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 黒糖茹でパン

目からウロコのパン作り!「ポリパン®」~Vol.6 アウトドアにも、災害時にも! 黒糖茹でパン

ポリパン®の生みの親、梶晶子さんから教わる6回目。最終回はなんとポリ袋の中でできあがりまでの全てが完結する茹でパンをご紹介します。驚きなのは鍋と水、熱源さえあればできること。これはポリパン®の究極の形かもしれませんね。しかも、子どもから大人まで誰でも簡単にできる手軽なレシピなので、アウトドアや万が一の災害時でも活躍しそうです。簡単、おいしいポリパン®の生みの親、梶晶子さんに教わります。

最終更新日:2023.11.17

目 次

鍋と水、熱源さえあれば! ポリ袋の中で完結するパンとは?

茹でパン

uchicoto

「ポリパン®」連載の最終回は焼かずに作る、茹でパンをご紹介します。この茹でパン、なんとポリ袋と鍋と水、熱源さえあれば成形の必要もなく、作り始めからできあがりまでポリ袋の中で完結してしまうという驚きの製法です。となれば、キッチンがない環境でも衛生的に作ることができますね。しかも今回は、ベーキングパウダーを使用するレシピをご紹介します。

このパンの魅力をポリパン®の生みの親、天然酵母パン工房&ナチュラルフードスクールhappyDELI代表の梶晶子さん(以下、梶さん)に伺いました。

梶さん「茹でパンには、パン作りの楽しさのエッセンスが詰まっています。家でもアウトドアでも、家族や友人達と楽しみながら、作る過程とおいしさを共有できる最高のパンですよ」

ポリパン®の特徴であるモバイル性をさらにアップさせているのが、今回ご紹介する茹でパンです。この真価を発揮するのがアウトドアや災害時です。

アウトドアなら絶景を眺めながら生地を作ることも。茹でている間は温かい鍋に自然と人が集まり輪ができるので、あれやこれやと会話を弾ませながら茹で上がりを待つ楽しみもありますね。できあがったパンは袋ごと持ち運べるので、どこで食べようか悩んでしまいそうです。

アウトドアでポリパンを楽しむ様子

一般社団法人ポリパンスマイル協会

災害時では、最小限の道具と材料でできることが何より喜ばれます。
もしもの時にとかく苦労するのが水の確保です。茹でパンはポリ袋の中で調理が完結するので、ほとんど洗い物が出ません。また、茹で鍋に使用した水は何度でも使い回しができるので、水が貴重な災害時にとても役立ちます。

梶さんは、東日本大震災後、実際に被災地に何度も赴いて、ポリパン®のワークショップを開催された経験があるのだそう。

梶さん「みなさん、冷たいお惣菜に辟易していたところに、温かくできたてのパンが心身疲れた体をリセットしてくれたのかもしれませんね。暗かった顔が会う度に明るくなっていくのを感じました。参加者の中には、鬱々とした気分の中でポリパン®に出会い、自分が作ったパンを振舞うことで今まで知り合えなかった人と友人になれて、新しい生きがいを見つけられたという方がいらっしゃいました。笑顔を取り戻せた理由はポリパン®がパン作りの中で難しい、面倒と感じる工程を極力シンプルにしているからかもしれません。一から十まで自分でできて、しかも成功しやすいので何度でも作りたくなる。かつ、他の人まで喜んでくれるという体験が続くことで生きがいに繋がったんですね」

体だけでなく、心も温めるポリパン®。発酵いらずの茹でパンならもっと身近に、手軽にパン作りにトライできそうですね。また、知っておけば万が一の時の心強い味方になってくれるはずです。
まずは使用する道具と材料を確認しましょう。

もっちりおいしい「黒糖茹でパン」を作りましょう!

 黒糖茹でパン

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今回ご紹介する黒糖茹でパン、特筆したいのは今までのポリパン®とは違って、発酵させる工程がないということです。
小麦粉を膨らませるためには、酵母の力を借りて発酵させる方法とベーキングパウダーを使用する方法がありますが、今回はあえて後者を選びました。なぜベーキングパウダーを使うのでしょうか?

