そばの栄養を薬味がサポート!
さっぱりしていて栄養があまりなさそうなそばですが、実は、高血圧の予防や老化防止に効果があるとされるポリフェノールの一種「ルチン」をはじめ、疲労回復に役立つ「ビタミンB群」、貧血を防ぐ「鉄」、そして、「カルシウム」や「マグネシウム」などのミネラルを、他の穀類に比べて豊富に含んでいます。また、人間の体内では作れない必須アミノ酸の「リジン」が多く含まれているのもそばの特長です。
そして薬味には、そばに彩りや風味を添えるだけでなく、そばの栄養をサポートする働きもあります。
そばをおいしくヘルシーに味わうために欠かせない薬味について、詳しくご紹介します。
これぞ王道! の定番薬味
そばの薬味といえば、「ネギ」「わさび」「のり」の3種類を思い浮かべる方が多いはず。おいしく味わうヒントを知っていると、よりそばの味わいが深まります。
1.ネギ
関東では白ネギ(長ネギ)、関西では青ネギ(小ネギや九条ネギ)を使うことが多いです。いずれもそばとの絡みをよくするためには、薄く(小さく)切るとよいでしょう。
切ってから水にさらすと、香りや辛みの成分である硫化アリルが水に溶け出すのでクセが少なくなります。新そばの繊細な香りを楽しみたいときは、切ったネギを少し長めに水にさらし、逆にネギの風味をしっかり添えたいときには、水にさらす時間を少なめにするのがおすすめです。
ご当地そば【福島県・大内宿 ねぎそば】
福島県南会津の大内宿の名物は、ネギが丸ごと1本添えられ、箸の代わりにネギを使って食べるユニークなそばです。
2.わさび
すがすがしい香気と辛みが特長のわさびは、そば自体の香りともよく合う薬味です。わさびを添えるときには、そばつゆではなく塩でそばを味わうのもおすすめです。
特に、生わさびをすりおろして使うと風味が格別。おろすときは力をこめず「の」の字を書くように。砂糖をほんの少しつけておろすと辛みが際立ちます。チューブわさびは、水気をしぼった大根おろしを少し混ぜると、本わさびのような食感にすることができます。
3.のり
ざるそばにトッピングされていることも多いのり。元々はざるそばともりそばの区別のためにかけるようになったといいますが、今ではそばの定番薬味となっています。
そばに乗せるのは細切りにした「きざみのり」が多いですが、手でもんで砕く「もみのり」にしても。わさびと相性が良いので一緒に使うのがおすすめです。軽くあぶってから使うとより香ばしさが楽しめます。
以下の記事も参考にしてみてください。
海苔の有無だけじゃない? 「もりそば」と「ざるそば」の違い
ご当地そばの特色にもなっている辛い薬味
辛みはそばの味を引き立ててくれます。時には辛い薬味が個性になっているご当地そば風に楽しんでみるのもいいですね。
4.唐辛子(一味・七味)
唐辛子の辛み成分はカプサイシン。わさびとは違う熱感のある辛さで、食欲増進効果や体を温める効果もあります。温かいそばの薬味には七味唐辛子が添えられることも多いですが、実は冷たいそばの薬味にもおすすめです。
七味唐辛子は、唐辛子の他に香辛料がブレンドされているので、温かい汁そばに加えると香りがよく立つのが特長です。一味唐辛子は大根おろしに加えて、もみじおろしにして添えるとそばになじみやすくなります。
ご当地そば【島根県・出雲そば】
日本三大そばのひとつ「出雲そば」にはわさびではなく、もみじおろしや七味唐辛子が薬味として添えられます。
5.しょうが
生のしょうがには抗酸化作用や殺菌作用、血行を良くする働きがあるジンゲロールという辛み成分が含まれます。薬味にはすりおろして用いるのが一般的ですが、絞り汁だけをそばつゆに加えて「しょうがつゆ」にしてもさっぱりと味わえます。
6.大根おろし
