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近年、サウナブームが起きている!

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以前はサラリーマンが利用するイメージが強かったサウナですが、今や若者や女性にも人気となり、サウナを愛する人たち、いわゆる「サウナー」が増えています。このサウナブームは実際に数字にも表れており、日本初のサウナ研究機関である一般社団法人サウナ・温冷浴総合研究所が毎年発表している「日本のサウナ利用の実態調査2020」によると、年1回以上サウナを利用するサウナ人口は、約2,761万人と1年前に比べて47万人も増加しているそうです。
サウナにはどのような健康効果があるのでしょうか。サウナの健康効果について、東京都市大学教授で、入浴・サウナ・岩盤浴などについて医学的に研究されている早坂信哉先生に伺いました。
気になるサウナの健康効果とは?

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サウナには「身体が温まることにより、血管が拡がり、血流が良くなる」という温熱効果があります。この「温熱効果」がサウナの最大のメリットです。人間が生きていく中で一番大切なのは「血液の流れ」です。なぜなら、血液が全身の細胞に酸素や養分を運んでおり、さらに老廃物や二酸化炭素も回収していくからです。そのような役割を果たす血液の流れが良くなるということは、健康にプラスとなり、疲労回復にもつながります。
お風呂につかる場合とサウナに入浴する場合の違いとは?
お風呂につかる場合も、サウナに入浴する場合も、温熱作用は同じです。それぞれの違いとしては、お風呂につかる場合は「水圧と浮力が発生する」ことが挙げられます。足先に水圧がかかることで、血液が心臓に戻るのを促す効果が期待できます。また、浮力があることにより、リラックス効果も生まれます。その一方で、水圧があることにより、身体が締め付けられ息苦しさを感じる人や、たくさんの血液が心臓に戻ってくることにより、ドキドキしてしまう人もいます。元気な人なら問題ないですが、心臓や心肺機能が落ちている人は、お湯につかり水圧がかかることが負荷になる可能性があるのです。サウナの場合は、水圧と浮力がなく、温熱効果だけを期待できます。
これって間違い? サウナに関する“知識”アレコレ

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サウナについて、「汗をかくから健康に良さそう」「デトックス効果もあるのかな」など、さまざまなイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。間違いがちなサウナの“知識”を整理していきましょう。
水風呂は必須ではない!?
サウナは安全に楽しんでほしいので、水風呂は必須ではありません。確かにサウナと水風呂を交互に入浴すること(これを温冷交代浴といいます)で、血管が拡張・縮小を繰り返すため、血流がさらに良くなり、疲れがとれるかもしれません。しかし、冷たすぎる水風呂に入ると、ヒートショックの危険性が高まります。つまり、激しい温度差によって血圧が急激に上がり、脳卒中や心筋梗塞の恐れが出てくるのです。このように、サウナと水風呂による急激な温度差は身体にとって好ましくない影響もあります。極端に冷たい水風呂に入るのではなく、外気浴で冷たい空気に触れたり、シャワーで手足の末端に水をかけたりするだけでも十分、温冷交代浴的な効果を得ることができます。水風呂は必須ではないという認識のもと、安全性に十分考慮し、サウナを楽しみましょう。
ダイエット効果はある!? ない!?
残念ながら、ダイエット効果は、少なくても瞬間的なスパンで考えるとありません。何もしないよりは、サウナに入った方が、カロリー消費が多くはなりますが、サウナだけで痩せるのは難しいでしょう。またサウナあがりに体重計に乗ると痩せていると思いますが、これは水分が抜けているからです。デトックス効果はある!? ない!?
サウナに入ると汗がたくさん出るので、「デトックス効果があるのでは?」と思う方もいらっしゃると思います。実は、汗には有害物質はほとんど入っていないため、汗を流すこと自体にデトックス効果はありません。しかし、これは考え方次第。汗が出るということは、体温が0.5℃~1℃近く上がっていることを示すサインです。それだけ体温が上がっているということは、温熱効果により、血流が良くなっている状態です。そのため、汗をかいているということは、「老廃物が血液により肝臓や腎臓にたくさん送られ、いらないものが多く排出される」状態になっていることを示しています。このように「汗をかいている=血流が良くなっている状態=デトックスされている」と考えることもできるでしょう。食事はサウナの前後30分~1時間は避ける
サウナに入ると、皮膚の表面が空気で温められるため、血液が集まりやすくなります。人間の身体は、血液がある箇所に集まると、その分だけ他の箇所の血液が減ってしまいます。サウナに入り皮膚の表面に血液が分布すると、内臓に送られる血液が減るため、その状態で食事をとってしまうと消化不良を招く可能性があるのです。そのため、食事はサウナの前後30分から1時間は避けておいた方がいいでしょう。汗をかいてきたタイミングがポイント! 効果的なサウナの入り方

