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バスケットダーニング

イギリスから来た古くて新しい服のお直し、ダーニングを学ぶ~Vol.3 バスケットダーニング

シミが付いたり穴があいたりした服を修繕し、新たに生き返らせる「ダーニング」という方法が近年注目されています。ダーニングとは「繕う」を意味する英語で、イギリスで古くから行われている衣類を修繕する針仕事のこと。テキスタイルデザイナーでダーニングブームの火付け役でもある野口光さんにダーニングの基本テクニックを教わる5回連載の第3回目。今回はバスケットダーニングを教えていただきます。

最終更新日:2023.8.4

目 次

前回のおさらい

細かく飛び散ったシミにバツダーニング

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細かく飛び散ったシミにバツダーニング。シミがないところにもバツをプラスして、かわいいステッチに。

ボーダーと同じ青の糸で襟ぐりや袖口にゴマシオダーニング

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ボーダーと同じ青の糸で襟ぐりや袖口にゴマシオダーニング。袖口に入れた赤の糸がポイントです。

お気に入りの服にシミが付いたり、虫食い穴があいたなんて経験をしたことはありませんか? 気に入ってた服ほど着る頻度も高く、洗濯の回数も増えるので、徐々にほつれてきたり、擦り切れてきたりするもの。そんな、もう着れないと諦めてた服をよみがえらせる「ダーニング」という方法が近年注目されています。ダーニングとは「繕うこと」を意味する英語で、イギリスで古くから行われている衣類を修繕する針仕事のこと。

初回ではダーニングの魅力、基本の道具など、2回目ではバツダーニングとゴマシオダーニングをテキスタイルデザイナーの野口光さんに教えていただきました。

バスケットダーニングをしてみよう!

バスケットダーニングしたボーダーのカットシー

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裾にできた引っかけ穴にバスケットダーニングしたボーダーのカットシー。デザインのポイントになるような仕上がりです。

ダーニングを知っている人が一番に思い浮かべるテクニックと言っても過言ではないのが「バスケットダーニング」。タテ糸にヨコ糸を通していく、ベーシックなダーニングのテクニックです。バスケットの編み目のようでいて、織りもののような風合いに仕上がります。小さな穴から、大きくやぶれてしまった穴にも対応した手法です。

バスケットダーニングする服

胸元と模様の中にいくつか穴があいてしまった子ども用のTシャツ

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今回は胸元と模様の中にいくつか穴があいてしまった子ども用のTシャツをダーニングします。

野口さん「子ども服をダーニングしたいという方は多いです。糸選びはデザインの中で使用している色、またはそれに近い色から選ぶと、元のデザインにもしっくりと馴染みます。今回の場合はデザインにいろいろな色が入っていたので、そこから近い色の糸を選びました。1色だけではなく、何色かを混ぜるのもポイントです」

バスケットダーニングの仕方1

服の裏側からダーニングしたい部分にダーニングマッシュルームを当てて、ヘアゴムでしっかりと固定します。

野口さん「穴が中心にくるようにして、布を引っ張りすぎないように気をつけてとめてください」

バスケットダーニングの仕方2

バスケットダーニングの仕方2

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穴の端から0.5㎝のところにチャコペンシル(ない場合は鉛筆などでもOK)で四角形の印を付けます。

バスケットダーニングの仕方3

バスケットダーニングの仕方3

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糸を50㎝程度でカットし、針に糸を通します。 この糸がタテ糸になります。糸端は玉結びせずに、印を付けた四角形の角から3㎝程離れたところに針を刺し、印の角に針を出します。

野口さん「私の場合、針はフランス刺繍針、クロスステッチ針を使用しています。糸は基本的には家庭にあるどんな糸でもOKなので、まずは家にある糸で挑戦してみてください。購入する場合、初心者の方におすすめなのは刺し子糸です」

バスケットダーニングの仕方4

バスケットダーニングの仕方4

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糸端は10㎝程残します。縫い始めの糸端はダーニングが終わった後に始末するので、そのまま休ませておきます。

バスケットダーニングの仕方5

印付けした四角形の下端の右角を右から左に1針すくいます。これでタテ糸が1本できました。糸は引き過ぎないように注意します。

バスケットダーニングの仕方6

針1本分あけるようにして、続けて2本目のタテ糸を渡していきます。1本目の左隣、印の上を右から左に1針すくいます。これで2本目のタテ糸が渡りました。

バスケットダーニングの仕方7

バスケットダーニングの仕方7

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同様にして、印を目安にタテ糸を渡していきます。

バスケットダーニングの仕方8

最後の1本のタテ糸を渡します。刺し始めと反対側の印の角から針を刺し、角から3㎝程離れたところに出します。刺し終わりの糸端も終わった後に始末するので、そのまま休ませておきます。

野口さん「タテ糸は引き過ぎず、緩くなり過ぎないように渡していくのがポイントです。緩み過ぎた場合は、刺し始めと刺し終わりの糸を引いて調整してください」

バスケットダーニングの仕方9

次にヨコ糸を刺していきます。タテ糸と同様に50㎝程度でカットし、針に糸を通します。 糸端は玉結びせずに、タテ糸の刺し始めの隣あたりに針を刺し、四角形の角に出します。糸端は10㎝程残し、そのまま休ませておきます。

