生ゴミのニオイの原因とは?
生ゴミのニオイは腐敗が原因といわれています。
腐敗は、細菌などの微生物が生ゴミを分解して有害物質などを作りだすことですが、その際に出るニオイがいわゆる「生ゴミ臭」です。
微生物は「栄養」「水分」「温度」の3条件がそろうと繁殖します。生ゴミは水分を含んでいるものが多いですし、気温の高い夏場は特に微生物が繁殖しやすい時期といえます。ニオイも強まるわけです。
さらに、生ゴミの保管場所にもニオイを強める要因が。ご家庭で出た生ゴミは袋の口をきっちりしばって、ふた付きのゴミ箱に入れておくことが多いと思います。実は、一般的なポリ袋(ポリエチレン製の袋)はニオイを通します。しかもこの密閉された状態は、ニオイの元となる微生物が繁殖しやすい環境。ニオイを防ぐつもりが、逆にニオイを増やしてしまっていたのです。
家事アドバイザーの河野真希さんは「微生物を増やさないようにすることが、生ゴミのニオイを解消する方法」と言います。そのためのキーワードは「水分」と「温度」。この2つをコントロールすることが、生ゴミのニオイ解消につながります。
生ゴミの消臭対策とは?
では、生ゴミのニオイを解消するにはどうすればよいのでしょうか。
河野さんに、具体的に教えていただきましょう。
【生ゴミの消臭対策その1】生ゴミの水分を減らす
生ゴミが出るのは、食材の下ごしらえなどをするとき。元は食べ物ですし、ゴミになった途端に生ゴミのようなニオイがするわけではありません。
方法1. 生ゴミに水をかけない
「まず、生ゴミをぬらさないようにしましょう」と河野さん。シンク内に置いた三角コーナーは水がかかりやすいので、ニオイ対策にはNG。調理台の上など、水のかからない場所に生ゴミを集めるようにしましょう。
さらに、河野さんによれば調理するときには「野菜の水洗いは皮をむいてから」がよいそう。洗う前に処理すれば、生ゴミをぬらさずに済みますね。
そして、「買ってきた時に洗って乾かしてから保存するのもよい方法です」と河野さん。土がたくさん付いたジャガイモなど、洗わずに皮むきするのが大変な野菜などの場合にはおすすめですね。
【ウチコト編集部で実証! 生ゴミに水をかけない】
水洗いする前に野菜の皮をむき、調理台の上で集めてポリ袋へ入れました。
まず気付いたのは、生ゴミを入れたポリ袋の軽さ。水分量の違いが実感できました。翌日になっても元々の食材のニオイがする程度。シンク内で生ゴミを集めていたときは翌日から嫌なニオイが漂っていたので、ぬらさないだけでこれほど違うとは驚きです。
方法2. 生ゴミの水気を絞る
排水口に流れた生ゴミは水分をたくさん含んでいます。「できればそのまま捨てず、一度絞った方がよいです」と河野さん。
また、水気の多い生ゴミは他の生ゴミと袋を分けるのがベター。一緒にすると、他の生ゴミの水分を増やしてしまうことになります。「少し手間がかかりますが、ニオイの気になる時期だけでもやってみては」(河野さん)
方法3. 新聞紙で包む
新聞紙は湿気とともにニオイを吸ってくれるので、生ゴミのニオイ対策に有効です。河野さんは「新聞紙で箱を作っておき、調理中に出る生ゴミはそこに入れます」とのこと。
水分の多い生ゴミは、新聞紙で包んでぎゅっと絞ってから処理するとより効果的。「包んでそのまま捨てるだけ。手間もかからずおすすめです」(河野さん)
【ウチコト編集部で実証! 新聞紙で包む】
生ゴミの半分はそのままポリ袋、もう半分は新聞紙に包んでからポリ袋へ入れてそれぞれゴミ箱へ。翌日、新聞紙に包んだ方には生ゴミ臭はなく、新聞のインクのようなニオイがするだけでした。
【生ゴミの消臭対策その2】ニオイを抑えて保管する
水分を減らすだけでニオイはかなり解消できるようですが、魚や肉などの生ゴミはニオイが強くなりやすく、ゴミの収集日までいかにニオイを抑えるかがポイントです。さらに臭わないようにする工夫について河野さんに伺いました。
