目 次
プロが考える【風呂掃除のポイント】

初めまして、sea(しー)です。私はこれまで15年以上、さまざまなご家庭で収納や掃除のサポートをしてきました。家事代行サービスの掃除は、ハウスクリーニング業者が使うような強い薬剤ではなく、依頼者さまのご家庭にある市販の洗剤を使ってできるだけキレイにするのが仕事です。
お風呂場は「濡らして、乾かして」を毎日繰り返す場所。その分汚れもつきやすいのが特徴です。1年3〜4回でよいので念入りに風呂掃除をすること、プラス日々のちょっとした心がけできれいな状態を保ちやすく、汚れにくくなります。
【風呂掃除のキホン】お風呂場の2大汚れとは?
ひとつはカビ、もうひとつは水アカです。汚れの種類が違うため、有効な洗剤もそれぞれ違います。
・ カビ、ぬめり:カビ取り剤(塩素系漂白剤)
・ 水アカ、石鹸カス:お風呂用洗剤(中性、または弱酸性)
カビ取り剤と酸性(弱酸性)の洗剤は混ざると有害ガスを発生するため同時に使うのは絶対にNG。必ず一方を流し終わってから、もう一方を使用するようにしてください。
では実際に、私が掃除したお客さまのご自宅の事例を見ながら説明しましょう。
【風呂掃除のキホン】カビ取り
uchicoto
カビ取り剤をスプレーしていきます。薬剤をしっかり浸透させるため、お風呂場は濡らさず、乾いたままスプレーするのがポイントです。
カビ取りするときの注意点
1.目の高さから上にはスプレーしないカビ取り剤がたれたりはねたりして危険ですし、薬剤の成分や臭いで気分が悪くなることもあります。
お風呂全体を大掛かりにカビ取りする際は、マスクやメガネを用意しておくと安心です。
2.衣類などの色落ちに気をつける
カビ取り剤は漂白剤。綿製品につくと色落ちしてしまいます。バスマットなどはあらかじめよけておき、念のため脱色しても大丈夫な衣服を着用するなどしておくと安心です。
私は、水滴がはねやすい足元の色落ち予防にナイロン素材の脚カバーを使っています。
3.換気扇を回す
お風呂場は空気がこもりやすいので、特にカビ取り剤を使う際には安全のため換気扇を回しましょう。
洗剤をつけ置きしてしばらく場を離れる時だけは、乾いてしまわないようにいったん止めても良いかも知れません。
カビ取り剤はつけ置きが有効!
カビは物理的にこすることでも落とせますが、根が残ったままではまたすぐに発生してしまう可能性があります。カビ取り剤をスプレーしたら、そのまま10-20分ほどつけ置きしましょう。洗剤の力で根から除去すれば、カビは生えにくくなります。・ 床の隅やバスタブのふち
・ カウンターの裏
・ イスやバケツの裏
・ フタ
・ ドアまわり
こういった湿気が残りやすい場所がカビやぬめりの発生ポイント。お掃除前によく確認した上で、気になるところに、ひととおりスプレーします。
排水口のゴミ受けや排水トラップも外して掃除する
uchicoto
排水口のゴミ受けを外すと、奥に排水トラップという部品があるので、それも外します。
uchicoto
ゴミ受け、排水トラップ、排水口周りにカビ取り剤をスプレーしましょう。
浴槽のエプロンを外して掃除する場合
uchicoto
エプロンを外し、その中もカビ取り剤を散布していきます。エプロンは下をつかんで上に持ち上げるようにすることで外れるタイプが多いのですが、念のため取扱説明書で外し方を見ておくと安心です。
また、うまく外れないようでしたら、無理に引っ張らず、専門の業者に依頼しましょう。強い力で引っ張るとエプロンが割れてしまうこともあります。
uchicoto
エプロンが外れたら内側の排水口やバスタブまわり、壁などのカビの発生状況をチェックして、カビ取り剤をスプレーしていきます。
uchicoto
スプレーの届かない奥の方のカビが気になる場合には、柄付きのスポンジ等にカビ取り剤をスプレーし、スポンジを使って塗りつけていくとよいでしょう。
天井に黒いカビが見られる場合
uchicoto
直接天井にスプレーするのは洗剤がたれてきて危険なのでNG。フローリングワイパーを使いましょう。
まず、フローリングワイパーに固く絞ったクロスを挟み込み、カビ取り剤を軽くスプレーします。
uchicoto
天井や天井近くの壁など、高所のカビが気になる場所をモップで拭いていきます。洗剤で拭き終わったら、クロスをすすいで水拭きしましょう。
つけ置き後、シャワーで流す
10分〜20分つけ置いたのち、汚れが落ちているか確認します。全体的にカビが残っているようであれば、再度カビ取り剤をスプレーして、同じくらいの時間つけ置きします。uchicoto
つけ置きが終わったらシャワーを使って流していきます。ヘドロなどの固まりが残っていたら、ブラシでこすり落としましょう。排水口周りもこんなにピカピカになりました。
【風呂掃除のキホン】頑固な水垢を落とす
uchicoto
鏡や蛇口、シャワーの周辺は水アカがたまりやすい場所です。その正体は水に含まれるミネラル分。水がついて乾く度に徐々に蓄積してできて、固い石のような性質になります。軽くこするだけでは、なかなか取れません。
uchicoto
水アカはアルカリ性。いつものお手入れなら中性の洗剤でも大丈夫ですが、汚れが気になるときは弱酸性の洗剤を使うとよいでしょう。
市販のお風呂用の洗剤は、中性のものと弱酸性のものが販売されているので、成分表示を確認して購入されるとよいかと思います。クエン酸や酢を使ってもよいでしょう。
uchicoto
頑固な水アカには「洗剤パック」。弱酸性洗剤を塗りつけて乾かないようラップを貼り付けます。汚れを洗剤の力である程度緩めてからこすって落とすやり方です。
まずは弱酸性の洗剤を鏡や蛇口周りなど水垢が気になる場所にスプレーして、スポンジで伸ばしていきます。
uchicoto
ラップを貼り付けたら、15〜30分程度つけ置きます。
uchicoto
つけ置きが終わったらラップをはがして、汚れ落ちをチェックしましょう。水アカが残っている場所はスポンジに洗剤をつけてさらに磨きます。洗剤である程度柔らかくなっているので、落としやすくなっているはず。
uchicoto
ラップをはずし、スポンジでこするだけで、これだけキレイになりました。
鏡のウロコ状の水アカは?
uchicoto
鏡のウロコ状の水アカは、専用のスポンジでこすります。このスポンジは研磨剤が貼り付けてあるため、力を入れると鏡を傷つけてしまいます。あくまで、優しくなでるように、一定方向にこすっていくのがポイントです。
uchicoto
鏡も蛇口周りも輝きが戻りました。
浴槽のふちの頑固な水垢はどうする?
uchicoto
浴槽のふちのオレンジ色の汚れ、カビっぽく見えますがここも水アカです。スポンジも入りにくく、鏡のウロコ汚れのような専用の道具もないので悩ましいところ。
ハウスクリーニングのようなお掃除専門業者であれば、強めの洗剤でつけ置きし、やすりのような道具で削っていくところですが、私はお店でもらうポイントカードを使って削っていきます。少し固めの素材のカードだと汚れが落ちやすいですよ。
uchicoto
10分ほどかけて削ったらこんなにピカピカになりました。
風呂掃除を行わなくてもOK!? 日々のアフターケアとは?

