バレンタインの本当の意味は?
受け取った方の表情を想像しながらのお菓子選びは、バレンタインシーズンの楽しみです。
日本でのバレンタインデーは、女性から男性へ愛の告白と共にお菓子を渡す日というイメージが浸透していましたが、今では恋人同士だけでなく、友だち同士や家族にお菓子を贈る楽しいイベントとして定着しています。
今回は、知っているようで知らないバレンタインの本当の意味について、モロゾフ株式会社の大谷華穂さんに伺いました。
古代ローマに起源があった、バレンタインの意味
「バレンタインのルーツはイタリアのウンブリア州テルニ市にあります」と、モロゾフ株式会社の大谷さん。
遠い昔、ローマ軍人は、権力に反するという理由でキリスト教を信じることを禁じられ、結婚はかなわぬものとされていました。そうした中、テルニの司教であった聖バレンチノは、迫害を受けながらも、多くの恋人たちに結婚の祝福を与え幸せにしてきたと伝えられています。
「その聖バレンチノ司教の命日が2月14日なので、2月14日を『愛の日』として、愛する人に贈り物をするという習慣が生まれたといわれています」(大谷さん)
今では楽しいイベントとなっているバレンタインデーですが、幸せの手助けをし続けて殉教した、キリスト教司教の命日が由来だったのです。
バレンタインには、なぜチョコレート?
大谷さんによれば、「神戸市に本社を置くモロゾフは、1931年にチョコレート・キャンディショップとして開業。翌1932年に、日本に初めて『バレンタインデーにチョコレートを贈る』というスタイルを紹介しました」とのこと。
「この画期的な提唱は、当社の創業者がアメリカの友人から『欧米では2月14日に愛する人に贈り物をする』という話を聞いたことがきっかけと聞いております」(大谷さん)
神戸のチョコレートショップであるモロゾフが、バレンタインに贈り物をする風習を日本に紹介したので、「バレンタインにはチョコレート」となったわけです。
その後、日本にバレンタインを紹介したモロゾフの本社がある神戸市と、バレンタインの発祥の地イタリア テルニ市との交流が深まっていきました。
1986年、テルニ市の観光使節団が神戸市を訪問したのを皮切りに交流がはじまり、「2013年5月、神戸市内の阪神御影駅南側に聖バレンタイン教会のモニュメントを設置。当時のテルニ市長を招いて記念式典が行われました。同時に、バス停をチョコレートをイメージしたものにリニューアルしました」(大谷さん)
参考:神戸市とテルニ市における観光交流に関する確認書
年月とともに変わってきた、日本のバレンタインデー
1932年に日本に紹介されたバレンタインデー。しかし、当時は外国人を中心としたイベントにすぎませんでした。
「バレンタインにチョコレートを贈るという意識が日本に広まるきっかけになったのは、1958年に『バレンタインセール』が開催されたことです」(大谷さん)
バレンタインセールは、伊勢丹新宿本店で実施されたプロモーションのようです。
「バレンタインセール以降、1970年代には2月14日は女性から男性へチョコレートを贈るとともに、愛の告白をする日という日本流のバレンタインが広がりました」(大谷さん)
「告白」アイテムから、友チョコ・マイチョコ・こだわりチョコへ
2000年代になると、友だちに贈る『友チョコ』や、自分用に贈る『マイチョコ』が話題になりました。また、男性から女性に贈る『逆チョコ』現象も見られるようになりました」と大谷さん。
そして、2010年代にはまた新しい風潮が生まれます。
「2010年代に入ると、バレンタインデーを『チョコレートを楽しむ日』として過ごす人が増え、同時に新しいチョコレートの種類も登場しました。海外の有名ショコラティエが監修したチョコレートや、Bean to Bar(ビーントゥバー = カカオ豆からチョコレートまで一貫製造を行った商品)などがその一例です。カカオ〇%配合など、ハイカカオチョコレートが話題になったのもこの時期です」(大谷さん)
日本のバレンタインデーやバレンタインチョコは、時とともにどんどん多彩になってきているようです。
バレンタインの最新トレンドは、バラエティ豊かに
ここ数年、消費者の求めるニーズがより多様化していることから、バレンタインのお菓子にも複数のトレンドが生まれているようです。
