昆布の9割は北海道産
だしを取る以外でも煮て食べたり、加工してとろろ昆布として食べたり、さまざまな活用方法がある昆布。
昆布の味は生育する環境によって変わります。日本の場合だと、約90%は北海道全域で採取されますが、北海道の中でも採れる場所によって種類や味が異なります。
今回は料理をさらにおいしくするために、代表的な 4種類の昆布のそれぞれの産地や特徴、用途と、おいしいだしの取り方を日本昆布協会の吹田さん にお伺いしました。
昆布の産地別の特徴、おすすめの使い方とは?
昆布は生育する環境で味や厚みなどが異なります。そのため、活用方法も異なり、料理によっておすすめの昆布も異なります。
どのような特徴があるのか、また、どのような料理に合うのか、代表的な4種類の昆布をご紹介いたします。
日高昆布(ひだかこんぶ)
日高昆布は、北海道の日高地方が主産地となります。
だし昆布としても食用昆布としても、両方の用途で使うことができます。
日高昆布からは、ほのかな香りでオレンジ色がかった淡い黄色のだしがとれます。しっかりとした昆布らしい風味が特徴です。また、煮上がりが早く肉質が柔らかいものの、煮崩れしないため、佃煮や昆布巻きなどにも利用されます。比較的万能な昆布なので、初心者の方におすすめの昆布です。
真昆布(まこんぶ)
真昆布の産地は、道南の函館周辺地域です。
真昆布のだしは、他の昆布と比べて香りが良く、上品な甘みでコクがあり、だしの色は透明で澄み切っているのが特徴です。
昆布単体で使うと、食材の風味や色合いを生かしてくれます。また、主張が少ないため、カツオなどとの合わせだしにも適しています。
真昆布は、佃煮やとろろ昆布などに加工されることもあります。薄味の料理や、繊維質が柔らかいので、だしを取りながらそのまま食べる煮物や炊き込みご飯にも利用できます。
羅臼昆布(らうすこんぶ)
羅臼昆布の産地は、知床半島の羅臼地方です。
昆布の中で最も濃厚で甘みがあるだしが取れます。香りはしっかりとしていて、だしの色は黄色味を帯びています。
しっかりとしたコクがあるため、昆布らしい風味を活かせる料理に向いています。
利尻昆布(りしりこんぶ)
利尻昆布の産地は、利尻・礼文・稚内沿岸となります。
清く澄んだ淡い色のだしが取れます。香り高く、ほのかに塩味のある上品な味わいです。比較的主張が少なく、味付けに奥行きを出しながらも素材や料理を引き立ててくれます。
利尻昆布だしは、上品なだしのため、湯豆腐や千枚漬けなど素材の風味を引き立てる料理に向いています。
まだまだある! 個性豊かな昆布のご紹介
上記でご紹介した、だしにおすすめの昆布以外にも、さまざまな特徴を持った昆布があります。
ここでは、料理や加工品におすすめの昆布をご紹介します。
- 長昆布
産地は釧路・根室地方沿岸。薄目で柔らかい点が特徴で、佃煮や、おでんの結び昆布として重宝されています。
- 細目昆布
産地は、北海道の日本海側沿岸。その名の通り、幅の細さが特徴です。とろろ昆布などの加工品に使用されています。
- がごめ昆布
産地は、主な産地函館沿岸。表面に籠の編み目のような紋様があります。粘り気が強いため、松前漬けに最適です。
昆布の選び方を知ろう
産地別の昆布の特徴やおすすめの用途をお伝えしてきましたが、ここからは、買い物をするときに役立つ、昆布の品質を見極める方法をご紹介いたします。
昆布は同じ種類でも、採れた場所により厳格に格付けされています。浜の独特な地質や潮の流れ、採れた時期や海の深さなど、昆布の育つ環境の微妙な違いが品質に差をつけます。
一般的に良い昆布の特徴は、「厚みがある」「幅・長さがある」「黒く色艶がある」の3点です。ただ、全て同じような色・形をしているので、プロでない限り、見分けるのは非常に困難です。そのため、お店の方に良い昆布を聞いて、紹介してもらうのがおすすめです。
自分好みのだしを取ろう
昆布で取るだしは、上品で優しい味になるため、素材の味・香りを活かした料理に最適です。先ほどご紹介した真昆布・羅臼昆布・利尻昆布・日高昆布の4種類の昆布は、どれもおいしいだしを取ることができますので、好みの昆布を選んで試してみてください。
実は、昆布のだしの取り方は、正しい取り方というものはなく、作る料理に合わせたり、自分の好きなだしの味にしたり、その時に合うだしを取ることをおすすめしています。
今回は主に、3つのパターンをご紹介いたします。
- 濃いだしが取れる煮出しの取り方
- すっきりとした味わいの水だしの取り方
- 合わせだしの取り方
煮出しの取り方
煮出しは、香りや風味が強く、コクもしっかりと出る取り方です。
だしを味わいたい場合に適しています。
【手順1】基本分量
水1リットルに対し、10g~20g程度の昆布を入れるのが、おいしい昆布だしが取れるおすすめの分量です。
【手順2】昆布の表面を布巾などで拭きます。
