ひといちばい敏感な子、「HSC」とは?
HSCとは、「Highly Sensitive Child」の略で、「とても敏感な子」という意味です。「ひといちばい敏感な子」とも呼ばれています。
「敏感」な分野は子どもによって個人差がありますが、多くの場合は、触覚・聴覚などの五感が鋭かったり、人の気持ちなどを敏感に察したりするのが特徴です。
これは育て方によるものではなく、生まれつき持つ性質であることが研究から分かっています。
成長しても、敏感な性質は基本的には変わらず、大人の場合は「HSP(Highly Sensitive Person)」と呼ばれます。
HSC・HSPの割合は、人種や性別に関わらず、全体の15~20%で、およそ5人に1人と言われています。
少数派ではありますが、家族や友だちの中にいても珍しくはありません。
HSCは「臆病」「内向的」な子?
HSCの子は、いろいろなことを人よりも強く感じています。
その結果、たとえば、皆でにぎやかに遊んでいる中に入りたがらない、服のタグや湿ったにおいを嫌がって着ない、食べたがらない物が多い、ちょっとしたけがをものすごく痛がる・・・など、いろいろなことに対して他の子とは違う反応が多くなります。
そのため、「臆病」とか「内向的」などと思われることもありますが、これはちょっと違います。
例えば、全く知らない人たちが大声で怒鳴り合っているところに入っていくのは、誰でも尻込みしますよね。
でも、HSCの子は人よりも刺激を強く感じるので、たくさんの子どもたちがにぎやかに遊んでいるだけでも、それと同じように感じてしまうのです。
つまり、HSCの子は「反応」が人と違うのではなく、「感じ方」が人と違っていて、結果的に、反応が違って見えるだけなのです。
だから、HSCであっても、いろいろな経験を積んで自分に自信をつけることで、新しいことに挑戦したり、人とうまく接することもできるようになります。
そのためには、周囲がその子の「敏感さ」を理解して、その子のペースでサポートしてあげることが大切です。
HSC・HSPは人類に不可欠な存在
そもそも、どうして一定の割合でHSC・HSPが生まれるのでしょうか?
それは、人類の進化の歴史の中で、「大胆に挑戦する人」と、「慎重で用心深い人」の両方が必要だったからだと考えられています。
多くの場合、大胆に挑戦する人が道を切り開きますが、ときには、慎重に用心深く考えないと危険を避けられないときもあります。
五感が鋭く、ちょっとした変化を敏感に感じて用心できるHSC・HSPは、「群れ」として全滅を避けるために必要不可欠な存在なのです。
現代社会においても、人類が持続可能な発展をしていくためには、とても大切な役割だと思います。
HSCが苦手なこと、得意なこと
HSCの子にも個人差がありますが、苦手なこと・得意なことのよくある例は以下のようなものです。
HSCが苦手なこと
●集団遊びの中に入る
たくさんの子どもや人が遊んでいる中に、すぐに入ることができません。保育園・幼稚園・学校でも、慣れるのに人より時間がかかります。
●知らない人と話す、注目される
いわゆる人見知りをしやすく、知らない人に注目されるのを嫌がります。人前で発表などをするためには、人よりたくさんの準備が必要です。
●痛みや不快感を我慢する
人よりも強く痛みや不快感を感じるので、特に小さな子どもの頃は、それを我慢するのが大変です。服の肌触りやにおいなど、人が気付かないことも敏感に感じて嫌がることがあります。
●いろいろな食べ物を食べる
味覚や嗅覚に敏感なので、食べられない物が多くなりがちです。特に初めてのものを食べるのは抵抗があり、同じものばかり食べたがります。
●新しいものや変化に対応する
新しいことに挑戦することは刺激が強いので、しっかり準備が必要です。周りから見るとちょっとした変化でも、ドキドキして不安になります。
●急な予定の変更に対応する
突然のことにびっくりしやすく、急な予定の変更には動揺します。何事にも、心の準備がひといちばい必要です。
HSCが得意なこと
●細かな変化や違いに気が付く
季節の変化、ささやかな香りや隠し味、小さな生き物の様子など、細かなことにもよく気が付き、楽しむことができます。
●人の気持ちを察する
