海藻の種類は大きく分けて3つ
吉積さんによると、海藻には大きく分けて「褐藻類(かっそうるい)」、「緑藻類(りょくそうるい)」、「紅藻類(こうそうるい)」の3つの種類があるそうです。
褐藻類
「普段私たちが一番多く食べているのが褐藻類で、昆布、もずく、わかめ、ひじきなどです。旨み成分のひとつであるグルタミン酸が含まれているので、美味しいと感じることが多いと思います」(吉積さん)
緑藻類
緑藻類はその名の通り緑色の海藻で、青のりや海ぶどうが該当します。褐藻類に比べると旨みは減りますが、香りがよいのが特徴です。
紅藻類
紅藻類はのり、ツノマタ、寒天の材料であるてんぐさなど。味はあまりなく、のり以外はあまり馴染みのないものが多いです。
海藻を食べることにはこんなメリットが!
健康に良いといわれている海藻ですが、実際にどのようなメリットがあるのでしょうか? 期待できる効果などを吉積さんに教えていただきました。
健康に役立つミネラルや食物繊維がとれる
海藻には多くの栄養素が含まれていますが、中でも注目したいのがカルシウム、マグネシウム、鉄、などのミネラルだと吉積さんは言います。
「ミネラルは体を構成する5大栄養素のひとつで、不足すると体にさまざまな不調を引き起こしますが、海藻を積極的に食べることでミネラル不足が防げます」(吉積さん)
また、吉積さんによると、食物繊維が多く含まれるのも海藻の特長なのだそう。
「海藻には水溶性食物繊維も多く含まれています。水溶性食物繊維は大腸まで届いて善玉菌のエサとなり、腸内環境を改善する働きがあり、便秘解消効果も期待できます」(吉積さん)
生活習慣病の予防効果が期待できる
「海藻にはネバネバする粘り気がありますが、これはアルギン酸という成分によるものです。この成分には糖質や脂肪、食塩が腸内で吸収されるのを抑制する働きがあります。そのため、海藻を食べることが生活習慣病の予防に効果的といわれているのです」(吉積さん)
吉積さんおすすめの海藻健康法は、名付けて「めかぶファースト」。
食事前にめかぶを1パック食べることで、その後の食事の糖質や脂肪、食塩の吸収を抑えることができるのだそう。血糖値の急な上昇も防げるため、肥満や糖尿病などのリスクを下げることができます。
「実際に海藻の摂取頻度が高いと、虚血性心疾患の発症リスクが低くなるという研究結果も出ています。週に3日以上食べるのが理想で、色々な種類の海藻を取ることがおすすめです」(吉積さん)
【専門家が教える】海藻のおすすめレシピ
ここからは吉積さんおすすめの海藻の食べ方を紹介します。海藻が苦手なお子さんでも食べやすいレシピをピックアップしました。
めかぶの厚焼き卵
材料(2人分)
めかぶ(添付タレ含む)・・・40g
卵・・・3個
砂糖・・・小さじ1
塩・・・ひとつまみ
サラダ油・・・大さじ1弱
作り方
1.ボウルに卵を入れ溶きほぐし砂糖と塩を入れて混ぜ、めかぶと添付タレを加えさらに混ぜる。
2.卵焼き器にサラダ油を入れて中火で熱し、1を1/3ずつ入れて巻いていく。
3.巻き終わったら粗熱を取ってから切り分ける。
「めかぶにはアルギン酸が含まれていて、卵焼きをふっくらさせてくれます。卵と一緒に焼くことで青臭さもなくなり、お子さんでも食べやすくなりますよ」(吉積さん)
めかぶの炊き込みご飯
材料(6人分)
米・・・3合
細切りめかぶ・・・100g
鶏胸肉(1枚)・・・200g
にんじん・・・1/3本
油揚げ・・・1枚
[A]
顆粒だし・・・小さじ2
塩・・・小さじ1/2
醤油・・・大さじ1/2
酒・・・大さじ2
作り方
1.鶏肉は食べやすい大きさに、にんじんは2〜3cmの千切り、油揚げは油抜きしてから2mの千切りにする。
2.洗って水切りした米、Aの調味料と1.を炊飯器に入れ、3合の目盛りまで水を入れてスイッチを入れる。
3.炊き上がったらよく混ぜる。
「潮の香りのする炊き込みご飯。お子さんがいる場合は、刻んだ生姜を入れるとめかぶ独特のぬめりと匂いが消えて食べやすくなります」(吉積さん)
もずくドレッシング
材料(1人分)
三杯酢もずく・・・2カップ
にんじん・・・1/3本
玉ねぎ・・・1/2個
[A]
レモン汁・・・小さじ2
醤油・・・小さじ2
作り方
1.最初ににんじんと玉ねぎをすりおろし、もずくといっしょにミキサーにかける。