さっぱりとした味わいが魅力の大根おろしにはジアスターゼが含まれるため、消化を助け、そばの栄養をとりやすくしてくれます。
薬味として用いる場合は、辛みがある大根おろし方が合います。小さくて辛みが強い「辛み大根」という薬味用の品種もありますが、普通の大根の場合は、辛み成分が多い下(根の先の方)の部分を使うとよいでしょう。
「鬼おろし」を使って粗くおろした大根おろしや、大根おろしの汁をそばつゆに加えても。
ご当地そば【福井県・越前おろしそば】
たっぷりの大根おろし、花かつお、ネギを薬味に、冷たいだしをかけて味わうそばです。
ご当地そば【長野県・おしぼりそば】
辛み大根おろしの絞り汁に信州味噌を溶いたつけ汁でそばを食べます。
「ねばとろ」が味を深める薬味
ねばねば・とろとろが特長の薬味はそばつゆとの相性も抜群です。温かいそばに添えても、冷たいそばでぶっかけ風にしてもおいしくいただけます。
7.とろろ
とろろは、長芋、山芋(自然薯=じねんじょ)、大和芋などをすりおろしたもの。粘りを生かしてそばを打つときのつなぎとして使われることもあります。冷凍保存が可能なので、薬味用に小分けして冷凍しておくと便利です。
長芋のとろろは比較的さらりとしていて、山芋のとろろは粘りが強いので、好みで使い分けるのもよいでしょう。卵や梅肉との組み合わせもおすすめです。
8.オクラ
ゆでてから刻む方法のほか、より粘りを出したいときには、刻んでから軽くゆでてしばらくおきます。ゆで汁ごと冷やしてそばつゆと合わせると、そばによく絡むとろとろのつゆが作れます。
爽やかな風味が食欲をそそる薬味
爽やかな香りやすっきりとした酸味がある薬味は、ざるそばや冷たい汁そばによく合います。すだちそばのように単品でたっぷり使っても何種類かを取り合わせて使ってもいいですね。
9.ミョウガ
独特の香りとしゃきしゃきした食感が特長で、ほんのりとした紅色がアクセントにもなります。輪切り、縦切り、斜め切りなど、切り方によって食感がかなり変わるので、好みの切り方で。
10.かいわれ
手に入りやすいかいわれ大根は、ピリっとした辛みがそばと相性良し。ネギが苦手な人のための緑の彩り薬味としても役立ちます。
ちなみに、そばにもかいわれがあり、軸の部分が紅色という特長があります。芽野菜(スプラウト)として販売されていることもあるので、見つけたら薬味に使ってみるのもよいでしょう。
11.大葉
β-カロテンやビタミンCを豊富に含み、独特の香りが食欲を増進させてくれます。
薬味にする際は、数枚重ねて丸めてから千切りに。水に軽くさらしてアクをぬいてから使うとすっきりした味わいになります。
12.柑橘類(スダチ、ユズなど)
品種ごとに特有の酸味と香りがある柑橘類にはビタミンCが豊富。そばの代表的な機能成分であるルチンは、ビタミンCと一緒にとると血管を強くする作用が増強されるともいわれています。
そばの薬味にはスダチやユズが多く用いられますが、他の柑橘類も使えます。半分やくし形に切って種を除いたものを添え、絞って使うほか、表皮を細切りにしたものも薬味に適しています。冷たい汁そばに輪切りにしたスダチをたっぷりトッピングするのも、そばの新しい味わい方として人気です。
コクとうまみで子どもにも人気の薬味
「味がない」「ぼそぼそする」とそばが苦手なお子さんには、コクとうまみをプラスする薬味があると食べやすくなります。
13.鶏卵・うずら卵
うずら卵は全卵、鶏卵の場合は卵黄のみ使うのが一般的。そばに混ぜるとなめらかな口当たりになり、濃厚な味わいが楽しめます。卵を薬味にすることでそばメニューでは不足しがちなタンパク質が補えるのもメリットです。
そばにトッピングして混ぜて食べるほか、つゆに混ぜてもまろやかな味わいになります。
14.ごま