人の表情や仕草、声のトーンなどのささいな変化から、人の気持ちを敏感に察します。困っている人には、優しい気遣いや配慮ができます。
●ルールや決まりを守る
特に集団や公共の場でのルールや決まりはきちんと守り、他の人も守るべきだと考えます。真面目で正義感が強いところがあります。
●行動の前に慎重に観察する
いつもじっくりと周囲を観察し、注意しながら行動をします。不注意・軽率な行動でトラブルに遭う割合が少ないと言われています。
●しっかりと準備をする
突然の出来事が苦手な分、計画的な行動が得意です。あらかじめ準備をし、予定を立てて、リスクを最小限にすることができます。
●じっくり深く物事を考える
どんなことも一つ一つよく考え、いろいろな可能性を検討できます。研究者、哲学者、作家、芸術家など、繊細な思考や表現を生かせる道に進む人もいます。
HSCを育てる親が知っておきたい12のポイント
HSCは生まれつきの気質ですが、環境に敏感な分、育て方の影響を受けやすい子でもあります。
その子に合った対応をして育てれば、良いこともひといちばい吸収して、ひといちばい幸せを感じることもできます。
実は、うちの上の子もHSCです。それに気付くまでは本当に大変で、どうしてこの子はこうなんだろう・・・と悩んでいました。
だから、「育てにくさ」を感じる気持ちはよく分かります。でも、HSCであることを意識して対応することで、確実に反応が変わり、伸び伸びと成長していくことも実際に感じています。
HSCの子を育てるときに知っておきたい、12のポイントについて解説します。
1.子どもの感覚を信じる
HSCの子は、痛みや不快感を訴えるときに、周囲から大げさに思われがちです。ちょっと打っただけで「いたいー!!」と大騒ぎし、服からちょっと湿ったにおいがすると「臭いから着ない!」と拒絶します。
でも、感覚が人より鋭敏なので、周囲から見たら「ちょっと」でも、本人はそれ以上の痛みや不快感を感じているのです。「これくらい大丈夫でしょ!」と自分の感覚で押し通さず、子どもの感覚を信じましょう。
痛がっていたら、「痛かったんだね」と寄り添って慰めてあげましょう。服などは、タグを取る、においがつかない対策をする、本人が好きな着心地のものを用意しておくなど、子どもの感覚に合わせる工夫をすることがおすすめです。
2.叱るときは優しく話す
HSCの子は、人から言われる言葉や口調・表情などを、ひといちばい強く感じます。「だめでしょ!」と軽く言ったことが、「ダメだろう!!」と怒鳴られたくらいに感じるということです。
また、自分の失敗や間違いを、こちらが思う以上に気にしているところもあります。だから、叱るときは、怒鳴ったり強い言葉で言わず、なるべく優しく話して注意することがおすすめです。
注意しても、素直に反省していないように見えることもあります。そういうときは、内心後悔して自分をすごく責めているけれど、それが認められなくて頑なになっているのかもしれません。
ケンカの場合は、相手にされたことを強く受け取るので、とてもひどいことをされたんだから相手が悪い、と頑なになっている場合もあります。
いずれにせよ、強い口調や罰や脅しで、ますます刺激を与えるのは逆効果です。怒りや興奮が収まらないようなら、まずは落ち着くまで待つ「クールダウン」の時間を設けることがおすすめです。抱きしめたり、なでたりといったスキンシップをすることで、落ち着きやすくなる場合もあります。動揺している気持ちが落ち着けば、ちゃんと反省することができます。
3.褒めるときは具体的に伝える
HSCの子は、褒められて伸びる子です。
環境に影響されやすい分、安心できる環境で育つと、良い影響をちゃんと受け取ることができます。子どもが得意なこと、好きなこと、頑張ったことがあれば、こまめに褒めましょう。「ママ・パパはうれしいよ」「助かったよ、ありがとう」など、うれしい気持ちを伝えてあげることもおすすめです。
ただし、思慮深く鋭いところがあるので、お世辞を言ったり大げさに言い過ぎると、褒め言葉を信じられなくなってしまいます。
「自分でさっと着替えができてすごいね」「前はできなかったのに、できるようになって頑張ったね」など、何がどうよかったかを、なるべく具体的に伝えてあげましょう。
4.気持ちを言葉にしてあげる
