってしまいます。
風通しが良くない環境
「ふきんをしっかりと洗えたとしても、風通しのよくない部屋で干していてはすぐに乾きません。そのため、ふきんに残った水分の中で雑菌が増殖し始めてしまうのです」(越智さん)
ふきんの洗い方は手洗い? 洗濯機?
ふきんの洗い方には大きく分けて手洗いのみと手洗い+洗濯機洗いがあります。
この選択自体に正解・不正解はありません。しかしどちらにもメリット・デメリットがあるため、自分の生活環境や考え方などにマッチした方法を選ぶと良いでしょう。
手洗いのメリット・デメリット
ふきんの洗い方として手洗いを選ぶメリットは、少ない水でふきん1枚からサッと洗えることです。
「ふきんの洗い方は使用後に、目に見える汚れを確実に取り除く手洗いを推奨します。除菌という観点では、使って汚れたら『すぐに洗う、すぐ乾かす』という『すぐ+すぐ』がポイント。使用してから時間がたつほど菌が増殖するためです」(越智さん)
デメリットとしては、手で一枚一枚洗うのは手間がかかったり、洗剤などによる手荒れが起こる可能性があることでしょう。
洗濯機で洗うメリット・デメリット
ふきんを洗濯機で洗うメリットは、洗濯機に入れてしまえば手を汚さず全自動でキレイになることです。
また、大量のふきんや大判のものも一気に対応が可能です。
デメリットとしては、洗濯機を回すタイミングまで汚れたふきんがそのままになることや、衣類などと一緒に洗うことへの抵抗感などが挙げられます。
【ウチコト編集部による検証】ふきんの洗い方で1番キレイになる方法はこれ!
実際に、ウチコト編集部にて数種類の手洗いと洗濯機洗いで、ふきんの汚れの落ち方を検証しました。
調理中や食事の際でありがちな、5種類の汚れの落ち具合を検証した結果がこちらです。
検証したすべての汚れの種類でほぼ真っ白に戻ったのは、手洗い後塩素系漂白剤でつけ置きした時でした。
ニオイは、煮沸や洗濯機で洗った際のカレー汚れに少し残っていたくらいで、その他は無臭に近い結果となりました。
さらに、同条件の汚れがついたふきんを、使用から2時間後に洗った場合と12時間後に洗った場合で違いを検証しました。
2時間後は夕食準備の開始から食後の後片付けタイミング、12時間後は夕食準備から一晩放置してしまった状況を想定しました。
それぞれの洗い方や結果の詳細をお伝えします。
手洗い+煮沸する
ふきんを手洗いし、煮沸消毒します。もっとも古典的ですが洗剤などを使用しない安全な方法とも言えます。
「日常のふきんの洗い方としてもおすすめですが、煮沸消毒したふきんは素手でつかまずにトングなどを利用してやけどしないように注意しましょう。使用後の手洗いに加えて週に1~2度は煮沸すると良いと思います」(越智さん)
[手順]
- 食器用洗剤で洗い、泡がなくなるまでしっかりすすぐ
- 沸騰した鍋で約1分ほどグツグツ煮る
- しっかりと絞って干す
※煮沸する際はステンレス製やホーロー製の鍋を使用してください。
検証してみると、12時間後に洗った方はかなり汚れ残りが目立ちました。
ソースやしょうゆのようなサラッとした液体の汚れは落ちやすいようです。
重曹を入れて煮沸すると汚れ落ちが良くなる
煮沸の際に重曹を使用すると水のアルカリ性が上がって汚れ落ちの効果がアップします。
重曹を使う場合はアルミ製の鍋は避け、冷水の時点で重曹(1リットルにつき大さじ1杯程度)を加えるようにしましょう。
手洗い+塩素系漂白剤につけ置き
すべてのタイプの汚れがすっきりとキレイになったのは手洗い+塩素系漂白剤つけ置きのみでした。
つけ置き時間はかかるものの、冷水でサッと準備できることなど、忙しい人にもマッチする方法です。
[手順]
- 食器用洗剤で洗い、泡がなくなるまでしっかりすすぐ
- 製品表示の使用方法で塩素系漂白剤につける
- すすぐ
- しっかりと絞って干す
ただし洗浄力が強い分、手荒れなどを引き起こしたりツンとする独特の塩素臭がします。
ゴム手袋を着用し、換気をしながら行っていきましょう。
また色柄もののふきんは色落ちすることがあるため塩素系漂白剤は使えません。
手洗い+酸素系漂白剤でつけ置き
酸素系漂白剤は、ケチャップ汚れがあまり落ちないという結果になりました。
また、カレー汚れもケチャップほどではありませんが、薄く残っています。
[手順]
- 食器用洗剤で洗い、泡がなくなるまでしっかりすすぐ
- 製品表示の使用方法で酸素系漂白剤につける
- すすぐ
- しっかりと絞って干す
塩素系ほど強力な洗浄力ではありませんが、色や柄のあるふきんにも使用できるのが特長です。
またほぼ無臭のため、塩素系のニオイが苦手な方にはおすすめできます。
手洗い+洗濯機で通常の洗濯物と一緒に洗う
ポンと洗濯機へ入れるだけで良いのが洗濯機洗いのメリットです。
しかしふきん汚れのようにピンポイントで汚れを落とす必要がある場合には、やや力及ばずといった結果となりました。
[手順]
- 食器用洗剤で洗い、泡がなくなるまでしっかりすすぐ
- 通常の洗濯物と一緒に洗濯する
- 脱水が完了したら干す
洗濯機洗いでは、カレー以外の汚れはほぼ落ちています。
