日本酒の種類
日本酒は以前 特級、一級、二級、というように級別で分類していましたが、今は、精米歩合 、麹歩合、アルコール添加量などの製法により、区分されています。
特定名称酒の種類
その中でも特定名称酒は、酒税法において、原料、製造方法等の違いによって下記の8種類に分類されます。そして、「普通酒(一般酒)」とは区別して「特定名称」の表示をすることができます。
日本酒は基本、米と水で造られますが、米と水以外にアルコール添加されている種類もあり、アルコール添加の有無でまず大きく2種に分けることができます。
アルコール添加と聞くと「食品添加物」を思い出すかもしれませんが、純粋なアルコールなので、食品添加物とは異なります。
アルコール添加が無いものは「純米酒」、アルコール添加が有るものは「本醸造酒・普通酒(一般酒)」が挙げられます。
【日本酒の種類1〜4】純米酒(アルコール添加無し)
純米酒とは、お米と米こうじだけで作られたお酒です。
「吟醸酒・吟醸造り」は、たくさん磨いたお米(40%以上のお米を削り、精米歩合60%以下にしたもの)を長時間低い温度で発酵させて作ります。手間のかかるお酒なので、精米歩合が低い吟醸酒は値段が高くなっています。
1. 純米大吟醸酒
原料:米・米こうじ・水
特徴:原料米の精米歩合が、50%以下と決められている。(50%以上のお米を削り、精米歩合50%以下にしたもの)
吟醸造り。価格的には高めのものが多い。固有の香味と色沢が特に良好なものです。
2. 純米吟醸酒
原料:米・米こうじ・水
特徴:精米歩合が60%以下(40%以上のお米を削り、精米歩合60%以下にしたもの)の吟醸酒。
吟醸造り。特別純米酒と同じ精米歩合が義務付けられており、酒質に差が無いものもある。
固有の香味と色沢が特に良好なものです。
3. 特別純米酒
原料:米・米こうじ・水
特徴:原料米の精米歩合が60%以下(40%以上のお米を削り、精米歩合60%以下にしたもの)又は特別な製造方法の純米酒。
原材料の種類によって酒質に違いがでる。固有の香味と色沢が良好なものです。
4. 純米酒
原料:米・米こうじ・水
特徴:日本古来の酒。精米歩合による規定はなし。
純米醸造酒ともいい、濃厚な味のタイプが多い。また、原料米の精白度の高低によって味に違いが出る。固有の香味と色沢が良好なものです。
【日本酒の種類5〜8】本醸造酒(アルコール添加有り)
醸造用のアルコールを添加したものは、「醸造酒」と呼ばれます。「醸造酒」は、「普通酒(一般酒)」と違い、添加する醸造用アルコールの量が、白米の総重量の10%未満までに抑えなければならないと定められています。
醸造用アルコールは味や香りを立てたり、丸みを持たせたりするそうです。
5. 大吟醸酒
原料:米・米こうじ・水・醸造アルコール
特徴:精米歩合が50%以下(50%以上のお米を削り、精米歩合50%以下にしたもの)。
吟醸造り。固有の香味と色沢が良好なものです。
醸造アルコールを添加する目的は、増量のためではなく、発酵中の酵母に影響を与えてうまい酒造りを行うためで量は少ない。
6. 吟醸酒
原料:米・米こうじ・水・醸造アルコール
特徴:原料米の精米歩合は、60%以下(40%以上のお米を削り、精米歩合60%以下にしたもの)。吟醸造り。固有の香味と色沢が良好なものです。
醸造アルコール添加の目的は、大吟醸と同じで、増量のためではないので添加量は少ない。
7. 特別本醸造酒
原料:米・米こうじ・水・醸造アルコール
特徴:本醸造酒より精米歩合が低く、60%以下(40%以上のお米を削り、精米歩合60%以下にしたもの)。
醸造アルコールを添加していることがわかるような酒もあるとか。香味と色沢が特に良好です。
8. 本醸造酒
原料:米・米こうじ・水・醸造アルコール
特徴:原料米の精米歩合が70%以下(30%以上のお米を削り、精米歩合70%以下にしたもの)。
原料米1トンあたり、120リットル以下の醸造用アルコールを添加した酒。
精米歩合って何?