HSCの子はさまざまなことで感情を刺激されるので、どうしたらいいのか分からなくて、かんしゃくを起こすことがあります。
その結果、「ママが悪いんだー!!」など、周囲に対する文句や不満を喚くこともあります。でも、「なんでそんなこと言うの!」などと叱ると、ますますパニックになってしまいます。人への批判は、ショックで傷ついた気持ちや、自分がああすればよかったという後悔の気持ちの裏返しだからです。
そんなときに大切なのは、子どもの気持ちを言葉にしてあげることです。「これが嫌だったんだね、ショックだったよね」「思ったようにできなくて、悲しくなっちゃったんだね」など、親が子どもの気持ちを想像して、言葉にしてあげましょう。自分の気持ちを分かってもらえたと感じると、落ち着きやすくなります。
また、それを続けることで、だんだんと本人が自分の気持ちを言葉にできるようになっていき、かんしゃくやパニックが減っていきます。
5.集団に入るには時間をかける
HSCの子は、にぎやかな場所や、人に注目されることが苦手な傾向があります。騒がしい声や音、空気の埃っぽさ、人が自分をどう思うかなどを敏感に感じ取ってしまうからです。
例えば、幼稚園・保育園・学校などの集団生活の場では、慣れるまでに時間がかかり、登園で毎日泣いたり、皆の輪に入りたがらなかったり、発表会を嫌がったりしがちです。親としては、皆と同じようにできないことは不安かもしれません。
でも、HSCの子は、お友だちと遊んだり、人と関わること自体が嫌いなわけではありませんし、安心できる環境でなら、自分の能力を発揮することができます。無理に同じにさせようとせず、子ども自身のペースで「安心できる」と思えるようにしていくことが大切です。「不安だよね。でも大丈夫だよ」と根気強く伝え、時間をかけて慣れるようにしていきましょう。
幼稚園・保育園の場合、なるべく少人数制のゆったりとした園を選んだり、先生に理解してもらって、無理にお遊戯に入れないなどの協力をしてもらうことが理想です。
学校の場合、刺激や課題がさらに多くなるので、先生のHSCに対する理解と協力がより必要となります。場に慣れて不安が少なくなれば、その子なりに伸び伸びと過ごすことができます。
6.一度にたくさんのことをさせない
HSCの子は、一つ一つの物事からいろいろなことを考えます。だから、たくさんのことが一度にくると、キャパオーバーになってしまいがちです。
例えば、朝の忙しいときなどに、「早くあれしてこれして、それもやって!」などと一度に言うと、パニックになって何もできなくなってしまいます。
また、買い物でお菓子を買ってあげるときなどでも、一つ一つの可能性を考えるので選ぶのに時間がかかり、「早く決めて!」などと急かすと、ますます選べなくなります。
まずは、焦るような状況をつくらないよう、早寝早起きする、待てる時間を確保するなどの工夫をすることが大切です。やることが複数あるときは、一度に言わず、一つ一つクリアしていく方がスムーズです。また、子どもがやろうとしていたり、考えている最中には、横からいろいろ言わないようにしましょう。
7.回復時間をたっぷり取る
HSCの子は、周囲の環境からひといちばい刺激を受けるので、とても疲れやすいです。
例えば、幼稚園・保育園・学校などの集団生活や、パーティーなどいろいろな人が集まる場などでは、身も心も疲れてしまいがちです。疲れてしまったときは、安心できる環境で、一人でゆったりと自分の時間を過ごすことで回復していきます。いわば、回復のための「ダウンタイム」が必要なのです。
また、HSCの子は、自分自身のコンディションの影響も受けやすく、疲労、空腹、眠気、恥ずかしさ、イライラなどがあると、かんしゃくを起こしたり、言うことを聞けなくなったりすることもあります。
それをなるべく事前に予想して、子どもの欲求に対応してあげることがおすすめです。
HSCの子の要求は「わがまま」と思われがちなところもあり、それに一つ一つ対応することも「甘やかしている」などと言われがちです。
でも、ひといちばい疲れやすいHSCのコンディションを整えてあげることは、お互いにとって大切なことなのです。
8.心の準備をしっかりする
HSCの子にとって、突然の出来事は刺激が強すぎるので、本人があらかじめ予想ができることが大切になります。決めていた予定が変わると、とても嫌がります。やむを得ないときは、強引に進めずに、きちんと丁寧に説明しましょう。
