マスクは正しく付けないと、せっかくの高性能も台無しに
――まず、正しいマスク着用が必要な理由を教えてください。
飯田:マスクの主な目的は、「ウイルスなどを飛散させて周りを汚染しない」「環境中のウイルスや花粉を吸いこむ率を減らす」の二つです。
しかし、街中でマスクを付けている方のフィッティングを測定しますと、100%漏れ込みの方もいらっしゃいます。ウィルスや花粉の吸い込み量を減らすという点で、これではマスクを付けている意味がありません。
最近はパッケージに「99.5%オフ」などと書かれた、フィルター性能が非常に高いものも出回っています。でも、マスクと顔の間に隙間が出来ないように付けなければ、いくら高性能のものを付けていても、マスクの防御性能は発揮されないのです。
実際、私が行った実験の結果では、マスクを正しい付け方に直しただけで、ウイルス等がマスク内に侵入した割合が5~50%減ったというデータも出ています。
顔にフィットさせやすい「プリーツタイプ」がおすすめ
――ウイルス予防に効果的なマスクの選び方を教えてください。
飯田:ウイルス感染の多いこの時期から花粉の季節まで、長い期間使うことを考えると、手軽に購入できて、フィルター性能も高く、顔の形に合わせてフィットさせやすいものがいいですよね。
おすすめは、もっとも市場に出回っているプリーツタイプです。特に、現在市販されているマスクは、ウイルスの飛沫や花粉のカット率が90%台と、フィルター性能が高いものがほとんど。プリーツタイプなら、顔とマスクの隙間を手で調整しやすく、効果的に使用することができます。
「耳が痛い」のは、サイズが合っていないサイン!? 自分に適したサイズの、付け心地の良いものを
飯田:マスクを選ぶ際にもっとも大事なポイントは、鼻の付け根からあごまでをしっかり覆うことができ、しかも隙間なくフィットするかどうかです。
同じ「Mサイズ」と表示されていても、プリーツの折り幅などが違うため、メーカーごとに大きさが微妙に異なることがあるので、注意が必要。特に、「耳が痛い」と思われる方は、顔のサイズに対して、マスクが小さいことが原因と考えられます。
自分の輪郭や鼻の高さとの相性もありますので、使ってみてフィットしないようでしたら、無理して使い続けるのではなく、別のメーカーのものに買い替えてみたほうが良いでしょう。
さらに、長時間付けることが多いマスクは快適性も大切です。肌ざわりや、付け心地、耳当たり、ノーズクリップ(鼻あて)の感触など、「自分にとってどのマスクが一番合っていて長時間付けられるか」、吟味するのも大事なことだと思います。
プリーツ型マスクの正しい付け方
1.表裏・上下を確認
表にメーカー名が記載されていることもありますが、無ければパッケージで確認しましょう。
2.半分に折り、プリーツを広げる
表を外側にして、半分に折り、ノーズクリップを曲げ、プリーツを上下に広げます。
3.装着し、顔との隙間を手でおさえる
鼻の付け根にマスクを当てながら耳にかけます。鼻のまわりに隙間ができないようノーズクリップが鼻の形に沿うように押さえます。
4.あごの下までマスクを伸ばし、顔になじませる
プリーツを伸ばしてあごの下まで覆い、もう一度隙間がないか手で押さえます。頬のあたりは特にマスクとの間が空きやすいので、鏡でチェックしましょう。
5.深呼吸して空気漏れをチェック
付け終わったら、深呼吸してみて、空気漏れがないかどうかを確認します。漏れているときは微調整しましょう。
正しい付け方なら、マスクでメガネも曇らない!
――「メガネが曇ってしまう」とお困りの方も多いと思いますが、対処法はありますか?
飯田:メガネの曇りの原因は、鼻の部分とマスクとの隙間から抜ける、湿気のある呼気です。ですから実は、さきほどお伝えした正しいマスクの付け方でしっかりフィットしていれば、メガネをかけても曇りにくいんです。
マスクの外し方、捨て方にもポイントが。毎日交換で清潔に
――外す際や、捨てるときのポイントはありますか?
飯田:必ず耳ひもを持って外し、そのままビニール袋に入れ、口をしばってゴミ箱に捨てます。ウイルスや花粉が付着しているので、表面にはなるべく触れないことも重要です。
そして、使い捨てマスクは、出来れば毎日交換しましょう。特に満員電車に乗ったり、人が多い街中へ出かけた日は、それだけマスク表面に色々な物が付いていますので、交換していただきたいですね。
おわりに
ポイントを押さえなければ、効果半減!?のマスク。自分に合ったものを選ぶのはもちろん、正しい付け方と外し方で、感染症を上手に予防していきたいですね。