そのうえ、煮沸や酸素系漂白剤では残っていたケチャップ汚れには効果を発揮しているので、汚れの種類に合わせて洗濯機洗いも取り入れていくと良いでしょう。
ふきんの洗濯機洗いは、「柔軟剤なし&重曹を追加」で
柔軟剤は香料を含むものが多いことや、吸水性が下がってしまうため、ふきん洗いでの使用は避けた方が無難です。
代わりに重曹を追加すると柔らかさが増します。
ふきん洗いは乾燥がポイント
ふきんをキレイに洗っても、速く確実に乾燥させなければ菌は再び増殖してしまいます。
天気が良ければ風通しの良い場所で天日干しを。
室内干しの場合も風通しの良い場所を選びます。換気扇程度の空気の流れは微弱のため、サーキュレーターなどの利用が有効です。
天日干しできない場合や、室内干しは避けたい場合などには、乾燥機を利用するのがおすすめです。
中でもガス式の衣類乾燥機は、天日干しと同等レベルの除菌効果が得られ、生乾き臭の原因となるモラクセラ菌の繁殖も抑えます。
さらに、ガス式の乾燥機はパワーが強いため、電気式の洗濯乾燥機に比べ、短い時間で仕上げることが出来ます。
ガス衣類乾燥機「乾太くん」なら5kgの洗濯物でも52分で乾かすことができます。通常の電気式乾燥機の3分の1の時間で、乾燥に時間がかかりません。
シワになりづらく、何より干す手間がなくなり、忙しい人たちに長い間支持されています。ガス衣類乾燥機の活用もおすすめですよ。
ふきんの洗い方Q&A
ふきんの洗い方のよくある疑問について、越智さんに答えていただきました。
Q. ふきんはどれくらいの頻度で洗うのが良いですか?
「理想は毎日です。使ったら洗う。それが理想ですが、最低でも週に2~3回は煮沸や漂白剤などで除菌してしっかり乾かしてください」(越智さん)
Q. ふきんの素材による洗い方の違いはありますか?
越智さんによると、「素材の耐久性や特性などによって異なります」とのこと。
「例えばマイクロファイバー素材は糸が細いので洗濯機で洗うとほどけてしまいがちです。そのためマイクロファイバーのふきんは手洗いがおすすめです。
セルロース素材は耐久性が高いので煮沸や漂白も可能なものが多く、乾燥機でも傷んだり縮んだりしづらいのが特長と言えます。
リネン素材は吸水性が良いのが特長ですが、熱に弱いため煮沸や酸素系漂白剤での除菌には向いていません。色物の場合は色落ちさせてしまう塩素系漂白剤もおすすめできません。
また、乾燥させると縮んでしまうので乾燥機の使用もNGです。
リネン素材の場合は、食器用洗剤でしっかりと洗浄してすすぎ、天日干しすることをおすすめします。
不織布は耐久性に乏しく、生地も薄くできています。手洗いで使用し、使い捨て前提のものが多いので、長くても1週間ほどで交換しましょう」(越智さん)
Q. 食器用洗剤で洗うだけ、というのはNGでしょうか
「使用後に食器用洗剤で洗うのは有効ですが、きちんとすすいでふきんの中に存在する目に見える汚れを取り除くことが重要です。
洗浄不足の場合、ふきんの中に残っている汚れを媒介として菌が増殖してしまいます。また、洗浄だけではなく、週に2~3回は煮沸や漂白剤などによる除菌を行うことで、洗浄と除菌をしっかり行うことがおすすめです」(越智さん)
Q. 食器用洗剤と衣類用洗剤、どちらで洗うべきですか?
越智さんによると、「ふきんに付着する汚れの多くは食べ物由来ですので、食器用洗剤で洗浄し、よごれをしっかりと取り除くことが大切です」とのこと。
「洗濯機洗い、手洗いいずれの場合でも、まずは食器用洗剤で洗うことをおすすめします。その後、洗濯機で洗う際は衣類用洗剤を使用しましょう」(越智さん)
ただし、食器用洗剤が残留したままだと漂白剤が100%機能しないため、泡が出なくなるまで十分にすすぐことも重要です。
Q. 臭うふきんに触れて雑菌臭が手についた場合、効果的な取り方はありますか?
ハンドソープをしっかり泡立てて、雑菌臭の原因となる汚れを取り除くのが良いです。
Q. 漂白剤でのつけおきは、お湯のほうが効果的ですか?
「家庭用漂白剤には主に塩素系と酸素系があります。いずれの漂白剤も温度を上げることで効果は上がりますが、塩素系漂白剤は高温条件で使用することで成分の安定性が悪くなる、または臭気がきつくなるなどの問題もあります。また、製品により最適な使用濃度は異なります。
そのため、漂白剤の使用温度については各製品の形態(液体・粉末)や使用方法に準じて設定してください」(越智さん)
Q. ふきんは、どれくらいの汚れになったら廃棄すべきですか?
越智さんによると、使用頻度や除菌頻度などにもよりますが、1ヶ月使用したら廃棄することを目安にするのがおすすめだそう。
ただし、洗っても汚れが取れない場合や吸水性が悪化したら、そのタイミングで廃棄するようにしましょう。
まとめ
ふきんの洗い方は、汚れの種類や生活スタイルなどに合わせて手洗いか洗濯機洗いを選択しましょう。
いずれにしても、『汚れたらすぐに洗って、よくすすぎ、すぐ乾かす』ということが大切です。
清潔なふきんで衛生的なキッチンまわりを保っていきたいですね。