上記8種類のお酒の説明の中にでてくる、「精米歩合」とは、製造に使う米の芯の部分の割合を指します。
例えば、「精米歩合70%」と表記されていた場合、その酒は、玄米の外側30%をぬかとして廃棄し、内側の70%を原料に使っているということになります。精米歩合50%といったように数値が低ければ低いほど、高品質だと言われています。
磨いていない米(精米歩合の数字が高い)ほど「味わいの深さ、米の香り、重さ、鈍重さ、くどさ」などが目立ち、磨いた米(精米歩合の数字が低い)ほど「すっきりさ、香りの華やかなさ、軽さ、薄さ」といった特徴が目立ってくるそうです。
もちろん好みには個人差がありますので、飲み比べしながら味を確認し、自分にあった精米歩合を見つけてみてください。
【日本酒の種類9~10】普通酒(一般酒)(アルコール添加有り)
上の1~8の特定名称酒に分類されないものを、普通酒(一般酒)と呼び、日本酒全体の70%を占めているそうです。
9. 普通醸造酒
原料:米・米こうじ・水・醸造アルコール
特徴:醸造アルコールの添加量が、本醸造よりも多いことが多い。
10. 増醸酒
原料:米・米こうじ・水・醸造アルコール
特徴:三倍増醸酒をブレンドした酒。三倍増醸酒とは、もろみの段階で、醸造アルコール、醸造用糖類などを添加して、約三倍に増量された酒のことです。
製品状態や貯蔵期間などで分けた日本酒の種類
製品状態や貯蔵期間などでも日本酒は種類が分けられます。少しだけご紹介します。
【日本酒の種類11〜13】火入れの有無とタイミング
以下の日本酒は、製品にするまでの火入れの回数とタイミングで種類が分けられています。火入れとは、低温殺菌のことで、酒の中の「酵素の停止」「雑菌の死滅」などを目的とし、火入れすることで安定した酒を造ることができると言われています。
通常の日本酒
【絞り】ー<火入れ>ー【貯蔵】ー<火入れ>ー【製品】
11. 生貯蔵酒
【絞り】ーーーーーーー【貯蔵】ー<火入れ>ー【製品】
12. 生詰め酒
【絞り】ー<火入れ>ー【貯蔵】ーーーーーーー【製品】
13. 生酒(本生)
【絞り】ーーーーーーー【貯蔵】ーーーーーーー【製品】
生酒は火入れをしない「本生」になります。生酒(本生)は味の劣化スピードが速いので、蔵所がある近く以外で飲むことは難しいと言われています。また、生酒(本生)は通常の日本酒と違い、フレッシュな味わいと香りが特徴的だそうです。
【日本酒の種類14〜16】貯蔵期間で分ける
以下の日本酒は、貯蔵期間の長さで分けられています。
14. 新酒
製造後間もない日本酒(一般的に、醸造したままで火入れ前の状態、または製造後半年ぐらいの期間を新酒と呼ぶそうです。)
15. 古酒
製造後1年以上貯蔵された日本酒の種類です。
16. 長期貯蔵酒
長期間にわたり貯蔵して熟成させた日本酒の種類で、長期熟成酒とも言われます。熟成香、古酒香が特徴です。一般的には製造後3年以上経過した日本酒で、貯蔵期間を表示したものが多いようです。
おわりに
今回は、16種類の日本酒の種類を簡単にご紹介しました。少しずつ特徴を書いてありますが、好みは個人差がありますので、気になるものを試しながらお気に入りの日本酒を見つけてみてください。
参考:国税庁「清酒の製法品質表示基準」の概要