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専門家に聞く! 非常食にこそ取り入れたい、お菓子と防災スイーツレシピとは?

非常食といえば水、レトルト食品、缶詰など食事の中心となるものを思い浮かべますが、見落としがちなのは甘いものやお菓子などの存在です。お菓子は、強いストレスにさらされる災害時に、気持ちを解きほぐしてくれます。今回は、備蓄しておきたいおすすめのお菓子や被災時でも作れるスイーツレシピを、防災食の専門家、今泉マユ子さんに伺いました。

最終更新日:2023.12.31

目 次

災害時だからこそ、心の栄養になるお菓子を!

チョコレート

PIXTA

もしもの時の備えに、どのような食材を備蓄していますか?
非常食というと、災害時の食事ではアルファ化米などの炭水化物や、レトルト食品などのおかずとなる食料がまず頭に浮かびます。けれど、被災時だからこそ、疲れた心をホッとさせる甘いものや、お菓子の存在が大きな役割を果たすことをご存じでしょうか?

大きな災害に見舞われると、恐怖や不安などさまざまなストレスが一気に押し寄せてきます。さらに避難生活が長期化すれば、不安定な生活へのストレスも加わり、心のバランスを保つことが難しくなってきてしまいます。そんな時に甘いものや好きなお菓子を食べることで、気分を変えることができたり、被災時のストレスを緩和したりする効果が期待されています。心と体に大きな影響を与えるお菓子を普段の備蓄品に加えておけば、いざという時の支えになりますね。

今回は防災食のプロ、管理栄養士、防災士、災害食専門員の今泉マユ子さん(以下、今泉さん)に備蓄しておきたいおすすめのお菓子や、備蓄食材で作れるスイーツレシピを教えていただきました。

いざという時のために! 非常食としても備えておきたい、おすすめのお菓子とは?

お菓子を食べる子ども

PIXTA

(今泉さん) 「被災中に甘いものが食べたかったけど、わがままを言ってはいけないと思って我慢していた」と、被災された方がおっしゃっていました。普段食べている、自分の好きなお菓子を食べることができれば、日常を取り戻す手助けになるかもしれません。特にお子さんは好きなお菓子を食べるとニッコリ笑顔になります。健康でいるためには栄養バランスはもちろん大切ですが、おやつも必要です。甘いもの、酸っぱいもの、クッキーやおせんべいなど、自分の好きなお菓子が疲れた体と心を癒してくれますね。

普段食べているお菓子もうれしいですが、ちょっと特別なお菓子も少し常備しておくとよいかもしれません。常温保存できるチーズケーキやチョコレートケーキの缶詰、アレルギー物質不使用のライスクッキーなど、美味しくてクオリティの高いものも多くありますよ。

また、災害時に不足しがちな食物繊維や、ビタミンが補給できる果物も備蓄品リストに加えておきましょう。私は20年近く毎朝プルーンを食べていて、災害が起きた後も食べられるように多めに備蓄し、ローリングストック(消費しながら備蓄すること)しながら食べています。

【注目の備蓄法】食べながら備える&消費期限切れも防ぐ!「ローリングストック法」とは?

それでは、具体的には何をそろえておけばいいのか、今泉さんに伺いました。

【おすすめ備蓄お菓子1】普段食べているもの

お皿に盛られた色々なお菓子

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・チョコレート
・クッキー
・ようかん
・おせんべい
・スナック菓子
・飴
・グミ など

(今泉さん) スーパーのお菓子コーナーを見てみると、実にさまざまなお菓子があります。賞味期限はまちまちなので、普段お菓子を食べる習慣がない方は「季節ごとに食べて入れ替える」など、ルールを決めておくといいですね。

【おすすめ備蓄お菓子2】乾物

ドライフルーツやナッツなどの乾物

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・ドライフルーツ
・ナッツ類
・さきいか
・ミニサラミ など

(今泉さん) ドライフルーツ、ナッツ類はビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富でおすすめです。さきいかやミニサラミはタンパク質源にもなり、そのまま食べてもいいですし、料理にも使えます。みそ汁やスープに入れるとおいしい出汁になりますよ。

【おすすめ備蓄お菓子3】 日持ちのするもの

茹であずき

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・茹であずき
・果物の缶詰
・缶入りビスケット など

(今泉さん) ローリングストックが苦手という方は、賞味期限が長い缶詰がおすすめです。茹であずきや果物の缶詰は、普段の食事でも重宝します。おせんべいやビスケットなどの缶詰は、賞味期限が5年前後のものなど長期保存できるものが多いです。自分のライフスタイルにあわせて選ぶといいですね。

【おすすめ備蓄お菓子4】 柔らかいもの

果物ゼリー

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・常温保存できる果物ゼリー
・ゼリー飲料 など

(今泉さん) 果物ゼリーなどは、のどごしが良くて疲れた時でも食べやすく、またパウチタイプのゼリー飲料は押し出して直接口に運べるので、手を汚さずに食べられる利点があります。ゼリー飲料はエネルギー補給タイプ、アミノ酸やビタミン入り、おやつのゼリータイプなどいろいろあるので、お気に入りを見つけておくとよいですね。

今回ご紹介したお菓子のように、開けてすぐに食べられるものだけでなく、調理ができる状況であればホットケーキミックスもあるとよいでしょう。ただし、普段使わない方はうっかり賞味期限を切らしがちです。賞味期限が切れる前においしく食べて、また買い足す「ローリングストック」で備えましょう。

災害時でもアイデアいっぱいの防災スイーツを!