また、よかれと思ってやったサプライズで泣いてしまう、ということもあります。心の準備ができていないことは、なるべくしないようにしましょう。
逆に言えば、準備や練習がしっかりできていれば、人前で発表するなど、注目を集めるようなこともできるようになります。子どもの頃は、自分だけでは十分な準備ができないこともあるので、親がサポートしてあげることがおすすめです。
また、HSCが一番安心できるのは、規則正しい生活リズムを身に付けることや、毎日のルーティンを決めることです。朝の準備や寝る前にやることなどは、いつも同じことを、同じ時間に、同じ順番でやることで、子どもが次の行動に移りやすくなります。
9.挑戦を後押しする
HSCの子は、失敗や間違いにひといちばい傷つきやすいところがあるため、新しいことへの挑戦を避けがちです。でも、実際には他の子と同じだけの能力があるので、やってみればできるようになることもたくさんあります。
「やりたくない」という気持ちを尊重することも大切ですが、できることも避けてばかりだと、自信をつけることができません。子どもの気持ちを受け止めながらも、挑戦を後押ししてあげることが大切です。
そのためには、目標を細かく分けて、一つ一つ達成できるような「スモールステップ」を設定することがおすすめです。小さなことでも、その都度褒めてあげることで、またやってみようという気持ちになれます。また、「一度だけやってみて、無理ならもうやらなくてもいいよ」などと、「安全基地」をあらかじめつくってあげることも有効です。
特に経験の少ない子どもの頃は、十分できることなのに尻込みしてしまうことや、本当はやりたいけど迷ってしまうことがよくあります。親から見て、「これなら絶対できる!」と確信のあるときは、背中を押してあげることも大切です。「ちょっと怖かったけど、やってみたらできた」という成功体験の積み重ねによって、だんだんと自信がつき、自分から新しい挑戦もできるようになっていきます。
10.「いい子」すぎたら要注意
HSCの子は、家庭が安心できる場所だと、自分の気持ちを外に出していいと思えます。すると、家でかんしゃくを起こしたり、文句やネガテイブな気持ちをたくさん伝えてきたりと、とても「手が掛かる子」になります。
また、親の言葉の嘘や矛盾を指摘したり、鋭い批判をしてくることもあります。
でもそれは、そうしても受け入れてもらえる、と思っているからこそできるのです。特に、幼稚園・保育園や学校などでは大きな問題を起こしていない場合、外では気を遣って頑張っているからこそ、家では安心してありのままに過ごしているということもあります。
だから、子どもに手が掛かるのは、基本的に子育てがうまくいっている証拠なのです。
逆に、HSCの子が家でもすごく「いい子」にしているときは、周囲に気を遣うあまり、本当の気持ちを抑え込んでいる可能性があります。それが続くと、大人になってから苦しくなったり、爆発してしまうことがあります。「手が掛からない子」になっているときは、「無理をしないでね」「嫌なときは嫌って言っていいんだよ」などと声を掛け、意識して甘えさせてあげるようにしましょう。
11.ママ・パパも休息をとる
HSCの子に対応するのは、とても根気が要ります。「手間が掛かる」と思うようなこともたくさんあります。でも、そんな親の気持ちをひといちばい敏感に察するのがHSCなので、親がイライラしていると子どももますます不安定になって、ますます大変になるという悪循環になります。
そんなときは、自分自身のケアをすることも大切です。どんなに優しいママやパパでも、疲れていたり、寝不足だったり、ストレスが溜まっていたら、HSCの細かな欲求には対応しきれません。
HSCの子は、親と離れるのをひといちばい不安がる傾向にありますが、親が休息をするために子どもを預けるのは、お互いにとって大切なことです。
ただし、預けることで子どもがもっと不安定になっては本末転倒なので、なるべく同じ人・場所に預ける、少人数の騒がしくないところを探すなど、子どもが安心できる環境を選ぶことがおすすめです。子どもと離れる時間も持つことで、親の気持ちが安定すれば、子どもの気持ちも安定しやすくなります。
12.何でも敏感さのせいにしない
