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米粉と小麦粉と片栗粉

米粉の代用には片栗粉? 上新粉? 小麦粉の代わりに使う方法や適した料理法とは

健康志向を背景に注目を集める米粉料理。管理栄養士で米粉研究家の中村りえさんによると、米粉はパン、お菓子、料理と多様な用途に使えるのだといいます。米粉はどんな料理に適していて、どんな特徴があるのでしょうか。また片栗粉、上新粉、白玉粉など他の粉でも代用可能なのでしょうか。詳しくお話を伺いました。

最終更新日:2024.10.1

目 次

米粉の種類や上新粉、白玉粉、もち粉との違いが知りたい

米粉

PIXTA

小麦アレルギーやセリアック病が話題になる中で、米粉の良さが改めて見直され、店頭での取り扱いも増えています。米粉とは、脱穀・乾燥させた米の粒を粉砕して粉にしたものですが、料理に使う際には、小麦粉の代用として使えるのでしょうか。また上新粉や白玉粉なども米粉の仲間ですが、米粉の代用になるのでしょうか。

管理栄養士で米粉研究家の中村りえさんに、「米粉はどんな料理に適していてどんな特徴があるのか」についてお話を伺いました。

中村りえさん

Rie Nakamura

「米粉の特徴は何といってもその美味しさです」と中村さん。家族に小麦アレルギーが発症したのをきっかけに、米粉でパンやお菓子を作るようになって、小麦粉と違う味わいに驚いたと言います。特に蒸しパンを作った時、お米の持つ甘味やモチモチした食感があり、小麦粉で作った蒸しパンとは別物のように感じたそう。

うるち米を粉砕して作られた粉には、パン用米粉や米粉、上新粉があります。また、もち米を原料とする粉には、白玉粉やもち粉があります。パン用と記載のない米粉には、用途の記載がない場合と「製菓用」と記載がある場合があり、同じように使えるのだそうです。

パン用米粉の特徴

米粉のパン

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「パン用米粉の特徴は、粒子が細かくパンを作った時にふわっと仕上がることです。高機能の製粉機を使っているため、細かい粒子にしつつも、でんぷん質の損傷は少なくて、釜伸びする生地に仕上がります。気泡を包み込んでふわっと膨らむんです」と中村さん。

ふわっとした食感を出すには、粒子が細かい方が良いのだと言います。それだけ手間をかけて製粉しているパン用米粉は一般的な米粉よりお高めですが、パンを作る用途に使いたいという方には最適な米粉です。

一般的な米粉の特徴

米粉のパン

PIXTA

製菓用と記載があったり、用途の記載がない米粉は、汎用性の高い米粉なのだそう。パン用米粉と比べて粒子が大きめで、お手頃価格なのも特徴。パンだけでなく、お菓子や料理など幅広く使いたい場合には、こちらの米粉で良いと中村さんは言います。

「製菓用の米粉でパンを作る場合、粉の粒子が大きめなので粘りが強くなります。パンとしては歯切れの良さや口溶けの良さをプラスしたいので、片栗粉やタピオカ粉、コーンスターチを加えるのがおすすめ。また、そのままでは成形しにくいので、お豆腐を混ぜるのも良いですよ」と中村さん。

製菓用の米粉でパンを作ると、薄力粉で作ったパンの食感に近くなるそうです。製菓用米粉は薄力粉の代わり、パン用米粉は強力粉の代わりと覚えておくと良いですね。

上新粉の特徴

団子

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上新粉も米粉の一種です。一般的な米粉の違いは粒子の大きさ。上新粉は一般的な米粉より、さらに粒子が大きめでもっちり感が強いのが特徴。

中村さん「上新粉の得意分野は和菓子。柏餅のようなどっしり感が欲しい時やもちっとした食感のかるかんなども美味しく仕上がります」

白玉粉・もち粉・道明寺粉・落雁粉の特徴

餅つき

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白玉粉・もち粉・道明寺粉・落雁粉の原料はもち米です。

  • 白玉粉:生米を洗って石臼で水挽きし、沈殿したものを乾燥させたもの。つるりとした食感で弾力があります。
  • もち粉:生米を洗って乾燥させてから製粉したもの。風味の強さと歯応えが特徴です。
  • 道明寺粉:生米を蒸して乾燥させてから製粉したもの。強い粘り気があります。
  • 落雁粉:道明寺粉を細かい粒子に挽いて煎りあげたもの。香ばしさが出ます。