PIXTA
依頼者さまのお宅では頻繁に風呂掃除していますが、実はわが家ではほとんどしていません。毎日入浴後にアフターケアを行い汚れにくくしているためです。
具体的にはお風呂の壁、床を熱め(50度程度)のお湯で流した後、扇風機をお風呂場に向かって回すことでよりスピーディーに換気する、というやり方です。
この時のコツはなるべく短い時間でカラッと乾燥させること。お客さまのお宅に「浴室乾燥機」があれば、回してくださいとお伝えしています。
もし扇風機を使う場合にはお風呂場に持ち込まず、ドアの外側に配置するようご注意くださいね。お風呂場の水気で家電が故障するリスクがあります。
【参考】もうお風呂場はカビさせない! 「浴室乾燥機」とは?

TOKYOGAS
浴室暖房乾燥機が付いているお宅は、「換気」より「乾燥」運転をおススメします。
「換気」は空気を入れ替えるだけですが、「乾燥」運転は換気をしつつ温風によって水分を払うので、浴室全体をより確実に、より早く乾燥させることができるのでオススメです。カビやぬめりの発生を抑えることができるので、お風呂掃除の手間をグーンと軽減します。

上の図は浴室のカビの生え方を比較実験したものです。
「何もしない」浴室にカビが生えるのは当然の事ですが、「換気だけ」していてもカビは生えてきます。それに比べて「浴室乾燥」をすると、すばやく湿気が取り除かれ、カビが生えにくくなることが分かりますね。
おわりに
お風呂がピカピカだと気持ちが良いですね。お風呂の後のアフターケアも行って、ぜひ汚れないお風呂を目指してください。
この記事の取材先
もっと見るタスカジ
sea(しー)
国立音楽大学作曲学科卒業後、音楽活動の傍ら家事代行サービスに携わる中で、掃除や片づけで家や依頼者の人生が変わっていくのを実感し、2000年より本業に。2009年に整理収納アドバイザー1級、2017年に育休後アドバイザーを取得。現在は家事代行マッチングサービス「タスカジ」にて予約の取れない家政婦として活動中。「タスカジseaさんの『リセット5分』の収納術」が主婦と生活社より発売中。TVや雑誌にも収納の達人として多数登場。
著書:主婦と生活社「タスカジseaさんのリセット5分の収納術」,2018/03
コピーされました
公開日:2018.4.3
最終更新日:2023.3.14
※この記事に含まれる情報の利用は、お客様の責任において行ってください。
本記事の情報は記事公開時のものであり、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。
詳しくは、「サイトのご利用について」をご覧下さい。