梶さん「アウトドアでは携帯できる食材の方が現実的ですからね。天然酵母(発酵種)は冷蔵保存が必須です。ベーキングパウダーなら常温で持ち運びができるので便利ですね。なにより発酵時間がいらないので短時間でパンを作ることができます。また、ベーキングパウダーを使用する理由はもう一つあります。今回のレシピの材料には黒糖がたくさん入りますが、糖分が多いと酵母の動きが鈍くなり発酵しづらくなるんです」

なるほど。ベーキングパウダーを使うからこそ作りやすいレシピという訳ですね! 東北地方の郷土菓子、雁月(がんずき)をヒントにしたという黒糖茹でパンは、香ばしい黒糖の香りが魅力です。どこか懐かしいじんわりとした甘さと、むっちりとした食感が後引くおいしさですよ。

用意するもの

用意するもの

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今回使う道具も、いつも通り、ご家庭にあるものでOK。これまで以上に使う道具の数が少なく、洗い物も出ないのがうれしいですね。

  • ポリ袋(高密度ポリエチレン) 
  • 深鍋
  • 菜箸
  • ゴム手袋


鍋は生地が入るサイズであればどんなものでも構いません。菜箸は鍋の端から端まで渡せる長さのものを選んでくださいね。熱湯から取り出す時にあると便利なのがゴム手袋です。

梶さん「菜箸とゴム手袋は絶対になければいけないものではありません。非常時やアウトドアでは、あるもので代用してくださいね」

高密度ポリエチレン手袋

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ポリ袋は品質表示に「高密度ポリエチレン」と記載のあるものを使用してください。熱に強いので湯せん調理に向いています。

梶さん「スーパーで無料で手に入るシャカシャカした質感の袋も高密度ポリエチレンですが、厚みが0.01~0.007mmと薄い場合があります。厚み0.015mm以上であれば破れづらいので安心です」

材料

材料

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  • 薄力粉・・・75g
  • 黒糖・・・30g
  • ベーキングパウダー・・・小さじ1(4g)
  • 水・・・75g
  • 太白ゴマ油・・・大さじ2 (油はなたね油やオリーブ油でも可)
  • くるみ・アーモンド・・・適宜(お好みで)

生地作りから始めましょう!

さて、材料がそろったら、生地を作っていきましょう。今回の生地は、薄力粉と水が同量なので、これまでと比べてかなり水っぽい生地になります。

生地作り1

生地作り1

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ポリ袋に粉類(薄力粉、黒糖、ベーキングパウダー)を入れる。

生地作り2

生地作り2

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ポリ袋の中に空気を取り込んで、袋の口を右手で握り、左手で袋の角をつまんで勢いよく振る。

生地作り3

生地作り3

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水と油を加える。

生地作り4

生地作り4

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5回程振り混ぜたら、袋の空気を抜いて満べんなく揉み混ぜる。

梶さん「少々荒っぽく見えますが洗濯板で洗濯するようにゴシゴシこすり合わせて生地を混ぜてください。黒糖の粒々は少し残っていても問題ありません」

生地作り5

生地作り5

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袋の一角に生地を集める。袋の中の空気が入っていると加熱した際に空気が膨張して袋が破けやすくなるのでしっかりと抜く。

生地作り6

生地作り6

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指3本分の余裕を持たせて口を縛る。

茹でてみよう!

梶さん「茹でパンは袋ごとに味わいや材料を変えることができるので、アレルギーの方や糖質制限中の方などの体調に合わせたパンを同時に茹でることができます。他にも同じ鍋でご飯を炊いたり、パスタやカレー、味噌汁を作ることもできますよ」

鍋のサイズを大きくすれば、同時に何人分でも作ることができます。アウトドアでは貴重なエネルギーの節約にもなりますね。

茹で方1

パン生地を茹でる1

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鍋から取り出しやすくするために、菜箸を袋の結び口に通す。

茹で方2

パン生地を茹でる2

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鍋に湯を沸かす。

茹で方3

パン生地を茹でる3

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お湯に菜箸を鍋の端に渡して10分茹でる。ステンレスなど金属製の鍋を使う時には、鍋底にアルミホイルを敷きましょう。

茹で方4

パン生地を茹でる4.5

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ふつふつ泡が立つくらいの火加減に調整する。

茹で方5

生地を返して、反対側の面も10分茹でる。

茹で方6

パン生地を茹でる6

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ゴム手袋を付けて、鍋からパンを取り出し、パンを押して弾力があればできあがりのサイン。

パン生地を茹でる7

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ポリ袋から取り出し、適当な大きさに切っていただきましょう!