【米粉の用途まとめ一覧】お菓子やパン、料理に代用する方法や注意点

表

uchicoto

上の表では、より適しているものを◯、そうでないものを△としています。食感などは好みもありますし、△と記載があっても他の食材と混ぜたり、使い方を工夫することで使用できることもあります。

パンに使う場合

最も適しているのはパン用米粉。一般的な米粉でパンを作るのであれば、上述した通り、他の食材と混ぜて使うのがおすすめだそうです。

クッキーに使う場合

米粉や上新粉が適しています。サクサクとした食感が出せます。米粉の場合はサクッと軽い感じに仕上がり、上新粉はより粒子が粗いため、カリッと感が強くなります。米粉クッキーは焼き上がりの色が白っぽいですが、アーモンドプードルやピーナッツバターを加えると、色がついて風味も良くなります。白玉粉やもち粉は食感が重くクッキーには向きません。

またクッキーを作る場合、薄力粉の方が米粉より粒子が粗く、油を吸う性質が強いので、しっとりと仕上がります。一方、米粉の方がサクサク感が強く、冷めてもその食感が続きます。

ケーキに使う場合

ケーキに適しているのは米粉です。上新粉は粒子が粗いので難しいとのこと。なお、小麦粉のレシピを米粉で置き換える場合には注意点もあります。

米粉を小麦粉と比較すると、小麦でんぷんと比べ、米でんぷんは糊化に時間がかかるため、小麦粉の場合より焼く時間を長めにするか、ロールケーキやパンケーキのように薄めの生地に仕上げる必要があります。160℃で焼いた実験で小麦粉スポンジケーキでは38分間、米粉スポンジケーキは45分間と長く焼く時間がかかったとの報告もあります(※)

※出典:野口・大喜多・他(2015)「小麦粉ケーキとの比較による微細米粉ケーキの特徴」,  日本調理科学会誌 Vol. 48,No. 2,112~121(2015)

麻婆豆腐や中華丼などのとろみ付け

とろみ付け

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片栗粉を使うのが一般的ですね。でも、米粉や上新粉、白玉粉、もち粉でもとろみは付けられます。ただ、火を通しても半透明にならず、白っぽい仕上がりになります。

クリームシチューやカレーなどのとろみ付け

小麦粉を使う方法が一般的ですが、米粉で代用できます。小麦粉の場合、ダマになりやすい性質があるため、バターなどと一緒に炒め合わせながら、少しずつスープで伸ばしていく必要がありますが、米粉の場合はダマになりにくいので、こうした手順は必要ありません。

米粉を水や牛乳などに溶かした後にスープに加えるとサッと溶けてくれます。米粉の他に上新粉、白玉粉、もち粉でも同様の効果が期待できます。

揚げ物の衣に使う場合

唐揚げ

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米粉は小麦粉と比べて吸油率が低いので、衣がカラッとヘルシーに仕上がり、冷めてもカリカリ感が続きます。米粉だけだと薄づきになりがちなので、中村さんのおすすめは片栗粉とのブレンド。片栗粉の原料は馬鈴薯のためちょうど良い粘度があり、衣がしっかりと付きます。

また食感も米粉だけでは、あられのような硬さになってしまいますが、片栗粉とのブレンドでは柔らかさが加わり、ちょうど良い硬さに。冷めてもその柔らかさが残るので、お弁当にも良いでしょう。米粉の他に上新粉、白玉粉、もち粉も使用可能です。

お好み焼きやチヂミに使う場合

一般的なチヂミのレシピでは、小麦粉に片栗粉を混ぜてもっちり感を出しますが、米粉なら単体でOK。お好み焼きの場合は、米粉に長芋を加えるとふんわりと仕上がります。上新粉は粒子が粗いため、膨らみにくくなります。お好み焼きに上新粉は避けた方が良いでしょう。白玉粉やもち粉もあまり向かないと想定されます。

米粉にはそれぞれ特徴がある! パン用以外の米粉、どう選ぶ?

粉

PIXTA

米粉(または製菓用米粉)と記載のある米粉を使う場合、何を選んでも同じなのでしょうか?

