バルサミコ酢がない! 他のもので代用できる?
黒く艶やかで、独特の風味があるバルサミコ酢は単に「バルサミコ」とも呼ばれるイタリアの調味料です。
ドレッシングや肉料理のソースの材料として使われることが多いバルサミコ酢ですが、家庭では常備していないことも多いでしょう。
バルサミコ酢を使いたいけれど手元にないときはどうすればよいのでしょうか? 野口さんによると、バルサミコ酢自体を自作することは難しく、バルサミコ酢の代わりに日本で一般的な米酢などを使うと料理の風味がまったく違うものになってしまう可能性があるとのこと。でも、ひと工夫すればバルサミコ酢の代用になるものを作ることは可能なのだそう。
ここからは、野口さんに教えてもらった具体的なバルサミコ酢の代用について紹介していきます。
ちなみに、代用として作ったものは保存ができないので、必要な分量だけ作って使い切るようにしましょう。
ドレッシングに使うときにはこれで代用!
バルサミコ酢はサラダドレッシングの材料として使うほか、酸味が強すぎないので直接野菜やチーズなどにかけて味わうこともあります。
「野菜と合わせるときには、赤ワインやぶどうジュースで風味や色を加えて代用します」(野口さん)
【材料と作り方】
- 赤ワイン…大さじ1と1/2
- 酢…大さじ1/2
- 砂糖…小さじ1/2
材料を耐熱容器に入れてよく混ぜた後、ラップをかけずにレンジ600wで30秒加熱する。
【ポイント】
子どもやお酒が苦手な人には赤ワインのかわりに同量のぶどうジュースで代用可。その場合はレンジで温める必要なし。
炒め物や煮込みに使うときにはこれで代用!
バルサミコ酢を炒め物や煮込みに使うと、フルーティーな酸味とともに料理のコクを深めることができます。
「代用するときも、バルサミコ酢の原料と同じぶどうを使ったジュースを多めに使うとよいでしょう」(野口さん)
【材料と作り方】
- ぶどうジュース…大さじ1
- 酢(あれば赤ワインビネガー)…小さじ1
材料をよく混ぜる。
【ポイント】
赤ワインビネガーを使うとよりバルサミコの風味に近づく。
肉料理などのソースに使うときにはこれで代用!
レストランでは、バルサミコ酢を煮詰めるなどして「バルサミコソース」として使うこともよくあります。そのため、バルサミコ酢というと、料理に添えられた黒くてとろりとした甘酸っぱいものというイメージがある方も多いかもしれません。
野口さんは、「肉料理などによく合うバルサミコソースとして代用するなら、はちみつで甘味ととろみをつけるとよいでしょう」とアドバイスします。
【材料と作り方】
- ぶどうジュース…大さじ1
- 酢…小さじ1
- はちみつ…小さじ1
材料を混ぜたものを、小鍋かフライパンでとろみがつくまで煮詰める。
【ポイント】
煮詰めたところにバターを加えるとコクとツヤが増すのでおすすめ。
肉料理のソースなら、肉を焼いたときにでる肉汁も加えて加熱すると、うまみが濃いソースになる。
知っておきたい! バルサミコ酢について
そもそもバルサミコ酢とはどんな調味料なのでしょうか。
「バルサミコ(Balsamico)」とはイタリア語で「香り高い」「芳香の」といった意味。ぶどうを原料にして、イタリアの北部・モデナ地方で11世紀頃から作られてきた濃褐色から黒色をした果実酢です。
「イタリアではバルサミコはほとんどの飲食店に置いてあって、お客さんは自分でサラダに塩コショウ、オリーブオイルと一緒にかけて食べるほか、料理にふりかけて風味をつけたり、アイスクリームにかけて食べたり、いろいろな味わい方をされています」(野口さん)
伝統的なバルサミコとそれ以外のバルサミコの違いは?
