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更新日: 2018年01月11日
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【教育研究家に聞く】やる気・協調性・最終学歴に影響がある?! 「自然体験」の効果とは?

子どもの頃の「自然体験」は大切だと言われますが、自然体験には一体どんな効果があるのでしょうか? また、どんなことをすれば、効果的な自然体験になるのでしょうか? 実は、「自然体験」は子どもの「やる気」に影響がでてくるようです。教育研究家の征矢里沙さんに、自然体験の効果や「やる気」を育てるコツ、首都圏でできる自然体験の方法についてご紹介いただきました。

9歳までにさせてあげたい! 「自然体験」の驚きの効果とは?

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「自然体験」というと何を連想しますか?
キャンプ、海水浴、山登り、ハイキング、森林アスレチックなど、ハードルが高いアウトドアをイメージする方もいるかもしれませんね。

それだけではなく、もっと身近な、どろんこ遊びや砂遊び、虫とり、川遊び、雪遊び、虫を飼う、花を育てる、なども立派な「自然体験」です。

幼少期のこうした自然体験活動には、実は驚きの効果があることが、様々な研究から分かっています。

自然体験が「やる気」「協調性」「最終学歴」につながる!?

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武蔵野学院大学の福田直教授の調査では、幼少期(幼稚園~小学3年生)までの自然体験活動(どろんこ遊び、虫とり、魚釣り、キャンプ、山登り、川遊び、海水浴、ハイキング、林遊び、雪遊び、砂遊びなど)の有無と、高校生になってからの子どもの特性との関連性を明らかにしました。

その結果、幼少期に自然体験が「かなりある」「ある」に分類されたグループの方が、「積極性」「責任感」「自然への関心」「協調性」が高いことが分かりました。

また、国立青少年振興機構の調査では、「子どもの頃に積極的な自然体験(海や川で貝を採ったり、魚を釣ったりした、海や川で泳いだ、米や野菜などを栽培した、チョウやトンボ、バッタなどの昆虫をつかまえたなど)をした者の方が、最終学歴が高い」という分析結果も伝えています。

もちろん最終学歴というのは一面で、積極性・責任感・意欲・関心など、いわゆる「やる気」が高まった結果の一つではないかと考えられます。
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前者の調査では、幼少期を「幼稚園~小学3年生」と設定して調査しています。

一方で後者の調査では、「小学校低学年」までは、動植物とのかかわり(米や野菜などを栽培したことや花を育てたこと、ペットなどの生き物の世話をしたこと、チョウやトンボ、バッタなどの昆虫をつかまえたこと、野鳥を見たり、鳴く声を聞いたこと、など)等が大切だと結論づけていますが、「小学校高学年から中学生」までは、むしろ地域や家族とのかかわりが大切だと述べています。

このことから、【小学校低学年の9歳頃まで】には、自然体験や動植物との関わりをたくさんさせてあげることが、「やる気」等を育てるために大切なことの一つだと考えられます。

参考:武蔵野学院大学 福田直「幼少期の自然体験活動と子供の変容」(けやの森学園発行 小冊子より)
参考:独立行政法人 国立青少年振興機構「子どもの体験活動の実態に関する調査研究」報告書〔概要〕-子どもの頃の体験は,その後の人生に影響する-」

「やる気」を育てる! 効果的な自然体験のコツとは?

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なぜ、自然体験によって「やる気」が高まるのでしょうか。
あるいは、どんな体験をさせれば、「やる気」を高めることができるのでしょうか。
自然体験で「やる気」を育てるというと、熱血指導が必要なように感じるかもしれませんが、そうではないと考えています。

そのヒントの一つとして「センス・オブ・ワンダー」という一冊の本があります。

自然体験のキーワード「センス・オブ・ワンダー」とは?