昆布の表面の白い粉は汚れやカビではなく、うま味成分です。水洗いの必要はありません。
【手順3】分量の水に昆布を30分くらい漬けましょう。
時間がない場合は、この工程は短縮しても構いません。
【手順4】 中火にかけ、沸騰直前で昆布を取り出しましょう。
多少の沸騰では味が極度に落ちることはありませんが、煮過ぎると昆布の粘り成分が溶け出し、風味を損なうので注意が必要です。
水だしの取り方
水出しは、クセがなくすっきりとした味わいが特徴の取り方です。
上品な料理に適しています。
【手順1】基本分量
煮出しの取り方と同様、水1リットルに対し、10g~20g程度の昆布を入れるのが、おいしい昆布だしが取れるおすすめの分量です。
【手順2】昆布の表面を布巾などで拭きます。
昆布の表面の白い粉は汚れやカビではなく、うま味成分です。水洗いの必要はありません。
【手順3】分量の水に昆布を半日程度漬けましょう。
水だしの場合は、昆布を水の中に入れて、漬けておくだけなので、簡単に昆布だしを作ることができます。
長い場合は1晩漬けておく方もいますが、半日でもすっきりとした味わいのうまみを引き出すことができます。
合わせだしの取り方
昆布の他にカツオ節を使った合わせだしは、幅広い料理に適しています。
【手順1】基本分量
水1リットルに対し、10g~20g程度の昆布と、30g程度のカツオ節が、おいしい合わせだしが取れるおすすめの分量です。
【手順2】昆布の表面を布巾などで拭きます。
ここは煮出しや、水だしと同様、昆布の表面を布巾で拭きます。
【手順3】分量の水に昆布をいれて中火にかけましょう。
沸騰直前に昆布を取り出しましょう。
【手順4】沸騰したら火を止めてから、カツオ節を入れましょう。
1~2分程度カツオ節を沈ませ、だしを取りましょう。
【手順5】ザルでこしましょう。
布巾などを敷いたザルでこすことで、合わせだしが完成します。
だしは、取り方次第で風味が変わります。料理ごとにだしの取り方を変えてみたり、自分好みのだしで楽しむのも素敵ですね。
最新のコンロで、昆布のだしも手軽に取れます!
ご紹介した昆布だしは、「ガスコンロ」(ピピッとコンロ)のコンロタイマーを使えば手軽に調理することができます。
「コンロタイマー」は設定した時間になると音でお知らせして自動で消火する便利な機能。茹ですぎ・煮すぎなども防ぎます!※
その他にも、自動で火加減を調整する揚げ物・焼き物に便利な「温度調節」機能や、ボタン一つでガス火炊きのご飯が炊きあがる「自動炊飯」機能。※
お湯が沸くと音でお知らせして自動で消火する「湯わかし」機能など、「ガスコンロ」には調理をサポートする機能がいっぱい!※
また、“魚を焼く”イメージの強い「グリル」ですが、実は肉や野菜料理、トーストやピザ、揚げもののあたため直しにも使える万能調理器。
専用容器対応のグリルでは、手軽にオーブン料理も楽しめます。※
「ガスコンロ&グリル」には自動でおまかせの便利な機能がいっぱい!
「おいしい」がもっと簡単に!レパートリーもグンと増えますよ。
(※各機能は搭載されていない機種もあります。機種によって機能名は異なります。専用容器の対応有無、種類は機種ごとに異なります。専用容器は別売の場合もございます。/各画像はイメージです。)
だしは5日程度保存できる!
だしを使うことで、よりおいしい料理を作ることができます。しかし、だしを取る時間がなくて諦めてしまう方も多いのではないでしょうか?
そんなときは、濃いだしを一気に作り、ピッチャーやタッパーなどに入れて保存しておきましょう。だしは冷蔵庫で5日間程度保存することができます。一度にだしをたくさん作って保存しておけば、忙しい時でもすぐに活用することができます。
また、濃いだしを作っておくと、後から水で薄めて濃度を調整することも可能です。時間がない時でも、だしを使っておいしい料理ができるように工夫してみましょう。
昆布の保存方法
昆布を買っても、1回で全て使い切れない場合もありますね。残った昆布は、どのように保存すればよいのでしょうか。
昆布は、冷蔵庫など存在しない8000年も前から問題なく食べられているように、常温で保存が可能です。
ただ、昆布が湿気を帯びた状態になると、風味が落ちたり、良いだしが取れなくなってしまう可能性もありますので、よりおいしく食べるには、湿気を避けて乾燥したところに保存する方法がおすすめです。
その場合は、缶やビンなどの密閉容器に入れて、乾燥剤を入れておくとよいでしょう。保存する際にあらかじめ15cm程度の長さに切っておくと、使いやすい状態で保存ができます。
おわりに
昆布の産地ごとの特徴や活用方法、だしの取り方などを日本昆布協会の吹田さんに伺いました。昆布ごとのおすすめの食べ方や使い方、だしの取り方を取り入れることで、普段の料理がよりおいしくなること間違いなしです。おいしいだしを作り、もっと料理を楽しんでみるのはいかがでしょうか。