東京ガス
暮らし情報メディア
ウチコト

ここから本文です。

ぬいぐるみはドアより汚れてる!? 適切な洗濯方法をプロに聞きました!

子どもが抱っこして遊ぶぬいぐるみ。大切にしすぎて、手垢やホコリなどで汚れがちですね。ライオン株式会社お洗濯マイスターの大貫和泉さんによると、ぬいぐるみは玄関のドアより汚れていることもあるのだそう。洗濯したいと思っても、質感の変化や型崩れが心配で洗えない・・・という方はいませんか? 大貫さんに適切なぬいぐるみの洗い方や、洗えないぬいぐるみのお手入れについて伺いました。

最終更新日:2024.3.14

目 次

ぬいぐるみって、想像以上に汚れてる!?

実は汚れているぬいぐるみ

PIXTA

子どもが抱っこして遊んだり、一緒に寝るぬいぐるみ。ふんわり柔らかく、ぬいぐるみ遊びは情緒面にも良い影響があるといわれています。ところが、かわいい見た目に反してぬいぐるみは意外にも汚れていると、お洗濯マイスターの大貫和泉さんは言います。

ATPふき取り検査 グラフ

画像提供:ライオン株式会社
出典:「ATPふき取り検査※」月間HACCP編集 掲載データを基に作成
※ATPふき取り検査法:清浄度検査として普及しつつある、微生物や食物の細胞に存在するATPを計測する方法。生物由来の汚れを検出できるため、器物の汚染調査、清浄度調査に使用される(この測定法は、生物由来の汚れの測定は可能であるが、特定の菌の測定はできない)

「上記は、家やオフィスの中のさまざまな場所を拭き取り調査したデータです。一例として、子供が2年間使用していたぬいぐるみはなんと、玄関のドア(外側)よりも汚れていたことが分かりました」(大貫さん)

ぬいぐるみは菌だらけ!?

ぬいぐるみを触る前の手と触った後の手の比較

画像提供:ライオン株式会社

こちらは、ハンドソープで洗った直後の手(左)と、上記と同じぬいぐるみを1分間触った後の手(右)の比較※です。
※環境微生物検査用試薬に手のひらを押し当て、その後37℃/24時間培養して比較。

ぬいぐるみに触る前はキレイだった手も、たった1分ぬいぐるみを抱いていただけで、菌が検出されるという結果に! ぬいぐるみを介して、手に汚れが付着してしまうということがよく分かります。

「実験に使ったぬいぐるみは購入して2年が経ったもの。子どものお気に入りでよく抱っこしているもので、購入後一度も洗濯をしていません。また、ぬいぐるみをどのくらいの頻度で洗っているのかも調査したところ、約25%の人が『一度も洗濯したことはない』という回答でした」(大貫さん)

ぬいぐるみの洗濯頻度グラフ

出典:ライオン株式会社調べ

想像以上に汚れていることが分かったぬいぐるみですが、実際のところ、頻繁に洗っている人はあまり多くないということもよく分かります。

ぬいぐるみを洗う前に洗濯表示をチェック

ぬいぐるみの洗濯表示

uchicoto

そもそも、ぬいぐるみは洗ってもよいものなのでしょうか?

「ぬいぐるみのタグについている洗濯表示を見てください。家庭洗濯OKのぬいぐるみには、以下の、洗濯おけのマークが付いています」(大貫さん)

洗濯表示

画像提供:ライオン株式会社

「×(バツ)が付いているものは『家庭での洗濯禁止』ですね。特殊な装飾や水に弱い素材を使っているもの、お洗濯で形が崩れやすいものなどは『洗えない』となっていることが多いようです」(大貫さん)

洗い方の指示

画像提供:ライオン株式会社

家庭洗濯マークには、下線や手のマークが付いていることもあります。これは洗い方の指示。手のマークが付いているものは、手洗いが推奨されています。洗濯おけの下に二本線があるマークは、洗濯機の「ドライコース」「手洗いコース」「お家クリーニングコース」などの弱水流のコースで洗うことをおすすめしています。

