ポリ袋が災害時に活用できる! 普段使いの袋が驚きの防災グッズに!
ポリ袋が防災グッズとして活用できるとご存じでしょうか。普段お使いのゴミ袋やレジ袋、食品保存用の透明袋など、生活の中で目にする袋のほとんどは「ポリ袋」です。ポリ袋なら災害用に改めて購入しなくても家にあるという方が多いのでは? 驚きの活用方法を詳しくご紹介します。
防災のために用意しておきたい、ポリ袋の種類
用意しておくと便利なポリ袋の種類は3つあります。
「レジ袋」
レジ袋は取っ手が付いているので、ちょっとしたバッグ代わりとして物資の運搬に使ったり、カットして赤ちゃんのおむつに活用することができます。2リットルの水2本が入るMサイズの他、SサイズやLサイズ、LLサイズなどさまざまなサイズがありますが、いくつかの種類を用意しておくと便利です。小さく畳んで、常にカバンの中などに入れておきましょう。
「大きなゴミ袋」
レインコート、水の運搬、簡易トイレなど多様な用途で活用できます。30リットル、45リットル、70リットルなど、いろいろなサイズがあると便利です。
また普段、あまり購入することがないかもしれませんが、黒いゴミ袋もあると活用できます。簡易トイレとして活用する場合、中の汚物が見えず、心理的な負担が軽減されます。また、避難所や車中避難の生活で、目隠しカーテンとして活用する方法も。
「食品保存用のポリ袋」
「食品保存用のポリ袋」も、家や非常用持ち出し袋に常備しておきましょう。いろいろなサイズがあると便利です。
さらに、これまで紹介した種類のポリ袋の他に、ポリ袋を切るためのハサミや一緒に使える新聞紙も用意しておくと、使い方の幅が広がります。
「湯せん調理可能なポリ袋」
「高密度ポリエチレン製」、または「湯せん調理可能」と記載のあるポリ袋であれば、炊飯や調理に活用することができます。
「防臭機能付きポリ袋」
あると便利なのが、防臭機能の付いたポリ袋。災害時にはゴミの収集が停止したり、頻度が変わることがあります。そうした場合に、生ゴミやトイレの汚物などを防臭袋に入れておくと、かなりニオイが軽減できます。
ポリ袋の保存は冷暗所で!
なお、ポリ袋を保存する際は、密封して冷暗所に保管すると、劣化を防ぐことができます。しかし、長期間使わないと、少しずつ劣化して穴が空きやすくなったりするので、日常的に少しずつ使い、使った分を買い足しておく「ローリングストック」の方法で保存しておくのがオススメです。
【注目の備蓄法】食べながら備える&消費期限切れも防ぐ!「ローリングストック法」とは?
【防災のためのポリ袋活用法】衛生面
1. 骨折したとき、三角巾代わりに
骨折してしまった時に必要な「三角巾」が、ポリ袋で簡単に作れます。レジ袋の両端を裂いて、首からつるすだけ。新聞紙を丸めたものなどをあてれば、添え木の代わりにもなります。
2. 手袋にして感染予防
災害時にケガをした人を手当するとき、血液に触れると感染症の危険があります。レジ袋に手を入れれば「手袋」として使うことができます。
3. ポリ袋と新聞紙で簡易トイレ
大地震の後はトイレで水を流しては行けないとご存じでしょうか。断水している場合には、お風呂に溜めた水を使って流すのもNGです。
大地震の後は排水設備が破損することがあり、その状態で水を流すと詰まって逆流したり、下の階に汚水があふれる可能性があります。自治体によっては下水道管の復旧状況をWebサイトなどで公開しています。状況を確認してから水洗トイレは使用しましょう、
水洗トイレを使用できない間、ポリ袋が役立ちます。便座にゴミ袋を二重にかぶせて、中に新聞紙を詰めれば、即席の簡易トイレに。使用後は消臭スプレーをかけてからポリ袋の口を締め、密閉できる容器に入れて保管を。ゴミ回収が再開されたら、自治体の指示に従ってゴミとして出しましょう。
下記の記事では、災害用の携帯トイレについて紹介しています。こちらも参考にしてみてください。
【防災グッズ使いこなし術】災害用の携帯トイレってどんなもの? その使い方とは?