方法1. 重曹をかける
重曹には除湿や消臭の効果があるので、生ゴミを入れた袋に重曹を振りかけておくとニオイ防止になります。
「翌日、ゴミ箱を開けたときに『ちょっと臭うな・・・』と感じたら、さらに上からかけておくとニオイが抑えられます」(河野さん)
【ウチコト編集部で実証! 重曹】
生ゴミに重曹を振りかけて袋を密封。翌日、ポリ袋から臭うことはなく、袋を開けたときのニオイも気にならない程度でした。
筆者はスプーンを使って重曹をかけましたが、重曹を入れる容器を工夫して直接振りかけられるようにするとさらに手軽にできそうです。
方法2. アルコールスプレーを吹きかける
コロナ禍になり、今や家庭の常備品ともいえるアルコールスプレー。除菌効果があるので、生ゴミにかけておけばニオイを抑えてくれるそう。
「最近はアルコールスプレーをよく使います。生ゴミを入れる袋にシュッとかけ、ゴミ箱に入れたら上からシュッ。こうするとゴミ箱の中でもニオイは結構抑えられます」(河野さん)
【ウチコト編集部で実証! アルコールスプレー】
生ゴミを入れたポリ袋にアルコールを一吹きしてから密封すると、翌日の生ゴミ臭はほとんどなし。ポリ袋を開けても、生ゴミ臭というよりは元の食材のニオイという感じでした。
ついでに、少し臭い始めたゴミ箱内の生ゴミにもシュシュっとかけたところ、翌日の生ゴミのニオイに変化が。ニオイがすっかり消えたわけではありませんが、不快な生ゴミ臭は軽減していました。
ニオイが気になったときに吹きかけるだけでよいのはとても手軽ですね。最近は常備しているお家が多いと思うので、試してみる価値はあるのではないでしょうか。
方法3. 冷蔵・冷凍する
生ゴミの温度を低く保つこともニオイ対策になります。
お家の中で温度が低いといえば冷凍冷蔵庫。とはいえ、生ゴミを冷蔵庫や冷凍庫に入れることに抵抗を感じる人も多そうです。
「食べ物とゴミを一緒に・・・と思うと不衛生な感じがしますが、生ゴミも元は食品。初めはほとんど臭いません」と河野さん。
河野さんは、旅行などで家を空ける際に冷凍庫を使うそうです。生ゴミ専用の保存容器を用意して、袋に入れた生ゴミを詰めて冷凍。ゴミ出しの直前に冷凍庫から出してゴミ袋に入れれば生ゴミ処理は完了です。
「生ゴミの冷蔵・冷凍はかなり効果的なニオイ対策です。ただし捨て忘れには注意して。特に冷蔵の場合、2~3日は大丈夫だと思いますが、それ以上は腐敗が進んでいきます」(河野さん)
【ウチコト編集部で実証! 冷蔵】
水洗い前に切り分けた野菜くずと、肉の脂身などをポリ袋に入れて口をしばり、冷蔵庫で保管しました。比較するため2つの袋に分けて、一方はいつも通りゴミ箱へ。
翌朝、ゴミ箱へ入れた生ゴミの方は、ゴミ箱を開けるとぷーんとニオイが・・・。
一方、冷蔵庫で保管している生ゴミはまったくニオイなし。野菜くずは変色も少なく、みずみずしささえ感じるほどでした。
そのままゴミ収集日まで3日ほど置きましたが、冷蔵庫で保管している生ゴミが臭うことはなく、庫内のニオイにも変化はありませんでした。庫内にスペースを確保するだけでできる方法なので、手間をかけずに生ゴミのニオイが解消できます。
方法4. お菓子や食パンの袋に入れておく
「冷蔵庫に入れるのはやっぱり抵抗がある」「生ゴミを置くスペースがない」という場合、お菓子や食パンを包装しているポリプロピレン製の袋を活用する方法もあります。薄いポリエチレン袋よりもニオイを遮断する効果があるそうなので、ゴミ箱に入れておく場合のニオイ対策としても有効です。
ただ、こういった袋は容器包装プラスチックごみとして分別収集する自治体も多いので、ゴミ出しの際に生ゴミを分ける手間がかかる場合も。
「ニオイの気になる時期だけ、と割り切って取り入れてもいいと思います」(河野さん)