分からない洗濯表示はアプリで調べよう

古い洗濯表示

PIXTA

あらためてぬいぐるみや洋服の洗濯表示を調べてみると、「あれっ? このマークってどう読むの?」と違和感を覚えた方もいるのではないでしょうか。上記は古い洗濯表示。こちらの方がなじみのある人もいるかもしれませんが、洗濯表示は、2016年に変更されています。

ぬいぐるみの洗濯表示

uchicoto

「洗濯表示は長年日本独自の表示だったのですが、2016年12月以降、国際規格と合わせる形になりました。ですが、これがどうも直感的に分かりづらい・・・という意見もあります。そこで、ライオン株式会社では、お洗濯判定アプリを無料で提供しています」(大貫さん)

『アクロン公式アプリ これ洗える?』イメージ

画像提供:ライオン株式会社

『アクロン公式アプリ これ洗える?』詳しくはこちら

洗濯表示をチェックするだけでおすすめの洗い方が分かるほか、自分の洋服の写真と一緒に洗濯方法を登録できる機能も。「あの服は洗濯機で洗えたっけ・・・?」と迷ってしまったときに便利です。

【ぬいぐるみの洗濯方法1】洗えるぬいぐるみの場合

さまざまなぬいぐるみのイメージ

PIXTA

ここでは、洗濯表示を確認して水洗いできるぬいぐるみだと判明した場合の洗い方をご紹介します。洗濯表示で洗えないと記載があったり、洗濯表示が付いていないぬいぐるみの場合は、【ぬいぐるみの洗濯方法2】洗えないぬいぐるみの簡易クリーニングとはをご覧ください。

【下準備】リボンやパーツなど、外せるものは外しておこう

ぬいぐるみ

uchicoto

ぬいぐるみを洗う前には、リボンやアクセサリーなど、外せるパーツは全て外しておきましょう。

リボンはアイロンなどであて布をして折りジワを伸ばしてあげると、新品のようになりますよ!

いざ! ぬいぐるみ洗い実践編

汚れてしまったぬいぐるみ

uchicoto

こちら、子どものお気に入りで、派手に汚れてしまっているぬいぐるみ。さて、キレイになるのでしょうか。お洗濯マイスターのレクチャーに添って、ぬいぐるみの正しい洗い方をあらためて学んでみましょう!

[ぬいぐるみの洗い方1]おしゃれ着用洗剤で、洗剤液をつくる

洗剤液を作る様子

uchicoto

ぬいぐるみが入るくらいの大きさの洗いおけに、洗剤液を準備します。洗剤の量は水4Lに対して10ml。手荒れが気になる方は炊事用の手袋を使いましょう。

洗剤は、おしゃれ着洗い用のものを。

「おしゃれ着用洗剤は、型崩れを防ぐ、色あせを予防するなどの機能を備えています。一般洗濯用の洗剤は酵素などの働きがウールなどにダメージを与えてしまうことがありますが、おしゃれ着用の洗剤は酵素や蛍光増白剤は入っていません」(大貫さん)

[ぬいぐるみの洗い方2]押し洗いでやさしく洗う

ぬいぐるみをやさしく押し洗いする様子

uchicoto

ぬいぐるみを洗剤液に浸し、毛並みを傷めないように軽く押し洗いします。内部までしっかりと洗剤液を浸透させて、やさしくそっと押していきましょう。

「汚れのひどい部分やシミのある部分は、スポンジの柔らかい部分で丁寧に叩き洗いをするといいですよ」(大貫さん)

[ぬいぐるみの洗い方3]軽く押しながら2回すすぐ

ぬいぐるみを軽く押しながら2回すすぐ

uchicoto
(1回目のすすぎ)

汚れが取れたら、キレイな水に取り替え、押し洗いをするように軽く押しながらすすぎます。

1回目のすすぎでは、内部に浸透した洗剤がジュワッと浸み出してきましたが(上の写真)、2回目のすすぎではかなり水がキレイになりました(下の写真)。

キレイな水で押し洗いをしてすすぐ様子

uchicoto
(2回目のすすぎ)