乾パン

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災害が起きた直後は、混乱して調理できないかもしれませんが、落ち着いてきて環境が整えば調理も可能です。備蓄食材を使ったアレンジレシピを知っておくと、調理の楽しみが気分転換になります。目にも楽しいスイーツをアイデアいっぱいに作ることで、被災中のつらい状況でも、生活にパッと明るい光をもたらしてくれるかもしれません。

(今泉さん) もしもの時がくる前に、それぞれの食材がどんな味なのか試食してみることをおすすめしています。災害時の調理は、飽きない工夫とアイデアが重要です。普段から好みの味や使いやすさを理解しておきましょう。

【防災スイーツレシピ1】超基本!「乾パン」をおいしく食べる方法

ジャムやチーズなどがトッピングされた乾パン

Mayuko Imaizumi

備蓄食材の代表といえば乾パンですね。「防災セットを買ったら入っていた」と言う方が多く、気付かないうちに賞味期限を切らしてしまう方も多いようです。今、家にあり「食べたことがない」という方は、一度食べてみることをおすすめします。どんなものかが分かれば、アレンジもしやすくなりますよ。

(今泉さん) 乾パンはほんのりとした甘さと小麦粉の香りが素朴な味わいで、実は隠れファンもいるほど。そのまま食べてもOKですが、シンプルな味わいだからこそ、ちょい足しして食べ方のバリエーションを増やしてみませんか。例えばケチャップやマヨネーズ、ジャムや茹であずきをトッピングしたり、マーガリンやチーズをプラスしてみても。ちょっと小腹が減った時に、うれしい即席デザートになりますよ。

また、缶詰入りの乾パンは、中に氷砂糖や金平糖が入っている商品があります。氷砂糖や金平糖は糖分の補給にもなり、なめて唾液の分泌を促すことで、乾パンがのどを通らない時に食べやすくなります。乾パンが硬くて食べにくい時は、水に氷砂糖を溶かしてその中に乾パンを浸してふやかすと甘く柔らかく食べることができます。砂糖として調理にも使えるので活用してくださいね。

【防災スイーツレシピ2】甘味でほっこり「どら焼き風あんこ巻き(プレーン&抹茶)」

甘味でほっこり「どら焼き風あんこ巻き(プレーン&抹茶)」

Tokyo Gas Network

ベーキングパウダーや砂糖が配合されている、ホットケーキミックスは便利な食材です。缶詰の茹であずきと組み合わせれば、本格的な和菓子に変身します。茹であずきがなくても、ジャムやチーズなどを挟んでアレンジしてもおいしいです。

(今泉さん) 茹であずきの材料の小豆には、良質なたんぱく質と食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。 イライラやストレスを解消する効果があり、疲労回復効果のある小豆を使った和菓子はおすすめですよ。

【防災スイーツレシピ3】お湯ポチャレシピ(R)で作る「コーンパンケーキ」

【防災スイーツレシピ3】お湯ポチャレシピ(R)で作る「コーンパンケーキ」

Tokyo Gas Network

小さなお子さんでも食べやすい、ほんのり甘いパンケーキです。「お湯ポチャレシピ(R)」なら材料をポリ袋に入れて、お湯を沸かした鍋で湯せんするだけで作ることができます。温かいものが食べられるのも、災害時にはうれしいですよね。

(今泉さん) 紙コップに入れず、ポリ袋に直接生地を入れてお湯ポチャ(湯せん)してもOKです。さらにツナを入れておかずパンケーキにしたり、コーンの代わりにココアやいちごジャム、マーマレードを入れてもおいしいです。乳児用に作る場合は、月齢によってクリーム状のコーン缶を使用するといいですね。

災害時に活躍! ポリ袋と湯煎で作る「お湯ポチャレシピ(R)」とは?

防災用の備蓄食材を確認しているイラスト

Tokyo Gas Network

東京ガスネットワークでは防災レシピの情報サイト「日々のごはん と もしものごはん」では備蓄品をアレンジしたアイデアいっぱいのレシピをご紹介しています。また、もしもの時の対処方法や便利グッズなどをまとめた冊子「こころとおうちに備えて安心『日々のごはん と もしものごはん』」も無料でダウンロードすることができます。

おわりに

災害時の食事には命をつなぎ、健康を維持する役割が求められます。体のケアには温かくバランスの取れた食事が必須ですが、同時に、心のケアとなる甘いものやお菓子の存在を忘れてはいけません。特に精神的に落ち着かない災害時には、ホッと一息つける時間が大切です。備蓄食料の見直しを考えていらっしゃる方は、意識してお菓子も補充しておきたいですね。

  • この記事取材先プロフィール

    今泉マユ子

    防災食アドバイザー

    今泉マユ子

    株式会社オフィスRM代表取締役 管理栄養士、防災士、災害食専門員。防災食アドバイザーとして講演、講座を行う。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などで活躍。「もしもごはん かんたん時短、即食レシピ」、「防災教室 災害食がわかる本」など著書多数。

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公開日:2021.5.27

最終更新日:2023.12.31

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