2.ボウルに移し、Aの調味料と合わせる。
「もずく酢はそのままサラダにかけるだけでもドレッシング代わりになる優れものですが、野菜と合わせてミキサーで砕くことで、よりネバネバが強くなり、とろっとした食感のドレッシングになります」(吉積さん)
めかぶともずくの味噌汁
材料(4人分)
細切りめかぶ・・・40g
もずく・・・40g
長ねぎ・・・3〜4cm
水・・・500g
顆粒だし・・・小さじ1
味噌・・・大さじ2強
作り方
1.もずくは水切りして食べやすい長さに、長ネギは大きめのみじん切りにしておく。
2.お椀にめかぶ、もずく、長ねぎを均等に入れる。
3.鍋で湯をわかし、沸騰直前に顆粒だしと味噌を溶かしながら加える。
4.2のお椀に3の味噌汁を注ぐ。
「もずくやめかぶは味噌汁とも相性ばっちり。いつもの味噌汁の具に、プラスするだけでもいいですよ」(吉積さん)
あおさのりのバター
材料(1人分)
バター・・・20g
乾燥あおさのり・・・小さじ1
昆布茶・・・小さじ1
作り方
1.バターを常温に戻す
2.手でもんで細かくした乾燥あおさのりと昆布茶を、バターに混ぜる
3.バゲットやクラッカーに塗る
「あおさのりの磯の香り漂うバターです。隠し味に昆布茶を加えることで、うま味が増します」(吉積さん)
有明のりの大根ソテー
材料(5人分)
大根・・・300g
オリーブオイル・・・大さじ2
有明のり・・・2g
塩・・・小さじ1/3強
作り方
1.皮をむいた大根を好みの大きさに短冊切りにし、キッチンペーパーで水気をとる。
2.フライパンにオリーブオイルを入れて中火で熱し、1を加えて大根の表面に焼き色をつける。
3.塩を加えて味を整え、皿に盛りつける。
4.のりをたっぷりかける。
「有明のりのふわっと香る磯の風味が楽しめます。味つけは、塩のみでOKです」(吉積さん)
もずくのマンゴーゼリー
材料(4人分)
もずく・・・50g
マンゴージュース(果汁100%)・・・500g
粉ゼラチン・・・10g
黒砂糖・・・30g
水・・・60g
[A]
片栗粉・・・小さじ1(3g)
水・・・大さじ1
ホイップクリーム・・・適宜
ローストアーモンド・・・4個
ミント(あれば)・・・適宜
作り方
1.鍋にマンゴージュースを入れ中火で加熱し、沸騰してきたら弱火にしてかき混ぜながら粉ゼラチンを入れる。
2.1を容器に均等に注ぎ、粗熱が取れたら、冷蔵庫で2〜3時間冷やして固める。
3.水気を切ったもずくを1〜2cmに切り、鍋にもずく、黒砂糖、水を入れて加熱。煮立ったら弱火にして、Aの材料で作った水溶き片栗粉を少しずつ流し入れてとろみをつけて火を止める。粗熱がとれたら冷蔵庫で冷やしておく。
4.2のマンゴーゼリーの上に、3をのせ、ホイップクリーム、ローストアーモンド、ミントなどをトッピングする。
「もずくは無味なので、砂糖などで甘く味付けをすれば、デザートとも相性抜群。餡のような感覚で食べられるので、ゼリー以外にトッピングするのもいいですよ」(吉積さん)
海藻を食べる時の注意点
健康のために役立つ海藻ですが、気をつけたい注意点もあります。その一つが、アレルギーです。
「海藻は海の中で育っているため、量の差はありますがエビやカニの成分が混ざっていることも。そのため甲殻類アレルギーのある人は注意が必要です。アレルゲンの感受性は人によって異なるため、加工品であっても危険はあると考えておきましょう」(吉積さん)
また海藻は粘り気のある食感のため、喉につまらせないよう気をつける必要もあります。小さいお子さんや高齢の方は特に注意して、少量ずつ食べるようにしましょう。
海藻にはヨウ素が多く含まれる種類もあるので、甲状腺に疾患のある方は取りすぎに注意が必要です。
そして全ての海藻において共通するのが、取りすぎはNG! 消化しきれずお腹を壊してしまう可能性があるので、一日に適量を食べるようにしましょう。
おわりに
健康増進や生活習慣病の予防効果が期待できるため、ぜひ積極的に摂取したい海藻。ひとつの海藻に偏らず、いろいろな種類を食べることがおすすめです。自分にとって食べやすい、続けやすい海藻の種類や食べ方を見つけて、日々の食卓に取り入れてみてください。
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