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防災食のプロに学ぶ! 消費しながら備蓄するローリングストックの賢い収納テクニック

災害時に力を発揮するのが日々の備蓄。今、消費しながら備蓄する防災術「ローリングストック」が注目を集めています。せっかく備蓄していても、いざという時にどこに保管してあるか分からない、賞味期限が切れていた、なんてことを防ぐために日常生活の中で自然に取り入れられるローリングストックの心構えや収納テクニックについて、防災食のプロ、今泉マユ子さんに伺いました。

最終更新日:2024.1.2

目 次

消費しながら備蓄する! 普段からできるローリングストックの利点とは?

家族で防災について話し合っているイメージ画像

PIXTA

今、在宅避難や外出自粛などの緊急事態に備えて家庭でできる備蓄法として、ローリングストックが見直されています。

ローリングストックとは、その名の通りストック(備蓄)をローリング(回転)させること。普段から使う食料や日用品を少し多めに備蓄しておき、日常の消費で減った分だけ定期的に補充していく方法です。この備蓄方法は物流が止まった時や外出を控えたい時だけでなく、自身の体調不良や家族の看護で身動きができない時などにも大いに役立ちます。

ローリングストックの利点として下記が挙げられます。

・ 廃棄が減らせる
普段から賞味期限の近いものから消費していくことで、備蓄品の賞味期限切れによる廃棄を減らすことができます。食品ロスの低減にもつながりますね。

・ 選べる食品が増える
賞味期限が半年以上あり、常温保存できるものはどんな食材でも備蓄品となります。

・ 自分や家族の好みの物を選べる
日常的に食べていれば、家族の好みに合わせた食材を揃えることができます。もしもの時にも、食事のストレスなく過ごすことができます。

非常食=非常時にだけ食べるものではありません。ローリングストックなら普段の食料や日用品が備蓄になります。非常時に使い慣れた、食べ慣れた食事があれば、大きな心の拠り所となりますね。大切なことは、「もしも」を「いつも」のこととして意識すること。備蓄品を日常的に使い続けることで、いざという時に生きる本当の備えになります。

今回は防災食のプロ、管理栄養士、防災士、災害食専門員の今泉マユ子さん(以下、今泉さん)にローリングストックの心構え、プロならではの収納テクニックを教えていただきます。
これを機に、自宅の備えを見直してみませんか。

収納の心構え「3つの見える化」とは?

買い物をする家族

PIXTA

良いことずくめのローリングストックですが、やみくもに食材を買い集めて保管しておくだけでは有効な備蓄にはなりません。ローリングストックを実践する前の心構えを、今泉さんにお伺いしました。

「ローリングストックでは備えることに目が行きがちですが、備えること以上に消費することが肝心です。私は3つの見える化を提唱しています。収納の際はこの見える化を実践してみてくださいね」(今泉さん)

3つの見える化とはどんなものなのでしょうか。

1. 家族に見える化

収納ケースに入った防災用の備蓄品

Mayuko Imaizumi

備えるもの、場所などは家族と共有することが大切です。せっかく備蓄していても、自分だけが把握しているだけでは家族を守ることができません。

「保管場所はキッチン、リビング、床下などに分散させてもいいですし、1か所にまとめてもOKです。いずれも、しまい込まずに家族みんなが取り出しやすい場所を意識して選びましょう」 (今泉さん)

2.食べ方の見える化

防災用の備蓄食

PIXTA

いざという時に食べ方が分からない、口に合わずおいしく食べられないのでは意味がありません。普段から家族で食べ慣れているものを選んで備蓄しましょう。

「ローリングストックにおすすめの食材は? と聞かれることがよくありますが、食材に正解はありません。どれだけ備蓄に適した食材であっても好みの味でなかったり、うまく調理できなかったりすればその家庭におすすめの備蓄食材とはいえないからです」(今泉さん)

3.賞味期限の見える化

消費期限を見やすく記載した備蓄品の収納棚

Mayuko Imaizumi

使うたびに消費期限をひとつひとつ確認するのでは、消費すること自体が億劫になってしまいます。今使うべきものがひと目で分かるように収納を工夫しましょう。
「備蓄品というと食材を思い浮かべますが、ガスボンベやポリ袋、ラップなどにも使用期限があります。調理アイテムも普段から使ってローリングストックをしておいてくださいね」 (今泉さん)

家族との情報共有がなによりの防災術だということが分かりました。
この心構えを理解してから始めれば、無理のない消費と備蓄ができるようになりそうですね。

次に、賞味期限切れを防ぐための、収納の実践テクニックをご紹介します。

プロが伝授! ひと目で使うべき備蓄品が分かる賢い収納テクニックとは?