「モロゾフの例でいえば2022年から、キツネがアンバサダー、『レモン』がテーマのお菓子の新ブランドをリリースしました。テーマカラーは明るい黄色。クッキーやレモンケーキなどをご用意しています。最近はコロナ禍もあり、孤独や閉塞感を感じている人が多いようです。そこで、モロゾフのバレンタインスイーツで明るい気持ちになってほしいという思いを込め、新しいブランドを展開しました。また、コラボレーション商品としては、世界的に有名なキャラクターやドイツ車メーカーとのコラボなど、個性的な商品が好評です」(大谷さん)
モロゾフのバレンタインスイーツはストーリー性がトレンドだと大谷さんに教えていただきましたが、最近は、お菓子に特定の意味を込めてバレンタインデーにプレゼントするケースもあるようです。例えば、マドレーヌは貝がぴったりと合わさった形であることから、「もっと仲良くしたい」といった意味があるのだそう。また、バームクーヘンは切り口が年輪のように見えることから「末永く幸せに」という意味があるとのこと。お菓子に意味を込めてのプレゼントも楽しそうですね。
根強い人気の手作りバレンタインスイーツ
お店でチョコレートを選ぶのも楽しいですが、手作りスイーツも気持ちが伝わるプレゼントになり、素敵ですよね。チョコレート菓子にこだわらず、得意なお菓子を手作りして、ラッピングでバレンタイン感を演出する方法もあります。
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海外のバレンタイン事情
日本でのバレンタインデーは、女性から男性へ想いとお菓子を届けるスタイルでスタートし、最近では、友チョコなど贈り方のバリエーションも広がってきていることが分かりましたが、海外ではバレンタインをどのように過ごしているのでしょうか?
イタリア
イタリアのバレンタインデーは、男性から女性へプレゼントをするケースが一般的とのこと。プレゼントの定番は、赤いバラの花束だそうです。花屋さんでは、赤いバラが飛ぶように売れるのだとか。イタリアは、アモーレ(愛)の国。情熱的な表現ですね。
韓国
韓国のバレンタインは日本と同様、女性から男性へプレゼントするスタイルとのこと。義理チョコやホワイトデーの風習もあるのだとか。さらにブラックデーという日もあるそうです。これはバレンタインデーやホワイトデーに関係がなかった人が、黒い服を着てジャージャー麺を食べる日とのこと。バレンタインを含めて3度も楽しめる日があるのが、韓国のバレンタイン事情のようです。
アメリカ
アメリカのバレンタインは、男性から女性へ贈り物をするそうです。花束やアクセサリー、チョコレートを選ぶ男性が多いようです。アメリカでは、バレンタインデーの翌日も盛り上がる風潮があるようで、その理由は、ハート形のチョコレートなどバレンタイングッズが割引価格でセールになるからだとか。バレンタイン直後は、アメリカでは高級チョコレートを格安価格で手に入れられるチャンスと認識されているのかもしれませんね。
イギリス
アメリカ同様、イギリスも男性から女性へ贈り物をするようです。加えて、イギリスには一風変わった風習もあるようです。それは、あえて名前を書かずにバレンタインカードをそっと届けるというものだそう。「カードの送り主は誰かしら?」と推理するのも楽しそうですね。
おわりに
バレンタインデーの歴史や意味について、モロゾフ株式会社の大谷華穂さんに教えていただきました。バレンタインデーの起源は、多くの恋人たちに結婚の祝福を与えた聖バレンチノの命日にあります。日本では、1980~1990年代にひろまった「義理チョコ」や2000年以降にポピュラーになった「友チョコ」など、多彩なチョコレートの贈り方が定着し、ここ数年は、「他者とのつながりを大切にする」といったコンセプトのお菓子も人気だそう。バレンタインは異性に対してだけではなく、友人や同僚、そして自分自身をいつくしむお菓子の日として進化中です。今年のバレンタインデーも楽しみましょう。
参考:モロゾフ「日本のバレンタインデーはモロゾフから始まりました」
参考:fiat magazine CHAO!「アモーレの国・イタリアのバレンタインデー」
参考:KONEST「韓国のバレンタインデー」
参考:ENGLISH JOURNAL「アメリカ人女性はチョコを作らない!?ネイティブに聞くバレンタイン事情10」
参考:BRITISH MADE「チョコレートを贈る習慣は英国発祥!? イギリスのバレンタイン事情」