バスケットダーニングの仕方10

針先を指で持ち、針の穴側でタテ糸の1本目、3本目、5本目と1本おきにタテ糸の下にヨコ糸を通していきます。

野口さん「針先は尖っていて糸をすくいにくいので、針穴の方ですくっていきます。とじ針など針先が丸い針を使う場合は、針先で通して大丈夫です」

バスケットダーニングの仕方11

角の隣を1針すくいます。これでヨコ糸が1本通りました。

バスケットダーニングの仕方12

バスケットダーニングの仕方12

uchicoto

ダーニングマッシュルームを180度回転させて、1本通ったヨコ糸が下側にくるように持ち直します。11の1針のすぐ上を右から左に1針すくいます。

バスケットダーニングの仕方13

バスケットダーニングの仕方13

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針先を指で持ち直して針の穴側で、ヨコ糸1本目で下を通していないタテ糸の下に糸を通します。2本目のヨコ糸は、1本目とは互い違いになります。

バスケットダーニングの仕方14

2本目のヨコ糸が通ったら、すぐ隣を右から左に1針すくいます。ヨコ糸は隙間が空かないように爪や針で整え、みっちりと通していきます。

バスケットダーニングの仕方15

再度180度回転させて、ダーニングマッシュルームを持ち直します。3本目以降のヨコ糸も同様に通していきます。1針すくい、前のヨコ糸と互い違いになるように糸を1本おきに通していき、最後に1針すくいます。

バスケットダーニングの仕方16

バスケットダーニングの仕方16

uchicoto

ヨコ糸を通す途中で、何度か下の布をすくいます。しっかりと1針すくう感じではなく、布の糸を数本すくう感じです。

バスケットダーニングの仕方17

ヨコ糸を通している途中で糸が短くなったり、糸の色を変えたくなった場合、ヨコ糸を通し切った時点で糸を変えます。タテ糸にヨコ糸を通して端まで来たら、針を刺して端から3㎝程離れたところに出します。糸端はダーニング後に始末するので、そのまま休ませておきます。

野口さん「糸を変えるタイミングで色や素材を変えてみるのも素敵です。タテ糸、ヨコ糸が重なる部分に思いもよらない色合いが生まれ、楽しい雰囲気が加わります」

バスケットダーニングの仕方18

針に新しく糸を通します。針を端から3㎝程離れたところに刺し、端に出します。今までと同じように、前のヨコ糸と互い違いになるように1本おきにタテ糸の下にヨコ糸を通していきます。

バスケットダーニングの仕方19

ヨコ糸を通し終えました。隙間が空かないようにみっちりとヨコ糸を通します。角に針を刺し、角から3㎝程離れたところに出します。

バスケットダーニングの仕方20

ダーニングマッシュルームを外します。表側に出ている刺し始め、刺し終わりの糸端を裏側に引き抜きます。

バスケットダーニングの仕方21

糸端を針に通し、裏側に出ている針目に4目くらいくぐらせてとめます。他の糸端も同様に始末し、残った糸端ははさみで短くカットします。

バスケットダーニングの仕方22

バスケットダーニングが1つ完成しました。さらに上にあった穴も同じ方法でダーニングしました。

野口さん「今回は四角形で紹介しましたが、穴の形や大きさによっては、丸や三角形や台形などの形にしても素敵ですよ」

完成

前身頃の模様部分、小さな穴があいていたところや擦れて薄くなっていたところにもダーニングを足して、完成です。ユニークな柄を活かしそれに沿うようにダーニングを加えて、カラフルな印象が、より強いデザインになりました。

野口さん「どのテクニックにも言えることですが、ダーニングは、針目がそろっていることが重要ではありません。むしろ乱れ気味の方が味になります。今回のバスケットダーニングも四角形が多少歪んでしまってもいいんです。きれいな四角形よりも少し崩れた四角形の方がデザインに馴染みやすいですし、何とも言えない楽しさがあります。細かいことは気にせず、ぜひチャレンジしてみてください」

バスケットダーニングの仕方は動画でこちらからもご覧いただけます。


まとめ

今回はベーシックなテクニックのバスケットダーニングを教えていただきました。どんな穴やシミにも使いやすいテクニックだったのではないでしょうか。さらに、野口さんの「針目をそろえることは重要ではない」という言葉が心強いですね。

次回は蜂の巣模様のような面白い針目がかわいい「ハニカムダーニング」を教えていただきます。大きな穴の補修におすすめのテクニックをしっかりとご紹介します。お楽しみに!

  • この記事取材先

    野口光

    野口光

    テキスタイルデザイナー。ニットブランド「hikaru noguchi」主宰。武蔵野美術大学を卒業後、イギリスの大学でテキスタイルデザインを学ぶ。日本、イギリス、南アフリカをベースにインテリアをはじめ、ファッション界でニットデザインのコレクションの発表を続ける。ダーニング人気の火付け役として、教室やワークショップなどで大勢の人たちにダーニングを教えている。
    https://hikarunoguchi.shop
    Instagram @hikaru_noguchi_design

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公開日:2023.3.17

最終更新日:2023.8.4

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