朝食にもお弁当にも、ランチにも。憧れの山食パンを!
ポリパン®レシピ連載3回目は山食パンです。
モコモコとしたかわいい見た目の山食パンは焼き上がった時の感動もひとしお! 自分で焼いたパンが朝食にいただけるなんて、考えただけでワクワクしてしまいますね。
山食パンはシンプルな配合なのでそのまま食べても、ハムや茹で卵を挟んでサンドイッチにしてもおいしくいただけますね。けれど、シンプルだからこそパン初心者には手が出しづらいイメージがありませんか?
そんな時こそポリパン®にお任せあれ! ポリ袋で材料をフリフリして、ゆっくりと冷蔵庫などで発酵させるだけで専門店にも負けない絶品山食パンができあがります。焼き立てよりも次の日がおいしいポリパン®なら、ストック食材としても優秀です。
ポリパン®生みの親、天然酵母パン工房&ナチュラルフードスクールhappyDELI代表梶晶子さん(以下、梶さん)に、今回のこだわりポイントを伺いました。
梶さん「山食パンは、粉そのものの旨味が前面に出るパンです。今回は日本人好みのしっとり、もちもちとした食感になるように材料を配合しました」
それでは、ポリパン®作りをスタートさせる前に、山食パンをよりおいしくさせる一次発酵についておさらいしてみましょう。
一晩寝かせる一次発酵の新定番「オーバーナイト発酵」
Vol.1のイングリッシュマフィンの回でもご紹介しましたが一次発酵はパンのおいしさに直結する工程です。
とはいえ、発酵の見極めに自信がないという方も多いのではないでしょうか? 梶さんがおすすめするのは低温で一晩かけて一次発酵させるオーバーナイト発酵という方法です。冬なら家の寒い場所、夏なら野菜室や冷蔵庫で発酵させます。
これは、別名「長時間熟成」や「長時間低温発酵」ともいわれています。低温下で寝かせている間でも酵母はゆっくりと活動してくれます。ホシノ天然酵母パン種の場合、発酵に長く時間をかけることで麹の酵素の作用で小麦のたんぱく質やでんぷんが分解されます。すると旨味と甘味が増すだけでなく、消化の良いパンになります。一見、生地をほったらかしにしているようですが、実はパンの旨味を最大限に生かす実に理にかなった方法なのです。また、発酵自体がゆっくりなので過発酵の心配なく、発酵完了の見極めが比較的しやすいという利点があります。
通常この発酵方法では、天然酵母種(発酵種)を使用することが多いですが、発酵力の強いインスタントドライイーストを使用することもできます。常温発酵させる場合は、この後ご紹介する、ゆっくり発酵の分量(粉量の0.1%)で、冷蔵庫で発酵させる場合は、早めに発酵の分量(粉量の0.5%)を使います。(季節や環境によって室温、粉や水の温度が変わるので、ご自身で試してみましょう)
焼き立てはおいしかったけれど、次の日はパサパサに、味気なくなってしまったなど、もしも以前にこんな経験をしたことがある方は、このゆっくり発酵して生地を熟成させる過程が足りなかったためかもしれません。しっかりと熟成したパンは次の日も十分においしく、更に焼き直すと格別のおいしさです。特に、山食パンのように常備しておきたい種類のパンではこのオーバーナイト発酵をぜひ試してみてください。
最初に材料と道具をチェックしましょう。
今回は一般的にパウンドケーキを作る時に使用する型を使ったレシピです。いわゆる市販の食パン1斤のサイズよりもひとまわり小さい形となります。これなら100円ショップでも販売しているので手に取りやすく、汎用性が高いのでご家庭に一つあってもいいかもしれませんね。
材料
- 強力粉・・・200g
※もしくは強力粉・・・150g+薄力粉・・・50gでも良い。薄力粉が入ると歯切れがよくなる
- 水・・・60g
- 牛乳・・・70g
※もしくは、水・・・120gでも可。牛乳を入れるとしっとりとミルキーになる。焼き色が付きやすくなる
- 太白ゴマ油・・・10g(大さじ1)
※なたね油やオリーブ油でも可
- ホシノ天然酵母パン種の生種・・・16g
- 砂糖・・・10g(大さじ1)
- 塩・・・3g(小さじ1/2)
※ホシノ天然酵母パン種の生種の作り方はこちら
Vol.1のイングリッシュマフィンでもご紹介した通り、ポリパン®はホシノ天然酵母パン種の生種を使うのがおすすめではありますが、インスタントドライイーストを使っても作ることができます。以下にその分量をご紹介しておきます。
- ゆっくり発酵させたい場合・・・小さじ 1/15 (0.2g) =粉量の0.1%
- 早めに発酵させたい場合・・・小さじ1/3(1g)= 粉量の0.5%
いずれの場合も、もともとの水分量に、甘酒大さじ1か、水10gを足したものに、インスタントドライイーストを振り入れ、2~3分ふやかしてから混ぜて使います。
用意する道具
- ポリ袋
- パウンド型(18cm×8cm、高さ6cm)
- スケッパー
- 密閉容器(小・大)
- ゴムベラ
- ハサミ
生地作りからおさらい~一次発酵まで~
ポリパン®の生地作りの基本はどんな材料の組み合わせでも同じです。
「材料の水分と牛乳は合計して130gになればOKです。牛乳が多いとミルキーでしっとりとした味わいになりますよ。また、焼き色が付きやすくなるので香ばしく焼き上がります。よりシンプルにいただきたい時は水のみでも構いません(水だけの場合は120g)。油は、普段私は太白ゴマ油を愛用しています。なければ、なたね油やオリーブ油で代用してもいいですよ」(梶さん)
Vol.1をおさらいしてからフリフリスタート!