防災食を詰めた床下収納

Mayuko Imaizumi

※写真の冷蔵庫は電源を入れずに備蓄庫として使用しています。

さあ、今度は実践編です。大人から子どもまで分かりやすく、取り出しやすい、さらに賞味期限切れを防ぐための収納とはどのようなものなのか、今泉さんのご自宅の実例とともに、プロならではの収納テクニックを教えていただきました。

「賞味期限切れを防ぐことで、もしもの時の心強い備えになります。私の家ではひと目で賞味期限が分かるようにしています。そうすると普段の調理に取り入れやすくなりますよ。また、備蓄品を上手に使えば時短調理にもなります。収納方法は家庭によって千差万別。いろいろな方法があるので、自分に合った方法を選んでくださいね」 (今泉さん)

【収納テクニック1】賞味期限を「年」ごとに分ける

防災食を備蓄しているところ

Mayuko Imaizumi

分類する時には賞味期限の年ごとに大まかに収納しましょう。カゴで区切ってもいいですし、棚の段ごとに分けてもいいですね。

【収納テクニック2】賞味期限は目立つように

防災食の消費期限をペンで記入しているところ

Mayuko Imaizumi

ひと目で賞味期限が分かるように目立つところに書き込んでおきましょう。いつでも書き込めるように、収納棚に油性マジックを置いておくと便利です。付箋やマスキングテープに書いて貼っておいてもいいですね。

【収納テクニック3】使う順番はルールを決めて

収納棚に防災食を収めているところ

Mayuko Imaizumi

年ごとの収納に加えて、できる限り賞味期限が早い順番に並べておきましょう。上から消費していく、左から消費していくというように、家族でルールを決めておけば収納時にも使用時にも迷いません。

いかがでしたか? ちょっとしたひと手間が普段の消費にも、いざという時の安心にもつながりますね。

最後に今泉さんから備蓄品を定期的に消費するアイデアをお伺いしました。
「備蓄品を回転させてこそのローリングストックです。棚を整理するだけで終わらせないよう、普段の生活の中で自然に消費する方法を家族の中で決めておきしょう。例えば、月1回食料品と水の賞味期限をチェックして入れ替えた備蓄品をその日の食卓に使用する、雨の日は買い物をせずに備蓄品を食べる、給料日前の週を備蓄品の消費週間にする、土曜日のランチは備蓄品を食べる日、などと決めて家族で味を確かめ調理方法を考えながら楽しんで消費してください」(今泉さん)

備蓄品を普段の食事にも取り入れていけば、好みのものを選ぶ余裕も出て、家族で食べ方や調理方法をシミュレーションすることもできますね。ぜひ、実践してみてください。

備蓄品をおいしく食べるアイデアレシピを知りたい方は!

防災用の備蓄食材を確認しているイラスト

Tokyo Gas Network

東京ガスネットワークでは防災レシピの情報サイト「日々のごはん と もしものごはん」では備蓄品をアレンジしたアイデアいっぱいのレシピをご紹介しています。また、もしもの時の対処方法や便利グッズなどをまとめた冊子「こころとおうちに備えて安心『日々のごはん と もしものごはん』」も無料でダウンロードすることができます。

おわりに

非常食は「もしも」の時の特別なものではないということが分かりました。気構えずに備蓄できるローリングストックなら次は何を備蓄しようか、どんな風にアレンジして食べようかなど、食べる楽しみや好みのものを探す楽しみが生まれそうです。何より賞味期限切れで泣く泣く廃棄してしまった、保管場所を忘れてしまったという心配がなくなるのがうれしいですね。また、備蓄食材でつくった料理を囲めば、自然と「もしも」の時について家族で考えるきっかけになり、防災意識も高まりそうです。

  • この記事取材先プロフィール

    今泉マユ子

    防災食アドバイザー

    今泉マユ子

    株式会社オフィスRM代表取締役 管理栄養士、防災士、災害食専門員。防災食アドバイザーとして講演、講座を行う。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などで活躍。「もしもごはん かんたん時短、即食レシピ」、「防災教室 災害食がわかる本」など著書多数。

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公開日:2016.3.15

最終更新日:2024.1.2

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