これまで見てきたように、HSCの子には敏感さからくるいろいろな特徴がありますが、それ以外は「普通の子」です。
HSCだからといって、本人が十分できること、やりたがることを全くやらせなかったり、最初から選択肢を狭めすぎてしまうと、子どもの可能性も狭めてしまいかねません。
また、HSCの敏感さがきっかけだったとしても、人を傷つけたり迷惑を掛けるような言葉や行動は、やってはいけないことだと教えなくてはいけません。「HSCだから仕方ない」と思うのではなく、感じ方や気持ちは尊重しながらも、正しい言葉や行動を伝えていく必要があります。
HSCは5人に1人ですが、残り4人の子たちにもいろいろな気質があります。怒りんぼうの子、気まぐれな子、のんびり屋の子など、誰もがそれぞれの課題や個性を持っています。
HSCについて理解することは大切ですが、HSCであろうとなかろうと、子ども一人一人の個性をよく見ることが大切です。そして、その子自身の興味や才能を見つけて、伸ばしていけるようにしましょう。
「うちの子、HSCかな?」と思ったときは・・・
HSCは5人に1人の割合であらわれる気質であり、病気や発達障害ではありません。そのため、医師の診断がつくわけではありませんし、公的な支援制度もありません。HSCかどうかを判断するには、チェックリストが掲載されている専門の本で確認してみましょう。
【チェックリスト掲載のおすすめの本】
◆エレイン・N・アーロン『ひといちばい敏感な子』(2021年発行・青春出版社)
…HSCの概念を提唱した米国の心理学者、エレイン・アーロン氏の本です。彼女自身もHSCを育てたママであり、研究者と母親の両方の観点から、HSCの特徴や育て方について詳しく書いています。
◆明橋大二『HSCの子育てハッピーアドバイス』(2018年発行・1万年堂出版)
…アーロン氏の論を基に、漫画とイラストで分かりやすく解説した本。学校の先生向けの章もあるので、先生に読んでもらうのもおすすめです。
また、HSCの親が有志で集まっている親の会や、勉強会なども各地で開かれています。
同じ経験を持つ親同士で話してみたい方は、「HSC 親の会」などのキーワードで調べてみましょう。
HSCと発達障害の違い
HSCは、ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)などの発達障害と誤解されることもあります。
しかし、発達障害とは明確に異なる部分があります。
ADHD(注意欠如・多動症)は、「気が散りやすい」「じっとしていられない」などの特徴があります。HSCでも、人よりもさまざまなものに敏感に反応して気を取られてしまったり、刺激を受けすぎて興奮してしまうことがあります。
ただし、HSCの場合は、馴れていて刺激が少ない環境であれば、集中力を発揮することができます。
ASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)は、「感覚が敏感」「こだわりが強い」などの特徴があります。HSCでも、五感が人よりも敏感で、刺激を少なくするために、いつもと同じものにこだわることがあります。
ただし、ASDが「人の気持ち」には気付きにくいのに対して、HSCの場合は、人の気持ちにも敏感なところがあります。
ただし、専門家でなければ違いが分かりにくいところもあります。気になるようなら、一度専門の医師の診断を受けることをおすすめします。さまざまな専門家に協力してもらいながら、その子に合った対応をしていくことが大切です。
おわりに
ひといちばい敏感な子、HSC(Highly Sensitive Child)とは何か、苦手なことや得意なこと、親が知っておきたい育て方の12のポイントについてご紹介しました。
HSCの子を育てるのは大変なこともありますが、繊細な感性から気付かされることもたくさんあります。
HSC・HSPについて理解することは、人の多様性を知り、一人一人の個性を尊重することにもつながります。
HSCの子が、その子らしく伸び伸びと生きられるように、大切に育てていきましょう。
参考:エレイン・N・アーロン『ひといちばい敏感な子』(2021年発行・青春出版社)
参考:明橋大二『HSCの子育てハッピーアドバイス』(2018年発行・1万年堂出版)