「サステナブル」とは?「エコ」とどう違うの?
最近よく耳にする「サステナブルな暮らし」をご存じですか?
「サステナブルがどのような意味か分からない・・・」「サステナブルはエコと何が違うの?」という方も多いのではないでしょうか。そんな方に向けて、一般社団法人エシカル協会・理事でエシカル消費の普及啓発の活動をされている竹地由佳さんに、サステナブルという言葉の意味や考え方、サステナブルな暮らしを送るために気軽に実践できるアイデアを教えていただきました。サステナブルの意味を知り、地球のためにできることにチャレンジしてみましょう。
まず、サステナブルとはどういう意味なのでしょうか?
竹地さん「『サステナブル』という言葉は、『持続可能な』という意味を持っています。現代を生きる私たちと、未来に生きる子どもたちとの衡平性を保つために、今の利益になることが、将来の不利益にならないか、という軸で物事を考えることがサステナブルにつながります」
サステナブルとは、今だけではなく未来を生きる子どもたちやその先まで、みんなが豊かに暮らし続けていくために必要な考え方のことなんですね。
また、なじみのある「エコ」という言葉と、「サステナブル」とは、どのような違いがあるのでしょうか。
竹地さん「『エコ』という言葉は地球環境を良くしよう、という意味合いが強いです。一方で『サステナブル』という考え方では、持続可能であるということを前提に、地球環境はもちろん、人権や生物の多様性など、より包括的により良くしていこうという意味を持つ考え方です」
「エコ」は地球環境に向けた考え方であるのに対し、「サステナブル」は地球環境も含めた広い視点で、持続可能な世界をつくるための考え方なんですね。
サステナブルな暮らしはなぜ必要とされているの?
では、なぜ最近サステナブルという言葉をよく耳にするようになったのでしょうか?
竹地さんによると、2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標である、SDGs(Sustainable Development Goals・持続可能な開発目標)の影響があるのだそう。
竹地さん「2015年の国連サミットでSDGsが採択されて以来、ここ数年で国だけではなくさまざまな企業も、地球が抱えている問題解決に取り組み始めました。国ごとにSDGsの達成度を点数化してランキングがつけられることもあり、SDGsは『サステナブル』という考え方が広まる後押しになりましたね。
また、世界的にSDGsという取り組みを行わなければならないほど、地球の環境は年々悪くなってきています。
安く大量生産して大量消費・大量廃棄をしている経済活動が、地球全体に大きな負荷をかけています。安い物には安いだけの理由があり、背景には人権侵害や生物多様性の損失、気候変動などさまざまな問題を抱えています。そのような理由から、私たちの消費活動は社会のあらゆる側面につながっています」
持続的に地球を豊かにしていくには、国や企業だけではなく、私たち一人一人の取り組みも大事になっていきます。その取り組みの第一歩として、より良い未来のためにどのような暮らしの工夫ができるのか考えたいですね。
サステナブルな暮らしを送るための心構えって?
サステナブルな暮らしをするためには、どのような点に気を付ければよいのでしょうか?
「エシカルという考え方にもつながりますが、さまざまな『影響を考える』ということが大事です」と竹地さん。エシカルとはどのような言葉なのでしょうか。
竹地さん「エシカルは直訳すると『倫理的な』という意味を持つ言葉です。一般的には『法的な縛りはないけれど、多くの人たちが正しいと思うことで、人間が本来持つ良心から発生した社会的規範』であると言えます。エシカル協会では、根底には一般的な定義が流れているものの、『人や地球環境、社会、地域に配慮した考え方や行動』と伝えています」
また、竹地さんは『エシカル消費』という考え方についても教えてくださいました。
竹地さん「エシカル消費は『地域の活性化や雇用なども含む、人や地球環境、社会に配慮した消費やサービス』のことです。それを分かりやすく伝えるスローガンが『エいきょうを シっかりと カんがえル(影響をしっかりと考える)』です」
自分たちの消費活動が、周囲にどのような影響を及ぼすのか考える、といった意味で、先ほど説明したサステナブルの考え方に通じるところがありますね。
竹地さん「自分のとる行動が未来のためになっているのかどうかについては、明確な答えがありません。だからこそ、考えて行動することが大事になります。サステナブルな暮らしを心掛けるなら、自分の興味のある分野や身近な消費、例えば衣服や食べ物などから取り組み始めるのがおすすめです。取り組む中で新たな問題に気付くことができれば、別の分野でもサステナブルな行動につながりやすくなります」
サステナブルな暮らしを送るためのアイデアをご紹介
サステナブルな暮らしを送るための心構えについて知った後は、サステナブルな暮らしを実践してみましょう。今回はすぐに実践できるサステナブルな暮らしのアイデアを「衣服」「食事」「住まい」の3つの観点から、竹地さんに教えていただきました。それぞれ簡単に取り組めるものばかりなので、自分の興味のあるものから実践してみましょう。
