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マンションの建築模型を持つアジア人男性の手元

相続した親のマンションは住む・貸す・売る? 上手に売却する方法はある?

親の住んでいた分譲マンションを相続した場合、その活用方法に悩む人も多いのではないでしょうか。マンションが古いと、自分たちが転居して住んだり、人に貸した際、将来的に大きなデメリットにならないか不安を感じるケースもあるでしょう。今回は相続した分譲マンションの活用を「住む」「貸す」「売る」の観点から、それぞれのメリット・デメリット、さらに上手に売却するコツなどを、ファイナンシャルプランナーの大石詩穂さんに伺いました。

最終更新日:2024.4.20

目 次

相続した親のマンション、「とりあえず持っておく」は危険?

不動産 税金

PIXTA

親の分譲マンションを相続することになった場合、賃貸に居住している人なら転居して「住む」、または「様子見でとりあえず持っておく」と考える場合もあるでしょう。

しかし、安易に「住む」を選択したり、活用方法を先送りしたりするのは要注意だと大石さんは話します。
分譲マンションの相続が決まったら、まずは現在の価値を把握することが大切なのだそう。

マンションの価値を見極めるチェックポイントは2つ

マンションの価値を的確に見極めるチェックポイントは「築年数」と「立地」の2つ。

「建てられてからかなり年数が経っていたり、交通アクセスが悪かったりすると、想像以上に価値が低い可能性もあります」(大石さん)

また、活用方法の決定を先送りにすると、さらなるデメリットを呼び込む可能性があるといいます。

古いマンションを相続するデメリットとは?

「親が長年住んでいた分譲マンションを相続した場合、マンションの老朽化に加えて、周囲の住人も親御さんと同じように高齢化が進んでいる可能性があります。そのため今後、周囲で空室が増加するリスクも考えられます。マンションは空室が多いほど価値が下落しますから注意してください」(大石さん)

築古マンションはさまざまな理由が重なり、相続後ますます買い手や借り手がつかなくなる可能性があるもの。いざ売却しようとすると、希望の価格よりも大幅に値下げが必要になる場合があるそうです。

利便性の悪いエリアは分譲マンションが飽和

「特に、物件が古くなるほどなかなか売れず現金化が難しくなるのが、立地条件や交通アクセスが悪く需要が少ないエリアの分譲マンション」と大石さん。人口は減少しているのに都心部への人口流入が増加している現代では、都心部に新築マンションが続々と建てられています。住む人がいなければ管理費が捻出できなくなるため、利便性の悪いエリアのマンションは今後、存続の危機が訪れる可能性すらあるといいます。

「今すぐでなくても、子どもの学費や投資資金などのためにまとまった現金を希望する場合、相続したのがあまり立地条件のよくない分譲マンションなら、早めに売却を考えた方が良いでしょう」(大石さん)

資産価値の低いマンションの相続を放棄することはできる?

例えば、親の遺産として現金と築古マンションが残された場合、築年数や立地条件が悪い物件だと、「マンションだけいらない」と感じる人もいるかもしれません。このような場合、遺産を部分的に相続放棄することはできるのでしょうか?

「『相続放棄』という仕組みはすべての財産を相続する権利を放棄するということなので、『このマンションは古いからいらない』などの理由で、一部を相続放棄することはできません。また相続放棄をしてもその物件の管理義務は残るので注意が必要です」(大石さん)

民法第940条の規定によると、相続放棄の申し立てを家庭裁判所にしたとしても、相続財産管理人が決まるまではマンションの管理組合と連絡を取ったり、定期的な点検を続けたりする管理義務が残るそう。
またもし相続放棄をする場合は、相続が始まってから3カ月以内に手続きが必要なので、先送りしないことをおすすめします。

親からマンションを相続した後の選択肢は3つ

AかBかc選ぶ手

PIXTA

分譲マンションを相続したら、その後の選択肢は基本的には3つ。「住む」「貸す」「売る」の3パターンです。それぞれのメリット・デメリットを知って、ベストな選択を探ってみてください。

「住む」場合のメリット・デメリット

引越しする若い家族

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相続したマンションに住むと決めたら、相続登記(名義変更)を行うだけで、相続した資産を活用することが可能です。