現在では世界各国でバルサミコ酢と呼ばれるものがたくさん作られていますが、イタリアではバルサミコに関して、生産地域や原材料となるぶどうの品種、製造方法、熟成させる樽の種類や熟成期間などを厳しく定めた法律があります。
「伝統製法で長期熟成された本場のバルサミコはとても高価で、100mlで数万円するものも。コクや甘みが深く、その風味は日本のお酢とはまったく違います。このタイプのバルサミコが手に入ったらまずそのままソース的に使ってみてください」(野口さん)
では、伝統製法の高級品以外の手軽に使えるバルサミコ酢はどうなのでしょうか。野口さんによると、日本で販売されているバルサミコ酢にはワインビネガーを加えているものが多いので、どちらかというと酸味が強い傾向にあるそうです。さらにカラメル色素で色つやとコクを出しているものもあるとのこと。
野口さん「もちろんこういったバルサミコ酢もぶどうの風味やうまみがあるので、慣れるととても使い勝手のよい調味料ですよ」
用途や気分にあわせて、上手に使い分けられるといいですね。
バルサミコ酢をおいしく使うコツ
最近では一般のスーパーでも輸入品や国産のものなど、さまざまなバルサミコ酢を手に入れることができます。
でもバルサミコ酢の使い方がわからないという方、買ったけれど使いこなせていないという方のために、普段の料理でおいしく使うコツを野口さんに教えてもらいました。
「バルサミコ酢は、原材料や製造法によって価格も風味も少しずつ異なります。好みの味を探したい方や使い切れるか心配な方は小瓶タイプを選ぶとよいでしょう。でも、バルサミコ酢の『そのままかける』『熱を加える』という使い方のコツを覚えると、どんどん使いやすくなりますよ」(野口さん)
【バルサミコ酢の使い方1】そのままかける
バルサミコ酢は、サラダ以外にもそのままかけておいしい調味料だと知ってほしいという野口さん。
「オリーブオイルとの相性が抜群なので、合わせてかけるのもおすすめです。たとえば、サーモンのカルパッチョにバルサミコ酢をかけると赤と黒のコントラストが美しいですが、白身魚や生ハムにかけると黒い色が気になるという場合は、透明なホワイトバルサミコを使ってもいいでしょう」(野口さん)
また、バルサミコ酢はチーズとの相性もよいので、モッツァレラチーズとトマトや果物などを合わせたカプレーゼにかけると、より味わいが深くなります。
「デザートにも使ってみてください。バルサミコ酢とはちみつを混ぜてアイスクリームや焼きリンゴにかけてもおいしいですよ。ぶどうが原料ですからフルーツともよく合うので、柑橘類やいちごなどにかけるのもいいですね」(野口さん)
食卓に常備していろいろな料理にかけてみると、バルサミコ酢の新しい魅力を発見できそうですね。
【バルサミコ酢の使い方2】熱を加える
「バルサミコ酢は熱を加えると酸味が抑えられてコクが深まります」と野口さん。煮詰めたものをソースにするほかにも使い方はいろいろ。
「たとえば、スペアリブの煮込みの隠し味に使ってみてください。驚くほど旨味が増しますよ。また、バルサミコ酢は鶏肉との相性が良いので、野菜と鶏肉をオリーブオイルでソテーしてバルサミコ酢と醤油を同量混ぜたソースで仕上げるのもいいですね」(野口さん)
ほかにも、ごぼうをぶつぎりにして、塩・コショウとオリーブオイルを混ぜ、醬油と砂糖とバルサミコ酢で煮込むのも野口さんのお気に入りの一品とのこと。ごぼうとバルサミコの香りがよく合って、しかもさっぱりと味わえるそうです。
【バルサミコ酢の使い方番外編】ちょっと意外な使い方も!
「バルサミコ酢が使いきれなくて余ってしまったら、ソーダ割りにしてみてください」と野口さん。爽やかな風味のドリンクになりますが、より甘さが欲しいときは、はちみつを加えてもいいそう。
「今回、肉料理などのソースの代用としてご紹介したものもソーダ割りにするとおいしいですよ」(野口さん)
また、ホワイトバルサミコで寿司飯を作るのも野口さんのおすすめ。寿司飯に使うなら日本の酢と思いがちですが、ホワイトバルサミコに代えると、よりさっぱりとした味わいに仕上がるそうです。ぜひ試してみたいですね。
ほかにもいろいろ バルサミコ酢を使ったレシピ
【ダッチオーブンレシピ】ダッチスペアリブ バルサミコ風味
【レシピ】ヘルシー「鶏肉のグリル・バルサミコソース」
【レシピ】前菜「まぐろのブルスケッタ~初夏の香り~」
【レシピ】完熟トマトで「トマトとバジルの冷製パスタ」
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おわりに
バルサミコ酢を使った料理を作りたいけど、手元にない。そんな時に代用できる方法を管理栄養士の野口知恵さんに教えていただきました。同じ風味にはできないものの、近い雰囲気で楽しめる方法を知っていると便利です。また、バルサミコ酢の使いこなし方を身につけることで、イタリアの伝統的な果実酢・バルサミコ酢のおいしさが身近なものになればいいですね。
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