417e87tzh8l 出典:https://www.amazon.co.jp
レイチェル・L. カーソン「センス・オブ・ワンダー」、新潮社、発行:1996/7/1
「環境問題」を世界で初めて指摘した女性をご存じですか?
それは、アメリカのレイチェル・カーソンという女性です。彼女の著書「沈黙の春」をきっかけに、環境問題が人々に広く認識され、環境保護活動の始まりとなったと言われています。

自然を心から愛した彼女が、晩年に書いた「センス・オブ・ワンダー」という本があります。

この中で彼女は、子どもの「センス・オブ・ワンダー(sense of wonder)=驚いたり、不思議に思う感性」をはぐくむことの重要性について、自然の中で「(子どもにとって)きれいなもの、新しいもの、未知なものに触れて感動したり、不思議だなと思う感性」をはぐくむことが大切だと語っています。

そして、この感性があれば、そう感じたものについてもっとよく知りたいと思うようになり、それをきっかけで学んだ知識はしっかりと身に付く、とも伝えています。

「感じる力」が「やる気」につながる!?

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レイチェル・カーソンが伝えているのは、「感性」、つまり「感じる」ことの大切さです。

「わたしは、子どもにとっても、どのようにして子どもを教育すべきか頭をなやませている親にとっても、『知る』ことは『感じる』ことの半分も重要ではないと固く信じています。(略)
消化する能力がまだ備わっていない子供に、事実をうのみにさせるよりも、むしろ子供が知りたがるような道を切り開いてやることの方がどんなに大切か分かりません」

つまり、自然体験の中で大人があれこれ教えたり、知識や技術を身につけさせようとするのではなく、子どもが自然の中の色々なものを自由に見て、聞いて、感じることが大切なのです。
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人工的な街中に比べて、自然の中には子どもにとって本能的に不思議だと感じるものがたくさんあります。また、温度、触感、臭い、音など、五感を使って感じられるものの宝庫でもあります。

そんな中で、色々なことに対して「驚いたり、不思議に思う感性」を育てることで、様々なことに興味を持ち、「もっと知りたい」「やってみたい」「できるようになりたい」と自発的に思えるようになるのではないでしょうか。

それが、つまり「やる気」につながるのではないかと考えられます。

大人は何も教えないのがコツ!?

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自然体験をさせるというと、大人がたくさん準備をしたり、知識や技術、道具がないといけないのでは・・・と思う方もいるかもしれません。

でも、「やる気」をはぐくむための効果的な自然体験、という観点からすれば、大人があれこれ教えたりする必要は、実はほとんどありません。

植物や虫などについて、「これは○○だよ。この虫の習性はね・・・」と教えることをしない方が、子ども自身が「この虫はどんな虫なんだろう。面白いな、不思議だな」と自由に感じることができます。
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かといって、大人がただ子どもを自然の中に放って、全く何もしないということではありません。レイチェル・カーソンは、こんな風に言っています。

「生まれつきそなわっている子どもの『センス・オブ・ワンダー』をいつも新鮮に保ち続けるためには、私たちが住んでいる世界の喜び・感激・神秘などを、子どもと一緒に再発見し、感動を分かち合ってくれる大人が、少なくとも一人、そばにいる必要があります」

つまり、子どもに自然体験をさせるためのコツは、親が子どもと一緒に自然を見つめ、一緒に感動したり、子どもの感動に共感したりすること。後になって、子どもがもっと知りたくなったら、調べるのを手伝ってあげるとよいかもしれません。

参考・引用:レイチェル・L. カーソン「センス・オブ・ワンダー」、新潮社、発行:1996/7/1

首都圏でもできる! 年齢別の効果的な自然体験

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「センス・オブ・ワンダー」を育てる、という観点からすれば、身近な自然の中でもたくさんの体験をすることができます。

もちろん、親がアウトドア好きなら、休日や長期休暇などにどんどん連れていってあげると良いですが、そうでない場合もできることはたくさんあります。

年齢別の、効果的な自然体験の方法についてご紹介します。

0~2歳の自然体験

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0~2歳の子どもに、一番おすすめの自然体験は「お散歩」です。
お散歩の場所は、緑や土があるところであれば、お庭でも、ご近所でも、公園でも構いません。

