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プロに聞く! おうちで簡単にできる石鹸の作り方

石鹸を手作りしたことはありますか? 石鹸を作るというと「専門知識がないと難しそう」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、日本デザイン石けん協会の松崎ひさ子さんに、おうちにある道具を使って簡単にできる石鹸の作り方や、自分ならではの石鹸が作れるアレンジ方法などを教えていただきました。初心者やお子さまでも気軽に作ることができるので、ぜひおうち時間にチャレンジしてみてくださいね!

最終更新日:2023.12.28

目 次

おうちで石鹸作りを楽しもう!

石鹸を手作りする様子

画像提供:日本デザイン石けん協会

手作り石鹸というと、「専門知識がないと難しそう・・・」「専用の道具をそろえないと作れないのでは・・・」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は石鹸は、おうちにある道具で簡単に作ることができるんです!

そこで、日本デザイン石けん協会の代表理事を務め、テレビや雑誌などのメディアでも手作り石鹸の普及活動でご活躍されている松崎ひさ子さんに、主な石鹸作りの方法や、その中でも初心者におすすめの基本の石鹸の作り方やコツ、アレンジ方法などを教えていただきました。

主な石鹸の作り方をご紹介

手作り石鹸のイメージ

PIXTA

おうちでできる石鹸の作り方は何種類かありますが、今回はその中でも主要な3つの作り方をご紹介します。それぞれ、使用する材料や作りやすさ、出来上がりの特徴が異なりますので、順番に見ていきましょう。

苛性ソーダを使った手作り石鹸

苛性ソーダの石鹸

画像提供:日本デザイン石けん協会

苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)といわれる化合物とオイルを混ぜ合わせる作り方です。他の製法に比べてやや低温度で作業を行うため、コールドプロセス製法とも呼ばれています。

松崎さん「苛性ソーダを使用した石鹸は、洗浄力がある一方でしっとりとした洗いあがりになるバランスの良さでとても人気があります。昔からよく用いられている作り方なので、『手作り石鹸』というとこの方法を連想される方が多いのではないでしょうか」

しかし、苛性ソーダは強アルカリ性のため劇物指定されており、取り扱いに注意が必要なのだそう。

松崎さん「苛性ソーダは直接触れてしまうと危険な劇物です。購入する際には、ドラッグストアなどで身分証明書を提出すれば購入ができますが、取り扱っていないお店もあるのでお店の方に聞いてみましょう。作る時にはゴーグルやマスク、手袋などをして取り扱いに注意が必要です。作業自体は難しくありませんが、小さいお子さまとの石鹸作りには不向きな方法ですね」

石鹸素地を使った手作り石鹼

石鹸素地を使った手作り石鹸

PIXTA

石鹸素地とは油脂、苛性ソーダ、水を反応させて作られた『石鹸の素』で、こねていくだけで石鹸を作ることができます。

松崎さん「石鹸素地は、粘土のように手でこねて形を作っていきます。色は付きにくいのでハーブを添えたり、香りを付けてアレンジしたりするのがおすすめです」

お子さまと一緒に手でこねながら作るのも、とても楽しそうですね。
また、他の方法に比べて材料が比較的安価なのもメリットです。
後述するグリセリンソープは1kgあたり2000円程度ですが、石鹸素地は1kgあたり1000円程度で購入することができます。

グリセリンソープを使った手作り石鹸

グリセリンソープを使った手作り石鹸

画像提供:日本デザイン石けん協会

グリセリンとは、油脂から取った無色透明の液体でアルコールの一種です。吸湿性が高く、化粧品などに使用されています。
石鹸作りに使用する時は、一度溶かしたものを型に注いで作るため、Melt(溶かす)とPour(注ぐ)の頭文字を取って、MPソープとも呼ばれています。

松崎さん「グリセリンソープは溶かして固めることができることが大きな特徴です。他の石鹸だと、一度固まってしまうと作り直しができませんが、グリセリンソープであれば再度溶かして作り直すことができます。その点でいうと、手軽で扱いやすく、初めての方に向いています」

また、作成後にすぐに使用することができるのも特徴だそうです。

松崎さん「苛性ソーダを使った石鹸だとアルカリ性の成分を抜く必要があるため、1カ月ほど置いておかなければいけませんが、グリセリンソープを使った石鹸は固まった後、すぐに使用することができます」