主食にもおやつにも! バリエーション豊富な茹でパン

カレー茹でパン

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茹でパンはその時の気分や材料に合わせて、おやつパンやお惣菜パンにもアレンジ可能です。味わいが変われば朝食にも、ランチにも、おやつにもどんなシチュエーションでも楽しむことができますね。

梶さんおすすめアレンジはスパイシーな香りが食欲をそそるカレー茹でパン。作り方は黒糖茹でパンと同様なので、ぜひお試しください。

カレー茹でパンの材料

  • 薄力粉・・・75g
  • カレー粉・・・小さじ1~2
  • 砂糖・・・大さじ1
  • 塩・・・小さじ1/4
  • ベーキングパウダー・・・小さじ1(4g)
  • 牛乳(もしくは水)・・・80g
  • チーズ・・・適量


梶さん「家族それぞれの気分に合わせておやつパンとお惣菜パンを同時に茹でることもできるのは、ポリ袋で作るポリパン®ならではだと思います。また、災害時であれば、野菜類が不足しがちなので、具材のチーズをミックスベジタブルに変えてもいいですね」

アウトドアに限らず、普段から何度も作っていれば、万が一の時の予行練習にもなりそうです。

梶さん「普段のおやつに作る時は、ベーキングパウダーの代わりにイーストや発酵種を使ってもできます。黒糖茹でパンのレシピは砂糖が多いためにいつもより少し発酵時間が長くかかるので、イーストを普段の倍量にして発酵速度を速めたり、逆に一晩かけてのんびり作りましょう」

※インスタントドライイーストの目安の分量(早く作りたい時)
・黒糖茹でパンの場合:粉量の2%程度(1.5g)
・カレー茹でパンの場合:粉量の1%程度(0.75g)

茹でパンを作るなら、多彩な機能が満載のガスコンロがおすすめ!

茹でパン作りをもっと手軽にしてくれるのがガスコンロの便利な機能です。最初に使いたいのが「湯わかし機能」です。鍋に水を張ってボタンを押すだけで、お湯が沸いたタイミングを音でお知らせしてくれます。調理中は「コンロ調理タイマー」が便利です。時計とにらめっこしなくても、設定時間になるとガスコンロが音でお知らせしてくれます。ガスコンロの便利機能を使いこなせていないという方は、これを機に試してみてくださいね。

デリシア調理イメージ

Rinnai

最新のガスコンロには、料理を強力にサポートする便利機能が満載です。
 
自動で火加減を調整する揚げ物・焼き物に便利な「温度調節」機能や、ボタン一つでガス火炊きのご飯が炊き上がる「自動炊飯」機能。お湯が沸いたり、設定した時間になると消火する「湯わかし」や「コンロタイマー」機能など、「ガスコンロ」には調理をサポートする機能がたくさんあります。(※)
 
また、“魚を焼く”イメージの強い「グリル」ですが、実は肉や野菜料理、トーストやピザ、揚げもののあたため直しにも使える万能調理器です。
専用容器対応のグリルでは、手軽にオーブン料理も楽しめますよ。(※)
 
ガスコンロで「おいしい」をもっと簡単に! レパートリーをグンと増やしましょう!
(※)搭載機能や機能名は機種によって異なります。

おわりに

全6回にわたって、ポリパン®のパン作りをお伝えしてきました。この連載を通して、パン作りが身近になったと感じていただけたらうれしいです。難しいことは考えずに、まずはフリフリスタートしてみましょう! おいしいパンのある生活、始めてみませんか?

  • この記事取材先

    梶晶子

    天然酵母パン工房&ナチュラルフードスクール「happyDELI」主宰

    梶晶子

    ポリ袋で作るパン、ポリパン®考案者。2004年東京・三鷹で天然酵母パンとヘルシースープの店を開店。店舗販売、通信販売、移動販売、卸売の傍ら、天然酵母パン教室をスタートさせ人気を呼ぶ。2012年より東京・西荻窪に拠点を移しパンカフェやパン・発酵教室をメインに活動中。東日本大震災後から支援活動も積極的に行っており「東北応援ハッピーデリプロジェクト 笑顔を届けよう!」と題して被災地各地でポリパン®を通じた支援を行う。
    2018年より一般社団法人ポリパンスマイル協会を設立。「食べる喜び、作る幸せ、つながる笑顔」をモットーに、笑顔の魔法ポリパン®を通して、孤立防止、地域のつながりつくり、防災時の食と心のケアなどを提案している。パン製造技能士一級、防災士、発酵プロフェッショナル。
    著書に「ポリパン! ポリ袋でつくる、オーブンのいらない世界一かんたんなパン」(学研プラス)、「ポリ袋でかんたん! 甘酒&酒粕でつくる天然酵母パン」(河出書房新社)などがある。

    天然酵母パン工房&ナチュラルフードスクール「happyDELI

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公開日:2023.6.9

最終更新日:2023.11.17

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