4. 雨よけ・防寒・ちりよけのレインコートに
災害時の雨よけや、風よけ・防寒にレインコートがあると便利です。さらに、家屋が倒壊した街ではちりが舞い、喉を痛めて体調を崩してしまうことも。レインコートは、ちりを避けるのにも有効です。
レインコートやポンチョが手元にない時、ポリ袋を使って簡易レインコートを作ることができます。上の写真のようなレインコートを作るのに必要なのは、45〜90リットルのゴミ袋とハサミのみ! ネットでもいろいろな作り方があるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
5. 非常用のおむつに
レジ袋を切り開いて、長い一枚の布状にし、真ん中にタオルや古着などを敷いて、赤ちゃんの腰の辺りで結べば、非常用のおむつになります。布の部分は、汚れたら新しい布と交換すれば、レジ袋部分は何度か使えます。
非常用おむつ作りに必要なのは、レジ袋とハサミだけ。赤ちゃんの大きさに合わせてレジ袋のサイズを選びましょう。
非常用おむつの作り方をご紹介します。
上のようにポリ袋を広げ、取っ手部分と袋の両脇を切り開いていきます。該当箇所を赤の点線で示しています。
取っ手部分を両方、このようにハサミで切り開きます。
両方の取っ手を切り開いた後、両脇を切り開いていきます。ハサミで切る際、もう1方の手でポリ袋の折り目を広げておくと、脇が切り開きやすいです。
上の写真のように折り目の最後まで切っていきます。
両方の取っ手と両脇を切り開いた後に広げると、上の写真のようになります。
広げた後に、タオルや古布、古着など吸収剤となる布を真ん中に敷きましょう。
赤ちゃんを寝かせ、布が赤ちゃんの股に当たるように置いて両脇を縛ります。なお両脇から取っ手部分のひもを真ん中に引き寄せて結び、下半分をかぶせてひもを絡める方法もありますが、今回のポリ袋では取っ手部分が短過ぎて結べず、両脇で結ぶ方法を取りました。
上の写真は両脇を結んだところです。ポリ袋おむつの完成。上の写真はもうすぐ1歳の赤ちゃんです。Sサイズのポリ袋では小さすぎて両脇が結べないため、少し緩めですがMサイズのポリ袋を使用しました。
ポリ袋おむつは緩めで横から漏れてしまいそうですが、上から肌着を着せて、股のスナップボタンを留めたら安定しました。普通の紙おむつほどの安定感はないものの、紙おむつがない時の代替手段になってくれそうです。なお、ポリ袋の肌触りが心地良くなかったのか、着せた後は若干不機嫌な様子です。
今回の実験にあたり、災害時にベッドを使えないことも想定して、ライターの自宅のテーブルの上で赤ちゃんに寝てもらった状態でポリ袋おむつを穿かせてみました。ポリ袋を結ぶ必要があるため、普通の紙おむつに比べると交換に時間がかかります。途中で赤ちゃんが尿意をもよおしてしまうこともあり得るので、慣れないうちは防水シーツや防水パッドを敷き、その上でポリ袋おむつを穿かせてあげると良さそうです。
【防災のためのポリ袋活用法】水の運搬
6. ダンボールとポリ袋でバケツ代わりに
断水してしまった時、せっかく給水があっても、容器がなければ水を運ぶことができません。ダンボールにレジ袋をかぶせ、上で結べば、バケツのように運ぶことができます。水を入れると意外に重くなるので、台車などがあれば使うのも良いですね。
7. バックとポリ袋でバケツ代わりに
バッグの中にポリ袋を入れて、水を入れると水の運搬がしやすくなります。リュックなら、より運びやすくなりますね。バッグとポリ袋は軽いものの、水を入れると意外に重くなるので、水の量には注意しましょう。
【防災のためのポリ袋活用法】調理・食事面
8. ポリ袋をお皿代わりに
炊き出しの食べ物を分けてもらう時などに、新品のポリ袋があれば、食べ物を直接入れることができます。新聞紙を折った上にポリ袋をかぶせれば、汁物もOKの立派なお皿になります。
9. ポリ袋を調理用手袋代わりに
避難生活や災害復旧が長引いたとき、非常食だけでは味気ないもの。でも、料理したくても水が足りなくて手が洗えない・・・そんなときは、ポリ袋が調理用手袋としても活躍します。
また、ポリ袋を調理ボール代わりにして、和え物を袋の中だけで作ることもできます。気軽に手を洗えない環境では、手が汚れないようにポリ袋を活用することも大切ですね。
10. 炊飯や料理に
「お湯ポチャレシピ(R)」といって、材料を入れたポリ袋をお湯を張った鍋に入れ、ゆでて調理する方法があります。複数のポリ袋を使えば、炊飯とスープ、おかずなど、複数の料理を一度に調理することも。使える水やガスの量が限られている時に、便利な方法ですね。
ただし、普通のポリ袋では高温で溶けてしまうので、「高密度ポリエチレン製」または「湯せん調理可能」と記載のあるポリ袋をお使いください。「お湯ポチャレシピ(R)」は以下のページで詳しくご紹介しています。
災害時に活躍! ポリ袋と湯煎で作る「お湯ポチャレシピ(R)」とは?
ポリ袋ならパン作りも簡単です!
ポリ袋の中に材料を入れて混ぜることで、手を汚さずにパンを作ることができます。以下の記事ではポリ袋の中で混ぜた後にそのままお湯を張った鍋に入れ、できあがりまでの全てがポリ袋の中で完結する「ゆでパン」をご紹介しています。
目からウロコのパン作り!「ポリパン®」~Vol.6 アウトドアにも、災害時にも! 黒糖茹でパン
おわりに
いざというときに知っていると便利な【ポリ袋】を使った10の防災ワザをご紹介しました。いろいろな使い方ができる、便利なポリ袋。畳んでおけばかさばらないので、普段から持ち歩くようにしたり、非常用袋や家の中にストックしておきたいですね。防災は、モノだけでなくこうした知識も役に立ちます。いざという時のために、ぜひ覚えておいてくださいね。
あわせてよみたい
3度の災害を経験した防災士に聞く、防災グッズで本当に必要なものとは?
防災ボトルや防災ポーチなど外出時の災害に役立つ【携帯用防災グッズ】の作り方
備えができてない人は何割? 地震に備えている物・ことの【実態調査】【東京ガス都市生活研究所】
【注目の備蓄法】食べながら備える&消費期限切れも防ぐ!「ローリングストック法」とは?
災害時に役立つ 東京ガスの防災関連情報
東京ガスでは、ホームページや公式TX(旧Twitter)、災害時のガスの供給・復旧状況が分かる復旧マイマップなど防災関連情報を発信しています。普段からブックマークなどで登録しておけば災害時にすぐに確認することができますね。
東京ガスホームページ
東京ガス供給エリア内で地震などが発生した場合、関連情報を提供します。
東京ガス公式X(旧Twitter)
防災など安全に関する情報を中心にお届けします。
復旧マイマップ
ガスの供給停止を伴う大規模な地震が発生した際に、地図で色分け表示されたガスの供給・復旧状況を確認いただけます。