「住む」場合のメリットについて大石さんは次のように話します。

「親が住んでいたマンションに引っ越すということは、たびたび訪れていたマンションである場合が多く、近隣事情や管理体制が分かっている点や、家族の思い出が残された住居を手放さずに済む点がメリットでしょう。通勤通学に便利な立地であればさらにメリットは増えます。築年数や立地を考慮し、自分の子どもの代まで受け継げるほどの条件がそろっていれば、住むのがおすすめです」(大石さん)

しかし、「住む」にはデメリットもあるそうです。

「マンションを相続すると、その物件の固定資産税や管理費、修繕積立金を負担することになります。修繕積立金は積立方式によっては経年とともに増額する場合も。相続してから支払い続けられるのか、長期的な資金計画を検討しておくことが重要です。相続前に同居していなかった場合は、もともと住んでいた住居の売却や引越しなどの手間や資金も必要です。また、相続した物件をゆくゆくは売却しようと考えている人は、将来的にその物件の価値が下がる可能性を考慮しておく必要があります 」(大石さん)

「貸す」場合のメリット・デメリット

賃貸物件を紹介する不動産会社の女性スタッフ

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今は住めないけれどいずれ住む予定がある場合や、思い出のマンションを手放したくないという場合は、相続したマンションを賃貸物件として貸す選択肢もあります。

ただし、「貸す」場合にもメリット・デメリットがあるようです。

「マンションの立地がよく賃貸の需要が高いエリアのマンションなら、十分な家賃収入を得ることができるでしょう。相続時に金銭的余裕があり、ゆくゆくの売却でまとまった額にならなくても、月々の家賃収入にメリットを感じるような人であれば、売却せず賃貸物件として活用しても良いかもしれません。相続した物件の税金や維持・管理費、修繕積立金などの支払いをまかなった上でプラスの収入になるか、試算してみると良いでしょう」(大石さん)

ただ、分譲マンションを賃貸にだす場合は、一棟で管理するアパート経営に比べると、借り手がみつかりにくい傾向があるため、複数の不動産仲介会社に登録をする手間が発生するほか、借主とのやり取りを不動産仲介会社に依頼する場合も手数料が発生すると大石さん。

借り手を付けるためにリノベーションの出費が必要になる場合もあります。また、思い出のマンションを賃貸に出した場合、借主の使い方によっては室内を汚されたり、傷を付けられたりする可能性も考えられるといいます。

「築古マンションは人が住まない空白期間がしばらく続くと、網戸や水道管の劣化などが発生しやすい傾向にあります。敷金・礼金も経年劣化と見なされて返金せざるを得ないケースが多いようですし、大家になると思ったよりも修繕費用が負担に感じるかもしれません。

また思いのほか負担になりやすいのが、ご近所トラブルによる心理的ストレスです。入居者から周囲の住人に対する相談があれば、大家としてクレームを伝える必要があったり、逆に入居者に対するクレームを受ける場合もあるでしょう」(大石さん)

「売る」場合のメリット・デメリット

FOR SALE 不動産 

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相続後、その物件に住む予定がないのなら、売却する選択肢もあります。
この場合、税金や管理費、修繕積立金などの支払いをする必要がなくなり、まとまった現金が手元に残ります。

「売る」場合のメリットは他にもあるとのこと。

「家賃収入よりも、NISAなどを活用して、売却で得た資金を非課税投資に回した方が身入りの良いケースも。親御さんの介護が必要になったタイミングでマンションを売却し、老人ホームや親御さんの老後の生活資金にあてる方も少なくないです。また、相続人が複数いて、遺産分割で揉めている場合、マンションを売却すれば売却益を換価分割して平等に相続できるというメリットもあります」(大石さん)

一方で、相続したマンションの想定していた価値と実際の価値に差があったということもあるのだとか。

「分譲マンションは価格が変わりやすいのが特徴。相続後数カ月で価値が急変する可能性は低いですが、想定よりも高く売れたり、一方で大幅に価値が下がってしまったりするケースも少なくありません。そのことを前提に、事前に相続人同士でしっかりと話をして同意を取っておくことが大切です」(大石さん)

相続人が複数人いる場合におすすめなのが弁護士・司法書士・税理士のいずれかに依頼して、「遺産分割協議書」と呼ばれる法制証書を作成することだそう。

「高額な相続をする際はきちんと書類が作成されているケースが多く、実はトラブルは少ないです。意外と100万、200万といった小額の相続の方が、口約束が多く揉めやすいんです」と大石さん。相続額に限らず、トラブル回避の先手を打つことも検討してみると良いでしょう。