作ったその日に使用できるのは、とても魅力的ですよね。

主な石鹸の作り方として、苛性ソーダ、石鹸素地、グリセリンソープをご紹介しました。
基本的な石鹸の種類や特徴を押さえたところで、ここからは実際の作り方や、さまざまなアレンジ方法を見ていきましょう。

今回は、初めて作る方に向けて、松崎さんおすすめのグリセリンソープを使った石鹸の作り方を詳しくご紹介します。

グリセリンソープを使った手作り石鹸の魅力とは?

グリセリンソープを使った鮮やかな石鹸

画像提供:日本デザイン石けん協会

初心者でも手軽に扱いやすいとされるグリセリンソープ。
松崎さんは、以下のような魅力があると教えてくれました。

【魅力1】仕上がりの美しさ
グリセリンソープを使った石鹸はとても透明感の高い仕上がりになるので、石鹸として使用するだけでなく、置いておくだけでもきれいなのだそう。雑貨のように飾って、見た目にも楽しめるのはうれしいポイントですね。

【魅力2】アレンジのしやすさ
グリセリンソープなら、温めて溶かすだけで簡単に石鹸を作ることができるので、色の層を重ねてカットしたり、石鹸の中に何かを入れたり、アレンジの幅が広いことは大きな魅力なのだそう。「自分好みに作りたい!」という方にはぴったりですね。

【魅力3】材料のそろえやすさ
グリセリンソープは、ドラッグストアやホームセンター、最近は100円ショップでも販売しているところがあるとのこと。作り方も簡単なので、思い立った時に購入し、すぐに作り始めることができますね。

グリセリンソープを使った石鹸の作り方をご紹介

美しいグリセリンソープの手作り石鹸

画像提供:日本デザイン石けん協会

グリセリンソープで作る石鹸の魅力を知ったところで、作り方の基本をご紹介します。
温める、混ぜる、冷やす、の3ステップで完成しますので、ぜひおうちで石鹸作りを楽しんでみてください!

石鹸作りで準備するもの

石鹸作りで用意するもの

画像提供:日本デザイン石けん協会

・グリセリンソープ
・グリセリンソープ用に販売されているカラージェル
 (スーパーで販売されている食用色素でも代用可能)
・石鹸用のフレグランスオイル
 (アロマショップで販売されているエッセンシャルオイルでも代用可能)
・紙コップ
・流し込む型
 (どんな素材でもよいがシリコン製だと型から外しやすい)
・包丁
 (ヘラなどのグリセリンソープが切れるもの)
・わりばし
・ようじ

グリセリンソープで作る石鹸の基本の作り方

色々な模様のグリセリンソープ石鹸

画像提供:日本デザイン石けん協会

1.グリセリンソープを適当な大きさに切り、紙コップの半分まで入れる。
グリセリンソープを切っておくことで熱が均等に伝わり、早く溶かすことができます。一度に多くの量を溶かしたいという方は紙コップではなく、耐熱用の保存容器がおすすめとのこと。

グリセリンソープを切る様子

画像提供:日本デザイン石けん協会

2.電子レンジを500~600Wに設定し温める。100gであれば40秒~1分以内が目安。
温めすぎると吹きこぼれてしまうこともあるので、初めての時は10秒ずつ温めて確認する、といったように少しずつ温める方法がおすすめだそうです。

3.溶けたことを確認したらお好みの着色料を入れ、わりばしで混ぜる。
色は1滴でもかなり濃い色がつきます。ようじに取って少しずつ入れていくと、失敗が少ないそうです。

4.お好みの香料を入れ、わりばしで混ぜる。
使用する香料にもよりますが、大体10g~20gに1滴が目安です。香料は必ず入れなくてはいけないものではなく、苦手な方は無香料にするなど、自分の好みで調整してみましょう。

5.型に流し込み、固まるのを待つ。
常温で置いておくと30~40分、冷蔵庫で冷やすと15~20分ほどで固まります。完成を急ぎたい方は冷凍庫で冷やしてもよいそうです。