ごまは、油分と香りでそばの味を引き立てます。カルシウムや鉄分、亜鉛などのミネラルを含んでいるので栄養的にも優れた薬味です。
いりごまやすりごまの他、あたりごま(ごまペースト)を添えたりつゆに混ぜたりするのもおすすめです。
15.納豆
好き嫌いが分かれる食材ですが、発酵食品で良質のタンパク質がとれるので、好きな方は、そばの薬味としても試してみてください。ネギや卵などと一緒に使うとより味わいが豊かになります。
管理栄養士おすすめ! ユニークだけど相性抜群の変わりダネ薬味
そばとの相性が良く、栄養面でも優れている薬味を野口さんに教えていただきました。「これがそばの薬味?」と意外に思えるものも、試してみるとそのおいしさに驚かされること間違いなしです。
16.トマト/プチトマト
トマトにはうま味成分のグルタミン酸が豊富に含まれているので、かつおぶし(イノシン酸)や昆布(グルタミン酸)を用いたそばつゆと相性がよく、薬味に使うとうま味を増幅する効果があります。
ポイントは、グルタミン酸を豊富に含む完熟トマトを選ぶこと。熟れ方が足りない場合は常温で少し置いて熟させてから使うとよいでしょう。
トマトをトッピングすると彩りがよくなることに加え、β-カロテンもとれるので、栄養バランスの改善にも役立ちます。
皮が気になる方は湯むきして使ってもいいですが、皮ごと使えば食物繊維もとることができます。トマトは1.5センチ角に、プチトマトなら1/4に切ると食べやすいです。すりおろしてつゆに混ぜるのもいいでしょう。
トマトの酸味によってさっぱりと食べやすくなるので、食欲の減退する夏などには特におすすめです。
17.もずく
海藻類のもずくにはミネラルが豊富に含まれています。ミネラルは熱中症予防のためにも積極的にとりたいので、もずくは夏のそばの薬味としてぴったりといえます。
使うのは甘酢や土佐酢につけた商品でOK。酢に含まれるクエン酸は、カルシウムの吸収量を増やす働きがあり、疲労回復効果もあるので夏バテ気味のときにもおすすめです。
野口さんおすすめの食べ方は、めんつゆの中にもずくを入れて、そばと一緒に絡めながらいただくというもの。とろみと味わいが増し、酢の力でさっぱりと味わえます。
18.ナッツ類(くるみ、アーモンド、松の実など)
信州の名物に、すりつぶしたくるみを加えたそばつゆで味わう「くるみそば」があります。木の実ならではのコクがそばによく合う一品ですが、家庭でくるみペーストを作るのは少しハードルが高いので、手に入りやすい素焼きナッツを砕いてそばの薬味にしてみましょう。
くるみの他、アーモンド、松の実などのナッツ類は、老化防止に役立つビタミンEが豊富で、血流をよくする働きもあります。夏の冷房で体がだるいという方にもおすすめです。
そばをおいしくゆでるならガスの火力で!
そばをおいしくゆでるには、できるだけ大きな鍋を使って、たっぷりの湯でゆでることが必須。
沸騰した湯の中でそばが回りながら泳ぐような状態でゆでることで、短時間で均一に火が通り、コシのある仕上がりになります。
湯にそばを投入すると湯温が下がりますが、温度が低いままだとゆでる時間が長くなり、そば同士がくっついたり、よけいなぬめりがでたり、切れやすくなってしまいます。
ガスの強い火力なら、そばをおいしくゆでるための高い湯温をしっかり保つことができます。
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おわりに
普段あまり気にすることがないそばの薬味ですが、薬味には栄養面のメリットも多く、そばをおいしく味わうための魅力が詰まっています。好みの薬味をそろえて、小分けにしたそばで味を変えながら楽しむのもおすすめ。そばに合う薬味をいろいろ試して、ヘルシーにそばを楽しみましょう。