0歳なら、抱っこやベビーカーでのお散歩になりますが、ときには、芝生や土や砂の上を直接はいはいさせてみると、様々な触感や、いつもと違った視点を体験することができます。
歩けるようになったら、子どものペースに合わせて、ゆっくり歩いてみて下さい。
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あっちに行ったり、こっちに行ったりしてしまうと思いますが、できるだけ自由に、子どもの興味や感じるままについて行ってみましょう。

大人にとっては何もないと思うところでも、小さな子どもにとっては珍しいものだらけです。
特に2~3歳は、「小さなもの」に興味を持つと言われており、大人が気づかないような小さな虫の動きや、小さな音などをじっと感じていることがあります。

子どもサイズの小さな自然に、心ゆくまで浸らせてあげるだけで、子どもにとっては自然体験になります。

3~5歳の自然体験

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3~5歳の子どもにおすすめの自然体験も、身近な場所で十分出来ます。

手足がだんだん自由に動くようになってくるので、どろんこ遊びなどで土に触れたり、小川や池で水に触れたり、木登りをしたり、虫取りをしたり、どんぐりを拾うなど、身体を大きく動かして遊ぶことのできる自然公園や緑地などへ行くとよいですね。
果物狩りや芋掘りなどの体験も、食と結びつけて楽しむことができます。

この時期の子どもは、冒険心が出てくる一方でまだ不安もあり、「繰り返し」や「安心感」を好みます。わざわざ遠くへ連れていったり、いつも違う場所に連れて行かなくても、身近な自然の中でゆっくり過ごすことで、色々な体験をすることができます。

同じ場所でも、季節によって少しずつ変化していくことを感じられたら、この年齢の子どもにとっては新鮮で面白い体験になります。

6歳~の自然体験

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小学生になると、できることは大きく増えていきます。

外で遊ぶだけでなく、取った虫や小魚を家で飼ってみたり、花を育ててみたり、外遊びの延長で家で継続できることも楽しめるようになります。
稲刈りや畑仕事なども、大切な自然体験のひとつです。

家族でキャンプに行ったり、ハイキングや海水浴、スキー(雪遊び)などを楽しむのも理想です。

キャンプや合宿は、様々な団体が子どもだけで参加できる企画を主催しています。一人でお泊まりはまだちょっと…、という子どもには、デイキャンプなど宿泊のないキャンプを主催している団体もあります。
また、普段からできることとして、「プレーパーク」のような、自然体験ができる場所を活用することもおすすめです。

「プレーパーク(冒険遊び場)」とは、「自分の責任で自由に遊ぶ」をモットーにして、全国各地、様々な場所に開設されている遊び場です。

街中の身近な場所にありながら、「木登り」「焚き火」「泥遊び」など、普通の公園ではなかなかすることができない遊びを、常駐の「プレーリーダー」や地域のボランティアに見守られながら、思いっきり楽しめます。

また、シーソーや滑り台など既存の遊具ではなく、土地の特徴を生かした素朴な遊具で、子どもが自由な発想で遊べるのも特徴です。

遠い山や森の中に行かなくても、立派な自然体験ができます。
ぜひ一度、おうちの近くのプレーパーク(冒険遊び場)を探してみて下さい。

おわりに

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自然体験の様々な効果や、自然体験を通して「やる気」のある子どもを育てるコツ、首都圏でもできる年齢別のおすすめ自然体験についてお伝えしました。

大人が特別なことをするのではなく、むしろ子どもが感じることを見守りながら、一緒に感動したり共感してあげることが大切です。
自然の中でのびのびと楽しいひとときを過ごすことが、子どもの力になれたら嬉しいですね。

プロフィール紹介

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征矢里沙
・『生きる力』をはぐくむ教育研究家
・NPO法人いきはぐ代表

子ども達の『生きる力』をはぐくむという観点から、様々な教育を研究。大学卒業後、社会人経験を経て、NPO法人いきはぐを設立。全国100ヶ所以上の学校・幼稚園・保育園等を実際に訪問して取材をするなど、『生きる力』をはぐくむ教育を広めるために活動。現在、1歳と4歳の男児二人の母としても奮闘中。

ホームページ:NPO法人いきはぐ

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