6.型から外して完成です。

石鹼の作り方のアレンジ方法をご紹介

中におもちゃをいれた手作り石鹸

画像提供:日本デザイン石けん協会

グリセリンソープで作る石鹸のアレンジを3つご紹介します。遊び心がくすぐられる、見た目も楽しいアレンジばかりなので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

【アレンジ1】おもちゃを入れる

おもちゃを使った手作り石鹸のアレンジ

画像提供:日本デザイン石けん協会

松崎さん「おもちゃを中に入れるだけで簡単にアレンジができます。お好みでキラキラしたラメを入れたりしてもよいですね」

【準備するもの】
・グリセリンソープ
・紙コップ
・シリコン製のおもちゃ
・包丁
・わりばし
・ようじ

【手順】
1.グリセリンソープを溶かす。

2.溶かしたグリセリンソープにおもちゃを入れる。石鹸の真ん中におもちゃを入れたい時は、型にグリセリンソープを半分注ぎ、少し固めたところにおもちゃを設置する。その後、最後までグリセリンソープを注ぎ入れ、常温または冷蔵庫などで固める。

【アレンジ2】アイスキャンディー

グリセリンソープのアイスキャンディー風石鹸

画像提供:日本デザイン石けん協会

松崎さん「アイスキャンディーはアレンジの中でも比較的簡単で、初心者の方にも人気です。アイスキャンディーの型に流し込むだけではなく、例えばオレンジ色の石鹸の中に異なる色の石鹸を切ったものを入れて、フルーツの入ったアイスのような見た目にするなど、お好みでアレンジしてみてくださいね」

【準備するもの】
・グリセリンソープ(アイスキャンディー1本で70g程度)
・グリセリンソープ用に販売されているカラージェル
・石鹸用のフレグランスオイル
・紙コップ
・アイスキャンディーの型
・アイスキャンディーの棒
・包丁
・わりばし
・ようじ
・タオル
・ラップ

【手順】
1.グリセリンソープを溶かし、カラージェルやフレグランスオイルでお好みの色・香りを付ける。

溶かしたグリセリンソープにカラージェルや香りを付ける

画像提供:日本デザイン石けん協会

2.アイスの棒やドライフルーツなど、中に入れておきたいものをあらかじめアイスキャンディーの型に入れておき、グリセリンソープをゆっくり流し入れる。

アイスキャンディーの型にグリセリンソープを流し入れる

画像提供:日本デザイン石けん協会

3.冷蔵庫で固めたら、型をねじるようにして空気を入れながら、少しずつ取り出す。

固めたグリセリンソープを取り出す

画像提供:日本デザイン石けん協会

【アレンジ3】宝石石鹼

グリセリンソープを使った宝石石鹸

画像提供:日本デザイン石けん協会

松崎さん「名前の通り、まるで本物の宝石のような石鹸です。グラデーションにするなど色の組み合わせやカットの仕方で、オリジナリティーが出るアレンジです。他の2つに比べて、少しコツがいるので最初は思い通りにいかないかもしれませんが、試行錯誤するのも楽しみの一つです」

宝石石鹸は、さまざまな色の手作り石鹸を組み合わせて作ります。自分好みの色の組み合わせを探してみましょう。

【準備するもの】
・グリセリンソープを使った手作り石鹸のかけら(宝石石鹸にしたい色を複数用意する)
・グリセリンソープ
・マイカ(きらめきを出すために化粧品で使われている顔料。インターネットなどで購入できる)
・紙コップ
・包丁
・わりばし
・ようじ
・耐熱のチャック付きポリ袋

【手順】
1. さまざまな色のグリセリンソープを使った手作り石鹸のかけらをチャック付きポリ袋に入れる。

 松崎さん「出来上がりをイメージして、自分の好きな色を複数混ぜるときれいな仕上がりになります」

手作り石鹸のかけらを袋に入れる

画像提供:日本デザイン石けん協会

2.ポリ袋の中にマイカを振り入れ、チャックを締めてポリ袋を振り石鹸全体に行きわたるようにまぶす。

マイカが全体に行きわたるようにまぶす

画像提供:日本デザイン石けん協会

3.袋の隅を下にして、自分の好きな色の重なり方になるように、石鹸の位置を調整する。

4.ポリ袋に入ったままの石鹸を紙コップにセッティングする。この時、袋の口を上にする。

5. 接着剤用のグリセリンソープを作る。新しく紙コップを用意してグリセリンソープを入れ、電子レンジで溶かしたものを、4に注ぎ入れる。

6.熱いうちに袋ごとタオルにとり、タオルの上から強く握って石鹸同士を接着させる。粗熱が取れたら1つにまとまるように石鹸同士のつなぎ目をつぶしながら石鹸同士をくっつけていく。