分割~二次発酵
一次発酵が終わったら分割してベンチタイムを取ります。成形後はパウンド型の中で二次発酵させましょう。パンの焼き上がりに影響してしまいますので乾燥は厳禁です。発酵中は大きな密封容器に入れるか、大きいポリ袋に入れて入り口を縛っておいてもいいですね。
「冬は特に乾燥しているので、容器の中に湿らせたキッチンペーパーを入れて保湿しておくと安心です」(梶さん)
生地の分割と成形1
袋の側面と底辺をL字にカットして開き、生地を2等分する。
生地の分割と成形2
手に打ち粉をして、生地のきれいな面が外側になるように軽く丸める。
生地の分割と成形3
閉じ目を下にしてポリ袋をかぶせて15~20分のベンチタイムをとる。時間をおくことで生地のグルテンが緩んで伸びが良くなるので成形しやすくなる。
生地の分割と成形4
手のひらに打ち粉をして、生地表面を上にして、生地の上からたたくようにして平たくする。スケッパーで表裏を返して、裏返した状態で手前側の生地を真ん中に向けてたたむ。
生地の分割と成形5
反対側の生地も真ん中に向けてたたみ、3つ折りにする。
生地の分割と成形6
生地を90度回転させて、手前から巻き、巻き終わりをつまんで閉じる。
生地の分割と成形7
型の内側にたっぷりと油(分量外)を塗るか、クッキングシートを切って型に敷く。閉じ目を下にして、生地と生地の間に隙間を空けて型に入れる。
生地の分割と成形8
型ごと密閉容器(大)に入れて、ふたを閉めて二次発酵へ。
密閉容器を置いておく場所は、急いでいるなら30~35℃の温かいところに置きます。発酵時間は約1時間〜1時間半程度です。室温20〜25℃であれば2時間〜3時間程度、冷蔵庫なら丸一日程度でしょうか。いずれにしても焦らずゆっくり発酵させるとおいしいパンになりますので、うまくご自分の生活スタイルにあわせて隙間時間を有効利用して発酵させてみましょう。
二次発酵完了~焼き上がりまで
上の写真のように、2倍程度に膨らんだら、二次発酵完了です。
横から見て型のふちより1cm程度生地が膨らんでいたら、イングリッシュマフィンの時のように、指の腹に粉をつけて優しく生地に触れてみましょう。生地が指を押し返すくらい張っているようなら発酵が不十分です。少し張りがあるけれど押したところがゆっくり元に戻るような生地が緩んだ状態になったら、二次発酵完了です。(生地を押したらへこんでしぼんでしまったら過発酵です)
いよいよ焼き上げていきましょう!
- ガスオーブン:予熱なしで180℃で25分で焼きます。
- 電気オーブン:天板を入れた状態で最高温度で予熱し、予熱完了後、生地をオーブンに入れ扉を閉めて10分放置し、その後200℃に設定して15~20分焼きましょう。
※オーブンの性能によって焼き温度や時間は多少変わります。
はい、焼き上がりは、この通り! 型の底面をトントンさせながらそっと取り出しましょう。
「オーブンから出してすぐに包丁をいれないでくださいね。焼き立てはたくさんの水蒸気がパンの中に溜まって、食感がムニムニして、カットしようとするとつぶれてしまいます。冷ますと水蒸気がパン全体にまわり、また余分な水蒸気やアルコールが飛んで、本来の食感や小麦の香りが味わえます。消化にも良くないので、焼き立てを食べたくなる気持ちをグッとこらえて、粗熱が取れるのを待ちましょう」(梶さん)
小麦粉の違いを知って自分好みを見つけよう!