「強く押し過ぎると、目など取れやすいパーツが取れてしまうこともあります。くれぐれも、ぬいぐるみをねじらないように。上から下へ、やさしく押し洗いしてください」(大貫さん)

[ぬいぐるみの洗い方4]タオルでぬいぐるみを包んで脱水する

ぬいぐるみをタオルで包んで脱水する様子

uchicoto

すすぎが終わったら、広げたバスタオルの上にぬいぐるみを置き、包みます。直接絞ってしまうとぬいぐるみの形が崩れやすくなるそう。ぬいぐるみ単体で、まずは上からそっと押して水分を抜いてからバスタオルの上に移しました。

タオルでぬいぐるみを包む図

画像提供:ライオン株式会社

上のイラストのように、タオルの中心にぬいぐるみを置いてタオルで包みます。

ぬいぐるみをタオルで包む様子

uchicoto

洗った直後のぬいぐるみはかなり水分を含んでいますが、バスタオルが早速吸水してくれているのが分かります。

[ぬいぐるみの洗い方5]1分程度で短めに脱水する

タオルに包んだぬいぐるみを洗濯機に入れている様子

uchicoto

タオルに包んだぬいぐるみを洗濯機に入れ、短め(1分程度)に脱水します。脱水機をかけるのが不安な場合は、タオルに包んでから軽く押して、水分を取ります。

脱水にかける様子

uchicoto

「脱水にかけると、1分程度でもかなり水分を落とせます。脱水機を使わない場合は、乾燥にかなり時間がかかってしまうのを念頭に置いておきましょう」(大貫さん)

[ぬいぐるみの洗い方6]ブラッシングで毛並みと形を整え、洗濯ネットで陰干し

バスタオルから出して毛並みをブラッシングする様子

uchicoto

脱水が終わったら、バスタオルから出して毛並みが気になる部分は、洋服ブラシでブラッシング。

手で形を整える様子

uchicoto

毛並みを整えた後、手で形を整えます。折れやすい耳や、綿が偏りやすい腕などを引っ張ってピンとさせましょう。

そっと洗濯ネットに入れる様子

uchicoto

そっと洗濯ネットに入れ、ピンチハンガーで吊り下げて陰干しします。今回は、直射日光が当たらない北側ベランダに干してみました。

ピンチハンガーで平干しする様子

uchicoto

「ピンチハンガーを広く使って、ハンモックのようにしてみてください。平干しにできて型崩れも防止できますよ」(大貫さん)

乾燥に要した時間は、脱水機を使用した場合で1日半程度(冬~春先)。脱水機を使わず押して水分を抜いた場合は、3日経過でしっかりと乾きました。

ぬいぐるみ洗濯前と洗濯後の比較

uchicoto

こんなにキレイになりました!

【ぬいぐるみの洗濯方法2】洗えないぬいぐるみの簡易クリーニングとは

洗えないぬいぐるみの例

uchicoto

ぬいぐるみには洗濯表示のないものが多くあります。内部に機械が内蔵されているものや、洗うと質感が著しく損なわれてしまうフサフサの毛のもの、色落ちする素材のものなどは、洗濯ができません。

大きなパッチョぬいぐるみは洗えない様子

uchicoto

また、洗濯槽に入りきらない大型のぬいぐるみなども、洗いおけが用意できない、脱水ができないなどの理由で、洗うのは現実的ではありません。

そんな場合のお洗濯方法も、大貫さんに教えていただきました。ただし水や洗剤水で色落ちしてしまう素材もあるため、心配な方はメーカーにお手入れ方法をお問い合わせください。

[ぬいぐるみの簡易クリーニング1]ホコリを叩き出す&ブラシで払う

ホコリをたたき出す様子

uchicoto

まずは手のひらや布団たたきなどで、内側のホコリをたたき出します。さらに洋服ブラシでブラッシングして、表面のホコリを払います。

[ぬいぐるみの簡易クリーニング2]薄めの洗剤液→水拭きを2回繰り返す

洗剤液を薄く付け、タオルで軽く拭く様子

uchicoto

おしゃれ着用洗剤で薄い洗剤液を作り、それを含ませたタオルを固く絞って、ぬいぐるみ全体の表面を軽く拭きます。洗剤液は、水4Lに対して洗剤5mL。押し洗いの場合に比べて、洗剤の使用量は半分が適量だそう。