7.好みの形になるように成型し、冷蔵庫で冷やす。固まったら袋から取り出し、宝石の形になるようにカットする。

固まった石鹸をカットしていく様子

画像提供:日本デザイン石けん協会

手作り石鹸の保存方法は?

手作り石鹸を保存する様子

画像提供:日本デザイン石けん協会

石鹼を手作りした後に気になるのが保存方法。せっかく作ったのにすぐに劣化してしまった、ということは避けたいですよね。グリセリンソープを長く楽しむための保管方法をご紹介します。

松崎さん「基本的には太陽の光や熱に弱いので、高温多湿を避けて暗所で保管しましょう。グリセリンソープで作った石鹸は1、2年ほど持ちますが、手作りをしているうちに異物が混入してしまう可能性もあるので、できるだけ早めに使うようにしましょう」

また、グリセリンソープは保管しているうちに表面に水滴がついてしまうことがあるのだとか。

松崎さん「グリセリンソープは保湿成分が含まれているため、空気中の水分を引き寄せる力を持っています。例えば、湿気の多い夏場などに何もせず放置しておいたら、グリセリンソープの下が水たまりのようになってしまった、なんて方もいらっしゃいます。飾って楽しむときはお皿の上に置いたり、ラップをしっかり巻いておけば安心です」

手作り石鹸の販売は禁止。注意点に気を付けて個人で楽しもう!

石鹸で手を洗う様子

PIXTA

手作り石鹸の楽しみ方を知った後は、手作り石鹸を取り扱う上での注意点をご紹介します。注意点を踏まえ、安全に楽しみましょう。

作った石鹸の販売は禁止。おうちで楽しもう

松崎さん「フリマアプリなどで販売されているものを見かけることもありますが、石鹸を販売するには許可が必要です」

きれいにできたから販売したい、という気持ちになってしまうこともあるかもしれませんが、石鹸を販売するには、医薬品医療機器等法に規定された化粧品製造業と化粧品製造販売業の許可を取得する必要があります。手作り石鹸はご自分で楽しむ範囲にとどめておきましょう。

使用する際には少しずつ肌に慣らそう

また、自分で作った石鹸を使用する際には、いきなり顔を洗うのに使用するのではなく、手などの範囲の狭いところから試してみましょう。肌に合うようであれば、少しずつ使う範囲を広げてみるのがいいですね。

おわりに

「手作り石鹸の魅力は、石鹸として楽しむだけでだけでなく、色合いや香りを自分好みで楽しめること」と松崎さん。アレンジの幅が広いグリセリンソープは、作るたびにさまざまな工夫ができそうですね。何か新しい趣味を見つけたい、お子さまとのおうち時間を楽しく過ごしたい、という方は、ぜひこの記事を参考に石鹸作りを楽しんでみてはいかがでしょうか。

  • この記事取材先プロフィール

    松崎ひさ子

    JDSA 日本デザイン石けん協会 代表理事

    松崎ひさ子

    子供の出産を機に、アロマやハーブ、そして子供のスキンケアを考える中で手作り石鹸と出会い、手作り石鹸の使用感の良さに感動。手作り石鹸の良さを広めるべく、子供とおうちでできる石鹸作りや、自宅で簡単に可愛く作れる工夫を凝らした石鹸作り教室を開いている。2015年日本初となる「デザイン石けん」の資格制度を導入し、2017年JDSA日本デザイン石けん協会を設立。全国の認定講師の育成を行う。テレビや雑誌の掲載多数。

    著書:「宝石みたいなせっけんのレシピBOOK」宝島社
    「惑星せっけん手作りキット」ブティック社

    JDSA 日本デザイン石けん協会

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コピーされました

公開日:2022.2.24

最終更新日:2023.12.28

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