衣服の観点からできるサステナブルな暮らし
竹地さん「衣服は生産から廃棄までの過程で、さまざまな問題があるとされています。例えば衣服に使われる綿の栽培に大量の水を消費していることや、農薬の使用による土壌汚染や綿農家の健康被害、安価で大量に生産されているファストファッションにより起こる労働や大量のごみ問題が挙げられます」
そんな「衣服」の観点から実践できる、サステナブルな暮らしのアイデアを4つお聞きしました。
【サステナブルな暮らしのアイデア1】衣服を長く着よう
竹地さん「衣服を買うとき、まずは本当に必要かどうかを考えることが大切です。よく考えた上で買った服は、できるだけ長く着るようにしましょう」
ボタンが取れたり、生地がほつれてしまうなどの問題が出てきても、すぐに捨ててしまわず、修繕しながら長く着られるようにしたいですね。また、自分で修繕するのが難しい場合はお店のリペアサービスを利用するのもおすすめだそうです。
【サステナブルな暮らしのアイデア2】フェアトレードの衣服を買おう
フェアトレードとは、発展途上国の生産物を、適正な価格で生産者から直接購入することで、発展途上国の人々の生活を助ける仕組みのことです。
竹地さん「私たちが身につけている服は、どこで、だれが、どのようにして作ったのでしょうか。フェアトレードの服は、その背景がわかり、顔のみえる関係といえます。そして、フェアトレードの服を買うことによって、雇用が生まれて女性が仕事を得ることや、子どもが教育を受けられる機会を増やすことにつながります」
普通の衣服のタグには最終的に作られた国名のみが記載されますが、フェアトレードの商品であれば、詳しい製造の情報が載っているものも多いので、自分の手に渡るまでのストーリーが分かり、長く使おうという気持ちもわくそうです。
【サステナブルな暮らしのアイデア3】衣服をおさがりしよう
竹地さん「おさがりは、日本では昔からなじみのある文化ですよね。特に子どもはすぐに成長してしまうので、子ども服をシェアしあうのはおすすめの方法の一つです」
竹地さんご自身も、お子さまが通う保育園でおさがりBOXの活用を提案されたことがあったそう。
竹地さん「同じ保育園内であれば、名前が書いてあっても知っている方の衣服なので親近感を持って着やすいですし、思い出のある服をそのまま受け継ぐことができます。私が提案した時も、実際に多くの衣服が園内でおさがりされるようになりました」
元の持ち主の思い出を引き継げるというのは、とても素敵な考えですよね。兄弟間だけではなく、ぜひ他のご家庭のお子さま同士でもおさがりをしてみてくださいね。
【サステナブルな暮らしのアイデア4】衣服のリサイクルをしている企業を利用しよう
竹地さん「自社の衣服を回収して、リサイクルするという取り組みをしている企業が少しずつ増えています。いち生活者としてそのような取り組みをうまく利用していけるとよいですね」
しかし、取り組みの表面的な面だけを見て行動を起こした結果、意図しない影響を与えてしまうことも少なくないため、注意も必要なんだそう。例えば、「途上国に寄付します」と服を回収しているような場合、その服がどの国のどんなところに送られるのか、知っているのと知らないのとでは、与える影響が変わってしまうんだとか。
竹地さん「寄付される国によっては、服を受け入れ過ぎてしまいごみ問題に発展していたり、その国が持つ衣服に関する伝統工芸の地位を無意識に奪ってしまうことにつながる可能性があります」
良かれと思ってすることでも、実際にアクションを起こすときには、その行動がどのような結果につながるのか、必ず調べるようにしておきたいですね。
食事の観点からできるサステナブルな暮らし
竹地さん「お料理には、さまざまな食材が使われています。その食材が、例えば化学肥料や農薬を使って作られているとしたら、それらが生態系に影響を与えていることがあります。また、食品ロスの問題は、CO2の排出につながっています。食に関しても、改善できる点は多くあると思います」
そんな「食」の観点から実践できる、サステナブルな暮らしの工夫を5つお聞きしました。
【サステナブルな暮らしのアイデア5】マイボトルを持ち歩こう
竹地さん「マイボトルを持ち歩けば、ペットボトル飲料を買う機会が減るので、プラスチックごみの削減につながります。また日本の水はとても安全性が高いので、おうちで入れた水を持ち歩けば、ミネラルウォーターを買う機会が減り、輸送で発生するCO2削減にもつながります」
マイボトルを持つという気軽な行動で、お財布にも優しく、自然環境に良い影響があるのはうれしいですね。
【サステナブルな暮らしのアイデア6】賞味期限の近いものから購入しよう
竹地さん「食品を購入するときにすぐに食べてしまうものであれば、賞味期限の近いものを購入することで食品ロスの改善につながります。最近は、賞味期限の近いものを安く購入できるサイトもあるのでぜひ利用してみてください」
賞味期限は、品質が変わらずにおいしく食べられる期限のことですので、すぐに食べるものであれば日付が近いものでも品質に問題はありません。
【サステナブルな暮らしのアイデア7】認証ラベルのついた食品を選ぼう