中村さんは米粉の粒子の大きさや品種により水を吸収する量が異なるため、仕上がりに違いが出ることもあると言います。

米粉

出典リンク:https://komeko-oyatsulabo.com/komeko-chigai-yakikurabe/

上の写真は、違う種類の米粉に同量の水を加えたもの。サラサラしたものもあれば、固まりになっているものも。

米粉のマフィン

出典リンク:https://komeko-oyatsulabo.com/komeko-chigai-yakikurabe/

違う種類の米粉で作ったマフィンはこんなに膨らみ具合に差が出てきます。左側の2つはふわっと軽めの米粉を使ったマフィン、右側の2つはしっかり重ための米粉を使ったマフィンです。左の2つは食感もふわっと軽く、右の2つはモチっとした食感を味わえるそう。

同じレシピで作ってもこれだけ焼き上がりに差が出るんですね。

実際に唐揚げを作ってみて、米粉、片栗粉、米粉と片栗粉のブレンドを比較!

粉の種類

uchicoto

米粉、小麦粉、片栗粉、米粉と片栗粉のブレンドの4種類の粉で唐揚げを作り、仕上がりを比較してみました。

唐揚げ

uchicoto

下味をつけた鶏もも肉に粉をつけて、揚げていきます。小麦粉や米粉と片栗粉のブレンド粉の場合、しっかりと肉にまとわりつくのに対し、米粉や片栗粉は薄づきです。小麦粉の衣の場合、揚げたてはサクッとしていましたが、すぐにしっとりとしてきました。

片栗粉だけ、米粉だけの唐揚げは仕上がりが似ていて、かなりカリッと強い食感がありました。冷めてもカリカリしていて、いわゆる居酒屋さんの唐揚げのような仕上がりです。食感と香ばしさは魅力ですが、子どもには硬すぎたようです。

中村さんおすすめの米粉と片栗粉のブレンド粉は、さっくりとした仕上がりになりました。子どもにも食べやすい硬さで、冷めた後もサクサク感が続いていました。

米粉のメリットとは?

ここまで米粉の料理での用途や使い分けについてお伝えしてきました。使うことのメリットについても触れておきましょう。

【米粉のメリット1】消化が良い

食品成分データベース

出典:文部科学省「食品成分データベース

小麦粉と比べて米粉は消化が良いとされています。脂質で見ると薄力粉や強力粉が1.5gなのに対し米粉は0.7g。タンパク質で見ると強力粉が11.0g、薄力粉が7.7gに対し、米粉が5.1gと比較的少なめです。脂質やタンパク質が少なく消化しやすいことになります。

【米粉のメリット2】栄養バランスが良い

お米

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中村さんによると、アミノ酸スコアのバランスが良いのも米粉の特徴なのだそう。

体の中で合成することができず、食品から摂取する必要がある9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」といいます。この9種類のアミノ酸がバランスよく含まれているかを測る指標が「アミノ酸スコア」です。アミノ酸スコアは米が65、小麦(中力粉)が41(※)。身体に必要な栄養素をバランス良く摂取できるのは嬉しいポイントですね。

※出典:農林水産省「米粉をめぐる状況について

【米粉のメリット3】お米本来の甘さ

白米

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水で炊いたご飯を甘く感じるのは、お米に含まれるでんぷん質が口の中に入ると消化酵素の働きで「マルトース(麦芽糖)」と呼ばれる糖が生じるから。米粉を使うとほんのりした甘味を感じるのも、米粉の魅力ですね。

【米粉のメリット4】サラサラとしたテキスチャー

米粉

PIXTA

油分が少なくサラサラとした米粉は、ダマになりにくく、お菓子作りでも粉をふるう必要がありません。また料理のとろみ付けに使う場合にも、そのまま溶かすことができます。

小麦粉のようにグルテンを含まないため、生地作りの途中でボールにへばりついて、取れにくくなることがないため、片付けの負担が少ないのも嬉しいポイントです。

おわりに

米粉の魅力は美味しさやヘルシーさ、安さ、入手しやすさと多岐にわたると中村さん。ヘルシー志向でなくとも、小麦粉が高い時期に手軽に米粉で代用してみるのも良いですね。新たな美味しさを発見できるかもしれません。

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  • この記事取材先

    中村 りえ

    管理栄養士/米粉料理家

    中村 りえ

    大手食品メーカーでの商品開発や広報を経て独立。レシピ開発、コラム執筆、セミナー講師、メディア出演など幅広く活躍中。家族の小麦アレルギーをきっかけに米粉の美味しさに魅了され、その魅力を多くの人に伝えるべく、2019年より米粉料理家としてレシピを発信。

    米粉おやつLabo

    詳しい実験結果は中村さんのブログでどうぞ。
    中村りえさん:ブログ「米粉のメーカーによる違い【米粉マフィン焼き比べ】

    もっと見る
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コピーされました

公開日:2024.7.25

最終更新日:2024.10.1

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