また、人によっては、家族との思い出の場所を手放すこと自体がデメリットに感じる人もいるでしょう。どのようにしていくのか、ご家族でよく話し合っておくことが大切です。

相続したマンションを上手に売るために知っておきたいこと

不動産 高層マンション

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「一般的に、築古マンションは内装の古さや早く売却したい気持ちを見透かされるなどして、売却時に値切られやすい傾向にあります」(大石さん)

分譲マンションを売る場合、仲介取引を不動産仲介会社に依頼するのが一般的な方法。まずはこの場合に知っておきたい注意点を解説します。

売れないとどんどん価格が下がっていくことも

「マンションに限らず不動産の売却は、買主が見つかるまで、最初の売り出し価格から何度も値下げすることはよくあること。立地条件の悪い築古マンションは買い手がつくまでに半年以上かかることも少なくなく、売れるまでが大変なケースも。その間、売出価格が希望よりもどんどん下がっていく可能性があると思っておいた方が良いでしょう」(大石さん)

成約金額=手元に入る金額ではない

「いわゆる不動産屋(不動産仲介会社)に依頼する一般的な仲介取引の場合、買主との成約金額から最大で3%+6万の仲介手数料を不動産屋に支払う必要があります。そのため、成約金額の全額が手元に入るわけではありません」(大石さん)

売却前に修繕やクリーニング費用が必要

「築古マンションを売りに出す場合、より付加価値を付けて買い手が付きやすくするためにリノベーションや修繕をするケースが多く、売却前に費用がかかります。また見逃しがちなのが、今まで使っていた家財道具の処分費用や手間。クリーニングをプロに依頼する必要がある場合もあるでしょう」(大石さん)

売却後の減額や損害賠償に発展するケースも

「個人間での不動産売買時には、『契約不適合責任』が発生する場合があります。物件によって期間が異なりますが、例えば雨漏りなどの不具合が期間内に発覚した場合、修繕する必要があるということです。そのために売却後、代金減額請求により売買金額が減額になったり、場合によっては損害賠償請求をされたりする可能性もあるので注意してください」(大石さん)

相続した分譲マンションをできる限り短い期間で売却したいと考えるなら、直接売主から買い上げてリノベーションを行ってから売却を行う、買取再販サービスを利用するのもおすすめです。

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特長②「最終査定額で」売却完了

売れるまでが大変といわれる築古マンションでも、東京ガスリノベーションが直接物件を買い取るので買主を探す必要はありません。しかも最終査定額から価格が下がることなく、速やかに売却を完了させることが可能。希望の売却時期に合わせることも可能です。また、一括決済が可能です。ご契約と同時に売買代金をご入金できますので、売却時の手間を最小限にできます。
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また、新居の入居時期・契約決済の場所など、可能な限り売主さまのご希望を優先します。
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物件の不具合が発生した場合、売却後でも適応される可能性がある「契約不適合責任」は、個人間での不動産売買時にのみ発生するもの。東京ガスリノベーションにマンションの買取を依頼する場合は、事業者への売却となるため、心理的瑕疵の告知をしなかったなどのケースを除き、「契約不適合責任」は免責となります。

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おわりに

せっかく親から大切な財産を受け継ぐなら、トラブル回避の書類を交わしたり、便利なサービスを活用したりして、無駄な出費をなくしてスムーズに相続したいもの。分譲マンションを相続するなら、その物件がご自身にとってどのような価値であるかを正確に見極めて、後悔のない選択をしてくださいね。

  • この記事取材先

    大石詩穂

    ウィンプランニング  代表取締役/ファイナンシャルプランナー・相続診断士・公的保険アドバイザー

    大石詩穂

    保険会社に17年、保険代理店に11年の勤務を経て2023年に独立系ファイナンシャルプランナーの会社を設立。公的保険アドバイザーや相続診断士の資格を持ち、年に約150件の新規相談を受けている。ていねいな聞き取りで、よりリアルに将来を想像できるライフプランを作成してくれると好評。

    株式会社ウィンプランニング

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公開日:2024.3.29

最終更新日:2024.4.20

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