竹地さん「環境や人権などに配慮されて作られている食品には、さまざまな認証ラベルが貼られています。例えば、コンビニに売られているカエルのイラストのラベルのついたコーヒーは、「レインフォレスト・アライアンス」という、生産から販売までの環境に基準を設け、未来につながる仕組みを通じて出荷されています」
認証ラベルの種類も多く、いろいろな商品に貼られているのだとか。お買い物に行った時に、そのようなラベルがついた商品を積極的に買うようにしてみましょう。また、お子さんと一緒にラベルを探してみることも楽しいアクションの一つです。
【サステナブルな暮らしのアイデア8】みつろうラップを使おう
みつろうラップとは、みつばちの巣を構成している蝋を精製したみつろうを、布に染み込ませて作られたラップのことです。
竹地さん「みつろうラップは洗って何度でも使うことができ、使い捨てのラップを使う機会が減るため、プラスチックごみの削減につながります。パンやフルーツなどの食品を直接包んでも問題なく使用できます」
ただし、みつろうラップは熱に弱いので、電子レンジにかけたり、お湯で洗うのは避けるようにしましょう。
ウチコトでは、みつろうラップの作り方をご紹介しています。詳しい作り方はこちらの記事をご覧ください。
【蜜蝋(みつろう)ラップの作り方】簡単で可愛い手作りエコラップ
【サステナブルな暮らしのアイデア9】コンポストを使おう
コンポストとは、家庭から出た生ごみなどを、微生物の力で分解発酵させて作った堆肥のことです。
竹地さん「昔はお庭のようなスペースが必要でしたが、最近ではマンションで使えるサイズのコンポスト容器がありますので、生ごみを手軽に堆肥に変えて再利用することができます」
竹地さんも実際にコンポスト容器で堆肥を作り、大葉やハーブを育てているのだそう。
竹地さん「堆肥を生かして家庭菜園をすれば自然の恵みを感じられますし、多くの手間や供給コストがかかっているのにも関わらず、スーパーマーケットなどで安く売られている野菜にも疑問を持つきっかけになります」
住まいの観点からできるサステナブルな暮らし
竹地さん「住まいで使う電気や水は、全て有限のものです。次世代に豊かな資源を引き継ぐために、大事に資源を使っていきたいですね」
そんな「住まい」の観点から実践できる、サステナブルな暮らしのアイデアを2つ伺いました。
【サステナブルな暮らしのアイデア10】家庭のエネルギーを見直してみよう
竹地さん「日常生活に欠かせない電気や水道など、生活のさまざまなところでエネルギーを消費しています。限りあるエネルギー資源が無くなってしまうことを防ぐため、太陽光や風力などの、自然エネルギーで発電されたエネルギーを供給している電力会社に切り替えるのも選択肢の一つです」
一人では効果が少ないように思えますが、省エネを行う世帯が増えれば大きな成果が得られますよね。
東京ガスでも、切り替え前と電気料金が変わることなく、実質再生可能エネルギー(※)が提供される「さすてな電気」というサービスがあります。ぜひチェックしてみてくださいね。
※東京ガスの電源(LNG火力等)に再エネ指定の非化石証書を付加した電気。
【サステナブルな暮らしのアイデア11】エネルギーは効率的に使おう
エネルギーを使わないで暮らすことは難しいですが、工夫次第でエネルギーを効率的に使い、環境への負荷を軽減することはできます。
身近なところでは、「シャワーや歯磨きの時に水を出しっぱなしにしない」「こまめに電気を消す」などの生活習慣のちょっとした見直しから始めてみるとよいでしょう。
また、気温が厳しい夏や冬は、冷暖房を使い過ぎない工夫もできるとよいですね。
竹地さん「家を建てる時に断熱材を多めにいれるように施工したり、遮熱カーテンや暖房効率が高くなるカーテンを取り入れたりすることで、冷暖房にかかる電気エネルギーを減らすことができます」
【サステナブルな暮らしのアイデア12】番外編
「衣服」「食事」「住まい」の観点以外にも、自分たちでできるサステナブルな暮らしの工夫をご紹介します。
竹地さん「自分のお金を預金している銀行を見直すことも、身近にできる工夫の一つです。私たちの預金しているお金が、地球環境に悪影響を及ぼすような事業に融資されている可能性があります。そのような企業と取引を行わず、持続可能な社会に向けた取り組みをしている企業に融資をしている銀行も多くあるので、ぜひ調べてみてください」
今回竹地さんが教えてくださったのは銀行でしたが、他でも気付かずに「地球によくない取り組みをしている企業」を利用しているということも考えられます。自分の普段から利用しているサービスや、何気ない買い物などの行動が投票行動になるということを念頭に置いて、できるだけ持続可能な社会に向けた取り組みを行っている企業を利用するようにしたいですね。
おわりに
サステナブルの言葉の意味や暮らしのアイデアを、一般社団法人エシカル協会で理事を務める竹地由佳さんに教えていただきました。「知ること、学び続けることが一番大切です」と竹地さん。ご自身の興味のあるものから消費の背景を知って、できることからサステナブルな暮らしを取り入れてみてくださいね。
参考:農林水産省 食品の「期限表示」について