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鏡開きとは? いつやるもの?

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鏡開きとは、新年の「年神様」にお供えした鏡餅を下げて食べる行事です。
昔の武家では、鏡開きで正月を一区切りし、仕事始めをするという意味がありました。剣道などの道場で道場開きに鏡開きを行い、お汁粉をふるまうのは、その名残りです。武家から始まった行事なので、切腹を連想させる刃物で切るのは禁物とされ、木槌で割って、「開く」と言うようになりました。
鏡開きは、1月11日に行います。鏡餅は年神様の依り代(居場所)なので、年神様がいらっしゃる松の内(1月7日)が過ぎてから鏡開きを行います。
地方によっては松の内が1月15日までというところがあり、そうした地方では、鏡開きは15日か20日に行われます。また、京都では1月4日に行う地域もあるようです。

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この「鏡開き」、樽酒のふたを割ることを指すこともありますね。酒樽のふたを別名「鏡」と呼び、縁起よく「開く」という表現を使うようになりました。こちらは新築や結婚式などのお祝いのときに行います。
そもそも鏡餅とは? なぜお供えするの?

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伝統的な正月行事は、年神様を家に迎えて、もてなし、送るためのもの。お迎えした年神様の依り代として鏡餅をお供えします。
日本では古くから鏡には神様が宿ると考えられていました。昔の鏡は丸い形をしています。そこで、丸い餅で鏡を表し「鏡餅」と呼ぶようになったそう。
鏡餅はどう飾るの?

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鏡餅は、大小二段で飾ります。飾り方は多様です。上の写真はその一例です。
・まずお供え用の器である三方(さんぽう)に、白い奉書紙(ほうしょし)を敷きます。
・裏白(うらじろ)を敷き、鏡餅を載せます。
・昆布、譲り葉(ゆずりは)、串柿をのせ、一番上に橙を飾ります。
鏡餅の飾りものの意味とは?
・裏白の葉・・・葉の裏面が白いシダの一種。無垢な心・白髪になるまでの長寿を表す・譲り葉・・・新葉が揃うまで古い葉が落ちない木。何代も続く、子孫繁栄を表す
・昆布・・・「養老昆布」で喜ぶの意。昆布は「広布(ひろめ)」と呼ばれ、喜びが広がる縁起物とされた。また、「子生」と書いて子宝を祈願
・串柿・・・干し柿を串にさしたもの。柿は「嘉来」に通じる
・橙・・・橙は1本の木に何代もの実がなることから、家が代々続くよう祈願
勝栗、五万米、黒豆、するめ、伊勢海老などを飾る場合もあります。
鏡餅を置く場所とは?

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鏡餅は年神様の依り代であり、新年の幸福や恵みをもたらすために依りつくと考えられています。お供えした場所に依りつくと考えられているので、複数お供えしてもよいとされています。
置く場所
・床の間、または、リビング(騒がしい場所や、見下すような低い場所ではなく、リビングボードの上などに供える)
・神棚、仏壇
・年神様に来ていただきたい大事な部屋(書斎・子供部屋など)
方角を気にする方は、その年の恵方、南または東向きが良いとされているので参考にしてください。
鏡開きを行う理由とは?

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鏡開きには、年神様をお送りし、お下がりの餅を食べることでその力を授かるという意味があります。家族で鏡餅を食べ、新しい年の無病息災を願います。
また、鏡開きは新年の健康と長寿を願う「歯固め」の儀式でもありました。お供えした鏡餅は水分が抜けて固くなっています。丈夫な歯の持ち主は何でも食べられ長生きできるので、丈夫な歯で元気で過ごせるよう祈願します。
包丁で切るのはNG⁉鏡開きでやってはいけないこととは?

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鏡開き
・鏡餅を包丁などの刃物で切る鏡開きは武家発祥といわれています。鏡餅を包丁などの刃物で切る行為は、切腹を連想し縁起が悪いとされています。木槌や手で割るのが正しい流儀です。
・鏡餅を捨てる
鏡開きは、年神様にお供えした鏡餅をお下がりとしていただく儀式です。年神様の恵みを授かるために、小さな欠片も残さずいただきます。
鏡餅をうまく割れない! どうすればいい?

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よく乾燥しひび割れが出ている鏡餅は、木槌で叩けばうまく割れます。粉々になっても、かき餅にしたり、集めて茹でたりすれば、全て食べられます。

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手作りの鏡餅は乾燥しやすいのですが、上の写真のようなパック詰めの鏡餅は時間が経っても水分を含むので、なかなか割れませんね。
お鍋を使った鏡開きの方法

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鍋にお湯をたっぷり沸かし、お湯の中で柔らかくなるまで煮る方法があります。
1.鍋に鏡餅をいれる。複数入れる場合は、重ならないように注意する
2.鏡餅の厚みの倍程度の高さまで水をいれる
3.火をかけ、煮立ったら弱火にして時々ゆすりながら約2分ほど煮る
4.火を止めて柔らかくなるまで少し置いておく
また、あらかじめ小分けされた餅がパック詰めされた状態の鏡餅も市販されています。大きな鏡餅を食べきれなくて困るという場合は、こうした小分けの鏡餅を利用するのも良い案ですね。
割った鏡餅はどう食べる?

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鏡餅にはいろいろな食べ方がありますが、本来は、お雑煮にして食べるのが最もよいとされています。
また、昔ながらの食べ方にお汁粉があります。小豆の赤色は、魔除けの力があると信じられていました。鏡餅を小豆をたっぷり使ったお汁粉にしていただくことで、年神様のパワーと魔除けの力を同時に授かろうという考え方です。
現在は、和風だけではなく洋風にもアレンジされるようになり、お餅料理のバリエーションが増えていますね。
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東京ガス 食情報センター
おわりに
鏡餅は供えるだけではなく、鏡開きをして食べることで意味をなします。新しい1年を健康で幸せに過ごせるよう、家族みんなでいただきましょう!
この記事の監修
もっと見る和文化研究家
三浦康子
古を紐解きながら、季節の行事や生活の知恵など、今の暮らしを楽しむ方法をメディアにて提案。著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)、『粋なおとなの花鳥風月』(中経出版)、監修書『季節を愉しむ366日』(朝日新聞出版)、『おうち歳時記』(朝日新聞出版)ほか多数
三浦康子 和文化研究家
コピーされました
公開日:2019.12.27
最終更新日:2022.12.17
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