【生ゴミの消臭対策その3】生ゴミの量を減らす
生ゴミ自体の量を減らすこともニオイ対策になります。野菜など、洗って皮ごと食べれば生ゴミを出しません。また、生ゴミを出さないことで環境への配慮が実現し、エコ活動にもつながります。
東京ガスグループでは、身近な食生活から始めるエコ活動として「エコ・クッキング」を推奨しています。エコ・クッキングとは、環境を思いやりながら、「買い物」「調理」「食事」「片づけ」をすること。
例えば、買い物をするときは必要な量だけ買うことや、調理の際に食材を無駄なく使うこと、食べ残しを減らしたりすることです。「生ゴミに水をかけず乾いたまま捨てる」という方法も、におい対策になるだけでなく、環境問題にもつながるエコ・クッキングな取り組みと言えます。
エコ・クッキングについてはこちらの記事も参考にしてみてください。
また、野菜の皮などが生ゴミとして出てしまっても、生ゴミを堆肥化するコンポストを利用すれば、ご自宅の家庭菜園などに活用することができます。
また、ディスポーザーが使える環境なら、導入することで生ゴミを減らすことに役立ちますね。
ディスポーザーについては下記の記事で詳しく紹介しているので、参考にしてみてください。
【ディスポーザーメーカーに聞く】ディスポーザーとは? 使い方やメリットをご紹介
生ゴミがないのに臭い? そんなときは
生ゴミを処分したのにまだ生ゴミ臭が漂う・・・。そんなときは「どこかで菌が繁殖しているということ」だと河野さんは指摘します。
可能性の高い場所を教えてもらいました。
キッチンの排水口
ニオイの発生源として考えられるのは、キッチンの排水口です。「掃除をしないとそこから臭ってくるので、ある程度きちんと掃除してほしいところです」と河野さん。
排水口から外せるパーツは全て外して、穴をふさいでシンクにお湯(40~50度)をためます。そこに酸素系漂白剤を溶かし、外したパーツを浸して30分ほど放置してから流せばお掃除完了です。
「パーツに付着した汚れは軽くこすればほとんど落ちます。週に1回やればきれいな状態が保て、お手入れも楽ですよ」(河野さん)
ゴミ箱
生ゴミを保管している間に、ゴミ箱自体にニオイがついてしまっている場合もあります。
もしゴミ箱が臭ったら「手っ取り早いのは丸洗い。中性洗剤で洗えばたいていのニオイは落ちると思います」と河野さん。
河野さん自身は、ゴミを出すたびにゴミ箱の内側をアルコールでさっと拭いているのでゴミ箱が臭うことはないそうです。ゴミ箱を一度きれいにしたら、ゴミ出しついでのアルコール拭きを習慣化しておくとよさそうですね。
水まわりを清潔に保つには、プロの力を借りるのも有効です!
生ゴミがないのにキッチンが臭う・・・。そんな時は、普段しない場所までしっかり掃除を。でも、自分で掃除するのが難しい場合や、汚れが落ち切らない場合もありますよね。
日々掃除をしていても、キッチンは気づかないうちに頑固な汚れがたまりがち。
そんな時は、一度ハウスクリーニングの専門業者にお願いしてみるのもおススメです。
東京ガスのハウスクリーニングは、自社研修を受けたプロが、コンロの天板洗浄やコンロ五徳の浸け置き洗浄まで面倒な箇所をまとめて徹底洗浄。
焦げ付きの気になる魚焼きグリル内も綺麗にしてくれます。
利用した方の中には、せっかくお金をかけて綺麗にしてもらったのだから、綺麗な状態を維持しようと感じる方も多いそう。
ご自宅向けにはもちろん、ご両親へのプレゼントにも喜ばれること間違いなしです。
Webで簡単にお申し込みもできます。ぜひお試しください!
おわりに
生ゴミのニオイには「水分」と「温度」が関係するということが分かりました。「ニオイの気になる時期だけでも気をつけると暮らしやすくなりますよ」と河野さん。それぞれの家庭に合った方法を見つけて、生ゴミのニオイに悩まされず快適に過ごせるようになるといいですね。