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ここからは、効果的なサウナの入り方などについてご紹介していきます。
まず、入浴時間ですが、80℃∼100℃近くあるドライサウナの場合は、5~10分程度が適切と考えています。また60℃のドライサウナや40℃~50℃程度のミストサウナであれば、15分程度入浴すれば十分でしょう。汗をダラダラとかいたり、人と競って入浴したりするのではなく、「汗をかき始めたな」というくらいの、自分が無理なく気持ちいいと感じる段階で出るのが一番です。
また、「最後は冷たい水で締めましょう」と書いてある記事などを見かけますが、温熱効果を長期間保つという意味では、サウナの後は水風呂など冷たいものに触れない状態で上がったほうが良いでしょう。
ミストサウナの効果とは?
ミストサウナはおすすめです。特に女性は、ドライサウナのような乾燥感もなく、喉が潤う感じもするため、良いのではないでしょうか。80℃のドライサウナだと交感神経が刺激されるのですが、40℃程度のミストサウナはリラックスをつかさどる副交感神経が刺激され、ストレス緩和効果も期待できます。もちろん、温熱効果もあるので、熱いサウナに入らなくても、ミストサウナで十分だと思います。おわりに
サウナに入るときに、水風呂が必須でなかったり、デトックス効果の考え方など、新しく得るサウナの知識がたくさんあったのではないでしょうか。サウナの健康効果や効果的な入り方を正しく知って、サウナを楽しみましょう。
「ミスティ」でご自宅でもミストサウナを楽しみましょう!

TOKYO GAS
浴室暖房乾燥機「ホットドライ」にミストサウナ機能をプラスした「ミスティ」。浴室暖房、衣類乾燥、浴室乾燥、涼風の機能に加えて、ミストサウナ機能が付いています。「ミスティ」を使えば、サウナやスーパー銭湯などに行かなくても、ご自宅でゆったりミストサウナに入浴することができます。
この記事の取材先プロフィール
もっと見る博士(医学)/東京都市大学人間科学部教授/東京都市大学大学院総合理工学研究科教授/総合研究所子ども家庭福祉研究センター長 /温泉療法専門医 /日本温泉気候物理医学会理事/一般社団法人日本銭湯文化協会理事
早坂信哉
1993年、自治医科大学医学部卒業後、医師として地域医療に従事。温泉・入浴の医学研究を進める。医師・温泉療法専門医としての活動と並行し、数々の医科大学や大学で講師・准教授・教授を歴任。
現在も入浴・温泉等による医学的研究の傍ら、数々の論文を発表。さまざまなメディアや講演で講師としても活躍中。
『最高の入浴法~お風呂研究20年、3万人を調査した医師が考案』(大和書房)、『たった1℃が体を変える ほんとうに健康になる入浴法』(KADOKAWA)、『入浴検定 公式テキストお風呂の「正しい入り方」』(日本入浴協会/共著) 他、多数の著書や書籍監修を行う。
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公開日:2021.3.9
最終更新日:2022.12.16
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