八十八夜とは何の日? 2023年はいつ?

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八十八夜は立春から数えて88日目を指します。立春は日付が固定されていないため、八十八夜も毎年同じ日付ではありませんが、基本的には5月の初め。2023年の八十八夜は5月2日(火)になります。
八十八夜は雑節のひとつで、立夏(毎年5月6日頃)を控え、この頃から気候が安定してくるので、茶摘みや種まき、田植えなど農作業を始める目安とされてきました。

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晩春のこの時期、作物は大きく成長します。この時期に霜が降りると作物に大きな影響を及ぼすので、農作業には注意が必要でした。
「八十八夜の別れ霜(わかれじも)」「八十八夜の霜別れ(しもわかれ)」という言葉は、八十八夜の頃に降りる霜で、この霜が降ったらそれ以降は降らないと言われてきました。
八十八夜以降は遅霜が降りることは少なくなり、気候も安定していきます。そのため、八十八夜が農作業の目安とされてきたのです。
なお、「九十九夜の泣き霜(なきじも)」という言葉もあり、5月半ばに霜が降りると泣いても泣ききれないと言われてきました。こうした言葉から、遅霜がいかに警戒されてきたのかがわかりますね。
八十八夜で摘んだ茶葉は一番茶? 新茶?

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八十八夜と言えば、「夏も近づく八十八夜」の歌い出しで有名な唱歌『茶摘み』。
冬の間、冬眠状態にあったお茶の芽は、暖かくなるにつれゆっくりと育っていきます。この新芽を収穫するのに最適な時期が八十八夜の頃。その年、初めて収穫されるお茶の葉です。
八十八夜に収穫した新芽は、爽やかで香り高く、「一番茶」「新茶」と呼ばれて人気を博してきました。つまり、「一番茶」と「新茶」は同じ意味です。
なお、次に収穫できるのは約45日~50日後で、二番茶と呼ばれます。二番茶の新芽が出る頃には気温が高くなり、成長スピードも早くなります。最初にゆっくりと成長した一番茶の方が栄養価が高く、香りが良いため、新茶が注目されているのです。
なお、一番茶の中でも初期に摘まれた茶葉の方が上質なのだそう。新芽を選んで手作業で収穫した新茶を「折り摘み」と言い、特に上質な高級茶葉として知られています。
地域によって違う! 茶摘みの時期とは?

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南北に広がる日本では、茶摘みに適した時期は地域によって異なります。最も早いのは鹿児島県の種子島で、3月下旬から4月上旬。それから5月下旬にかけて関東付近まで茶摘みを迎えていきます。こうして新茶の茶摘みが日本列島を北上する様子は、「新茶前線」とも呼ばれています。
新茶と言えるのはいつまで? 二番茶と三番茶の時期とは?

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お茶は収穫したタイミングによって分けられます。
静岡の例
・一番茶(新茶)・・・4月中旬から5月中旬頃に摘まれる茶葉・二番茶・・・一番茶を摘んだ後に生えてくる6月頃の茶葉
・三番茶・・・二番茶を摘んだ後に生えてくる7月下旬から8月上旬頃の茶葉
・秋冬番茶(しゅうとうばんちゃ)・・・三番茶を摘み採らずに、秋口の9〜10月頃に収穫する茶葉
地域によっては三番茶を摘み採らずに秋冬番茶を作ったり、翌年の新茶の品質を高めるため二番茶・三番茶を収穫しないところもあるそう。
現在は収穫した茶葉を冷凍保存し、年中、新茶を流通させられるようになりました。冷凍保存された茶葉はゆっくり熟成するので、摘みたてとは違う旨味があります。
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八十八夜は農作業のタイミングだけではなく、◯◯にも最適♪

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漢字の「八」は末広がりで縁起が良いと言われています。「八」が2つも入っている八十八夜はとても縁起のいい日とされ、夏支度を始める吉日としても親しまれています。
八十八夜のすぐ後に夏の到来を表す「立夏」がやってきて、6月には衣替えの時期を迎えます。5月は暑い日も増えてくるので、八十八夜に何かひとつでも夏物の準備をしてみると良いかもしれませんね。
おわりに
緑茶は日本の食文化に欠かせないもの。八十八夜に新茶の美味しさを味わってみてはいかがでしょうか。