水を含ませたタオルで洗剤液を取り除く様子

uchicoto

次に、キレイな水を含ませたタオルを、ギュッと固く絞って、ぬいぐるみ全体を拭き取り、洗剤液を取り除きます。

[ぬいぐるみの簡易クリーニング3]乾いたタオルで水気を拭き取り、陰干しする

乾いたタオルで水気を拭き取る様子

uchicoto

水拭きが終わったら、乾いたタオルで全体の水気をしっかりと拭き取っていきます。

あとは、風通しの良い日陰で乾燥させ、湿気が取れれば完成!
上の流れで実際にどれだけ汚れが落ちるのかを試してみたく、パッチョ(東京ガスのキャラクター)にお醤油を付けてみました。

汚れを水拭きする様子

uchicoto

付けた直後は茶色いシミが目立つ状態で、本当に落ちるのか不安になりましたが、何度か水拭きしているうちに汚れがスルリと落ちました。

汚れが取れてきた様子

uchicoto

上の写真では薄くなっているのが分かります。

ぬいぐるみについた汚れのビフォーアフター

uchicoto

大貫さんによると、お醤油などの水に溶けやすい汚れは、すぐに対処すればこの方法でよく落ちるとのこと。ただし、家で洗えないぬいぐるみに、泥や墨汁など、水にも油にも溶けにくい不溶性の汚れが付いた場合は家庭で落とすのは難しいそうです。落ちにくい汚れや、風合いの変化が心配な場合には、専門のクリーニング業者に依頼すると安心ですね。

洗濯機の汚れも見逃さずにチェックしましょう

洗濯機の中

PIXTA

「ぬいぐるみを介して手が汚れてしまう」というのにも驚きですが、ぬいぐるみの他にも意外に汚れている場所として「洗濯機」が挙げられます。

洗濯機は水を使うためカビや菌の温床になりやすく、放っておくと、キレイにするためにせっかく洗った洋服に、洗濯機の中に潜んでいたカビや汚れが付着してしまうことも・・・。

ぬいぐるみと違って、ご自身でのお掃除がなかなか難しい場所だからこそ、プロの力を借りましょう。

東京ガスのハウスクリーニングには、洗濯機クリーニングのサービスもあります。目に見えない場所も、プロの技術ですっきりとキレイにできますよ。

おわりに

「ぬいぐるみ=洗うもの」というイメージがなかったのですが、思ったよりも汚れているという事実を聞いて驚きでした。実際にぬいぐるみ洗いをやってみると、意外にも時間がかからずできることが分かってひと安心。これなら、シーズンごとに1回はトライできそう! と思えるほど。子どもたちが心地良く遊べるようにキレイにしてあげたいですね。

あわせて読みたい

  • この記事取材先プロフィール

    大貫和泉

    ライオン株式会社 お洗濯マイスター

    大貫和泉

    ライオン株式会社で洗濯用洗剤などの製品開発・調査に約20年携わり、現在は「お洗濯マイスター」として講演などもおこなっている。二児の母としての経験や研究活動を活かし、主婦・母親・女性目線で洗濯にまつわるお役立ち情報を発信。消費生活アドバイザー、繊維製品品質管理士、健康予防管理専門士などの資格を保有する。
    ライオン株式会社
    アクロン公式アプリ『これ洗える?

    もっと見る
SNSでこの記事をシェア
FacebookX(旧Twitter)LinenotePinterest

コピーされました

公開日:2022.5.11

最終更新日:2024.3.14

※この記事に含まれる情報の利用は、お客様の責任において行ってください。
本記事の情報は記事公開時のものであり、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。
詳しくは、「サイトのご利用について」をご覧下さい。

同じカテゴリの記事

お気に入り追加

追加した記事は、お気に入り一覧でご確認いただけます。