いざ小麦粉を買いに売り場へ行くと、多種多様の粉があることに気づきます。小麦粉選びに苦戦してしまいそうな方へ、そもそも、パン用の小麦は、どう選べばいいのでしょうか? 梶さんに教えていただきました。
まず最初にチェックしたいのが、小麦粉の種類です。
売り場を注意して見てみると強力粉、薄力粉、中力粉と表記が分かれています。この違いはズバリ、粉の中に含まれるグルテンの含有量です。多い順に強力粉、中力粉、最後に薄力粉となります。
梶さん「グルテンとはパンのふっくらの元となるもの。グルテンが多い強力粉を使えば弾力のあるパンに、グルテンが少ない薄力粉を使えば膨らみは出にくいですが、ふんわりサクッと歯切れのよいパンに仕上がります。山食パンでは強力粉のみを使用しましたが、軽さを出したい時は1/4量を薄力粉に代えてもいいかもしれませんね」
次に気にしたいのが産地の違いです。一般的に外国産小麦はグルテンの含有量が高く、国産小麦は粉の風味が強いといわれています。
梶さん「通常、グルテンが多い粉はこねてグルテンを物理的に引きちぎりグルテンを細く伸ばしてから絡めることで薄いネットワークを作り出します。一方、ポリパン®は生地を寝かせている間に自然にグルテンネットワークが形成されるオートリーズという製法をとっています。そのため、グルテンが強すぎない国産小麦が向いています。また、こねないことで酸化しにくいので風味よくパンが焼けます。国産小麦は新鮮で粉の風味が強いので、熟成を進めるほどに味わい深いパンに焼き上がりますよ」
粉の旨味をシンプルに感じられる山食パンは国産小麦との相性がよさそうです。反対に、お惣菜パンや菓子パンには外国産小麦がむいているのかもしれませんね。
なお、食品表示法では、加工品の場合はその加工地を国名で表示するというルールになっているため、外国産小麦であっても、製粉するのは日本なので「小麦粉(国内製造)」と記載されて販売されているのだそう。表示のルールをしっかり理解しておけば、お好みの小麦粉を選べるようになりますね。
最近注目の全粒粉を使うなら
さて、もうひとつ売り場でひときわ目立つのが全体に茶色がかった色の粉。これは全粒粉と呼ばれるものです。販売されている全粒粉にはふすまと呼ばれる小麦の外皮や胚芽を丸ごと挽いたものや、強力粉にふすまを一部混ぜたものまでいろいろあります。白米と玄米で例えるとわかりやすいかもしれませんね。一般的に食物繊維豊富で小麦の風味を強く感じられる粉です。
梶さん「全粒粉は酸化しやすいので冷蔵庫で保存してくださいね。焼いても膨らみづらいので最初は小麦粉量の20%位の量を混ぜて使うといいかもしれません。全粒粉で作ったパンは、噛みしめる旨さがあり、お肉やチーズ、ワインとよく合います」
目指すパンのイメージに合う粉を選べるようになったら、もっとパン作りが楽しくなりそうですね。
ガスオーブンならパンがおいしく焼けます!
今回のレシピでは、ガスオーブンを使えば予熱なしで焼けるため圧倒的に短い時間で、電気オーブンよりも低い設定温度で焼くことができます。予熱がいらない理由はガスのパワフルな炎の力で庫内の温度を一気に上げるため。また、短時間で焼けるのでパンの水分の蒸発が少なくしっとりとした焼き上がりになりますよ。パン作りにこだわりたいなら断然ガスオーブンですね。
グリルで焼き直すと、よりおいしい!
梶さんによると、発酵種のパンがおいしいのは、次の日。特にグリルで焼き直すと香ばしさがプラスされて、よりおいしくなるのだとか。ガスコンロのグリルなら、外はカリッと中はもっちりのトーストが手軽に楽しめます!
最新のガスコンロには、料理を強力にサポートする便利機能が満載です。
自動で火加減を調整する揚げ物・焼き物に便利な「温度調節」機能や、ボタン一つでガス火炊きのご飯が炊き上がる「自動炊飯」機能。お湯が沸いたり、設定した時間になると消火する「湯わかし」や「コンロタイマー」機能など、「ガスコンロ」には調理をサポートする機能がたくさんあります。(※)
また、“魚を焼く”イメージの強い「グリル」ですが、実は肉や野菜料理、トーストやピザ、揚げもののあたため直しにも使える万能調理器です。
専用容器対応のグリルでは、手軽にオーブン料理も楽しめますよ。(※)
ガスコンロで「おいしい」をもっと簡単に! レパートリーをグンと増やしましょう!
(※)搭載機能や機能名は機種によって異なります。
おわりに
本格的な山食パンまで作れてしまうなんてポリパン®の底力に驚きました。低温でじっくり発酵させるポリパン®だからこそ、小麦粉にこだわって作ってみるのもいいですね。国産小麦を使うことで地産地消や自給率アップにも貢献できそうです。
次回は、みんな大好きシナモンロールをご紹介します。どうぞお楽しみに!